事前に情報を知り、キャピタルフライトしていた超富裕層には負担なし
通貨発行権のないユーロ通貨圏だから一見他人ごとのようにも見えるが
今後、国内生産が減少する一方で、膨張する社会保障やバラマキインフラ投資、円安インフレと国債暴落が激化した時、
クラウディングアウトで赤字国債すら発行できなくなった日本でも、最低の国家機能を維持するためには、同じ事態が生じる可能性は完全には否定できない
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130316-00000100-jij-eurp
貯蓄税、GDPの3分の1=銀行預金は一部封鎖―キプロス
時事通信 3月16日(土)18時30分配信
【ブリュッセル時事】ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は16日、債務危機のキプロスがユーロ圏による金融支援の条件として徴収する貯蓄税は、キプロスの国内総生産(GDP)の3分の1に相当する約58億ユーロ(約7200億円)の税収が見込まれると述べた。
ギリシャ支援ではギリシャ国債の保有者が巨額の借金棒引きを受け入れたが、銀行預金者が負担を強いられるのはユーロ圏の危機支援で初めてとみられる。
キプロスは16日のユーロ圏との金融支援合意を受け、直ちに預金の一部封鎖を行い、オンラインでの資金流出を食い止める。
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最終更新:3月16日(土)18時33分
2013年 3月 17日 12:47 JST
キプロスの銀行預金者に課税―100億ユーロ支援の見返り
By MATINA STEVIS, GABRIELE STEINHAUSER AND COSTAS PARIS
【ブリュッセル】キプロス政府はユーロ圏と国際通貨基金(IMF)から100億ユーロ(約1兆2500億円)の金融支援を受けることで合意した。金融支援の一環として、キプロス国内の銀行の預金者から税金を徴収する。課税は1回のみ。
合意は16日早朝に発表された。ユーロ圏では5年にわたって金融危機が続いているが、域内の銀行預金がカットされる事態は今回が初めてとなる。税率は10万ユーロを超える預金口座については9.9%、それ以下の口座については6.75%とされており、徴収税額は58億ユーロに上ると見込まれている。
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Reuters
欧州委員会のオリ・レーン経済担当委員とキプロスのサリス財務相(15日)
キプロスのサリス財務相は記者団に対し、「この決定は理想の政策とは全くかけ離れている。銀行システムや国家の破綻で多額の資金が失われたかもしれないというまさに現実的な可能性と比較すべきである」と述べた。10時間の交渉を終えた財務相の表情は緊張していた。
同財務相はキプロス議会が週末に預金者への課税措置を可決するとの見通しを示した。税金は祝日明けの19日に銀行が営業を開始する前に口座から徴収されるという。
キプロスが最初に支援を要請したのは昨年夏で、同国はユーロ圏にとって大きな悩みの種となった。その最大の原因は銀行部門の肥大化だ。同国の銀行資産は同国経済の8倍の規模に膨らんでおり、昨年のギリシャの債務再編で大きな打撃を受けていた。マネーロンダリング(資金洗浄)の摘発や先月の総選挙の影響で交渉は遅れていた。
1月に実施したキプロスの財政状態の当初評価では、銀行部門を安定化させるための100億ユーロを含めて170億ユーロ以上が必要とされた。キプロスの年間の国内総生産(GDP)は180億ユーロ以下で、しかも減少傾向にあり、170億ユーロはキプロスが自前で調達できる額ではない。
ユーロ圏の財務相と欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFの3機関で構成するトロイカはキプロスの救済コストの引き下げに取り組んだ。欧州の他の弱小国の預金者や投資家の動揺を招く恐れがあるとの指摘もあったが、この預金者への課税を決めた。
ユーロ圏財務相会合議長のオランダのダイセルブルム財務相は課税措置について、「特別な状況だ」として、支援を受けた他の国について同様の措置を検討していないと述べた。
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Agence France-Presse/Getty Images
IMFのラガルド専務理事とキプロスのサリス財務相
関係者は預金者への課税を実施することで、ドイツやオランダ、フィンランドなどの財政健全国でキプロス向けの支援策が議会承認を受けやすくなることを期待している。これら財政健全国の議員はキプロスの外国人預金者の救済を渋っている。外国人預金者が同国の甘い銀行法につけ込んでいると疑っているからだ。外国人預金者の多くはロシア人だ。
欧州委員会のオリ・レーン経済担当委員は、ロシアがキプロス向けに2011年に実施した25億ユーロの融資の返済期限を延長することに前向きな姿勢を示しており、貸出金利を引き下げる可能性も示唆したと指摘した。サリス財務相は20日にモスクワに向かい、最終条件を確定するとみられている。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323893104578365311916785562.html
地中海のキプロスで強制預金課税 危機再燃の火種になるか
木村 正人 | 在英ジャーナリスト
2013年3月17日 7時0分
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預金封鎖
欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合や国際通貨基金(IMF)がキプロスに100億ユーロ(約1兆2400億円)を融資する代わりに、キプロスの金融機関の全預金口座に6・57〜9・9%の税金をかけることを決めた。口座からの預金引き出しを防ぐため、キプロス政府は16〜18日、一部の預金を封鎖する。
現地からの報道では、キプロスに駐留し、アフガニスタンに向かう英国兵士はインターネットで預金を引き出そうとしたが、凍結されていたという。
キプロスの首都ニコシアでは、土曜日も営業している協同組合銀行が臨時休業した。現金自動預払機(ATM)も空っぽになり、預金者が銀行支店前に列をつくる騒ぎになった。
怒りのあまりブルドーザーで金融機関に突っ込もうとした預金者もいた。
「取り付け」にも似た騒ぎが起きたのは、ユーロ圏が10万ユーロ以上の預金について預金額の9・9%、それ未満の場合は6・75%を1回に限り徴収すると決めたためだ。徴収額は全体で58億ユーロにのぼる見通しだ。
もともと支援額はキプロスの国内総生産(GDP)に匹敵する170億ユーロと伝えられていたが、預金者の損失負担に加え、国有財産の売却、法人税の引き上げなどで穴埋めし100億ユーロに抑えた。
ユーロ圏には、貸し手に損失負担を求めて傷口を大きくしてしまった前科がある。
ギリシャ国債の民間保有者に約5割の損失負担を求めた際、ギリシャ国債だけでなくスペイン、イタリア国債も投げ売られ、危機は一時、制御不能の状態に陥った。
その後、欧州中央銀行(ECB)が南欧諸国の国債の無制限購入を打ち出してから欧州の債務・金融危機は沈静化している。
にもかかわらず、キプロスの金融機関の預金者に異例の損失負担を求めたのはなぜか。ロシアの富裕層や犯罪組織がキプロスの銀行口座を脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)に使っている疑いが強いからだ。
キプロスの金融危機
地中海東部に位置し、面積は四国の半分程度、シチリア島、サルデーニャ島に次ぐ地中海第3の島の南側を占めるキプロス共和国。人口80万人の約8割はギリシャ系で、トルコ系は1割強だ。
1950年代からギリシャへの併合を要求する運動が起き、ギリシャとトルコが介入、60年に英国から独立した。
83年には北側の北キプロス・トルコ共和国が独立を宣言し、首都ニコシアをはさんでキプロス島は今も南北に分断されている。北キプロスを承認したのはトルコだけだ。
主要産業はGDPの約2割を占める観光だ。主な輸出品はオレンジ、オリーブなどの農産物、衣料だったが、海運、国際金融部門が急成長した。2004年にEU加盟、08年1月、キプロスよりもさらに小さなマルタとともにユーロ圏に加盟した。
小国キプロスにとってユーロという大きな通貨の傘の下に入ることは、為替の急激な変動に翻弄されずに済むメリットがある。キプロスのサリス財務相(当時)は「これでインフレや金利上昇を抑制でき、ユーロ圏の巨大マーケットと結ばれる」とユーロ導入の意義を強調した。
金融バブル期、欧州の一般市民も別荘を求めてキプロスに殺到したが、世界金融危機、欧州債務危機でキプロス経済を潤わせた「別荘市場」は崩壊した。キプロスは11年、ロシア政府から25億ユーロの2国間融資を取り付け何とか急場をしのぐかに見えた。
しかし、メルケル独首相とサルコジ仏大統領の主導でユーロ圏は12年2月、ギリシャ第2次支援策で合意。ギリシャ国債の額面が減免されることになり、国債投げ売りを誘発した。
これで、ギリシャ国債を抱え込んだキプロスの金融機関の経営状況は一気に悪化した。同年6月、キプロス政府はEUに国内金融機関への緊急融資を要請した。
キプロスの金融機関のバランスシートは全体で1500億ユーロ、GDPの8倍以上に膨らんでいた。世界金融危機の直撃で非ユーロ圏の小国アイスランド(人口約32万人)では金融システムが崩壊した。キプロスは金融危機の第1波をユーロの傘で防いだ。
キプロスを破綻から救うには金融機関に108億ユーロを注入、さらに62億ユーロの財政赤字を埋める必要があった。緊急融資の総額はキプロスのGDPにほぼ匹敵する計170億ユーロにのぼるとみられていた。
キプロスのGDPは179億ユーロで、ユーロ圏全体のわずか0・2%に過ぎない。ショイブレ独財務相は「キプロスのシステムは適切ではない。仮に破綻しても経済規模が小さいのでユーロ圏への影響は無視できる」とキプロス救済に消極的だった。
ユーロ危機で巨額の税金投入を強いられてきたドイツの納税者には「救済疲れ」が広がり、「どうして私たちの血税でロシアの大富豪を助けなければならないのか」という不満が渦巻いていた。
ロシアのオルガルヒ
キプロスの法人税は一律10%。旧ソ連が崩壊した1990年代から、旧ソ連の国有財産をただ同然で手に入れたロシアのオリガルヒ(新興財閥)は国内の権力闘争とは無縁のキプロスに資金を移し始めた。
ロシアの法制度では投資家の権利が十分保障されていないため、オリガルヒはキプロスにペーパー会社を設立してロシア国内の会社を遠隔操作するようになった。
キプロスはオリガルヒにとって合法的なタックスヘイブン(租税回避地)、マネーロンダリングの拠点になった。キプロスの金融機関に預けられている資金の大半はオルガルヒの富と言って良かった。
サッカーのイングランド・プレミアリーグに所属する人気クラブ、チェルシーFCを所有するアブラモビッチ、米プロ・バスケットボールチーム「ブルックリン・ネッツ」のオーナーで2012年のロシア大統領選に出馬したプロホロフ、ノボリペック製鉄所会長のリシン、ガスプロム・コンツェルンのウスマノフらそうそうたるオリガルヒの面々がキプロスに投資している。
消える巨額マネー
12年、ロシア政府はロシア極東部ワニノの巨大港湾施設の権益をロシアの鉄鋼メーカーに払い下げた。その2〜3週間後、鉄鋼メーカーはキプロスの会社に持ち株のすべてを転売した。キプロスの会社はいずれも未登記だったり、設立されて間がなかったり、取引相手として怪しかった。
ロシアの大手国営銀行はキプロスの会社に石油掘削機購入資金として4億5700万ドルを拠出したが、キプロスの会社は同じ日に1億6000万ドル少ない金額で石油掘削機を購入していた。
いずれのケースも取引の差額がどこに消えたかわからなくなっていた。
英系投資ファンド「エルミタージュ・キャピタル・マネージメント」の顧問を務めていた弁護士マグニツキー(死亡時37歳)の獄死事件にもキプロスは絡んでいる。
同マネージメントは07年6月、ロシア税務警察の捜査を受けるが、マグニツキーは税務警察の関係者が押収した書類を使って2億3000万ドルの不正還付を受けていると告発した。しかし、マグニツキーは08年11月に拘束され、約11カ月後、激しい拷問で持病の内臓疾患を悪化させて死亡した。2億3000万ドルのうち3000万ドルがキプロスの銀行経由で海外に消えていた。
11年の時点で、キプロスからロシアへの投資総額は13億ドルを超え、キプロスはロシアへの最大の投資国になった。一方、キプロスへの最大の投資国もロシアだった。
メルケルの思惑
キプロスの銀行のギリシャ支店が破綻すれば、ギリシャに対する金融不安に再び火がつきかねない。このため、ドラギ、レーン欧州委員(経済・通貨担当)、常設金融安全網「欧州安定メカニズム」(ESM)の責任者レグリング氏はキプロス救済をドイツに迫った。
12年9月のドイツ総選挙で野党・社会民主党(SPD)の首相候補となるシュタインブリュック前財務相は「キプロスがユーロ圏を離脱することは市場への誤ったメッセージになる」とキプロス救済を支持した。しかし、その一方で、「キプロスは銀行を集約し、その他の条件を満たす必要がある」と厳しい条件を付けた。
先月下旬、キプロスの大統領選で緊縮財政に前向きな中道右派の野党・民主運動党(DISY)のアナスタシアディス党首が57・5%の得票率で当選した。民営化に反対したフリストフィアス前大統領と異なり、アナスタシアディス大統領はEUが求める国営企業の民営化に条件付きで賛成しており、協議は一気に進展した。
しかし、メルケルはロシアのオルガルヒなど預金者に負担を求めた。脱税、マネーロンダリングの資金を手放しで救済しないという姿勢をドイツ国内の有権者に示すためだ。ユーロ圏やECBはアイルランドやスペインの金融機関を無制限で支援する方針で、キプロスはあくまで「例外」との立場だ。
レーン欧州委員によると、ロシアもキプロスに対する25億ユーロの融資の期限延長や金利軽減に応じるという。月曜日の18日、キプロスは祭日。19日に開業するまでにキプロス政府は全口座から6・57〜9・9%を引き下ろす。預金者にはそれに相当する銀行株を発行する。
週明け、市場がユーロ圏の措置をどう受け止めるかはわからない。
(おわり)
木村 正人
在英ジャーナリスト
ロンドンを拠点に活動する国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。日本国憲法の改正問題(元慶応大学法科大学院非常勤講師=憲法)や日英両国の政治問題、国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部で大阪府警・司法キャップを務めるなど大阪で16年間、事件記者を務め、東京で政治部や外信部を経験。2002〜2003年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。2012年7月、独立してフリーに。
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[ブリュッセル 16日 ロイター] ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、キプロスに対する100億ユーロの緊急支援で基本合意した。ダイセルブルーム議長が16日に発表した。
ユーロ圏の財務相と国際通貨基金(IMF)は、15日の欧州連合(EU)首脳会議後に会合を開催。10時間にわたる協議の末、合意にこぎつけた。
ダイセルブルーム議長は会合後の記者会見で「ユーログループはキプロス当局と支援策の大枠で合意に至った」と述べた。
支援プログラムにより、キプロスの債務は2020年に国内総生産(GDP)比100%に減少する見通し。
ユーロ圏の財務相は、アイルランドとポルトガルの円滑な市場復帰を支援するため、両国に対する既存融資の返済期間延長でも合意した。
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産経新聞 3月17日(日)7時55分配信
【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)ユーロ圏17カ国は15日から16日未明にかけてブリュッセルで開いた財務相会合で、財政危機に陥るキプロスに対して100億ユーロ(約1兆2千億円)を支援することで合意した。同国銀行の全預金に最大9・9%を課税する異例の条件をつける。債務危機で支援を受けるのはユーロ圏で5カ国目。
支援金はギリシャの債務危機で損害を受けたキプロスの銀行への資本増強に充てる。同国銀の預金者の多くは国外のロシア人で、脱税に使われているともされる。預金課税には支援でこうした預金者を一方的に救うことにならないようにする狙いがあるとみられる。
支援は国際通貨基金(IMF)も参加する。キプロスは昨年6月に支援を申請していた。ユーロ圏ではすでにアイルランド、ポルトガル、ギリシャ、スペインが支援を受けている。
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