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2013/2/9 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
3月末の「延命措置」終了が引き金
ついに記録が止まった。8日の平均株価は米国株安や対ユーロの円高進行が嫌気され、大幅続落。昨年11月の野田前首相の解散宣言から始まった週間連騰記録も「12週」で途絶えた。市場は「安倍バブルも小休止」と楽観ムードだが、日本経済の足元には危機が迫っている。来月末に政府の中小企業延命策が終わり、崖っぷちに立たされる企業は実に10万〜30万社とみられているのだ。
問題の中小企業延命策とは「中小企業金融円滑化法」のことだ。リーマン・ショックを受け、09年の政権交代後に亀井静香元金融相が導入。中小企業が返済猶予や金利引き下げを申請した場合、それに応じる努力義務を各銀行に課した。
当初は11年3月末までの時限立法だったが、2度延長された。その効果は絶大である。
「昨年9月末までに申請数は約400万件に上り、そのうち9割超が銀行に認められました。適用した債務総額は約100兆円と、国家予算を上回る規模です。この間の倒産数は1万2000件台と、バブル期以来の低さで推移。リーマン・ショックに東日本大震災と立て続けに未曽有の危機に見舞われながら、倒産数が低水準で落ち着いたのも、円滑化法のタマモノです」(金融庁関係者)
この“平成の徳政令”が3月末に期限切れを迎える。麻生財務・金融相は就任以来、円滑化法の延長について「基本的にしない」と明言。延命措置を切ってしまえば、未曽有の危機を生き永らえた企業が、いきなり倒産危機に直面するのは必至で、その数は膨大だ。
延命措置を受けた企業は推計40万社。金融庁は「このうち倒産予備軍は5万〜6万社」と見込むが、東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏は「役所の見積もりは少なく、最大10万社は再生の見通しが立たない」と分析。経済ジャーナリストの山本伸氏は「延命企業の8割が返済猶予を再申請しており、それだけ資金繰りは厳しい。約32万社が倒産予備軍と位置づけられます」とみる。
◆すでに休廃業は急増中
気になるのは、倒産数が低い中、資産に余力を残す状態で「休廃業・解散」を決断する企業が増えていることだ。東京商工リサーチによると、昨年の休廃業・解散件数は約2万7000件と過去10年で最多で、倒産件数の2倍に達した。
「銀行にとって出資先の倒産より、休廃業の方が助かります。休廃業前に資産売却を急がせ、返済金を捻出させる余裕があり、出資金の不良債権化を防げるためです。休廃業急増の背後には、銀行の後押しと、恐らく不良債権の増大を嫌う金融庁の推奨があると思います」(東京商工リサーチ情報本部の関雅史氏)
金融庁や銀行には都合がよくても、働く側にすれば倒産も休廃業も同じ。職場を奪われることには変わらない。このままだと、失業者が大量にあふれ返ってしまう。
「休廃業は国の統計の集計対象外で、いわば『隠れ倒産』。安倍政権が円滑化法の終了後も批判を恐れ、金融機関の監視強化で倒産を抑えるポーズを取っても、隠れ倒産という抜け道が用意されているのです。廃業に追い込まれる企業は今後も増えそうです」(関氏)
やはりアベノミクスに浮かれてはいけない。