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2月2日 東京新聞「核心」 :「日々担々」資料ブログ
牛海綿状脳症(BSE)対策で実施されていた米国産牛肉の輸入規制が1日、緩和された。これまで感染の危険性を避けるため生後20カ月以下に限っていた輸入対象を30カ月以下にまで広げ、この規制緩和で輸入できるようにした牛肉は、今月下旬には店頭に出回る見込みだ。消費者の信頼を損ねずに、牛肉の消費拡大につなげられるだろうか。
(伊東浩一)
■拡大
東京都北区の西友赤羽店は、規制緩和に先立ち先月三十一日から米国産カルビ牛肉を、従来の百グラム百二十七円から九十七円へ、二割余り値下げした。
売り場で買い物中の男性(62)は「牛肉が安くなるのなら、ありがたい」と歓迎。一方「心配なのでしばらく様子を見る。きょう買うなら国産牛」と話す女性客(66)も見られた。
西友は親会社の米大手流通ウォルマートによる調達力を生かして米国産牛肉の入荷量を増やす見込みだ。今後、食品を扱う全店で平均25%の割引を続け、需要喚起を狙う。担当者は「おいしい肉を安く提供すれば消費拡大につながる」と話し、今年の米国産牛肉の売り上げを倍増させる目標を掲げる。
ダイエーやイトーヨーカ堂も、米国産牛肉の輸入量を増やす考えだ。値下げについては「市場価格の動向による」(イトーヨーカ堂)。イオンは輸入牛の大半を豪州の直営農場から仕入れており、米国産牛肉の販売量を増やす予定はない。
■期待
米国産牛肉は、輸入牛の中でも適度に脂が乗り、肉質が軟らかいとされる。吉野家ホールディングスの担当者は「再びあの味が提供できる」と、今回の規制緩和を歓迎した。あの味とは、BSE問題によって二〇〇三年十二月に米国産牛肉の輸入が禁止される前の牛丼の味だという。
〇五年十二月、生後二十カ月以下の牛に限って輸入が再開されたが、入ってきたのは主に十五カ月前後の若い牛が多かった。「今後はもっと、適度に脂が乗った牛肉を提供できる」と期待する。
一一年度の米国産牛肉の輸入量は十二万四千トン。農林水産省は、規制緩和によって輸入禁止前の〇二年度の輸入量(二十四万トン)まで徐々に回復すると予測する。ただ、価格については米国での飼料の高騰や、円安が進んだことを背景に、「大きく値下がりすることはないだろう」との見方だ。
■懸念
しかし、消費者の米国産牛肉への不安は消えていない。輸入再開以降、米国から届いた牛肉の中に、BSEの原因物質がたまりやすい特定危険部位が混じっていたり、生後二十カ月を超える牛の肉が紛れていたりする問題が十七件起きているためだ。
主婦連合会の山根香織会長は「米国のBSE検査体制や月齢、生産履歴の確認方法には疑問点が多い。規制緩和で消費者の不安は増すだろう」と話す。
こうした消費者側の不安を、北海道大大学院の一色賢司教授(食品安全)は「BSE発症の危険性は小さくなっているが、日本政府が米国から催促され続け、国民の不信感を解きほぐさないまま、規制緩和に踏み切ってしまったことは問題だ」と解説する。
規制緩和への対応を名古屋大の竹谷裕之名誉教授(農業経済)は「消費者の不安を解消するため、小売業や外食産業は産地表示や検査方法開示に努め、消費者から安全性を問われたら、詳しく説明できるようにしておくべきだ」と指摘している。
<牛海綿状脳症(BSE)> プリオンと呼ばれるタンパク質が異常化して中枢神経などに蓄積、脳組織がスポンジ状になる牛の病気。1986年に初めて英国で確認された。感染牛の肉や骨が原料の「肉骨粉」を飼料として与えたことで感染が拡大したとされる。日本では2001〜09年にかけ計36頭の感染が判明している。人にもまれに感染する「人獣共通感染症」で、人の場合は致死性の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する。
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牛肉輸入緩和を通知、国内検査も見直し BSE対策で厚労省
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130201/trd13020115440013-n1.htm
2013.2.1 15:43
厚生労働省は1日、牛海綿状脳症(BSE)対策で実施している米国産牛肉の輸入規制を、牛の月齢で「20カ月以下」から「30カ月以下」に緩和する改正通知を検疫所長に出した。
カナダとフランスからの輸入も「30カ月以下」とし、オランダは同国の意向で「12カ月以下」とした。フランスとオランダについては、日本はこれまで輸入を認めていなかった。
また、同日付で省令を改正し、国内の食肉処理場で実施しているBSE検査の対象を「21カ月以上」から「30カ月超」に引き上げた。施行は4月1日。
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