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2013年02月16日 在野のアナリスト
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がモスクワで開かれ、共同声明を採択して閉幕しました。日本は名指しを避けられましたが、「通貨の競争的な切り下げ回避」「先進国の金融緩和による新興国への波及を懸念」「保護主義に反対」など、日本がこれから打とうとしている政策に、一定の歯止めになる項目が並びました。つまり、安倍ノミクスは国内のデフレ対策と説明しても、国際的にも新興国などの動向に、先進国が責任の一端を負う、とG20は明記したことになります。
これは妥協の産物ですが、グローバル化の中では国内問題だけに目配せする、という説明は通り難くなっています。リーマンショックやユーロ崩壊、などの緊急事態への対処ならまだしも、安倍ノミクスは長期低迷からの脱却であり、決して緊急事態への対応ではない。その点では、正当性も訴えにくく、また金融緩和がデフレ対策として、どう機能するかは不透明です。日本の壮大な実験を、今は各国とも見守りますが、時間があまり残されていないことになってしまうのでしょうね。
国交政務次官を辞職した徳田議員に、新たに政治資金規正法違反の疑いが持ち上がりました。徳田氏の資金管理団体が、政党支部に2千万円を寄付、政党支部が同日、同額を徳田氏本人に寄付しており、迂回献金の疑惑です。疑惑と云うより迂回献金は確実で、これほどあからさまに至急のカネが必要だった、その方に注目も集まります。先の女性問題では、女性議員団が徳田氏に対して議員辞職もふくむ、身のふり方について迫っており、尚一層の圧力が国会内外からかかってきそうです。
自民も苦しいのは、徳田氏は父親の虎雄氏の後継であり、切り難い一方で、この問題を引きずると参院選に影響する。特に、徳田氏を抱えていると女性票は逃げる傾向にあり、今はメディアも安倍政権へのマイナス報道を控えますが、夏ごろになると不明です。そのときまでには、何らかの対応をとる必要があります。今回、どういう経緯でこの記事が出たか? もしかしたら徳田氏への離党、議員辞職などを含めた処分をくだすために、こうしたマイナス報道を準備したのかもしれません。
そしてもう一つ、安倍政権の命数を左右しそうなのが、一票の格差訴訟です。今回、公選法に定める「100日規定」を遵守し、各地で起きている一票の格差訴訟はスピード結審、3月中には判決がでる見込みです。12月の衆院選、違憲判決が出ることはすでに大審院判例からも明確であり、問題は判決の中身です。違憲だけど、改善すればよいと認めて衆院選にお墨付きをだすのか? それとも違憲なので選挙の無効、やり直しを迫るのか? ほぼ政治の意向に左右されてしまう裁判所が、後者の判断を下すとは到底思えませんが、実はある仮定によってはそうなる可能性も指摘できます。
それは、安倍政権が支持率の高いまま、再選挙を仕掛けるという戦略です。即ち来年9月、衆参ダブル選挙を安倍氏が模索するのではないか? それは党内基盤も弱い安倍氏が、次の選挙で大勝すれば、それこそ党内基盤も安定するし、衆参で多数を占めることもでき、国会運営も楽になります。安倍氏が、海外からの批判も無視して経済運営をすすめるのも、バブルを起こしてでも経済を好転させ、早い段階で選挙することがその主眼ではないか? とも考えられるのです。
これはまだ確率の低い話ですが、維新の橋下氏がみんなの党との合流を焦るのも、参院選よりも安倍氏から内々に、衆院選の時期を耳打ちされているためではないか? ともとれます。そして自民、維新が多数を占めれば、改憲も楽になれば、やりたい放題に政策を打てます。この推論が正しいかどうかは、まだ予断を許しませんが、政治家なら次の選挙まで『時間がない』ということを認識しておかないと、また準備不足となり、足元をすくわれることになりかねないのでしょうね。