★プーチンの苦悩(なぜ彼は日本に接近するのか???)
プーチンさんが悩んでいます。
なんで???
▼プーチン最大の功績とは?
ソ連崩壊後、ボロボロだったロシア。
92〜98年までに、なんとGDPが43%(!)減少した。
当時、誰もが「ロシアの復活はないな・・・」と確信していました。
しかし、プーチンは2000年に大統領に就任すると、そんなロシア
を「アッ」というまに復活させました。
いったい何が起こったのでしょうか?
秘密は、「石油部門」にあります。
皆さん、ご存知のように、ロシア経済は「石油・ガス」に依存して
います。
90年代のロシアはどうだったか?
まず、原油価格が低迷していた。(98年はバレル10ドル以下)
そして、石油部門が、ソ連崩壊後台頭してきたユダヤ系新興財
閥に牛耳られていた。
プーチンは大統領になってどうしたか?
まず、ユダヤ系新興財閥の大物二人(ベレゾフスキー、グシン
スキー)を追放しました。
そして、03年、当時ロシア石油最大手ユコスのトップだったホ
ドルコフスキーを逮捕。
天然ガス最大手ガスプロムは、ベレゾフスキー、アブラモービ
ッチの石油大手シブネフチを吸収。
国営石油会社ロスネフチは、ユコスを吸収。
これで、ロシアの石油・ガス部門の再編が進んだ。
要するにロシアの石油・ガス部門は、「新興財閥」から「国家」
に戻った。
そして、ロシアに「神風」が吹いてきました。
08年10ドル以下だった原油価格は、上昇に上昇をつづけてい
った。
10年後の2008年には、140ドル台まで上がったのですから、プ
ーチンは笑いが止まりません。
「ロシア経済はなぜ復活したのだろう?」
いろいろな人がいろいろなことをいいます。
確かにいろいろなファクターがあるのも事実。
しかし、「本質」を「スバリ」いえば、
1、プーチンは石油部門を新興財閥から国家に取り戻した
2、原油価格がドンドン上昇していった
この二つが主な理由なのです。
▼プーチン、苦悩のはじまり
08年、プーチンは、大統領の座を弟子のメドベージェフに譲り
ます。
ロシアの規定では、「4年2期」までなのですね。
プーチンは、首相になりました。(立場的には大統領の下)
08年はロシアにとって、複雑な年でした。
望みが達成され、それが原因で、苦しみが襲いかかってきた。
08年8月、ロシアはアメリカの傀儡国家グルジアと戦争し、大勝。
08年9月、リーマンショックが起こり、アメリカは没落します。
「望みが達成された」とはこのことです。
プーチンは、05年以降「反一極支配」「多極世界構築」を目標に
歩んできた。
それがようやく、実現した。
一般の人たちは、「アメリカは自滅した」と信じています。
「住宅バブル崩壊」→「サブプライム問題」→「リーマンショック」
等々。
しかし、RPE読者の皆さんだけは、今回の危機は
「一極主義 対 多極主義」
の帰結であることを知っています。
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ところが、望みがかなったプーチンに大きな試練が襲いかかり
ます。
そう、原油価格が大暴落したのです。
なんと140ドル台が30ドル台になってしまった。
00〜08年まで平均7%の成長をつづけてきたロシア。
09年はなんと−7.9%。
新世紀になってはじめてのマイナス。
しかもとんでもないマイナス。
これで、ロシア経済の脆弱性が明らかになりました。
とはいえ、原油価格は、暴落後ほぼ一貫して上がりつづけま
した。
2010年夏、90ドルに。
2011年、120ドルを突破。
それで、プーチンの苦悩は、比較的短期間で終わったのです。
▼プーチン、深まる苦悩
原油価格が戻してホッとしたのも束の間。
「真の危機」がロシアを襲います。
今度は、「ホンマモンの危機」です。
ロシアの地位を崩壊させかねないほど大きな危機です。
それは何か?
そう、アメリカ発「シェール革命」。
シェール革命には、「オイルシェール」と「シェールガス」があり
ます。
いずれにしても、この革命で、オイル、ガスともに埋蔵量が2倍
〜3倍増えた。
数年前まで、世界の専門家が「原油はいつ枯渇するのか?」に
強い関心をもっていました。
しかし、今では心配する人はいなくなっています。
「世界には、オイルもガスもまだまだたっぷりある」
これが常識になってしまった。
しかし、ロシアにとっての「シェール革命」とは?
そう、「資源超大国ロシアの没落」です。
これは長期的な話ですが、すでに影響もでています。
ロシアは、原油生産でサウジと1〜2位を争っている。
天然ガス生産では、長年ダントツトップの地位を維持してきました。
ところが・・・。
「シェール革命」で、なんとアメリカが「天然ガス生産」「世界一」
になってしまったのです。
ロシアにとって、これは天地がひっくりかえるほどの衝撃でした。
そして、原油が100ドル前後で安定しているにも関わらず、ロシア、
今年の経済成長は3%台との予測がでています。
もはやこの国は、08年前のような急成長はできず、結果プーチン
の支持率も下がってきています。
▼プーチンはどうする?
ロシアがやらなければいけないことは、二つあります。
長期的には、「資源依存経済」を転換していかなければならない。
これは前々からいわれていることですが、なかなか進みません。
もう一つは、「原油・ガス市場」で競争に勝つこと
プーチンが日本に接近する主な理由は、この二つなのです。
1、資源依存経済を転換するため、日本の投資と技術が必要
2、日本に原油、ガスをもっと売りたい
毎日新聞3月20日を見てみましょう。
<ロシア資源大手>LNG売り込み、日本に照準
毎日新聞 3月20日(水)11時26分配信
【モスクワ大前仁】天然ガス埋蔵量で世界最大のロシアの資源
大手企業幹部らが相次いで日本を訪れ、液化天然ガス(LNG)を
熱心に売り込んでいる。
米国の「シェールガス革命」のあおりで欧州向け輸出が落ち込む
中、日本への供給拡大に活路を見いだそうとしているからだ。>
具体的には?
<13日にノワク・エネルギー相が訪日した際、天然ガス生産量2
位の独立系企業ノワテク幹部も同行し、東京電力、東京ガス、三
井物産、丸紅などの幹部と会談した。
エネルギー相は毎日新聞などの取材に、ロシア北部ヤマル半島
でノワテクが計画しているLNG生産施設に関する企業間の作業
部会設置で日本側と合意したことを明かした。
ロシアで原油生産量1位の国営企業「ロスネフチ」のセチン社長
(前副首相)も2月下旬に来日。
資源開発事業「サハリン1」の天然ガスを供給源にしたLNG施設
建設計画を、丸紅や伊藤忠など5社に説明したとみられる。>
記事は、「プーチンの苦悩」についても触れます。
↓
<プーチン大統領は2月中旬、世界のLNG市場でロシア産のシェ
ア(3%)が低いことを問題視し「積極的な(輸出振興)政策を取らな
ければ、市場を完全に失う恐れがある」との危機感を表明した。
関係省庁に対し、国営ガス会社「ガスプロム」が独占している輸出
権の自由化の検討を指示。
ロスネフチなどの「後発組」が日本への売り込みに乗り出す引き金
となった。>
↑
「シェール革命」で、資源は「売り手市場」から「買い手市場」にかわ
り、もはや「殿様商売」ができなくなっている。
革命の「実質的打撃」についても、記事は触れています。
↓
<米国産シェールガスの生産が本格化し、米国向けだったカタール
産LNGが欧州市場へ振り向けられるようになった。
その結果、ガスプロムの欧州向け輸出量は昨年、前年比7・4%減
少。
極東でのLNG施設の整備は、日本のほか中国や韓国を含めたア
ジア向けの供給拡大への布石だ。>
▼日本はどうする?
では、接近するロシアに対し日本はどうすればいいのでしょうか?
原発が止まって、「電力価格をあげなければ!」と大合唱が起こっ
ています。
しかし、世界を見渡せば「シェール革命」でLNGの価格は下がって
いる。
じゃあ、なんで「火力発電」は「高い」といわれるの?
この辺の事情について。
↓
< 日本の11年度のLNG輸入量は8318万トン。
このうちカタールなどの中東産が約3割を占める。
ロシアは、マレーシア(18%)、豪州(16%)に続く9%にとどまる。
中東諸国は産油国でもあることから、原油連動で輸入価格を設定。
シェールガスの登場で生産が急拡大した米国市場でLNG価格が
大幅に値下がりしていながらも、中東依存度の高い日本は、高値で
の輸入を余儀なくされている。>(同上)
日本は、「高値だ買わされている」のですね。
では、どうすればいいのか?
↓
<LNG価格抑制のカギが「調達先を増やすことによる価格交渉
力の強化」(経済産業省幹部)。
ロシア産も原油連動で価格が決まっており、現時点では安いとは
言えない。
だが、中部電力や大阪ガス、東京ガスなどが北米産シェールガ
スの調達に乗り出していることや、欧州でのガス需要低迷が交渉
カードとなり「ロシア側に価格引き下げを迫る余地はある」(大手ガ
ス幹部)という。
経産省の担当者は「ロシアは距離も近く、緊急時でも数日で輸入
できる」と、災害時のエネルギー確保にも役立つと期待する。>
↑
そうそう。
いろいろな国から輸入して、値段を下げてもらえばいいのです。
だから、ロシアからもアメリカからも買えばいい。
とはいえ、最終的にはやはり「エネルギー自給率100%」を目
指しましょう。
だって、できますから。
↓
<世界初!日本がメタンハイドレートからの天然ガス採取に成功=
埋蔵量は1000年分―中国メディア
Record China 3月14日(木)13時16分配信
13日、中国網は記事「中国エネルギー専門家:日本が“燃える氷”
の分離に成功=世界のエネルギー構造転換を推進する可能性も」
を掲載した。
日本のメタンハイドレートからの天然ガス抽出に中国メディアも注目
している。>
↑
安倍さんは「TPPは国家100年の計」とおっしゃいました。
いや、「国家100年の計」は、メタンハイドレートを含む新エネルギー
で、
日本のエネルギー自給率を100%にすることでしょう?
出所、そのほかの情報は↓
http://www.mag2.com/m/0000012950.html