JBL by HARMAN
http://www.harman-japan.co.jp/jbl/
JBL 現行のスピーカーシステム
http://www.harman-japan.co.jp/jbl/hifi/
JBL 歴代スピーカーユニット一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index.html
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index2.html
JBL 歴代エンクロージャー-キャビネット一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/unit/index3.html
JBL 歴代スピーカーシステム(民生用)一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/index2.html
JBL 歴代スピーカーシステム(プロフェッショナルシリーズ)一覧
http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/index.html
1.old JBL の世界
JBLといえば、1946年にジェームス・B・ランシングが創業した米老舗オーディオ・ブランド。あの伝説のロック・フェス、9年のウッドストックでPAシステムとして採用されたことやビートルズがアビー・ロード・スタジオで使用した事実、アカデミー賞やグラミー賞での数々の受賞歴がブランドの持つクオリティの高さを実証している。しかも現在、世界中の映画館におけるシェアは75%以上という。“JBLの歴史はエンタテインメントの歴史”と言っても過言ではない。
http://www.rollingstonejapan.com/music/takkyu-meets-jbl/
ジェームス・B・ランシングは 1946年にJ・B・ランシング・サウンド社を設立、D101、D130、175ドライバーなどの開発を行いますが、1949年9月24日、アボガドの木で首吊り自殺してしまいます。
その後、ウィリアム・H・トーマスが社長を引き継ぎ、1955年JBLがブランド名となります。
1954年「ハーツフィールド」が工業デザイナー、ロバート・ハーツフィールドのもとで開発。翌 1955年、ライフ誌が「究極の夢のスピーカー」として取り上げられます。
1957年パラゴン発売。工業デザインはアーノルド・ウォルフ。音響学的には陸軍通信大佐リチャード・レンジャー・パラゴンが担当。そのため、パラゴンは「レンジャー・パラゴン」とも呼ばれました。同製品は31年間に渡って製造、販売されています。
http://k-d.jpn.com/audio/JBL/JBL_DD66000/JBL_DD66000.htm
JBLは1946年にJames Bullough Lansingというスピーカーユニットの天才エンジニアが起こした会社です。1902年に生まれたジェームスは、20歳前後でスピーカーユニットの実験を始め47歳で自殺するまで様々な歴史に残るユニットを開発しました。スピーカー創世記の20世紀初頭を生きたジェームスは、JBLのみならず後のスピーカーユニット業界に多大な影響を残した人物です。
ジェームスはエンジニアとしては天才的な才能を発揮しましたが、経営的にはそれほど優れていなかったようです。JBLはジムが死んだ後はトーマス⇒第1期ハーマン⇒ベアトリス⇒第2期ハーマンとトップが入れ替わり現在に至っています。現在のJBLがここまで巨大企業に成長できたのはトーマスとハーマンの経営手腕によるものが大きいといわれています。
JBLの特徴
1.ホーン(フロントロードホーン)
2.30センチ以上の大口径ウーファー(振動板は伝統的なパルプ)
JBLの特徴といえば、まずミッドとツィーターにホーンを高級機種のほぼ全てに採用していることがあげられる。現在ホーンに採用されているSonoGlassは高密度の樹脂で堅いが金属系ではない。このホーンからでてくるブラス系は非常にリアル響きを再現する。
そして2つ目の特徴は35センチ、38センチ級の大型ウーファーを搭載していること。スピーカー市場は20センチほどの小型のウーファーが現在(2007年)大半を占めるようになった。小型ウーファーのほうが場所をとらないこと、中低域の濁りが少ないこと、瞬発力に優れることなど小型のメリットが多く認められるようになったからであるが、それでもJBLの大型ウーファーには小型では絶対到達できない独特の魅力もある。それは低域の最下限を余裕で再生し、体の芯まで響くような低域だ。
JBLファンに圧倒的に多いのがジャズファン。クラッシック派はあまり多くない。繊細さよりか、押し出しの強さ迫力を重視する向きだろうか。JBLの伝統的なスタジオモニター43**シリーズにその傾向が顕著である。
http://www.diyloudspeakers.jp/5000html/jbl/jbl.html
263 : 名無しさん@お腹いっぱい。[] : 投稿日:2007/04/30
・Groovy(小樽)JBL:パラゴン
・JAMAICA(札幌)JBL:パラゴン
・BossaCafe(札幌)JBL:M9500
・JUICHIRO(札幌)JBL:オリンパス
・BASIE(岩手)JBL:自作3way
・COUNT(宮城)ALTEC:A5
・RELAXIN'(宮城)JBL:4343
・PABLO(宮城)JBL:自作3way
・いーぐる(東京)JBL:4344
・meg(東京)アバンギャルド:DUO
・はり猫(東京)JBL:4343
・JSB(東京)ALTEC:カーメル
・Nica's(東京)JBL:?
・DownBeat(神奈川)ALTEC:A7
・ADLIB(神奈川)JBL:?
ジャズ喫茶って圧倒的にJBL党なんですよね。たまにアルテックがあるくらい。
なんででしょう。たまには長岡教徒のマスターがネッシーでジャズ聴かせたり、ハイエンド好きなマスターが、ルーメンホワイトを使ったジャズ喫茶を開いたりしても良さそうなものですけどね。しかもみんな古い名器を好んで使っているし、昔の盤は昔のスピーカーじゃないと、らしい音が出ないのかな?
JBLやALTECの古いスピーカーを使うジャズ喫茶が多い理由は何だろう。
メグぐらいですね。とらわれていないのは。
どこか珍しいスピーカーを使っているジャズ喫茶を知っている人はいます?
266 : 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] : 投稿日:2007/04/30
>>263
シンバルの厚みやブラシが太く「シュッ、シュッ」と動く様が075はじめJBLのオールドユニットがよく再現してくれるんだよ。
フォステクスはこのブラシが細い「ハケ」になっちゃうし、シンバルもきれいで細い。
音はいいんだけどね。
新らしめの機器は音場の広さや艶はよくでるんだけど枯れた味わいに欠ける。
317 : 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] : 投稿日:2007/05/06
>>263
いくら何でもルーメンホワイトはないでしょう。音質については>>266さんの言うとおり
それとあれは個人向けのシステムという感じがする。 リスニングポイントが一箇所しかない、というかそういうセッティングをしないと「ならでは」の真価が発揮できない。ウィルソン、アヴァロン等も同類。
対してJBLとかアルテックは元来業務用。つまり人がたくさん集まる場所での再生を目的として開発された機器だからして、そういう意味でもこれらが使われるのではないかと思う。
メグにあるというアヴァンギャルドDUOは悪くない選択だがサーロジックのサブウーファーあたりを追加しないと低音が上の帯域に追いつかない。
http://www.logsoku.com/r/pav/1162902142/
スピーカーの迷信
皆さんは、いい音のするスピーカーと言えば、どこのメーカーを思い浮かべるだろう?
私は、ボーズ(Bose)とJBLを真っ先に思い浮かべる。
なぜなら、ジャズに詳しい友人から、いいスピーカーのメーカーとしてよく聞かされていたからだ。昔見た雑誌のステレオ特集コーナーでも、小型スピーカーなら、ボーズとJBLをまず検討しようと書かれていたのを記憶している。
また、今回スピーカーを買うに当たって、会社の音楽好きの同僚や社長にも相談してみたところ、返って来た答えは、やはり、ボーズとJBLだった。
このように私の周りでは、ボーズ&JBL信者ばかりだったので、私が洗脳されるのも無理も無かった。従って、デノンの次に真っ先に聴き比べたのが、ボーズとJBLだった。
だが、はっきり言って、ボーズもJBLも、デノンの足元にも及ばなかった。それどころか他の国産メーカー(オンキョー、ヤマハなど)よりも、音が濁っているようにさえ感じた。これが、猫も杓子(しゃくし)も推薦する、ボーズとJBLの音なのか。。。
なぜ、あれほど多くの人が、ボーズやJBLを「音がいい」と言うのだろう?
聴き比べをしたことがないのだろうか?
もしかしたら、「音がいい」という先入観があって、正確な判断ができなかったのかもしれない。周りの人が「音がいい」というものを否定することはとても難しいし、勇気がいる。 余程自分に自信が無いと出来ないだろう。
では、ボーズやJBLが「音がいい」という情報はなぜ発生したのか?
ボーズやJBLは基本的には業務用である。野外(屋外)コンサートでの大型スピーカーや店内のBGM用に設置されている小型スピーカー。偶然流れてきた感じのいい音楽が印象に残り、曲の素晴らしさがスピーカーの性能の素晴らしさに置き換えられて記憶に定着してしまったのではないだろうか?
それが、口コミで伝わるうちに、いつの間にかスピーカーの「定番」となってしまった。
業務用スピーカーの特徴は、どんなところに設置してでも音が大きく変わらない点だ。逆に言えば、音楽を鳴らす上でどんな劣悪な環境においても、「ある程度いい音」で鳴る訳である。これが、「音がいい」と言われる所以(ゆえん)であろう。
だが、狭い室内で小さい音で鳴らして聴く分には、家庭用に開発された通常のスピーカーの方が「音がいい」。
ボーズやJBLのスピーカーは「いい音がする」と言う場合は、「いい音がする」の前に、
「どんな環境で鳴らしても」 と 「ある程度」
を付けるべきだろう。すなわち、 ボーズやJBLのスピーカーは、どんな環境で鳴らしても、ある程度いい音がする。 設置する場所を選ばないから、期待通りの音(ある程度いい音)が出る。業務用としては最適(必要かつ十分)である。
通常の室内で、観賞用として聴くのであれば、もっと「音がいい」他メーカーのスピーカーはたくさんある。
ところで、この店員に、
「ボーズとJBLのスピーカーが音がいい、と人から聞いたんだけど」
と言ったら、
「そんな話は聞いたことが無い」
とびっくりしていた。 実は、何を隠そう、その1週間前に、その家電量販店の単品スピーカーコーナーで、別の店員にも同じことを聞いている。その時は、ボーズとJBLのどちらにしようか、迷っていたので、(ボーズ・JBL信者だった私は既にこの2つに的を絞っていた)情報収集(ウラ取り)の為に立寄ったのだった。 驚くべきことに、その時の答えも、
「そんな話は聞いたことが無い」
だった。 その時は、この店員はオーディオについて、偏った意見を持つオーディオオタクに違いないと思い、他のスピーカーとの聴き比べもせずに、そそくさに立ち去ったのだった。 だが、さすがに2人のタイプの異なる店員から、ボーズとJBLについてほぼ同じような意見を聞くと、固い信仰心も揺らいでしまった。とても偶然だとは思えなかった。
今回、実際に自分の耳で聴き比べてみた結果、私の信仰心は完全に消えてしまった。 その代わり、他人の評価・意見というものが、いかに信用できないいい加減なものであるかを身をもって体験することが出来た。
http://www.jazznavi.net/essay/o031216.htm
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2. ジェイムズ・バロウ・ランシング
イタリア系アメリカ人のジェイムズ・バロウ・ランシングはその昔はジェイムズ・マーティーニと言い、14人兄弟の9番目で、バロウ家に預けられて育ちました。12歳の時に小型無線機を作って海軍無線局に電波妨害で捕まったという逸話が残るくらいの機械オタクで、その後自動車修理工を経て、放送局のエンジニアとなります。
1927 年その時の経験を活かしてロスにランシング・マニュファクチュアリング社を設立。ラジオ受信機用のスピーカー設計製造を始めます。1934年にWEのシステムに対抗して、15インチウーファー2基とホーンドライバーによる劇場用2ウェイシステムを開発。「シャラーホーン・システム」が映画芸術科学アカデミー賞を受賞しました。
ところが共同経営者のケン・デッカーが飛行機事故で死亡。経営が破綻し、1941年12月、アルテック・サービス・コーポレーションに合併され、アルテック・ランシング・コーポレーションの技術担当副社長となります。この時、WE社はアルテック・ランシング社にその製品製造ラインセンス契約を行い、OEM供給なども行うようになります。1946年に辞めるまで、アルテックの重要な製品である 604スタジオモニター・シリーズやボイス・オブ・シアターのA4などの設計開発を行っています。
http://k-d.jpn.com/audio/JBL/JBL_DD66000/JBL_DD66000.htm
天才エンジニアのジェームス・バロー・ランシングは1945年アルテックを去り、1946年にジェームス・B・ランシングおこした。
1947年、彼は自己の技術的成果をフルに投入したD130をつくる。
この38cmシングルコーンのドライバーは実に35Hzから3kHzまでをカバーするというかってない広帯域ユニットであった。
このシリーズは、D131(30cm)、D130をクロスオーバー1200Hzで使用する130Aなどがあり、音響レンズ/ホーンとその高域ドライバーなど、JBLが発表した後継モデルのどのへんまでランシングが手がけたはよくわからないのだが、1949年ランシングは突然自殺してしまった。
ランシングの死後、トマスが社長となり、社名をそのまま事業を継続したが,優秀な技術者が始祖の精神をうけついだ。なかでも主任技師であったビル・ハーツフィールドの業績は高く評価するべきであろう。
JBL創設時システムD1005 を発表して評判を呼んでいた。
50年代にはいって、JBLは”シグネチュア”という大型コーナーシステム(D31050)と、同じ名称だが中型のレクタンギュラー・モデル(D40019)を出す。
そして1955年に、「ライフ」誌が”決定的夢のスピーカー”と絶讃して紹介した”ハーツフィールド”が1954年出現する。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Hartsfierd/room1.htm
悲劇の天才エンジニア一J・B・ランシング
JBL・・・この美しい響きの3文字はオーディオに興味をもった人なら一度は耳にする名前です。
これは今世紀初めに生まれ、今日のスピーカー技術の基礎を築いた一人の男、ジェームス・B・ランシングのイニシャルに由来するのです。生涯を音に捧げた彼の足跡を乏しい資料と記憶から紹介したいと思います。
1902年(誕生)
イリノイ州の鉱山技師ヘンリー・マーティニ夫妻の9番目の子として誕生。本名はジェームス・マーティニといいました。
父は職業柄転勤が多く、彼は全米各地を転々とするのですがミシガン州の「Lancing」という町の名が気に入っていたようで後に改名してジェームス・バロー・ランシングと名乗るようになります。因みにミドルネームのバローも彼のお気に入りで子どもの頃、父の転勤で一時預けられた家が「バロー家」だったからだそうです。
少年時代の彼は機械いじりや電気が好きで自作に没頭する毎日だったようです。しかも大変な天才だったらしく12才の時に早くもその片鱗をうかがわせる事件が起きます。彼が作った小型無線機があまりにも高性能だったためその電波を時の海軍無線局にキャッチされ無線機は海軍の手で没収、処分されるというエピソードが残っているのです。
1914年といえば第一次世界大戦勃発の年。この時期の無線機は軍事機密に近い物だったのでしょう。アメリカRCA社がラジオ放送を始めたのが1920年、同じく日本のNHKは1925年だったことと思い合わせると彼の天才ぶりが分かるでしょう。
その後、カレッジを卒業してからは自動車修理工として働いていた時期もありました。
1924年(22才)
母が亡くなると家を出てソルトレークシティに移り、ここでラジオ放送局の技師として働くことになります。この時期のラジオ用スピーカーはろくな物が無く彼は技師として働く傍ら高性能スピーカーの開発に没頭します。
1927年(25才)
ソルトレークで知り合ったケン・デッカーと一緒にロサンゼルスに移り、ラジオ用スピーカーの製造を始めます。会社の名は「ランシング・マニュファクチャリング社」。この頃、映画業界ではトーキーが始まり、高性能な劇場用スピーカーの需要が高まりつつある時期でした。
1934年(32才)
前年にMGM映画社から劇場用スピーカーシステムの製作の依頼を受けたランシングは全力を傾注し、ついに「シャラーホーンシステム」と呼ばれる大型劇場用2ウェイスピーカーシステムを完成させます。
このシステムは1936年には映画芸術科学アカデミー賞を受賞。1937年発表の小型システム「アイコニック」も大きな成功をおさめ、JBLサウンドの原点を確立するとともにランシングの名を広く世界に知らしめる事となりました。
1939年(37才)
会社経営の片腕として全幅の信頼を寄せていたケン・デッカーが飛行機事故でこの世を去ると事業はたちまち経営困難に陥ります。多くの天才技術者がそうであるようにランシングも経営に関しては全く無能だったらしいのです。
1941年(39才)
ついに経営に窮したランシングは会社をアルテック・サービス社に売却。アルテック・サービス社ではこれを「アルテック・ランシング社」という子会社として設立し、ランシングを技術担当副社長に迎えます。ボイス・オブ・ザ・シアターで有名なアルテックの栄光の歴史はここから始まるのです。
設立当初の従業員は30名。ランシングがアルテック在籍中の5年間に開発した製品としては1943年の同軸型604スピーカーをはじめ、515ウーファー、288ドライバー等、その後のアルテックの基礎を築いたといっても過言ではない名ユニットばかりです。その後もアルテック社はプロ用音響機器の分野で発展を遂げ1975年には社員数も1000人を超えるまでになっています。
1946年(44才)
アルテックとの契約期間は5年間だったため、ランシングはアルテック社を去ることになります。何故、契約を更新しなかったのかは不明ですが、「自分はもっと美しい家庭用スピーカーを作りたいのだ」と言ってアルテックを離れたという事です。そしてこの年JBL社(ジェームス・バロー・ランシング・サウンド社)が設立されます。
1947年(45才)
38センチフルレンジユニットの傑作D130完成。その後、D131、D208、175ドライバーといったJBL社初期のユニット群が作られました。これらの製品はアルテック時代のユニットとともに50年を経た現在でも多くのファンが愛用しています。
1949年(47才)
「もっと美しい家庭用スピーカーを作りたい」
と言ってJBL社を興したランシングでしたが、残念ながら彼自身はそんなスピーカーを見ることも聴くこともできませんでした。なぜなら会社の発足当初から例の経営音痴がまたもや彼を悩ませていたからです。彼は優れたエンジニアではありましたが仕事に没頭すると、周囲の事が全く見えなくなるタイプで、気がつくと莫大な借金が彼の前に立ちはだかっていたのです。かくして1949年9月24日、ランシングは工場裏の日頃お気に入りだった一本のアボガドの木にロープをかけたのでした。
ランシングは亡くなりましたが彼の意志と情熱は残された社員に受け継がれ、JBL社は奇跡の再建を遂げます。生前のランシングその人に惹かれてJBL社に入ったウィリアム・H・トーマス新社長のもと、彼らは懸命に会社を立て直し、ランシングの夢であった「美しい家庭用スピーカー」を次々と世に送り出しました。
1954年発表のD30085「ハーツフィールド」は翌年のタイム誌の表紙を飾り「究極のスピーカー」とまで絶賛され、JBLの名は一躍世界に轟くことになります。
さらに1957年にはオールホーンのステレオスピーカー「パラゴン」を発表。木工芸術品と呼びたくなるような優美なスタイルのこのスピーカーは1988年、木工職人のリタイアが理由で生産を完了するまで実に31年間もの長きにわたって作り続けられたのです。
1960年代に入ってからは業務用スタジオモニタースピーカーの分野にも進出。
アメリカ公演に来ていたビートルズがその音の良さに感心し、早速イギリスに持ち帰って自分たちのスタジオに入れたということです。又、この時期にトランジスターアンプも開発。T型サーキットと呼ばれるソリッド・ステートアンプの基本となる回路を発表しています。
その後のJBLの発展や数々の魅力的な製品については周知の通りです。
ランシングが他界してすでに半世紀が過ぎました。彼自身は非業の死を遂げましたがしかし彼の意志は間違いなく時を越えて受け継がれました。かたくななまでに妥協を拒み常に完璧を指向した彼の生涯はまさに「音」に捧げた一生でした。彼が目指した「美しく高性能な家庭用スピーカー」が奏でる音は今日でも世界中の多くの音楽愛好家の心を捉え、又、今なお多くのオーディオファンを魅了してやまないのです。J・B・Lの3文字とともに。
http://www.e-staff-net.com/yomoyama/history_of_jbl/history_of_jbl.html
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3. Westrex Receiver T-510-A, 150-4C
1941年、アルテック・サーヴィス社に技術担当副社長として入社したジェームス・B・ランシング(同時に社名をアルテック・ランシングに改めた)は、1946年に同社を辞し、積年の夢であった家庭用システムの開発を目指してJ.B.L.サウンド社を設立した。 その後’50年代に入り、ウェストレック社からの依頼でつくったのが、T−501ーAとT−502−Bフロントロード・ホーン・ステージ用システムで、前者に2本、後者に4本の『T−510−A』低域用レシーヴァーが使われている。
このユニットは4インチ(10.6cm)のヴォイスコイル(インピーダンスは32Ω)を持ち、従来の同社の低域ユニットのバスケット(フレーム)が頂角の浅いものだったため、外周部にスペーサーを入れ、業務用にふさわしい深い頂角のコーン紙を採用、高いスタッフネスを獲得した製品である。加えて、磁気回路は強力そのもののため、ホーンロード型のエンクロジャー以外では本領を発揮しにくいと思われる。
本機のハンドルを廃しト塗色を変えて民生用の展開を図ったのがJ.B.L.150−4Cであり、ヘヴィーデューティー仕様ウーファーとしてD30085(ハーツフィールヅ)やD44000(パラゴン)に搭載され、同社の代表作となった。
Model 150−4C
振動版口径:15inc、重量:11.3kg
クロスオーバー:500Hz、インピーダンス:16Ω、最大出力:30W
150−4Cは創設当時JBLがウェストレックスに納入していた業務用ウーファーT510Aの民生ヴァージョン。
130Aと共通のフレームにリング状のスペーサーを介して、K145の原型ともいうべき頂角の深いコーン紙に対応させている。低音部はコーナー型の折り曲げホーンになっている。
フロントロードでウーファーの後面からのプレッシャーは全く使っていない。
ウーファーは完全にクローズドチェンバーの中に収めている。
ホーン開口部面積は狭くオーディオ帯域の下の方をカバーするのは無理で最低域はあきらめその上のオーバートーンをうまく再現して全体の音質を整えている。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Hartsfierd/room1.htm
JBL史上最強のウーハー 150−4C
今回、幸運にも非常に稀なウーハーを手に入れる事が出来ましたので、我が【C45 METREGON】のウーハーを取り替える事にしました。その非常に稀なウーハーとは、かのハーツフィールド、最初期のパラゴン及びほんの稀にメトロゴンにも組み込まれていた15インチのウーハー、
そうあの有名な【150−4C(16Ω)】です。
このウーハーにはノン・コルゲーションタイプの非常に硬いストレート・コーン紙が使われています。しかも軽くて指ではじくと“パーン!”という手ごたえがあり強度も相当高いものと想われます。マグネット(アルニコV)は130系と比べると1/2ポンド重く、非常に能率の高いウーハーです。
ですからf0(最低共振周波数)は35Hzとかなり高く、現在のウーハーと比べれば最低域は出ないタイプのものです。 今、使用中の【LE15A】ウーハーのf0は20Hzですので、この点が少し心配といえば心配な点です。
また、コーンの頂角はかなり深いタイプで、130系のフレーム周縁にスペーサーを設けてこのコーンを取付ける事が出来るようにした合理的な考えで設計されたものです。
これら高能率のユニットは『マキシマム・エフィシェンシー(最高の能率)・シリーズ』と呼ばれており、【150−4C】もこのシリーズに含まれます。
【150−4C】のボイスコイルはショート・ボイスコイル(アンダーハング・ボイスコイル)で、エッジはコーン紙の延長を波型にした所謂フィクスド・エッジと呼ばれるものです。
ところで、JBLには1946年の創業間もない頃からウエスタン・エレクトリック(WE)に納められていた強力なユニット達が存在していました。その中のウーハーをコンシュマー・モデルとしたものが【150−4C】です。このWEに納入されていたユニットは、【T510A】という型名がつけられており、’50年代中頃のWEのシアター・システムに【375】ドライバーのWE版である【T530A】と共に幾つかのシステムが構成されていたそうです。
私の入手しました【150−4C】は真に極上品の超美品であり、左右のペアも真に揃ったこれまた非常に稀なものです。シリアル・ナンバーは左右連番の“10161”と“10162”です。
裏の銘板のJBLのロゴ・マークは一番最初のものが記されています。また、フレームにも『JIM LANSING』の流れるような美しい書体のロゴ・マークが記されています。
【150−4C(16Ω)】ウーハー
【150−4C】ウーハーと【375】コンプレッション・ドライバーを繋ぐネットワークは、この時のために長い間手元に置いておいた【N400】ネットワークを使用します。【N400】は型番からしばしばクロスオーバー周波数が400Hzと間違われますが、実際は500Hzです。(N500、N500Hという型番のネットワークも存在していました。)
この【N400】の低域側は一応コイルだけは入っていますが、減衰量は6dB/octで非常に高い周波数で切っていますので、ウーハーの高域は殆ど切っていないに等しいものです。高域側の方は完全な12dB/octで大体500Hzぐらいから低域をスパッと切っています。
これは【375】と【H5041】ホーンとも関係してきており、ロード(負荷)が完全にかからない帯域までドライバーを動作させているために、その辺を今度はウーハーの方がうまくアシストして両方のユニットを繋ぐという感じです。
そのために、この時代のシステムをチャンネル・デバイダーを使って指定周波数で高域側も低域側もスパッと切ってしまうマルチ・アンプ方式で鳴らしても殆どの場合、うまく繋がらないで中域が抜けてしまうという結果となってしまうのです。ですから、この時代のシステムはメーカー指定のネットワークを使用するのが一番と考えます。
私の所有している【N400】ネットワークのシリアル・ナンバーは、これまた左右連番の“1771”と“1772”です。
【N400(16Ω)】ネットワーク
以下に実際にウーハーを取替えた工程を示します。写真で見ると簡単そうに見えますが、実際には相当に気力と体力を要する作業です。
特にウーハーを取付けているボルトの取り外し、取り付けはスペースが少ないためにL形の特殊なドライバー(この場合はネジまわし)を用いて、片手を奥に突っ込んで行わなければなりません。これには相当参りました。
もう2度とウーハーの交換はやりたくないというのが今の心境です。
この度、私所有のメトロゴンから取り外されてしまった【LE15A】ウーハーは『リニア・エフィシェンシー・シリーズ』に含まれます。このLEシリーズでは能率は程々にして、その代わり再生周波数帯域を広げるようにしたものです。
コーン紙にはコルゲーションが入り、130系に比べてコーンの質量が重くなったため(これはコルゲーションの問題というよりも振動系全体の設計によるもの)能率は低下しました。
ボイスコ
イルはロング・ボイスコイル(オーバーハング・ボイスコイル)で、エッジはフィクスド・エッジではなく、初期はランサロインと呼ばれる材質、その後はウレタンに材質が変更となり形式はロール・エッジを採用して振幅が大きく取れる構造となりました。
これら全ての変更で低域特性を良くしており、f0は20Hzまで下がりました。
私の所有している【LE15A(8Ω)】のエッジは、おそらくウレタン・エッジであったために後からセーム皮に交換したものだと想われます。
以上でウーハーの交換は、殆ど丸1日がかりで何とか無事に終える事ができました。もう手も足も腰もガクガクでした。その後遺症はその後2日間ほど残りましたが、今はもう治っています。ですが、やはり歳には勝てないようですね。
ウーハーとネットワークの交換で、メトロゴンのスピーカー・システムとしての能率は相当上がったようです。コントロール・アンプのボリュームの位置が所定の音量を得るのに交換前と交換後では約3目盛程違っています。これで高能率の【375】も【075】も本領を発揮してくれるでしょう。今までは相当【LX5】ネットワークで能率を犠牲にしていたのですから・・・。
スーパー・ツィーターの出力音圧レベルも再度調整し直して、現在は98dBから100dBに設定変更しています。
ウーハーを交換した後の『音』の違いですが、やはり軽量コーンを使用した高能率型の【150−4C】ウーハーでは音の立ち上がりと立ち下がりが随分と速くなったようです。それに連れて音のスピード感も相当速くなったように感じます。【375】、【075】とのスピード感がやっと揃ったようです。今まではウーハーのスピード感が中高域に追いついていなかった事を正に実感いたしました。また、今まで聴こえていなかった微小な音もはっきりと聴こえるようになりました。
最低域の再生についてはf0が20Hzから35Hzに15Hzも上昇したので心配していましたが、聴感上は殆ど変わりません。部屋を揺さ振る低音もちゃんと再生してくれています。
中域も音が濃くなったように想います。【150−4C】ウーハーの高域が重なっているからでしょうか?
結論として、今回のウーハーの取り替えはまんまと“大成功”だったようです。
http://homepage2.nifty.com/jazz_audio/audio-23.html
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4. オールホーンシステム 〜 ハーツフィールド
JBLハーツフィールドで SUITE ITALENNE/STRAVINSKYを聴く
http://www.youtube.com/watch?v=oLyoLq5mPUE
Hartsfield JBL
http://www.youtube.com/watch?v=39Knnc2XOn8
http://www.youtube.com/watch?v=NEVO76at3U4
http://www.youtube.com/watch?v=5OsCBCrSoVE
http://www.youtube.com/watch?v=65zyPeRLJYs
http://www.youtube.com/watch?v=DOEDLnF5YWs
http://www.youtube.com/watch?v=mgnYyA6uNVM
はじめて聞くオールホーンシステム(ハーツフィールド)でしたが、最も印象に残ったのは、カザルスのベートーヴェンです(Philips; ホルショフスキーとやった1958年の録音)。 このCDは普通に聞くと録音がなんとも薄い音で、カザルスの音が針金のように聞こえます。
一言でいうと、音色の表現力が物凄いです。はっきり言って、このCDがこんな音で鳴るとは、完全に想像の範囲外の音でした。カザルスは凄い演奏家だと思っていましたが、このシステムで聞いたカザルスの凄さというのは言葉で表現するのは不可能です。迫力ではなく、音の表現力の幅です。
市販のハイエンドスピーカーには、クラシック向けと称する、小奇麗な音を出すしか能のないようなスピーカーがたくさんありますが、私の印象では、このホーンシステムこそクラシック向きです。バイオリン協奏曲を聞きましたが、バイオリンの音は、奏者の力量を裸にするようなシビアな(正確な)再生だと思いました。
本来、ホールの演奏では、奏者は裸になってしまうものです。以前から、(普通のシステムで)録音-再生という過程を経ると、なにか生でしか伝わらない音楽的な何かが欠落してしまうと感じていましたが、そういう欠落しやすい部分を再生する印象でした。また、ボーカル物を聞くと、歌手がマイクを通じて歌っているということが、はっきり伝わります。
さらに、どれを聞いても感じましたが、f(フォルテ)から、p(ピアノ)に変化したとき、pが本当にpらしく聞こえます。pになっても音が途切れず、浸透力がある感じです。
生とオーディオの感動
これは知り合いの楽器職人の方に聞いた話ですが、その職人さんの知人に尋常ならざるLPマニア兼オーディオマニアの方がいらっしゃるそうです。シゲティのLPを求めてヨーロッパにまで足を運ぶような方です。オーディオにかけた金額も1000万円を超えており、その職人さんはことあるごとに「うちの家で聞いてください」と誘われて困っていたというお話でした。
で、あるとき、そのマニアの方が職人さんの工房に訪れたらしいのです。そのときはちょうどヴァイオリニストが工房で楽器を試奏しているところでした。それを聞いたマニアの方が曰く、
「うわあー、ヴァイオリンって、こんな音がするんだ。初めて生で聞きました」
上に述べたハーツフィールドを聞く前は、正直言って、オーディオ再生で感動を求めるということに何か屈折したものを感じていました。 感覚的に言えば、オーディオで聞く音楽で別に感動はいらない、オーディオは既に世の中にいない歴史的演奏家の一端を「知る」ための手段にすぎないということです。
が、ハーツフィールドで、カザルスに非常に感動したのですが、絶対に実像のわからない過去の演奏家の、原寸大での「真実らしきもの」を追究し、結果として聞いていて、つまらない音になるぐらいだったら、多少の癖があろうとも、あるいは仮に実像より誇張されたものである可能性があっても、音楽的な感動を伴うシステムのほうがよほど価値があるという気がしました。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/3384/audio/favorite.html
JBL_Hartzfield 〜JBL黎明期の傑作〜
●ヤフオクにて、JBLのあのハーツフィールドをみつけました。
ハーツフィールドは、タンノイのオートグラフと並び、モノラル時代を代表するコーナー型オールホーンシステムです。
James B. Lansingが会社を立ち上げたのは1927年ですが、この頃はアルテック社に吸収されたり(なのでアルテック・ランシングって言うんです)、ウェスタンの下請けをやったりしていました。
1946年にJBL社として独立しまして、後に初の家庭用フロアスピーカーであるハーツフィールドが誕生します。ハーツフィールドがJBLから発売されたものは1954年のことで、55年にはライフ誌で夢の究極のスピーカとして紹介されました。ちょうどマランツ社ができてModel1を発売した頃です、すでに50年以上が経っていますね。
ハーツフィールドは箱が別モノであったり、レストアされていたり、オリジナルでも後期型となるとホーンが簡略化されたりと、なかなか初期のオリジナルのものがありませんが、今回のものは初期のオリジナル物だそうです。
●ハーツフィールドは、実はJBLで開発されたものではありません、自作が趣味の公務員のウィリアム・L・ハーツフィールド氏が開発したものです。彼は、ワシントンDCにある政府組織の標準規格局に勤務しており、趣味でクリプッシュホーンを独自にモディファイしたコーナー型ホーンを作っていました。
巡り合わせとは奇なもので、当時東海岸に住んでいたJBLの販売担当重役であったRayPepeがAESで同じ部署となったハーツフィールドと出会い、彼の組んだスピーカーシステムを知ることになったのです。劇場用で一般に発売されていなかった、150-4C/38pウーハ、375ドライバがハーツフィールド氏の手に渡り、D30085ハーツフィールドが開発されることになったのです。
型番のD30085というのはは、30番のエンクロージャに085というユニットシステムを収めたことを意味していまして、085とは150-4Cウーハー、375+537-509ホーン、N400またはN500Hネットワークの組み合わせ番号の事です。
さて、150-4Cウーハーというのは、モノラル時代のハーツフィールドに使われていたユニットで、パラゴンの初期型にも少数ですが採用されていたようです。JBLでは1959年に名ウーファLE15Aが発表され、1964年からはLE15Aに入れ替えられています。また、537-509ホーン・レンズはバート・ロカンシーがハーツフィールドのために特別に開発したということで、確かに他のJBLシステムでは使われているのは見たことないですね。
ハーツフィールドは1964年まで製造が続けられていたのですが、1959年には低域ホーンが簡略化されてしまったので、今回の出品は簡略化前の貴重なものということになりますね。1964年には075リングラジエータを高域に付加した3ウェイシステムとなりました。
画像から判断するとロゴはJBLのマークのようですが、初期型ではジムランシングとなっているものもあります。会社がJBLになる前のジムランの最初の年に作られたハーツフィールドで大変珍しいものです。もちろん当時はモノラルでの販売でしたから、ステレオでシリアルNoがそろっているのは、ありえませんが、、。
●音については、諸説ありますが、何しろ聴いたことがないのでなんとも言えません。ホーンならではの伸びやかさをもつ低音と、スッと切れ味のよい低音が両立され、ジャズのバスドラムのバフッという風のような低音が、皮膚感覚で捕らえられる。ズシッとした重量感のある低音と鮮やかさよりも渋味を感じさせる中高音とがバランスして落着きある音。などと評する方もおり、かなり絶賛ですねぇ。
コーナーホーン型で、壁との距離、LRの特性の不ぞろいなど問題の多い機種ですし、なかなか低音がでなくてパワーアンプを相当選ぶという話も聞きますが、上手く鳴らすと、どうもこれは凄いようですね。
●価格は開始価格が\300万となっており、高額なため0BIDですね。初期型ハーツのペアではありますが、\250万が相場、\150万で即買いといったところでしょうか。もちろん私には買えませんし鳴らしきる自信もありませんねぇ。でも、あのハーツですよねぇ、、ハーツ、欲しいなぁ〜。
コメント
よ・・・よだれが〜(笑
オリジナル初期ではありませんが、一度だけ近所の喫茶店で拝聴させていただきました。
375に広がる低音は、オールドならずとも素晴らしいかぎりです。
アンプにクレルを使っておられましたが、やはりアナログが似合います。ハイ
堂々たる風貌は『パラゴン』同様惚れ惚れします。
2009/1/25(日) 午後 1:38
150-4Cのパラゴンも夢なら、初期型ハーツフィールド均整ペアなんて、夢のまた夢ですね!!
あ〜でも、一度で良いから聴いてみたいです。
2009/1/26(月) 午前 7:55 [ kt9*jp ]
ハーツフィールドはモダンデザインの極みだと思っております。
しかしながらモノ時代であるためペアが揃わず、また375の音もバラツキがあり、ステレオは非常に難しいのが現実です。
重低音は出ませんがベースの音階の分かる低音は生々しく、375の性能に付いて行ける唯一のシステムと思います。色々あって手放してしまいましたが、未練の残るSPでした。
2009/1/30(金) 午前 2:26 [ ケロリン ]
おはようございます。え〜、、、、、持っていたのですか!!!!しかも手放したんですかぁ、、。凄すぎます、私なら、未練たらたらのこってしまいます、、。。でもサスガユーザの意見ですねぇ、
ステレオでスペックをそろえるのは本当に大変だと思いますね。生々しいベースなんて、いいですねぇ、最近どこかで聞くことができればありがたいのですが、、、。
2009/1/30(金) 午前 8:38 [ オーディオエージェント ]
知人が連番を持っており、将来手放すので、その際はといわれております。
今の家には置けないので、なんとか、入手するまでに場所を確保しないと都行ったところです。
初期の連番は、アメリカ人のオーナーがステレオ時代を予見してそろえたもので、ユニット全部が連番でした。左右のバランスもよかったです。
ただ、初期のものでも、低音の物足りなさはありますが、ここら辺はアルテックも同じように、中域を楽しむものだと思います。
今度うちのオートグラフも聴きに来てください。今はマッキンのC20とMC60またはMC240の組み合わせで遊んでいますが、クラシックを聴くなら、240のほうがよいですね。
何台か集まってしまったマッキンも徐々に嫁いで行っています。今週末にはちょうどc22が嫁いで行きました。
渋谷のジャズ喫茶のお客さんがMC240を一台狙ってくれています。
2009/6/7(日) 午後 4:24 [ richard ]
知り合いの方が所有しているので何回かきかせていただきました
なかなかですね でも大きすぎる...ジャンルも決まってきますしね
広い部屋が欲しいですね♪
2010/2/17(水) 午後 7:46
まあ、確かにでかいですよね、家も大きいのでしょうね、、、、。トホ、、。
あの時代なので、ジャンルはやはり限られると思いますが、はまったときの感動ってのはどうなんでしょうか。すごい??
2010/2/17(水) 午後 9:53 [ オーディオエージェント ]
http://blogs.yahoo.co.jp/audio_agent/58428356.html
http://audioagent.wordpress.com/2009/01/25/jbl-hartzfield/
D30085ハーツフィールドはJBLの初期の最高傑作スピーカーとして知られています。このスピーカーによりJBLは世界的なスピーカー製造メーカーとしての名声を確立しました。
ハーツフィールドの製作を手がけたのはJBLの主任技師であり工業デザイナーであったビル・ハーツフィールドです。 1954年、JBLは元々プロフェッショナル用の劇場用として設計/開発された375SIGドライバーと150−4Cウーファーを、このシステムのために新たに開発された537−509ホーン/レンズとフロントローディングの低音ホーン型エンクロジャーに組み合わせて一般家庭用にD30085ハーツフィールドとして発売しました。そして翌55年には「ライフ」で、『夢の究極のスピーカー』として紹介され、JBLの名は全米中に知れわたることになります。
ハーツフィールドはその後も、ユニット仕様とホーン設計の両面で発展を続けることになります。
まず1959年に、低音ホーンの構造がシンプルな構造に再設計されました。その変更理由としてまず構造が複雑な折り曲げホーンは、製造コストが高くついたこと、さらに重低音の伸びが不足していたことがあげられています。これらの問題に対処すべく、バート・ロカンシーはウーファー背面のバックチャンバーをより広くするとともに、ホーンの開口部を拡げて、ホーンの通り道をシンプルに改善し、その結果、重低音は目覚しく改善されることになりました。
1964年には最後の改良が加えられ075トィーターとN7000ネットワークが追加されて3Wayシステムへと生まれ変わりました。N500Hネットワークも新型のN400に変更されました。 さらにウーファーの150−4CはLE15Aに置き換えられました。エンクロージャーのチップボードの多いものに変わりました。
しかしこの年に結局ハーツフィールドは製造中止となります。その理由としてモノラル再生に変わりステレオ再生がメインになったことがあげられています。
ちなみに1970年ごろにもハーツフィールドは少数再生産されましたがこれは外観はおなじですが中身は全く異なっており通常別物扱いされているようです。私のハーツフィールドは1959年〜1963年までに生産された中期型と考えられます。
http://island.geocities.jp/umanose8818/harts/hartsfield.html
JBLハーツフィールドのクラフツマンシップ
JBLがコンシュマー用のスピーカーメーカーとしての名声を確立するに至った原動力となった同社初期の最高傑作のひとつ。
本来はプロフェッショナル用(シアター・サウンド・サプライ)として設計/開発された375ドライバーと150−4Cウーファーを、このシステムのために新たに開発された537−509ホーン/レンズとフロントローディングの低音ホーン型エンクロジャーに組み合わせている。
ハーツフィールドはその後も、ユニット仕様とホーン設計の両面で発展を続けた。
まず1959年に、低音ホーンが全くの再設計となった。その変更の要因は2つあった。
まず構造が複雑な折り曲げホーンは、当然の帰結として、製造コストが高くついたこと。複雑になった理由のなかには、(D208)入門用キットを取り付けられるようにしたこともあったようだ。後に入門用オプションを中止にしたことで、より一般的なホーン設計をできるようになった。
2番目の要因は、クリプシュホーンに対抗すべく開発されたはずなのに、実際に比べてみると重低音の伸びが不足していたことである。これらの問題に対処すべく、バート・ロカンシーは設計の見直しに取り掛かった。そして、ウーファー背面のバックチャンバーをより広くするとともに、ホーンの開口部を拡げて、ホーンの通り道をシンプルに改善したのである。
この改良に結果、重低音は目覚しく改善されたが、今日まで続く論争に火をつけることにもなった。 その論争とはどちらの低音ホーンが実際には全体から見たときベストなのかという疑問にかかわるもので、どちらの陣営もその後、多くの賛同者を集めることになった。
しかしコレクターの間では、最初の設計にほうが高い値段が付く傾向にある。 そちらのほうがオリジナルのハーツフィールドだから言うのが主な理由である。
最後の改良が加えられたのが1964年で、これは全く論争を呼ばなかった。
ハーツフィールドが、(075)トィーターと(N7000)ネットワークが追加されて3Wayシステムへと生まれ変わったのである。(N500H)ネットワークも新型の(N400)に変更された。
(075)リングラジエーターは、市場での動向を考慮しそれに答える為に追加されたものだ。 当時、多くのハーツフィールド・オーナーが、(375)の高域の再生限界に対処する為、(075)トィーターと(N7000)ネットワークを追加して、手持ちのシステムをカスタマイズしていたのである。 JBLは単純に、この仕様をスタンダードにしただけであった。
最晩年の変更は、(150−4C)が(LE15A)に置き換えられたことだ。JBLの社内テストで、ハーツフィールドに(LE15A)を収めてみると、歪が目に見えて少なくなることがわかったため、最後の1年の製造分は、(LE15A)がスタンダードのウーファーとなった。
1964年に下った製造中止の決定は、ステレオ再生がモノーラル再生を押しのけて、ついに録音フォーマットの中心となった結果であった。
(別冊SS誌JBL60th Ann.より)
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Hartsfierd/room1.htm
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5. パラゴン
最初期・博物館級◇ JBL C44 PROTO-TYPE PARAGON 2
http://www.youtube.com/watch?v=yVC2G8rJBmk
http://www.youtube.com/watch?v=mGUKoS3_-CI
最初期JBLパラゴンD44000 Paragon earlisest model
http://www.youtube.com/watch?v=TwGHMmX2f-Y
http://www.youtube.com/watch?v=0MZdsH5SM1k
MVI_3723.MOV◇最初期・最高峯◇ JBL C44 PARAGON パラゴン
http://www.youtube.com/watch?v=X3A7uDIuTkE
http://www.youtube.com/watch?v=jr7a-spUcjs
http://www.youtube.com/watch?v=pXFfSWPIdiI
http://www.youtube.com/watch?v=27V5PwkZzdA
正式名称は"The JBL-Ranger Paragon Integrated Stereophonic Reproductor"。
Paragonは、当時レンジャートーン・コーポレーション(Rangertone Corporation)のオーナーであったリチャード・レンジャー(Richard Ranger)の原案をもとに、アーノルド・ウォルフ(Arnold Wolf)がインダストリアル・デザインを担当し、開発されました。
日本国内では、1965年に山水電気がJBL製品の輸入を始め、本格的に流通しました。
パラゴンには大きく分けて3種類のバリエーションがあります。
初期のD44000は、低域に35cmコーン型ウーファーである150-4C、中域にドライバー375とH5038Pホーン、高域に075を搭載しており、ネットワーク部にはN500HとN7000が使用されていました。
1964年以降の中期D44000では低域が150-4CからLE15Aに変更されるとともに、エンクロージャーの素材も合板からパーティクルボードに変更されました。
後期のD44000WXAでは、ウーファーはアルニコマグネットを使用していたLE15Aからフェライトマグネットを使用していたLE15Hに変更され、中域のドライバーユニットも375からエッジにダイアモンドパターンを用いた376に変更されています。
エンクロージャーの内部は2組のスピーカーシステムが一体になった構造をしており、左右に3ウェイユニットを配すると共に中央に半円形の反射パネルを設けることで、リスニングエリアの拡大を図っています。このエンクロージャーは低域用にフロントローディングホーンを採用しています。
また、初期のエンクロージャーの背面にはエナジェイザーSE-408S用のマウントスペースが設けられていました。
外観の仕上げは中期には数種類のものがあったようです。
1965年の山水のカタログでは"黒いマホガニー、焦茶色のウォルナット、オイル仕上げのウォルナット、黒檀"の4種類のバリエーションが記載されており、1967年頃の山水のカタログでは"オイルドウォルナットまたはトーニーウォルナット"と記載されていました。
パラゴンは1957年から1983年までに約1,000台が製造され、在庫の最後の1台が売れた1988年まで販売されていました。
http://audio-heritage.jp/JBL/speaker/paragon.html
JBL_Paragon 〜レンジャー設計の名品〜 2005/9/23(金)
●ヤフオクでパラゴンを見つけました。本物は見たことも聴いた事もありません。どんな音かもわからないですが、扱いにくいスピーカということは聞いております。
R.H.レンジャーの音響設計による、折れ曲がりホーンは、リフレクタパネルを使って、広いリスニングポイントを実現するらしいですが、結局は部屋全体でのチューニングが難しいのではないかと思われます。良く鳴らすにはそれなりの覚悟を持ってチューニングする必要があると聞いていますが、、、。
いろいろなアンプが存在するのだから、これだというベストマッチングが王道にあって、あとは部屋に合わせてお気軽にチューニングとはいかないものなのでしょうか、、。
●それにしても、JBLの工業デザイナーであるアーノルド・ウォルフの設計はなんとも美しい、かっこいい、迫力ある、気品ある、、どうやったらこのような設計ができるのだろうか、永久に頂点でありつづけるのでしょうかねぇ。
●パラゴンを聞かせてくれるお店もいくつかあるようです。それぞれでいわれているのは、最初はひどい音だった、このことですねぇ。
部屋全体を考えて、帯域のバランスが悪いということなのでしょうか。それならイコライザでお手軽に調整できるはずですが、そういう方向でチューニングしている人がいません。アンプをいろいろ変えて相性を確認しているように思えます。
イコライザで音そのものをいじくるのではなくて、相性でマッチングできればいい感じになるのは明白ですが、これはいかにもパラゴンにふさわしい気の長い、高価なやり方だと思いますね。私には、時間も財力も根性も、、、まあ、全てないから、パラゴンもっていないんでしょうね。
http://pckaden.blogmura.com/pureaudio/
コメント
鹿児島の串木野にパラゴンというJAZZ喫茶があります。もちろん このパラゴンで鳴らしてます。広い空間に音をばらまくのに本当に適したスピーカだと思います。
10畳とかの狭い部屋に置くようなスピーカじゃありません。個人宅で鳴らすようには設計されてないんでしょうね。
音はやさしくも それなりにパンチのある雄大な音です。高解像度は望めませんが。
2005/12/17(土) 午前 9:35 [ ume*e*17* ]
確かにパラゴンは狭い部屋のことは考えていないですよね、
私も本物が聴きたい、、、、見たことないんです。
2005/12/17(土) 午前 10:40 [ オーディオエージェント ]
また吉祥寺の話ですが、大昔JAZZ喫茶「ファンキー」の地下に鎮座していました。まさに王者の風格、「そんな生ぬるい知識で鳴らしてくれるな!」って言ってるようです。
375が圧倒的で高域は075だったと思いますがその存在を感じさせないつながりは見事です。低域のフロントローディングが難物でおそらくセッティイングを難しくしているのでしょうか?
「ファンキー」もおそらくベストでは鳴っていなかったと思います。
2007/7/8(日) 午後 2:19 [ k_am ]
これぞプラズマテレビ台!(お
昔々サウンドレコパルお宅訪問にパラゴン(A)を6畳間にセッテインGoo〜されてた方がいまして、調整不能(ってより買えた喜び)が臨界点到達しておりました。(日本人はクレイジィ〜)
わたしも1インチドライバーでホーンを楽しんできましたが375+38aの旋律は半端じゃないスケールです。
2008/4/18(金) 午前 8:29 [ さぶちゃん ]
パラゴンはとても鳴らしにくいらしいですね、ステレオポイントもかなり前の方にあって、広い部屋が必要なわりには、ニアフィールドだなぁ、と思いました。
2008/4/19(土) 午後 6:32 [ オーディオエージェント ]
パラゴンをセンタースピーカーでハーツフィールドメイン・・・
オソロシ
2008/4/22(火) 午後 10:01 [ さぶちゃん ]
あ、それいですね、パラゴンをセンタにして、ハーツをサイドですか。
どんな音になるでしょうね、。
2008/4/22(火) 午後 10:04 [ オーディオエージェント ]
DD55000エベレストのホーンは 1インチで2425Jです。
すべて1吋タイプなので375の足元にもおよびません(悔
2吋以上のドライバーは、音も値段も表現力も情報量も4桁違いで国家予算オーバーです(滝汗
2008/4/23(水) 午前 6:56 [ さぶちゃん ]
念願かなって、昨年の秋に手に入れました。
程度のいい物をフルメンテした物をショップで購入しました。
皆さんが仰るような使いにくさは全くありません。低音も良く出ております。
聞きつけた他のオーナーさんもビックリされております。
たぶん新品のパラゴンはそんなに使いにくく無かったのではないかと思っています。
2011/4/24(日) 午後 3:33 [ 哲人 ]
使いにくいということばかりききますが、そうではないんですね。
2011/4/24(日) 午後 6:19 [ オーディオエージェント ]
http://blogs.yahoo.co.jp/audio_agent/12055894.html
パラゴンが名器で エヴェレスト が名器でない理由 12月 11th, 2010
名器と呼ぶにふさわしいオーディオ機器とは、いったいどういうものなのだろうか。 一流品、高級品と呼ばれるものが、名器とはかぎらない。 名器は一流品ではあっても、必ずしも高級品(高額品)ではない。
あれは名器だ、といったことを口にすることもあるし、耳にすることもある。 納得できるときもあれば、口に出して反論はしないまでも首を傾げたくなるときもある。 私が名器としているモノを、ある人はそうは受けとっていないかもしれないし、また反対のこともある。 そういうモノは、果して名器と呼べるのか。
「名器」ときいて、私がすぐに思い浮べるオーディオ機器は、すでに製造中止になったものばかりである。 でも、これは私だけのこと、とは思えず、「名器」ときいて、最新製品を思い浮べる人は少ないように思う。少なくともオーディオにおいての「名器」は、新製品として世に登場して、それからある長さの期間を経たモノではないだろうか。
この、ある長さの期間は、具体的に何年と決まっているわけではない。
たとえばタンノイのウェストミンスターは1982年に登場している。約30年が経ち、その間に、幾度かの改良が保護され、ウェストミンスター・ロイヤル/SEとなっている。 これは、もう名器と呼んでいい、と思いながらも、なぜか、私の中ではオートグラフは名器と素直に呼べても、ウェストミンスターに対しては、抵抗感とまではいえないけれども、素直に名器とは呼べないのはなぜかと、自分でも不思議に思っている。
ウェストミンスターに、とくに現行のウェストミンスター・ロイヤル/SEに、オートグラフと比較して云々、というケチをつけるところはない。
フロントショートホーンのつくりにしても、オートグラフは直線的なホーンだったのに対して、ウェストミンスターでは手間をかけて曲線に仕上げている。 搭載されているスピーカーユニットも、最初のウェストミンスターはフェライト磁石採用で、この点ですこしがっかりしたのが正直なところだが、タンノイもそのことは理解していたのか、現在のユニットは見事だと感心してしまう。
それにウェストミンスター・ロイヤル/SEは2006年登場とはいうものの、ポッと出の新製品ではなく、その時点で24年の月日を経てきている。オートグラフを名器と呼ぶのであれば、ウェストミンスター・ロイヤル/SEを、名器と呼ばない理由は思い浮ばない。
にも関わらず、こういうふうに書いていっても、ウェストミンスター・ロイヤル/SEは、私にとって名器として、いまのところ存在していない。ウェストミンスター・ロイヤル/SEを名器と思えないのは、なにもウェストミンスターが現行製品だから、というのが理由ではない。
JBLのパラゴンは、いまでは製造中止になってひさしいが、私がオーディオに関心をもちはじめたころ(1976年当時)は現行製品だった。 実物を見たのは数年後であったし、当時はパラゴンからは私が求めている音は出てこない、という思い込みもあったけれど、それでもパラゴンは名器である、と感じていた。
同じタンノイのスピーカーシステムなのに、オートグラフを名器として感じ、ウェストミンスターを名器とは思えない、
現行製品であってもパラゴンは名器と直感したのに、ウェストミンスターはそうではなかった。
誤解のないようにことわっておくが、ここであげている3つのスピーカーシステム(オートグラフ、ウェストミンスター、パラゴン)では、名器とは思えないウェストミンスター・ロイヤル/SEは完成度が高いところにあるといえるし、鳴らしていくうえでの、いわゆるクセの少なさもウェストミンスターである。
ウェストミンスター・ロイヤル/SEはよく出来たスピーカーシステムだ、と思う。
なのに、どうしてもウェストミンスターは、私にとって名器ではない。
オートグラフに感じられてウェストミンスターに感じられないもの、
パラゴンに感じられてウェストミンスターに感じられないもの、
つまりオートグラフとパラゴンに共通して感じられるもの、とはいったいなんなのか。
「スケール」だと思う。
昨年10月5日に四谷三丁目・喫茶茶会記で行った工業デザイナーの坂野博行さんとの、「オーディオのデザイン論」を語るために、の中で パラゴンの話になったときに坂野さんから出たキーワードが、この「スケール」である。
タンノイのオートグラフとウェストミンスターとのあいだに私が感じていることについては、違う方向から語るつもりでいたのだが、坂野さんのいわれた「スケール」を聞いて、 これほど簡潔に表現できるキーワードがあったことに気がついた。
ここでいう「スケール」とは、製品そのもののスケールという意味ではない。
製品そのもののスケールでいえば、オートグラフとウェストミンスターとほぼ同等か、むしろウェストミンスターのほうがスケールは大きいといえるところもある。
けれど、坂野さんが使われた意味での「スケール」では、私の解釈ではオートグラフのほうがスケールが大きい、ということになる。
坂野さんは、このとき、「スケール」についてパラゴンとの対比で同じJBLのハーツフィールドを例に挙げられた。
パラゴンとハーツフィールドは、どちらもJBLの家庭用スピーカーシステムとして、アメリカのいわば黄金時代を代表するモノ(名器)であるけれど、ハーツフィールドはモノーラル時代の、パラゴンはステレオ時代になって開発されたスピーカーシステムであり、どちらが見事とか、素晴らしい、とか、そういった比較をするようなものではないのだが、このふたつのスピーカーシステムを生み出した発想の「スケール」ということになると、パラゴンの方がハーツフィールドよりも大きい、ということになる(そう私は聞いていた)。
ハーツフィールドとパラゴンとでは、ハーツフィールドのほうが美しいスピーカーシステムだと思っていた時期があった。 いまも、このスピーカーが似合う部屋のコーナーに収められたときに醸し出される雰囲気には魅かれるものがある。
けれどパラゴンには、ステレオ用スピーカーシステムとして左右のスピーカーをひとつにまとめてしまうという、そういう意味での「スケール」の大きさがあり、これに関しては、モノーラル、ステレオという時代背景も関係していることは百も承知のうえで、ハーツフィールドには、仕方のないことだが、パラゴン的な「スケール」の大きさは乏しい、と思う。
この「スケール」がタンノイでは、逆転してモノーラル時代に生み出されたオートグラフに感じられ、ステレオ時代になってからのウェストミンスターには、ないとはいわないまでも稀薄になっている。
http://audiosharing.com/blog/?cat=98
上の記事で「スケール」を「風格」又は「品位」と読み換えるとなんとなく文意が伝わりますね。
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あれほど鳴らすのが難しいと言われ続け、どこで聞いても良い音で鳴っていたためしがなかったパラゴンが、私の場合は、我が家に到着した第一声で、恐ろしいほどの美声を放ったのだ。私は相当に驚き、我を忘れてうろたえるほどであった。
単にオーディオ的に良い音という低次元の話ではなくて、より根元的で、なんだか、その音は生々しくて妖艶に聞こえた。恐ろしくセクシーな音でもあったから、いたたまれないような気分にもさせられた。若い頃のハリウッド映画に、ウィンク一つで男を悩殺する、というフレーズがあったが、まさにそういう過激な音との出会いだった。
あまりに美しいブロンド美人を前にして、我を忘れ、出会った途端に悩殺ウィンクまでくらってしまい、とても音の姿を正視できない状態であったのだ。パラゴンの最初のウィンクで私はコロッと恋に落ちたのだった。単に良い音がしただけであれば、うろたえることなどなかったが、パラゴンのセクシーさに悩殺された私は、平静を失ったのだ。
ブロンド美人にも随分と格差があるものだと思う。最初のJBLとの出会いからすれば、もはや隔世の感がありました。JBLパラゴンは、それほど凄くて、恐ろしいほどの美女でした。
高貴なお姫様が、それも信じがたいほどの金髪グラマー美人が、何を思ったのか、気まぐれなのか、斜に構えたと思ったら、私に青い眼の悩殺ウィンクをしたのだ。
後に気付くことだが、パラゴンというスピーカーは、人を選ぶスピーカーだと思う。つまり、この時、私は選ばれたのだ。パラゴンを批評して
「これは姿は美しいが、音響的には失敗作」
という人達の場合は、最初の出会いで、パラゴンに選ばれることはないだろう。ドキドキやワクワクも無かろう。また、せっかく手に入れても、上手く鳴らせない多くのパラゴンオーナーも、パラゴンに嫌われた人達だと思う。
お姫様が相手に求める条件は、家柄も社会的地位も無関係だろう。なにせ姫自身が最高位だから、世の男どもは全員それ以下なんだろうし。資産や才能の有無も無関係だ。そして不思議なことに、部屋の大きさも無関係だと断言しておく。
ある評論家が、パラゴンは広くて立派な部屋が相応しいと言ったけれど、それはパラゴンと結婚しない人の言うことだ。そこそこの貴族階級か、お金持ちのお嬢さんなら、結婚相手に資産の有無やら、立派な邸宅を望むかもしれないが、そんなものに無頓着なほどまでに高貴なお姫様ともなれば、粗末な兎小屋住まいを面白がるのだ。
最初にパラゴンと組み合わせたパワーアンプはMC2300という巨大なマッキンのトランジスタ・パワーアンプで、グラマラスな音がするパワーアンプであった。だから、余計に悩殺度が高かったのだと思うけれど、私は最初から彼女のセクシーさにノックアウトされてしまった。その後の四半世紀を、パラゴン姫のしもべとして仕える事になったのは、むべなるかな・・であった。
パラゴンとの新婚当時も現在も、こうして我がボロ屋に鎮座ましましているパラゴン姫は、当初に比べて遥かに音も良くなったし、まだ先がありそうだ。
こうして、JBLパラゴンとの長い蜜月が始まった。パラゴン姫はこの世の中の、どんなスピーカーとも違う孤高のスピーカーでもあった。出会ったブロンド美人の中でも、JBLパラゴンは、他とは比較にならぬほど、凄味さえ帯びた美女であった。気難しい事もまた、最上級であったけれども、それはやむを得ない。
特有の低音ホーン泣きにしたところで、お姫様は生まれついてのグラマーなのだから、そのセクシーなお尻が問題と言われても、お姫様としては困るだけです。
ツィーターのコントロールが難しいというのも、生まれつき凄味のあるセクシーなオメメをしてらっしゃるのだから、今さら目つきが鋭いと言われても、お姫様が困るだけです。
JBLパラゴンと暮らして23年ほどになります。現在の音はどう変わったかというと、23年前と比べて迫力倍増に変貌しました。姿が大きくなった、という表現が相応しいでしょう。音場感が大きくなったのです。
セクシーな美しさも益々凄味を増していく一方で、しもべの私が、年々年老いてヨボヨボになっていくのに、姫君は年々美しさを増し、年々声が良くなっていくのです。なぜそうなるのかは解りませんが、JBLパラゴンは、箱鳴りを利用している楽器型スピーカーだからなのかもしれません。
あるいは、僅か1ワットで大音量になる高能率型スピーカーだからか。木製であるが故に乾燥も関係し、長い年月を鳴らしていることで音質向上が実現するのだろうか。近年の低能率型スピーカーでも同様の現象は起きるのだろうか?
木製のスピーカーではない近代スピーカーであれば、ひたすら劣化するだけと思えるのだが。
ヴァイオリンの名器も博物館に飾ったままでは、音が悪くなってしまうので、時々プロの演奏家に弾いてもらうようにしているそうだ。パラゴンも同様かと思う。
では、どれくらい鳴らし込めば良い音になるのかということですが、これは、皆さんの想像を越えて、長い年月を長時間鳴らさないといけないと、私の経験上から思います。というのは、私が早期リタイヤしてから、朝から夜まで毎日10時間以上鳴らすようになって、十年ほど経った頃に、急速に心地良く響くようになったからです。
勤めをしていた時期は、毎日聞いていても一日4〜5時間ほどが限度でした。この年代では、何年経っても、急速に音が良くなったとは感じなかったのです。リタイヤ後は12時間は鳴っている。そして、近年は、一時間程度の留守中なら、鳴らし続けていますから一日に15時間は鳴らし続けています。
ですから、一般の会社勤めの方々のように、帰宅後にパラゴンを鳴らして居る程度では、一生涯かかっても極上の音にはならないのかもしれない。鳴らすトータル時間で決まるのであれば、子供の時代が無理なら、孫の時代になってようやく、良い音になるのかもしれません。
でも、一日24時間の中での、絶対時間数が不足という事であれば、普通の使用状態では、永遠に良い音にならないという事も考えられます。
対策として、どこぞのオーディオ・マニアがやるように、留守中にエージングを早める目的でノイズ成分を出しっ放しにするような、姑息な手段は、パラゴンには無意味だと思います。博物館所蔵のヴァイオリンとて、機械で弓を動かすのではなく、プロの演奏家が高音から低音まで、まんべんなく音を響かせることによって、音色維持を図るのと同様に、オーナー自らがパラゴンと対峙して音を楽しみ、相思相愛という状況が最良と思います。
私はスピーカーは部屋と共に、呼吸するものだと考えています。
そんなことを言っても、仕事をしないでパラゴンを聞いていられないって?
でもね、相手のパラゴンは貴族のお姫様ですから、労働はしません。お姫様とお付き合いするのに必要なのは時間です。 高等遊民でないと、パラゴン姫には付き合いきれないということでしょう。
お金があれば、パラゴン姫の身体は得られても、愛を勝ち取れるわけもなし。姫君にとっては、オーナーの地位やら金持ちであることなど、なんの魅力にもならないのでしょうね。自分のお気に入りのオーナーが、自分と長時間一緒に遊んでくれるかどうかが、関心事なのでしょう。
23年間をJBLパラゴンと暮らして、様々な不可思議な体験をしたので、単なるオーディオ・スピーカーとは思えなくなっている。
パラゴンの中には魔物が住む。正気を失わせるものが棲み付いているように思いながら、毎日パラゴンが歌う声を聴いている。パラゴンの音にはそういう狂気を呼ぶものが存在する。
とにかく、伝説に彩られたスピーカーだけに不可思議な現象が有ると思っている。近年、クレル社のダゴスティーノ氏が完成させたLAT1というスピーカーは、メタルキャビネットで寸分の隙無く出来上がった工業製品だが、そのLAT1であれば私のパラゴンのような現象は起きないのではないかと推測する。超合金製の最新技術製品には、怪奇現象はおきそうもない。
第一、この手の新設計の高額スピーカーというのは、何処のメーカーでも当初は注目を浴びるが、長生きしない。数年すれば、直ぐに上位機種に置き換わって色褪せるのだ。
パラゴンは手作りの木工製工芸品と言える楽器型スピーカーですから、そのような最新工業製品的なスピーカーとは対極に位置する。JBLパラゴンくらいに完成されたスピーカーであれば、上位機種が発売されることもない。
最新型JBL K2 - S9800 は素晴らしい音がするけれど、エンクロージュアは人の憧れを誘うようなものではない。著名な評論家達は、ここら辺を物足りないと評している。物として人を魅了するには何かが足らないと言い、その顕著な実例としてあげられるのはパラゴンである。人を魅了するデザインというのは簡単には生まれない。
オペラ歌手が身体全体を使って歌い上げるように、パラゴンは全身を震わせて歌うスピーカーシステムなのだ。
http://fukuroo3.com/paragon55.html
パラゴンこそ近接聴が可能なスピーカーの代表
パラゴンに関する記事を検索したら、以下の記事が眼に付いた。曰く、
「そういや、四畳半にパラゴンいれて聴いているアホが居ったなあ〜」
というこの人は、基本は部屋だという持論の人です。勿論、アホなのはこの人で、己の未熟さを知らず、己がモノを知らなさすぎることを知らないのです。
部屋の影響を少なくするにはニアフィールドで聞く事で、有る程度解決できます。多くの日本人がウサギ小屋的な狭い小部屋でパラゴンを使う理由は近接位置で聴けるからです。どんな小型スピーカーよりも近接して聴けるのがパラゴンなのは、このSPを使った人ならば誰でも発見することです。
広い部屋で聴くとすれば、50畳ほどの石造りのお城のようなところがふさわしいと思う。たかだか20畳程度の部屋で聞く場合を想定すると、やはり狭い部屋と同様に近接位置がベストリスニングポイントになってしまうだろうと推測します。
私がパラゴンを買う時に店員に聞いた話では、日本人が好んでパラゴンを買うので、JBLは製造中止したいのを取りやめて作り続けているのだ、ということであった。つまり、パラゴンこそはニアフィールドリスニングにもっとも適したSPのひとつなのだ。言い換えれば日本のウサギ小屋住宅御用達スピーカーとも言える。
長年オーディオ誌を読んでパラゴンを使っている人の記事を読むと、私だけではなくて狭い部屋で使っている人が多かった。
ニアフィールドというのなら、古今東西パラゴンを最右翼にあげなくてはならない。なにせスピーカーとの距離がゼロセンチでも聴けるスピーカーなんてパラゴンを置いて他にはなかなか見あたらない。
パラゴンの使い方は様々な使い方があるけれど、前面の音響パネルにピタリと額を付けて聴くという人もいるのだ。故瀬川氏の報告によれば、その方のパラゴンには前面音響放射パネルに額の油染みが出来ているという。 これを読んだフクロウさんは、なにやら魑魅魍魎が跋扈する不気味なパラゴンの世界を覗き見た思いがしたものだ。
それにしても強力な375(376)ドライバーによる中音ホーンでダイレクトに鼓膜を振動させるのであるから、なんと過激な聴き方であろうか。でも、麻薬みたいなもので、これは病み付きになるのかも知れない
「SPとの距離ゼロで激聴! 麻薬的ニアフィールドリスニングをパラゴンで」・・
ウ、これは危ないな。
※そこまで過激にならなくても、フクロウさんのパラゴンのベストリスニングポジションを計ったら145センチだった。床面から耳の位置までの高さは90センチである。そんなに都合の良い椅子など存在しないから、家具作りが得意なフクロウさんの自作である。私の場合、自分にパラゴンを合わせる事は諦めて、私がパラゴンに合わせるようにしたのです。その結果が専用椅子作製となった訳だ。
なお、パラゴンを高いステージに乗せるというのはパラゴン使いなら誰でも考えつくのだが、私の場合は見事にパラゴン嬢にはねつけられた。素人の妻でさえ、台に乗せたら随分ひどい音になった、と言ったのだから、その酷さは並大抵のものではなかった。
よく喫茶店とか、公共の場等では台の上に乗せて鳴らしているパラゴンを写真で見るのだけれど、あの状態でマトモな音になっているのだろうかと不思議だ。店だから単なるBGM的な使い方でも良いのか?。
憑かれたようにSPに額を密着させて聞くという人には及ばないけれど、私は8畳間前方壁からの距離が140センチほどの場所で聞く。私も、かなりのニアフィールドリスニングだと思います。これは部屋の四隅に置かれたサラウンドSPとの兼ね合いのせいですから、通常の2チャンネルステレオとしてパラゴンを聴くのなら、さらに近接位置になるでしょう。
また、SPの50センチ前であぐらをかいて座って聴くボーカルもまた麻薬的効能があります。
従って店ではなくて個人所有のパラゴン使いの方々の大多数は、近接位置で聴いていると思います。こうすることで最新のモニターSPに負けない解像度の高い音が聴ける。パラゴンから一メートル以内に近づいて、その悪魔的魅力の美音をじっくりと聞いたことがない人は、パラゴンを聴いたことにはなりません。
パラゴンというスピーカーは巨大な外観と裏腹に、ニアフィールドリスニングにより威力を発揮する類希なSPなのです。
http://fukuroo3.com/paragoninfo.html
○JBL社において、最後の1人となったparagon制作職人「Mr. fred kato」こと、フレッド・加藤氏に敬意と感謝を表し、制作中の御姿をトップページに飾らせていただく。シロフクロウさんの愛機も加藤氏制作である。
○少なくとも1978年には、Mr. fred kato氏が、ただ一人残った職人であったことが、菅野氏によって報告されている。
パラゴンは、加藤氏がリタイヤする1983年まで製造されていた。また、この写真を見ても解るように、工場生産ラインに乗らないパラゴンは、日本の宮大工のような木工職人の手作り制作であった。まさに大型楽器工房による特注楽器ともいうべきスピーカーがJBLパラゴンであり、JBL工房において一台ずつ手作りされたのである。この希有なスピーカーの製作技術は誰でも出来るわけではなく、製造と組み立てが出来る職人が居なくなれば消滅する運命にあった。
○JBLパラゴンは、その誕生秘話から推測されるように、史上最強のホームシアター用センタースピーカーとして使える事に、どれだけの人が気付いているのだろうか?
パラゴンの伝説を紐解けば、有意義な使い方を再発見できる。
○パラゴンは1957年に開発され、JBL社において最初の3ウェイ機でした。当時はほとんどが2ウェイの時代でしたから、画期的な製品だった。
第1号のparagonモデルが完成したのは1957年8月のことでした。しかし、実際に発売されたのは1958年の春からです。1983年まで製造されて、カタログには1988年まで残っていました。
昔の雑誌による1988年まで30年間ほどに渡って製造というのは間違いです。カタログに残っていただけのこと。製造期間は1957年〜1983年で正味25年間ほどです。
※余談ですが、高音用075ツィーターは、パラゴンが発売される前年の1957年に発表されています。この経緯から、075無しの2ウェイパラゴンが売られたという噂は、単なる憶測と思われます。設計開発時点では2ウェイであったことは確かです。
○内部構造が解るように色分けした図です。
パラゴンは一目見ただけで、低音がどうやって出てくるのかを理解しがたい。
なにせ、パラゴンはあまりにも特異な構造なので、図面を初めて見る人にとって、低音ホーンはどこからどこまでなのか理解できないと思います。
図の青色部分が、S字型の低音ホーンとなっていて、この低音ホーン構造自体が、筐体本体そのものであり、極めてユニークな作りになっている。
○パラゴンの内部には、グラスウールの類は一切使われておらず、ウーファのバックキャビティにも入っていません。
私はこれを、恐竜型と呼んでいるが、
一般的なグラウール入りのスピーカーシステムは、毛の生えた哺乳類であるという認識で、対比させているからです。
オールホーン形式では、アバンギャルド社のトリオ・システムもあるが、ユニット毎にバラバラになっています。
3ウェイオールホーン形式は希有な存在であり、左右が一体型となったステレオ用オールホーンスピーカーというのは、古今東西パラゴンだけです。
なお、タンノイやクリプシュのスピーカーに採用されている低音ホーンはフォールデッド(折り曲げ)ホーンという種類で、手作りSPで有名な長岡式ホーンもフォールデッドホーン形式です。
http://fukuroo3.com/paragon1.html
○JBLパラゴンは、流麗なデザインで、見る者を圧倒する。
この曲線と直線が彩なす見事なデザインの美しさは、たとえようがない。
人間が音楽を愛でる道具として、これほどの美しい光彩を放つ製品が二つとあろうか。
○インダストリアル・デザインという分野に限っても、これほど見事に、機能美と外観の美しさを兼ね備えた製品を私は知らない。
正面の湾曲パネルの役目は、放射された音を拡散させるレフレクターの役目も果たしている。前足を支える足はまた、筐体全体を支える役目を兼ね、かつ中音ホーンを支えている。どこにも無駄が無い見事さは、素晴らしいの一言に尽きる。
JBLパラゴンのサイズや重量に関しては、手作り故に全て同じではないが、パラゴンの寸法を、カタログ値と私の所有するものを並記しておくので、参考にされたい。
横2630(私のは2640)高さ900(私のは880)奥行き610(私のは620)で私のパラゴンが少し大きい。
(高さは前面の湾曲パネルの最上端までのサイズなので、内容積とは無関係です)
初期型と中期型のJBL Paragon =型番はD44000=重量 316kg
後期型のJBL Paragon=型番はD44000WXA=重量 318.4kg
○中音ホーンのH5038ホーン周辺の写真。
楕円のホーン開口部や376ドライバー周辺のフォルムは、女性の肉体美の極致を連想させ、細長い脚と共に相まって、300キロという巨体にもかかわらず、繊細な印象を与えている。まるで、軽やかなステップで、ダンスをしているようだ。
○この角度から見た美しさから、私はパラゴンを女性に例えるようになった。
オーディオ・ファンは、自分の愛機を女性に例えたがるものだが、美麗なパラゴンの姿は女性美以外のなにものでもない。美しい姫君が、華麗なドレスを着こなして歌い踊る姿を連想させるのだ。私にとっては永遠の恋人であり、愛人で有り続ける。だから、毎日眺めていても飽きることは無い。
○オーディオルーム左後方からの写真。自作ラックの天板に設置した機器と、パラゴンの最上部との高さが横一列なので、部屋が狭く感じないようになっている。
オーディオを趣味とする人は、多少の木工制作技術が有った方が、自分の装置と部屋に合うラックが出来ます。
お金持ちなら、腕の良い建具屋に依頼すれば良いことだけれど、このような7センチ前後の厚さの無垢板を使ったものは高額で、安くても50万、少し幅広の材木だと150万くらいはする。自作なら材料費だけなので、1/3くらいの費用で済みます。
http://fukuroo3.com/paragon2.html
○まず最初は376ドライバーの分解写真です。左が後方部、中はダイヤフラム構造、右が前方のホーン取付部。
パラゴンの音は376ドライバーによる中音域が主体で、これに上と下の帯域がプラスされている。
よって、この376の調整が第一歩。基本はMID位置。
1980年からパラゴンにはフェライト磁石の376ドライバーが採用された。
それ以前の中期型パラゴンのドライバーは、アルニコ磁石の375型でした。性能的には376が優れている。
当時最新型の376の改良点は、ダイヤフラムが、それまでのロールエッジから新開発のダイヤモンドエッジが採用され、また、同時にダイヤフラム素材もアルミ合金からチタンに変更になり、高域が拡張されている。
○こちらは実際にハーツフィールドに使われていた375ドライバーです。
後期型パラゴンになる以前のパラゴンには、全て375ドライバーが使われていると書きましたけれど、単純な外見上比較で見分ける376との相違点は、375がゴールドの金属バンドで、376がシルバーの金属バンドが巻かれている事で見分けられます。
なお、単体ユニットとしては、この限りではなく、古い時代のロゴ入りの375には、白バンドの375もあります。
○075の外見が解る写真が左側です。
私の075と違いまして、古い時代の075なのでJBLロゴマークが175DLH型をしています。
パラゴンの使いこなしの第一歩は、075の調整にあることは、テキスト記事のパラゴン情報に書いたとおりです。
右側写真は、075と、それをコントロールする、ディバイディング・ネットワークのN7000。
クロスオーバー周波数は7000Hzです。
なお、中音の376(375)は別にLX5(次ページに写真有り)によってクロスオーバー周波数500Hzに分けられる。
つまり、ネットワークは計4個。
※私の使用している後期型パラゴンに使われている376中音ドライバーは1980年から採用された。
中期型以前のパラゴンに使われている375ドライバーは、1954年に発表されたもので、1957年に発表された075ツィーターよりも古いユニットです。
http://fukuroo3.com/paragon3.html
○中期型の中でも、16Ω仕様と8Ω仕様があるし、また、背面の裏蓋にエナジャイザー用裏蓋が無いものがある。
上記のものは、中音用ドライバーが376ドライバーではなく、375なので中期型に分類されるけれども、中期型としては比較的新しいもので、後年になって製造されたJBLパラゴンの特徴を備えています。
すなわち、ユニットは8Ω仕様であり、背面の裏蓋にエナジャイザー用裏蓋が無い中期型の見本といえるものです。
○上のパラゴンとは違うもので、こちらも中期型ですが、より古い形式なので、エナジャイザー用のメクラ蓋がある。
左写真は左チャンネルの裏側。375ドライバーとLE15Aを搭載した16オーム時代の中期型パラゴンの写真です。
二つ見えるネットワークは左が中音用のLX-5、右が高音用N7000です。
配線はオリジナルの状態なので、この下の写真でfukuroo3の後期型パラゴンに施した独自配線との違いが解ります。
右の写真は、レフレクターパネルを引き上げる前と引き上げた後で、蝶型ジョイントが3個見えますが、裏側も同様のジョイント金具があり、これを取り外して3分割されて運搬されます。
○右のネッワーク4個の写真は、私のパラゴンの物ではなく、別の個体のものです。左写真は私のパラゴンの裏側です。
2002年7月17日現在の、私のパラゴンの内部配線状況で、fukuroo3のオリジナル配線になっています。
376と075ユニットには、それぞれ、別々に独立した配線をしている。この方が、オリジナルよりも理想的だ。
私はケーブルに凝ることは無いが、8Nのケーブルです。これは非常に堅い3本の銅線が入っており、芯線3本束ねて2ミリ以下という細さなので、JBLオリジナルのバネ端子の穴にラクラクと入ります。
ネットワーク配線も、このケーブルの外皮をカッターで切り割り、内部の細い赤黒ケーブル2本を取り出し、内部配線としました。
☆この細くて堅いケーブルを使うと音が堅めに変化しますが、こと、パラゴンに関しては自由自在に音を創れるフクロウ仙人なので、ケーブルによって音が堅くなろうが柔らかくなろうが、全く頓着しません。後でなんとでも出来ますから。
それから、JBLのバネ式端子は細いケーブルしか入りませんが、365日24時間締め付けている状態になるので、緩みとは無縁という長所があります。
私は高能率型のパラゴンに、近年の太いケーブルは必要とは思わないので端子を取り換えていません。どうしても太いケーブルを使いたければ、ケーブル先端だけを細くすれば良いことで、 バネ端子のままで使うことをお薦めする。
近年の締め付け式大型端子は緩みやすい欠点がある。
○右写真のネットワークはパラゴンにビルトインされているLX-5とN7000(旧型)。各帯域をこの二種類で振り分ける。
○上左↑の写真は前回のLE15Hウーファのコーン紙張り替え修理後です。
パラゴン天板上に、まだ取り付け前の左チャンネルLE15Hが乗っています。
右は古い時代の375ドライバーと075ツィーターで、私のものではありませんが、参考までに掲載。
○LE15Hはウレタンエッジなので、10年ほどでコーン紙を張り替えます。
少々面倒ですが、10年に一度くらいなら、たいした手間ではない。
ウレタンエッジによる軽量ウーファコーンが、軽やかに動作するメリットは大きく、音質面から言えば古い150-4CやLE15Aよりも、LE15Hの方が良いと思う。
ハーマン・インターナショナルでも、耐久性を重視するのならプロ用ユニットにも使われている普通のエッジを採用するが、音質第一のアマチュア用としてはウレタン・エッジが良いとの話でした。
私のようにアンプ出力が僅か0.5ワットで大音量になってしまう環境では、大出力用耐久性をエッジに求めることは不要で、ウレタンエッジが相応しい。
パラゴンは現代の大飯くらいのスピーカーと違い、僅か0.1ワットで充分過ぎるほどの音量が出る高能率型です。
http://fukuroo3.com/paragon4.html
○シロフクロウさんの愛機、後期型パラゴン設置状況です。オーディオルーム正面に横一列並びとなっています。
部屋の左にパラゴン、その右にオーディオラックに収納された機器。
樺と栃の無垢材使用のラックの大きさは、横160センチ・奥行き50〜60センチ・高さ78センチ。超重量級のラックです。
○パラゴンは、花飾りの置き台としても一級品です。パラゴンの右側は押入を取り払った収納場所になっている。
LPのソフトとオーディオラック、そしてスーパーウーファも元の押入部分に入っている。
33インチテレビは床の間を取り払った内部に収納し、外見上は壁掛けテレビ(笑)。
○パラゴンはバラの花が好き!
これは2004年9月11日に秋バラを咲かせるために、剪定した後の写真。
http://fukuroo3.com/paragon5.html
○ウーファユニットの変遷について=初期型は150-4Cで、1964年にLE15Aに換えられたが、1980年にはJBL社の全てのバスドライバーのマグネットがアルニコ磁石から、前年開発されたフェライト磁石に変えられた。
それに伴い、パラゴンのウーファも1979年にLE15Aからフェライト磁石のLE15Hに変えられ、翌年1980年には、375も最新型の376に換えられた。
後期型では、エナジャイザーのメクラ蓋は無くなっているのが特徴で、一目で判別できます。
エナジャイザー用のメクラ蓋がある後期型ユニット入りは、どこかでユニットを入れ替えられた疑いが有り、パラゴン筐体本体は1979年以前の製造と思われます。
○150-4Cウーファは、元をただせば、モノラル時代のハーツフィールドシステムにも使われていたユニットです。
パラゴンの初期型に、少数だが採用された。しかし、1959年に発表された新型ウーファLE15Aが登場すると、1964年になってLE15Aに入れ替えられた。
ですから、150−4Cをビルトインしたパラゴンは、1957年から1964年末までの、7年ほどの期間に製造された。
当時の日本人にとり、一般的に買える値段ではなかったので、日本人初代オーナーは、ごく数人と思われます。
150-4Cは、アルティック時代の名残をとどめる業務用ユニットの性格を残している。
JBLの出発点が劇場用ユニットであったからだ。JBLがアルティックから独立した原因の一つが、創設者ランシングが美しいコンシュマー用スピーカーを目指したことにある。
よって、アルティック時代の名残を残す150-4Cが、パラゴン用に設計されたものではないし、後年、新設計されたLE15Aがパラゴンに搭載された経緯は、当然の成り行きであった。
未だに初期型のパラゴンが良いという方の理由は150-4Cが使われているからだという。
LE15Hのようにウレタンエッジ張り替えが不要だから150-4Cが良いという人も居た。
10年一度の手間と費用を惜しむなら、パラゴンを使うな!。
私の考えでは中期型ならばLE15Aで良いのだし、そもそも、150-4Cが単体で銘器という事は一度も見聞しない。
150-4Cは半世紀前のユニットですからメンテナンス後に使うこと。
そして、口を酸っぱくして言っているように、ウーファユニットの止めネジが緩んだままの使用は駄目です。
要するにパラゴンの低音の良し悪しは、使いこなしによる要因が大きくて、ユニットの種類とは無関係と言い切れます。
そういう事から、初期型パラゴンが中期型や後期型より音が良いということはありません。
単に古いものが良いという一部の販売店による宣伝と、数が少ないという憧れによるものでしょう。
○150-4Cのコーン紙が見える写真と、マグネットカバーのプレート表示です。
150-4CというネーミングのCというのは、16Ω仕様であることを示し、150-4という名前であれば、32Ω仕様であり業務に使われた製品と思われます。
ちなみに、現代のスピーカーはほとんど8Ω仕様で、私のパラゴンも8Ωです。
○さて、一部で喧伝されるホーン用として150-4Cが設計された、ということですが、それは違います。
JBL社創建初期は、アルティックから分離独立して間もなく、オリジナルのユニットが少なかったので、ハーツフィールドに使用していた150-4Cをパラゴンにも流用しただけのこと。
さらに、元をただせば元々劇場用として、ウェスタンに供給されていたT510A型というユニットが、民生用として採用された時に名称を150-4Cと変えた。
つまり、原型はハーツフィールド以前の古い業務用設計です。ハーツフィールドに使われた頃には、コーン紙が大振幅に耐えられるものに改良されたが、基本的には同じ設計。
○この写真のLE15Aは長期間使われて馴染み深いウーファユニットです。比較と参考までに、ここに掲載しておく。
このユニットは長い年月の間に、様々なエッジの種類があるので、LE15Aだからといって全部が同じものではない。
比較的古い中期型は16Ω仕様で、新しい時代の中期型は8Ω仕様です。
中期型paragonは96%以上のシェアと予想しているので、これから皆様が手に入れられる中古パラゴンは、圧倒的に中期型が多いと思われるが、パラゴンを手に入れたら、まずはウーファのLE15Aの吟味をして適切なコーン紙に張り替えすることを勧める。
左写真は、黄ばんで硬化したゴムエッジを持つLE15A。私見だがホーン形式のスピーカーシステムには出来るだけ軽量のコーン紙が有利だと思うので、選べる範囲内で軽量のものに張り替えると良いと思う。
ゴムエッジ採用のLE15Aでは特に、近年のLE15A用コーン紙に張り替える事により、低音の質感が向上するでしょう。
○このパラゴンはeBayに売りに出されたもので、一例として掲載します。
この写真を掲載するのは、レフレクターパネルの張り合わせ状態が、良く見えるからで、こういうのも有るという実例。
また、このエンクロージュアは、裏蓋がフラットで、エナジャイザー用のメクラ蓋が無いものです。
アメリカ人は、JBLパラゴンについて、ほとんど知識がない人が多くて、シリアルナンバーだけが記載されていました。
シリアルナンバーというのは、保証書との整合性で必要なだけであり、製造した年とか、各個体の識別には役立たない。
この写真のparagonは、最も大事な前足木部の製造番号刻印も不明で、本体エンクロージュア刻印も報告されていない。
さらには、ユニットの種類さえ明記されていませんので、この写真のパラゴンに関しては、詳細が皆目解りません。
○別のJBLパラゴンも見て頂きます。中期型でも、比較的新しい時期のJBLパラゴンで、8Ω仕様のJBLパラゴン。
裏蓋がフラットで、エナジャイザー用のメクラ蓋が無いものです。
JBLパラゴンの個体差は、裏側に様々な謎解き情報が有り、表側の写真は、さほど意味を持たない。
強いて言えば、レフレクターパネルの木目模様と、左スピーカーのJBLエンブレムバッジのデザインの違いくらい。
http://fukuroo3.com/paragon6.html
1966年製のオリジナル状態を残すパラゴンと、1961年製の改造の痕跡がみられるパラゴンの対比。
○↑2006年7月に、中期型パラゴンの見事な標本ともいうべき、手を加えた痕跡がないオリジナルparagonが見られた。
このパラゴンの写真を見れば、オリジナルのパラゴンとは、どういう状態のものかを、ハッキリと見ることが出来ます。ネット上で
「これはオリジナルのままで、全く当時のままだ」
と主張するJBLパラゴンの多くは、そうではないものが多くて、信用がおけない場合が、多々見受ける。だが、この1966年製 paragonは梱包箱から出された当時のままで、今日まで残っている珍しい例です。ちなみに、私のバラゴンは完全な新品で購入し、このような状態でしたが、その後の配置換えなどで、カタログや取り説入りの袋は取れ、近年は内部配線も取り換えたので、このようなオリジナル状態ではなくなっている。
○2枚目の写真で見て欲しいのは、左のJBLエンブレムです。
近年の横長のJBLバッジと違いまして、縦型のシグネチュア・タイプの古い型なのに気付きます。
右写真のはオリジナル配線の状態を見ることができるし、配線の色からベルデン製のオリジナルのものだと解ります。
製造された1966年当時のparagonの面影を、完全な形で見ることが出来る数少ない例です。
○3枚目左は、075ツイーターのラベルのデザインに注目。シグネチュアマークです。
右写真は、075と375の配線分岐地点の様子が解ります。
○最後の4枚目は、左上がエナジャイザー用メクラ蓋に貼られたラベルです。
上右写真にそのラベルが貼られたエナジャイザー用メクラ蓋の状態と、取扱説明書とカタログ入り袋が、ホッチキスで取り付けられている様子が解ります。
このような状態のチップボード製裏蓋になっていないものは、後年になって裏蓋が壊れたために、合板製の裏蓋に取り換えられていると推測されます。
その場合は、たいていは、エナジャイザー用メクラ蓋までは再現されないので、フラットな裏蓋になっています。
どうせ使わないパワーアンプ内蔵用のメクラ蓋など、元通りにする必要はないし、穴ぼこを作るのは面倒だから、タダのフラットな合板板を使ったのです。
○ パラゴンに限らず、当時のJBL製エンクロージュアは裏板もチップボード製であり、合板などは採用していません。
チップボード製のフラットな裏蓋を使っているのは、最後期型のパラゴンです。
下左↑は、1966年当時の初期型LE15Aです。エッジの材質が違うことに注目してください。
また、フレームの色合いも後年のものとは違います。下右はホッチキス止めされた紙袋のアップ写真です。
○↑こちらは、改造されたバラゴンの例です。最初に紹介したオリジナルJBLパラゴンとの違いが際立ちます。
2005年8月に、珍しい初期時代のパラゴンをネット上で見ることが出来たので、真偽はともかく、写真紹介解説します。
ネットワークのN7000に1961年9月8日の日付があるので、1961年製造と確認された初期型のパラゴンです。
この一台によってもたらされる大切な情報は、使われているウーファユニットの型番です。
下の写真に見られるLE15Bがそれです。原文には( LE15B woofer serial #18087)とある。
このパラゴン用LE15Bは、150-4CウーファからLE15Aに至るまでの、ごく僅かな期間に採用されたものと思われる【JBLオリジナルだとしての話しですが】
○ 1958年から1964年あたりまでは150-4C入りが本来の構成です。
この写真のパラゴンが、本物のオリジナルで、LE15B入りだとすると、1961年あたりの、ごく僅かな数ヶ月の間だけ、LE15B入りのパラゴンが数台のみ製造されたと見て良いでしょう。私はこの製造番号が知りたい!。
製造番号が解れば真偽を判定できるのだが・・。
当時、ウーファユニットを150-4CからLE15Aに変更した理由は、音質改善を計ったものです。
○ 繰り返して申し述べることになるが、ご存じのように、LE15Aはparagonの94%前後に使われ、最も良く知られたパラゴンのウーファユニットです。LE15Aは歴史が長いので、コーン紙の材料も様々なタイプが有るが、その中でプロ用の頑丈で重いコーン紙が使われたLE15Aの採用例では、パラゴンの楽器的な良さを損なっていたと、私は考えています。
※重要点は、パラゴンのウーファユニットは従来、LE15Hを含めて3種類が使われていたと考えられていた。
しかし、この一台が現存することによって、LE15Bも使われた可能性が出てきました。
その場合、4種類のウーファ・ユニットがオリジナル・パラゴンに使われていた事になる。
この形式は私の分類上からは、初期型としてパラゴン情報に記録しておくことにします。
※注記→勿論、このパラゴンは改造が施されているので、LE15Bユニットが後付である可能性は否定できないです。
○さて、読者はこの一台のパラゴンの裏蓋を見て、ネットワークの LX-5とN7000が縦並びで取り付けられていることに目を留めたと思います。
珍しいパラゴンだと思われたかも知れない。150-4Cウーファ入り入りの初期型には、二個のネットワークが縦並びのものがあるにしても、その場合はLX-5は古い形式のもので、ハーツフィールド時代の名残をとどめているものです。これはLX-5を取り換えていると思われる。
よって私は、このパラゴンの裏蓋はオリジナルでは無いと思います。
fukuroo3は航空機体整備士にして、今は木工家具製作を趣味としており、塗装にも一家言を持っていますが、この裏蓋はJBLのオリジナルではない。
アチコチに塗装ムラや塗料垂れ落ちが見られ、写真のツィーター右横にも塗料が流れた痕跡がある。つまり、プロの仕事ではなく、素人の塗装です。そしてまた、黒く塗りつぶされてはいるものの、この裏蓋には板目模様が見てとれるので、安価で加工しやすい合板を使用して、壊れた裏蓋の代替品を作ったと思われます。
私のパラゴン情報に推測として書いた裏蓋事情が、図らずもここで証明された形となった。
また、ネットワークのネジ止めも少しいい加減なところがある。
左側のスピーカーのJBLエンブレムバッジが取れているが、これは別購入して後付が出来る。
ただ、新旧のエンブレムの違いがあるので、オリジナル当時のシグネチュアタイプのバッジは手に入りにくい。
http://fukuroo3.com/paragon7.html
○シロフクロウさんはJBL製045Beスーパーツィーターを2002年12月21日から使い始めました。
パラゴンの上に乗せて4ウェイオールホーンとしてパラゴンを使っています。 045Beの効果は絶大ですが、安易にスーパーツィーターを導入すべきではなく、3ウェイとしてのパラゴンをキッチリと使いこなした上で使って欲しい。
適当なところで妥協してスーパーツィーターを加えても、劇的な効果は望めないと思う。
045Beの調整そのものは、075の調整ほどは難しくありません。
4ウェイパラゴンは、最新型スピーカーを蹴散らすほどの能力が有って、凄味を帯びた鳴らし方から、柔らかな音で優雅な鳴らし方まで、オーナーの力量によって、応変可能です。近年の異常に高価なアンプを必要としないのも、高能率型スピーカーの特徴で、アンプの能力に依存する度合いが低い。
○右はJBL製スーパーツィーターUT025。
当初はこのドーム型スーパーツィーターを使い、その効果を確かめた後で、ホーン型のUT045Beに取り換えた。
取り外したUT025は、現在、サラウンド側で余生をおくっている。
○部屋を長手方向に使い、パラゴンは部屋の左端に設置。その右横に1メートル60センチのオーディオラックを並べた配置。
和室8畳の押入を取り払った部屋なので、部屋の長さは4メートル50センチ有る。私は木工家具を作る趣味があるので、木場から購入した広葉樹の無垢一枚板を使ってラックを自作した。自作ラックの高さは、パラゴンより少し低い程度にしました。
右端はスーパーウーファのベロダイン製HGS-18で、押入の改造部分に入っている。
45センチウーファユニット入りで、内蔵アンプは1250ワットです。強力すぎるほどの低域再生能力がある。
私のパラゴンは充分過ぎるほど低音が出ているので、低域不足のために導入したわけではない。基本的には映画用です。
相当に控えめに、さりげない音量で使用。当家は古屋なので、音量を上げると家鳴りがして危険。家屋が倒壊しそうになる。
これは導入当初から、映画用だけではなく、ピュアオーディオでポップス音楽再生にも使う事を考えていた。
○ウーファの下敷きは、マイクロ製SX8000シリーズのアナログプレーヤー・フルシステムの置き台を再利用。
SX8000 はLP吸着付きで、ハイスピード・イナーシャ採用という超弩級製品だったが、役立たずの度合いも超弩級であり、回転が安定しなかった。マイクロのメーカー修理屋が何度やっても直せなかった。結局、製鉄所のゴミに捨てました。
○左写真=メイン音楽ソースCDは、天板上左端のDENON製DP-S1(CDトランスポート)
とWADIA-15(DAコンバーター)との組み合わせです。アナログの説明は後回しにします。
○右写真=上段は2列6機、下段は1列3機なので、三段に3機ずつ陳列、ということにして説明します。
1/3=★YAMAHA=DSP-3000(2008年5月故障撤去)★ MCINTOSH=C-40★ MCINTOSH=C-29★
2/3=★MCINTOSH=MCD-7009★ WADIA-15★MCINTOSH=MCD-7005★
3/3=★MCINTOSH=MC-7270★ MCINTOSH=MC-2500★ MCINTOSH=MC-7270★
という具合の並び順です。 WADIA-15(DAコンバーター)には、DP-S1と MCD-7009の、二台のCDPからデジタル入力されています。
MCINTOSH=MCD-7005は一体型CDPとして使用。パラゴン駆動はMCINTOSH=MC-2500で、サラウンドスピーカー4本はB&O製ベオラブペンタです。これをMCINTOSH製MC-7270の2台で駆動。
○銘木を使ったオーディオラックは、木工家具製作を趣味とするシロフクロウさん自身の手作りで音への影響力が大きい。
○ついでに、今では、ほとんど使わなくなったアナログ系の紹介もします。
左写真は天板右端置きのTHORENS-TD521が2台。左にはトーンアーム=SME3012R、右にはSME-3010Rを装着。
アームは以前に使用していた超弩級役立たずLPプレーヤーのマイクロ製SX8000から取り外したものを再利用。
SX8000は何度もメーカー修理をしたが回転数が安定せず、製鉄所のゴミ捨て場行きとなって溶かされた。
○アナログのカートリッジはMC型三機種。ケース入りがEMT-TSD-15 。手前左がTHORENS-MCH2で、右がブライヤー。
☆3機種のMCカートリッジは、昇圧トランス2機種を使用。DENON製=AU340とUESUGI製=U-BROS-5。
○↑2006年7月21日に写真撮影、最新のオーディオラック内機器の様子。↑
音飛びがするDENON製DP-S1を撤去して、新製品のエソテリック製X-03SEを、2006年4月7日より使用中です 。
この頃、マッキントッシュ製の機器を、次々に修理やオーバーホールしています。
数ヶ月前にMC2500オーバーホール完了、続いてマッキントッシュのCDプレーヤー2台の修理も完了した。
2006年7月21日にはC−29も修理。これは予備のプリアンプなので、チューナーとデッキの接続をしている。
各機器修理完了直後に、ネット注文していたオルトフォン製の2メートル長RCAケーブルが配達された。
これで、以前から考えていた、ラック内配置換が可能になり、写真のように、CDプレーヤー3台を左端に集めた。
使いやすくなったけれど、この作業は、かなり面倒だった。ラックとサブウーファの間の狭いところに身体を押し込んで、熱い白熱灯照明を顔の近くで点灯させるから嫌な仕事だ。夏の雨の日、家の内外を何往復もするから、雨と汗でグチョグチョになり、蚊に刺され、もうやりたくない!
ともあれ、ラック内の機器を配置換えしてホッとしまして、ついでに記念撮影をして、ここに掲載致します。
http://fukuroo3.com/paragon8.html
上がパラゴンの原型となったものだとされるスピーカー写真です。解りやすいように、下にパラゴンを並べます。
世界初のステレオLPが出た1957年に、アーノルド・ウォルフ氏によって、パラゴンのデザインが決定されているので、これはそれ以前のデザインということになる。ちなみにステレオ録音そのものは、1954年に行われています。
当時既に、ステレオ用のハードウェアの開発が行われていたのは間違いない。ソフトより先に発売することは無くてもだ。
原型低音ホーンの写真を見ると、パラゴン用というより、最新ホーンスピーカーのアバンギャルドのデザインに似ている。
原型とされるものと、実際に発売されたJBLパラゴンとを比較すると、どう見ても、二つの関連性は高くは無い。
原型のデザインはステレオ用というより、モノラル時代からのデザインの伝統を受け継いでいるように見える。
それだけ、アーノルド・ウォルフのインダストリアルデザインが、斬新なものであったということだろう。
また、原型のホーン構造では、巨大ではあるが、パラゴン特有の【バックロードホーン的な効果】は望めない。
パラゴン・プロトタイプに比べると、完成したパラゴンの構造は、恐ろしいくらいにコンパクト化されたのが解る。
銀ケーブル使用半年後のレポートを追加記事として書き込みます。
私の装置には、以前から、一部分だけだが各機器接続ケーブルに、銀を含有したケーブルを使い始めていた。
本格的に導入したのは、2006年9月からのCHORD社製ケーブルが発端で、RCAピンケーブルに[ CHORD 社製] CHORUSを、スピーカーケーブルにも同社EPIC TWIN を2006年9月10日より使用。約半年を費やして、変化量が大きかったスピーカーケーブルも落ち着いてきたので、この記事を書くに至りました。
私より遥かに以前から、近頃のオーディオマニア達のあいだでは、銀を含有、あるいは純銀製のケーブルが使われるようになっていた。
それぞれにメーカーごと特徴があるし、高額故に全てを試してはおらず、いっぱひとからげには決めつけられないのだけれど、それでも、ある程度の傾向というものはあって、高音域が強調されたり、きらびやかになったりすることは良く知られている。
ナロー系のサウンドで鳴らしている人が、これらの銀ケーブルを使って、欣喜雀躍する様子も良く見聞する。
それは、いわば、割れ鍋に綴じ蓋的な要素があって、銀を使ったケーブルだから音が良いということでは無かろう。
個人的には銀ケーブルは好きでは無いのだけれど、現状に甘んじていては進歩が無いのだし、面倒なことになりそうだという予感は有ったけれども、徐々に銀ケーブルを一部分に取り入れてきました。
★写真左はスピーカーケーブルEPIC TWINの2組・パラゴン用は長いケーブル、短いのはスーパーツィーター用★
右写真はJBLパラゴンを駆動するパワーアンプMC2500に繋いだ様子。黒いのが EPIC TWINで、白ケーブルはST用のネットワークに繋がれており、ネットワーク経由でスーパーツィーター045Beに接続。
私の使うケーブルは、芯線全部でも2ミリ程度の細いものが多くて、極太のケーブルは滅多に使わない。
私のオーディオはパラゴンを使っているとはいえ、既に広帯域再生が出来ているので、銀ケーブルに替える度に、スピーカー側ではツィータースピーカーレベルを、下げる必要が出る。
それだけでは足らないほど、音バランスが変化するのが、スピーカーケーブルに銀含有ケーブルを使った場合だ。
プリアンプのトーンコントロールと両方を使って、高音域を下げなくてはならない。これが結構面倒だから、嫌いなのだ。
さらに面倒なことは、銀ケーブルは3ヶ月とか半年か経つと、徐々に音がこなれてくるので、その都度、微調整が必要だ。
採用当初は高音域が上がり、華やかな音が出るが、落ち着いてきたときの変化量は、銅製ケーブルの比ではない。
それに対応して少しずつツィーターレベルとトーンコントロールを元に戻すというか、上げていく必要性が生じる。
毎週ごとに、パラゴンの後に手を回してボリュウムを動かしたり、アンプの5バンドボリュウムで調整するのだ。
そして最終的には、最初に書いたような状況となって、変化量が落ち着いて音楽を聞ける状態になった次第。
CHORD社製ケーブル導入後約半年で、昔の銅製ケーブルを使用していた頃のボリュウム位置にもどったのだ。
毎日朝から晩まで聴く私でこの有様だから、一般の人なら3年間ほどかけて、変化に対応しなくてはならないだろう。
重要なポイントを書いておくが、【昔の銅製ケーブルを使用していた頃のボリュウム位置にもどった】と書いたが、それはバーンイン完了後だからこそ、昔の銅製ケーブルと今の銀ケーブルとが入れ替わったと言える。
機器ボリュウム位置の外見は昔と同じだから、今の現状こそが【純然たるケーブルの音質差】なのだとも言える。
だから当初の、高音が出る出ないとか、ビールの味みたいにキレが有るとか言う、初歩的な低次元の話ではない。
銀ケーブルに交換したら高音や低音がどうしたなど、一月も経たないのに解ったようなことを言うのは、いかがなものか。
小学生が聴いても解る程度の【音の物量差】のことを、いい大人になっても言うんじゃありません!。
私のマッキントッシュ製プリアンプは分割トーンコントロールが使えるので、銀ケーブル交換変化に対処出来るが、なんのコントロールも出来ないプリアンプを使っている人は、かなり多いと思われる。彼等はどうしているのだろう?
CDプレーヤーからパワーアンプに繋ぐようなピュアリズム信奉者は、銀ケーブルに替えたときはどうしているのか?
もし、キチンと広帯域再生が出来ている装置に銀製ケーブルを使うと、当初、大きくバランスが崩れて直せないだろうに。
現代のケーブルでは、経年による変化を【バーンイン】と呼ぶらしい。
昔は新品スピーカーを買うと、エージング(早く言ってしまえば劣化による高音域減衰)が必要と言われていた。ケーブルのバーンインは、年月というものが介在するけれども、同じ経年変化ではあっても、スピーカーエージングとはまた違うものらしいと、今までの経験から感じています。
★写真左上が短いEPIC TWINを使って、スーパーツィーター045Be・ネットワーク間に繋いだところ。
他の3枚は CHORD社製のCHORUS【RCAピンケーブル】の写真です。★
次いでの話しだけれど、
RCAピンケーブルに比べてXLRバランスケーブル接続が良いというのは、理屈の上での話である。
私のように自分で聴いて判断するという立場からすると、接続方法の差は、実用上では些少なことに過ぎない。
線の材質が違う製品比較では、XLRバランス接続が劣る逆事例は、私にも経験済みだ。
実用試聴経験から導かれる結論は、実際のケーブルの優劣とは、個々のケーブル商品の絶対評価で良い。
つまり、メーカー試聴室でもない我々のような実際の音響現場においては、接続方式による差より製品差が大事。
これは、部品による音質差を論じても実用上は役に立たないということに、良く似ています。
一例では、アンプの音質を決定する要因として、各部品の優劣を個別に批評することは別次元、ということに似ている。
勿論、真空管のように品質が安定していない部品などは、この範疇にさえ入らない事柄で、人間の個人差と似ている。
最後に、たかがケーブル、されどケーブルという事柄を、申し述べておきます。
それなりのケーブルを使えば、ケーブルによる音の変化は大きいので、有用ではあるのです。
ただ、そこには高額ケーブルだからといって、良い成果が得られるとは限らない現実が有るし、ケーブルに頼って音響構築をするのは、あくまで補助的であることを、良く認識する必要があります。
http://fukuroo3.com/paragon9.html
JBLパラゴン _ その歴史と伝説
◎解りやすくする為に各ユニット変遷によって、時代毎に大分類しておく事にする。分類基準の基本はウーファユニットによる。それぞれウーファ(低音域)、スコーカー(中音域)、ツイーター(高音域)の三種類組み合わせによって分類する。
☆初期型=150−4C、375、075 = 1957年8月に一号機完成・1958年春から発売され、1964年まで製造。
☆中期型=LE15A、375、075 =1964年から1979年まで製造された。
☆後期型=LE15H、376、075 = 1979年から1983年まで製造された。
※中期型は最も数が多く、古い16Ω仕様のものと、その後の8Ω仕様のものがある。
製造番号が930番あたり以降は8Ωで、750番あたりより古い製造番号は16Ωだったことは解っている。
この中間に170台ほどのパラゴンが存在し、その中のどれか2台が、16Ω時代と8Ω時代の分かれ目になっている。
※注=2005年8月にインターネット上にウーファユニットにLE15Bを使った一台を見た。
これは1961年あたりの僅かな時期に生産されている。私の分類では初期型としておきます。
ただ、これは裏蓋が改造されており、LE15Bが後付である可能性が有る。
製作年代別の分類方法は、ウーファ以外にも考えられるが、年代特定が難しく、煩雑すぎるので単純にウーファユニットによる大分類のみとした。
なぜならば、ウーファユニットのみが、生物学で言うところの「標準化石」になりうる年代測定要因だからです。
注=エンクロージュアのみの型番はC44で、これにユニットシステムが組み合わされて箱形式がD44000という形式名となった。
◎最初に元社長のアーノルド・ウォルフ氏の話から紹介する。
「スピーカーの歴史上でも、D44000パラゴンほど神秘的伝説に包まれ、切望され続けたスピーカは無かった。ユニークなデザイン方針に基づいた画期的な製品であり、JBLが製造した他のいかなるスピーカーシステムより長い期間製造され続けた。パラゴンは1957年から1983年まで、25年間の長きに渡ってJBLの生産ラインに残り続け、約1000台が生産された」
以上が アーノルド・ウォルフ氏による証言と解説です。
私見=日本の記事では1988年まで31年間製造とされているが、販売カタログに残っていたのが1988年までと言うことであり、アーノルド元社長の証言通りに、実際の生産そのものは1983年で終わっている。製造期間は約25年である。
その後の1988年までの5年間は、在庫一掃までの期間です。
最後期型は350万円の値段をつけて販売しても赤字だったので、JBL社としては早く生産をうち切りたかったようだ。しかし、アーノルド・ウォルフ社長が若い頃JBLに入社する時のプロジェクトがパラゴンであったし、長く、同社の最高級フラッグシップモデルでもあったから、赤字でも作らざるを得なかった事情もあろう。
価格の推移も書き留めておく。後期型パラゴンの定価は350万円だが、最後期前のパラゴンは長い間220万円で推移していた。
最も古い初期型は168万円、1970年頃には1736000円、1974年1552700円等と、ドルと円との相場による変動があった。
30年〜50年ほども前の価格であるから、現代の貨幣価値と置き換えて考えるべきで、当時は途方もない高額品であったのだ。
解りやすく言うと、当時の一般人給料税込み3万円で116ヶ月ぶん。現代人給料は丁度10倍の30万円だから、現在価値置き換え3500万。
勿論パラゴンの他に、相応しいアンプやプレーヤーも必要だし、なにより一軒家が必要だ。頑張っても一般人には買えなかった。
価格推移例の一覧・後期のWXA表示品は搭載SPユニットが違う
JBL Paragon D44000= \1,552,700【1973年頃】 \1,600,000【1980年頃】
JBL Paragon D44000WXA= \2,200,000【1982年頃頃】 \2,800,000【1983年頃】 \3,500,000【1985年頃】
◎パラゴンの基本設計者であるリチャード・レィンジャーの事も明記しなくてはならない。
マーク・ガンダー氏とジョン・イーグル氏の語るところによれば、リチャード・レィンジャーがJBL社に来た経緯は良く解っていないというが、近年、その経緯は明らかになってきた、
彼はLBL社に来る前は、映画の録音再生技術開発をしていた【レインジャートーン・コーポレーション】のオーナーだった。ブロードウェーの劇場で使われた最初のアンプ音響装置を、リチャード・レィンジャー が設置した事が知られている。
リチャード・レィンジャーは、パラゴンの基本設計を持って、リチャード氏がJBL社を訪れて、ビル・トーマス社長に逢い、反射パネルを用いたシアター用システム設計を、家庭用のスピーカーに応用することを提案した。
パラゴン誕生の始まりであった。
リチャード・レインジャーの設計だけで、パラゴンが完成したのではない。日本では、いとも簡単に、リチャード・レインジャーの設計によってパラゴンが出来たと書かれていることがあるが、机上の設計だけで製品が出来上がる訳もなく、特に最も難しい低音ホーン形状に関しては、未完成の部分が多かった筈だ。
リチャード・レィンジャーの専門的技術によって、単独システムによる拡散方式がJBL社にもたらされた事が、パラゴン誕生のきっかけとなったことは間違いないのだが、忘れてはならないことは、paragon誕生を実現させるには、天才的デザイナーのアーノルド・ウォルフ氏の登場を待たなければならなかったということだ。
◎ あまり知られていない事だが、その開発当初は、075ツィーター抜きの2ウェイスピーカーとして設計されていた。アーノルド・ウォルフ氏によって、1957年の8月に四週間かけてパラゴンのデザインが決定され、完成したモデルは3ウェイであった。完成する前年に、075ツィーターが開発発表されていたので、パラゴンはJBL最初の3ウェイスピーカー・システムとなったのだ。
また、パラゴンはハーツフィールドタイプのコーナースピーカーの間に置かれるセンターチャンネルスピーカーとして考案されたものだった。つまり、現代のAVホームシアター用センターSPに相当する訳だが、この考えの技術的なコンセプトは1930年代ベル研究所によって行われた研究調査に基づいており、最も安定したステレオイメージはセンターチャンネルスピーカーの設置によってもたらされるという考えに基づいている。
私が思うには、現代の5.1 映画サラウンドでも、ホームシアター映画のセリフを明瞭にする為にセンタースピーカーは必須とされているけれど、元をただせばベル研究所が発信元なのか!なんという先見性!
この考えは1930年に既に存在していることに驚かされるが、この事からもスピーカーというのは進歩が極めて少ないオーディオパーツだと思う。
AV用センタースピーカーとして家庭でパラゴンを使うのは費用からもスペースも大それたものだったから、結局は独立型スピーカーシステムとして世に出る事になった。
フクロウさんはホームシアター用としてパラゴンを使っているが、自ずとセンタースピーカーとなっている。
◎パラゴンの製造プロジェクトは、どのような経過をたどったかを、私の調べに基づいて、補足をまとめておきます。
リチャード・レィンジャーの基本設計を元にして、デザイナーだったアーノルド・ウォルフによって開発が行われた。
初代社長であり天才技術者だったジェームズ・バロー・ランシング氏(本名はジェームズ・マーティニ)の死後に会社を受け継いだウィリアム・H・トーマスは、当初はコンサルタントとしてアーノルド・ウォルフを1957年に雇って、パラゴン製造開発プロジェクトチームを発足させた。
なお、このチームには銘器ハーツフィールドを世に出したウィリアム・ハーツフィールドも加わっていた。そしてアーノルド氏はパラゴンを世に送り出した衝撃的なインダストリアル・デザイナーとして有名になった。
この経緯から、パラゴンを生み出したのはアーノルド・ウォルフ氏ということができよう。なぜならば、基本的アイディアはリチャード・レインジャー氏によるものだが、工業製品としての具現化には、机上の理論だけでは不足で、具体的な設計とユニットビルトイン、総合的なデザイン等に負うところが大きいからだ。
A・ウォルフはその後1969年にJBL社長に就任した。1979年に来日した後でJBL社を退職するまで約9年間、社長を務めた。彼の退職後三年でパラゴンは終焉を迎える。
○パラゴンは組み立てが非常に複雑なシステムで、困難な手作業によって作られた。
1960年代では一台のシステムを完了するために一人で112時間が必要と見積もっていた。多くがキャビネット仕上げに費やされていた。粗組み立てが終わると、約8時間をかけてエンクロージャー全体に磨きかけた。そして次に別の人の手でオイルのシングル・コーティングをして、ひと晩乾燥させた。
その翌日、オイルフィニッシュを2度行い、さらにその後6時間かけて最終の仕上げをした。まだ終わりではなく、最終仕上げの後ワトコオイルによるコーティングは更にもう一度かけられて、手で磨かれた。
(※明記しておきますが、このドン・マクリッチー氏が詳細な取材をした記事には、米松(ベイマツ)がパラゴンに使われたという文章は無い)
パラゴンの仕上げには知られているワトコオイル仕上げの他に、1960年代前半までは、ウォルナット、トーニィ・ウォルナット、マホガニー、及びエボニィの四種類の仕上げが選べた。そして、値段は高くなるが特別オーダーとしてピアノラッカー仕上げも注文できた。
○パラゴンの業務用機種が存在した。
マークガンダー氏とジョンイーグル氏の語るところによると、パラゴンのオリジナル構造では2つの150−4Cバスドライバーが別々に正面のホーンに装填されていました。
2つの375コンプレッション・ドライバーはH5038P - 100楕円形ホーンに装着され、それぞれがカーブしたパネルの一面に向いていました。
又、2つの075リング・ラジエーターはキャビネットの後部にマウントされていてセンターのリスニングポジションに向いていました。
ドライバーは500hz と 7000hz にクロスオーバーしていました。
パラゴンの家庭用機種が導入された頃と同じ時期に、スタジオモニタリングとステレオ映画音再生のようにビルトインで使う目的の業務用機種がありました。しかしながら、このような需要はそれほど大きいものではなく、業務用変形機種は間もなくラインアップから消えた。
☆ パラゴンの変遷についての詳細
ドライバーは何年もの間様々な変更がなされ、細かい部分の経緯は現在は不明な点が多い。
当初のウーファユニット150−4Cは、ハーツフィールドにも使われていたものだが、1959年にLE15Aが新たに開発され、1964年にはウーファーがLE15Aに変更された。
また当初、1963年に開発されたスピーカー内蔵用パワー鞍部の、SE401後のSE408S型)がキャビネットにビルトイン出来るようになった。
注文時点で、最初からパラゴンにパワーアンプ付加システムを買えるオプションが導入されていた。
しかし、このパワーアンプ付加オプションは70年代までには行われなくなった。
◎ウーファユニットLE15Aを使用したパラゴンを中期型と分類したが、この中期型は長い年月に渡って作られ続けた事もあり、全製造機の95パーセントほどと推定される。2%ほどが初期型、残り3パーセントが最後期型に分類されると、私なりに推測している。
後期型パラゴンは1980年以降となるが、それはスピーカーユニットが1979年に開発されたフェライト磁石採用ユニットによつて、かつてない大変化を遂げる事による。1980年に、JBL社の全てのバスドライバーのマグネットがアルニコ磁石からフェライト磁石に変えられたのだ。その変化に伴い、1979年にはパラゴンのウーファが、LE15Aからフェライト磁石のLE15Hに変えられ、翌年の1980年には、中音ドライバーユニットの375も最新型の376に入れ替えられた。
こうしてパラゴンの再生音は大きく変わった。
私の所有する最後期型には遺物のごとく残っていたビルトインパワーアンプ用のメクラ蓋は姿を消している。
このメクラ蓋が無くウーファユニットにLE15Hが入っているパラゴンは、完全なる最後期型の証明になると私は思っています。
古いパラゴンのメクラ蓋は、8Ω仕様になった比較的新しいパラゴンでは作られなくなり、フラットな裏蓋になっていますが、このメクラ蓋の用途は、JBLではエナジャイザーと称している、ビルトイン用パワーアンプの為のものです。
このパワーアンプは、オブションで注文が有れば取り付けられ、スピーカーシステム毎に特有のカードが差しまれる形式のものです。
つまり、パラゴンにはパラゴン専用カードが刺し込まれたビルトインパワーアンプが用意されました。
エナジャイザーは、当初はSE401E型で、その後はSE402E型。後にSE408E型がある。
○追記で、面白いエピソードを紹介しておきます。
この頃の日本では。アルニコ神話が囁かれていた時期で、頑固なアルニコ信奉者が「昔は良かった」と、発言していた。日本のステレオサウンド誌にパラゴンを所有しているオーディオ・ファイルグループの記事が掲載され、その発言の要点は、
「みんなアルニコが良いと言っているが、ことパラゴンに関する限りはアルニコよりもフェライトを使ったLE15Hの方が良い。だからパラゴンをパラゴンに買い換えた」
というものだった。私のような貧乏人は一回パラゴンを買うのに苦労したが、この方々はLE15Hを採用したパラゴンの音の変化を、ただごとではない大変革と聞き分けたが故に、アルニコのパラゴンをフェライトウーファ入りのパラゴンに買い換えたと推測する。
JBLパラゴンについて☆その歴史と伝説=No2
1978年のステレオサウンド記事に、菅野氏の話しが対談形式で次のように報告されている。氏の報告は信頼できます。
菅野氏がJBL社を訪れた時、日系二世の加藤さんが、たった一人でパラゴンのエンクロージュアをコツコツと作っていたと報告している。また、加藤氏が居なくなればパラゴン製造はできないだろう、という事も話しておられた。
加藤氏の父親は一世で指物師であった。加藤氏はその技術を受け継いでいたが為にJBL社に雇われていたのである。後期型のパラゴン製造時期は1980年以降であり、その前年の1978年にはフレッド・加藤氏がただ一人残ったパラゴン製造職人となっていた。よって後期型であれば加藤氏が一人で作り上げた製品と断言できる。
フクロウさんも自分のパラゴンのどこかに加藤氏の銘が刻まれていないものか、と、捜してみたけれど何も無かった。しかし、刻まれていなくても間違いなく私のパラゴンは加藤翁製作である。少なくとも1978年以降は加藤氏の単独製作だったのだから。
ここで忘れてならないのはユニットは工業製品でも、独特の低音ホーンを持つ特殊エンクロージュアは特注楽器製作そのものです。パラゴンのような楽器型スピーカーという製品は「箱」であるエンクロージュアで音の善し悪しが決定することも、忘れてはならない。
最後期型ドライバユニット入りは1980年からとされるが、一ヶ月に1台か2台のペースになっていた。最後期型は1979年から1983年の約三年間ほどしか作られなかったのだが、世界に冠たるJBLのフラッグシップモデルのパラゴンが、日系二世のご老人が一人で作っていた事は驚くべき事だ。
製作職人は既にご高齢だった加藤翁ただ一人なのだから、三ヶ月に二台のペースとするのは多すぎるかも知れない。1982年頃には売れなくなっていた事も知っているので、平均製造ペースは最後期になると減少した筈です。市場原理が働きますので、売れなくなったパラゴンは製造台数は減少する。製作職人が1人だけになったのは、注文が減ったからです。
これで計算すると年間8台がやっとだろう。三年半で28台だ。加藤ご老人が一人でこんなに作れたのかは疑問ではある。だから最後期型は全世界に40台程度と思われる。全体の3%と私が推測する根拠はここにある。
1980年以降は日本向けだけに製造されたのでは無いと思われるので、現在日本に最後期型パラゴンは何台存在するのだろう?。
追記=2002年の8月に、予想として後期型はほとんどが日本に輸入されたように思った。欲しがる人が日本人に多かったからです。
また、ユニットを入れ替えて後期型として並行輸入された偽の後期型が多数存在すると思われるふしがある事は別記に記す。
追記=2006年8月に製造番号刻印039の後期型パラゴンが報告され、どうやら45台ほどの後期型が有ると推測されました。
JBLパラゴンについて☆その歴史と伝説=No3
◎ステレオサウンドNo60=1981年の秋号によれば、同誌の評論家達によるパラゴン視聴は後期型で行われたが、試聴記によると、いつも酷く悪い音で鳴っているパラゴンばかりをあちこちで聞かされていた評論家達が多かったようだ。鳴らし込むのに大変な努力を必要とする事は、前期・中期・後期型を問わず、同様に難しい。
岡氏「上手く聞こえたためしがなかったが、非常に認識不足だった」
菅野氏「今日、ここで聞いたパラゴンの音は、大変素晴らしかった」
瀬川氏「パラゴンを鳴らすのは並大抵のことではない。本当はもっともっと凄い音がするのだが、今日は54畳の空間の有る部屋のせいか、まぁまぁの音が出た」
瀬川氏だけは、何人かの個人宅で、良い音で鳴っているパラゴンに出会っている。
ここでは明確に書かれていないが、評論家諸氏が以前に聞き馴染んでいた初期&中期型のパラゴンと違い、この試聴記で使用したパラゴンが後期型だった為に、意外なほど良かったと思われるふしがあるのだ。私が自宅で始めて鳴らした時に、予想外に良かった事を覚えている。
購入前には私自身も、どこで聞いても良く鳴っていないパラゴンばかりであった。購入先の店員もパラゴンを鳴らすのは至難の業だと、念をおされた上で買ったのだ。だから、初音出しでは、さぞヒドイ音だろうと思ったのに、意外にまともな音が出たので、まぁこれならこの先なんとかイケる!と大変嬉しかったのを覚えている。
さて、話を戻すと、ウーファにLE15Hを使い、スコーカードライバを376に替えた最後期型は1983年に製造中止になるまで生産されたが、その生産数は40台程度と、ごく僅かだったろうと予想される事は既に述べた。
パラゴンの再生音は、いよいよ高みに上り詰めていったのだが、生産はそれと逆行して減少の一途をたどる。
あまりに複雑な製造工程と完全手作り製品ゆえに、世界の工業需要から離れて行ったのだ。採算性が悪い事も生産打ち切りの原因だろう。
JBLパラゴンについて☆その歴史と伝説=No4
◎ パラゴンをビンテージ・スピーカーとして購入希望者が未だに居ますので、パラゴンを手に入れたい人の為に、私からのアドバイス。
日本では喫茶店等を開店するにあたり、中古のパラゴンを買い求める人もいる。姿があまりに美しいからだ。時々、ステレオサウンド誌で地方のオーディオ店から出物が有ります。
輸送料はかかりますが、確実なのはアメリカ中古市場から買い求める事です。
2001年当時には、LE-15Aを使用した中期型が、アメリカのコレクター市場で二万ドル(270万)以上の値で売られていました。
日本でも中古を250万円前後で売られていると思うが、ほとんどは製造台数の多い中期型です。
初期型はユニットが劣化し過ぎたものも有るので勧められない。半世紀前の製品となると、箱の保存状態の良いものは少なくなるのが道理。
音が出なくても、飾り棚代わりに欲しいという人も居るので、そういう方なら初期型でも良い。気持は解る。
もし最後期型中古を安値で売っている店が有ったら、その店は価値を知らない訳でビッグチャンスです。良く乾燥したエンクロージュアの後期型パラゴンを中古で入手するのは至難と思うが、もし存在すれば、この世のパラゴン中で僅か3%の当選くじとも言えるので稀少価値が有ると思っています。
湿気で音質が劣化しているパラゴンは安くても買ってはいけない。
長年オーディオファイルとして過ごして来た夢追い人の行き着く先が、このスピーカーなのかも知れない。四十代まで最新型スピーカーを変遷したオーディオファイルが懐古型スピーカーに辿り着く、という話は良く聞くことだ。
◎ パラゴンの製造に関しては他にも面白い事がある。まぁ、伝説になるくらいだからエピソードに事欠かない。
それは完全な設計図というものが存在しないことです。設計図はパラゴン製造工場の職人の頭の中にだけ存在しました。
また、興味深いことは、家庭でスピーカーを制作してみよう、という腕に覚えのある人向けに、JBL社から各パーツの寸法などが書かれた設計図が、1960年代に販売されていた。ユニットはJBL社から買い足して取り付ける、ということだが、家具製作者なら出来たかもしれない。
その設計図はJBL本社においても、今では消失してしまっているという。これまた正に伝説と化した所以だ。
☆追加記事=2003年に、アメリカの市場でこの設計図が売りに出されました。
それは片側だけの設計ですまされており、細部については、制作者の技術にゆだねられる性質のもののようです。
やはり、伝説どおり、パラゴンの設計図は熟練した職人の頭の中にだけ存在し、設計図があれば誰でも製造できるというものではない。ですから、パラゴン職人は日本の神社仏閣を造る宮大工のようなものだと思えば良い訳です。
☆追加記事=2006年では、CD-ROMにより、paragonや他のエンクロージュアの設計図が、ネット販売されているのを見ました。
日本のメーカーがパラゴンのレプリカを作っているが、聞いた人の話では異口同音に、まったくオリジナルとは違う音がしているとの話でした。
○パラゴンは、一台ずつ、微妙な違いがあります。
勿論、アーノルド・ウォルフの設計は存在しますが、実際の製作現場においては、一台のパラゴンから別のパラゴンにそのキャビネットパーツを代用するのは不可能だったのです。同じ製造職人であっても、一台一台が、それぞれに微妙に形状が異なっているのです。
この事からも解るようにパラゴンとは、木工職人が世界に一台のみのカスタムメイドとして作ったスピーカーなのです。勿論木目模様は一台一台違うし、塗装の色合いも一台一台が独自の色合いを持っているのは、このためです。
ちなみにフクロウさん所有のパラゴンは、やや赤みを帯びています。足材の紫檀が塗装時点で赤みを帯びる木材だったので、その色に全体を合わせたのではないかと思われる。
現代でも手作業によるスピーカー製作は行われているが、ここまでクラフツマンシップに満ちた製品はスピーカー史上に無い。
JBLパラゴンについて☆風評に惑わされず本質を見極めよう=No5
○さて、パラゴンという名前の由来から、話しましょう。
パラゴンというのは直訳すれぱ「規範」ですが「極上の品、逸品、完全なるダイヤモンド」という意味合いから名付けられたニックネームです。
○良く知りもしない「知ったかぶり」の人達は、パラゴンは既に過去の遺物だとか、良い音がするわけが無いとか、構造上からステレオセパレーションが取れないとか、定位がどうのこうのとか、本当にまぁよくもこれだけ、と、思われるくらいに様々な事を述べている。
実際のパラゴンは近代の広帯域ソースを楽々と再生するし、最新のスピーカー群を凌駕すると断言できる。さらにスーパーツィーター045Beを加えて4ウェイとすれば、超近代型システムとなる。
だから所有しても居ない人々が、パラゴンは過去の遺物みたいな物言いをするのは、完全に間違っている。困った無知蒙昧の輩である。これらは実際に所有して、キチンと使いこなした人の意見ではないし、稚拙な技術論を振りかざしただけの、実践無き空論です。完全調整されたパラゴンの音を聞いた事が無い、頭でっかちの軽薄な輩の言う事などは、無視して構いません。
店やペンションの飾り物として使われたり、人寄せの為に店に置かれているパラゴンが実力を出しているとは到底思えない。馬鹿とハサミは使いようと言うが、パラゴンは使い難いオーディオSPのなかでも、難しさは最右翼と言われるほど使いにくいスピーカーなのだ。
つまり、パラゴンは購入しても使いこなせない場合が多いという事例が多いスピーカーですから、オーディオファイルの方々であっても、良い音で鳴っているパラゴンを実際に聞いた経験を持っている人は、とても少ないと思われます。 絶対数からして少ないので、朗々と鳴るパラゴンに出会う幸運など、滅多に有ることでは無い事を知っておく必要が有る。
ジャズ喫茶とか、お店に置いてあるパラゴンが、如何にヒドイ音で鳴っているかは、今は亡き評論家の岩崎氏も慨嘆していたし、ステレオ・サウンドの評論家諸氏も、公共の場において、良い音で鳴っているパラゴンは極めて希だと言っておられる。ましてや、一般の人々の場合は、良く使いこなされて素晴らしい音が出ているパラゴンに出会うことは至難であろう。
私も経験があるが、店の飾りとして置かれたJBLパラゴンならば、外見を眺めて、貧相な音を聞くことくらいは出来る。
○ハイエンドクラスのオーディオは車などとは違う機械であり、使う人の文化程度が問われる機械なのは、言うまでもないことだ。世界の銘器と言われるものほど、使い方によっては普及品機器に劣る音を出す恐れが有るのを忘れてはならない。例えて言うと、これから絵を初めて描く人が顔料や絵筆を買い求めれば、それだけで優れた絵が描けるわけでもないだろう。プロカメラマンが使う最高級カメラを買ったからと言って良い写真が写せるとも思わない筈だ。
なのに、なぜかオーディオだけは一千万も出したから良い音だろう、などと阿呆な事が平然と言われるのだろうか?不思議でならない。一千万出したのか、それじゃあ〜さぞかし苦労するだろうねぇ、この先の音創りが大変だね、というのが本当の話しなのである。
つまりハイエンドオーディオという世界は、使い手の技量、知識、文化芸術性が問われる趣味なのである。物を買って少々いじれば完了するような安易な世界では無い。お金持ちの道楽として買われたパラゴンが、使いこなされずに放置されているのを、多々見聞する。そういう不幸なパラゴンがなくなることを祈って止まない。
JBLパラゴンについて☆要は使いこなし次第=No6
○300万円程度の初心者クラスでは、費用と音が比例して良くなるという幸福な世界だが、その初心者オーディオを囓ったくらいでは、奥深いハイエンドオーディオの世界を知るはずも無かろう。40年前ならいざしらず、現在ではは貨幣価値が変わっている。何事も、時代を無視して並列視は出来ない。大人が生涯続ける趣味が、たかだか乗用車一台分だなんて、とても言えたものでは無い。貧相過ぎる。
○昔の銘器と言われるスピーカーは中身のユニットよりも、箱に桁違いの製造コストをかけていました。
タンノイのオートグラフも、中のスピーカーよりも箱が十倍もした。未だにビンティージものSPを欲しがる方々は、この箱鳴りの響きの美しさに惚れたからです。いわゆる、これらが楽器型のスピーカーと言われる所以です。
パラゴンをクラシック専用みたいに思ったり、昔のジャズ喫茶で使われていた記憶から、ジャズ向きだと勘違いしている人も居ますが、このクラスになれば、あらゆる音楽をパラゴン流に料理して聞かせてくれます。 使う人の、人となりに応じた歌い方で鳴らし込めば、十二分に期待に応えてくれるでしょう。
フクロウさんは主にカントリー&ウェスタンの女性ボーカルを聞いており、以前に良く聞いていたクラシックよりも比率が高くなりました。私の場合は、パラゴンで聞くボーカルは魅力的で、歌手が歌っているというより、パラゴンが歌っているという言い方も出来るほどです。つまりパラゴンは、箱であるエンクロージュアの造りの良さからきているたっぷりとした低音域と、ふくよかな美音が魅力なので、女性ボーカルが、特に魅惑的に聞こえるのだと思います。
昨今のスピーカーは、こういう箱鳴りを排除して音作りを目指しているものが多いが、それは逆に見れば、そういう良い音がする箱はお金がかかりすぎて作れなくなったから、という要因も有ると思う。
こういう経緯と観察から、パラゴンはオーディオ的な拘りが強いジャズ愛好者には向いていないと思うのだが、音響創りは人様々で良いでしょう。
閑話休題、ユニットそのもので音が決まるシステムは作りやすいのだ。大量生産して利益を上げるには工場ラインに乗る形式が都合が良いのだし。つまり、単に製造メーカー側の面倒すぎるからという理由で、優れた箱作りスピーカーを断念したにすぎないと、私は推測します。何故かと言うとパラゴンが造られなくなった要因は、このエンクロージュア製造コストにあったからです。
人間の声が声帯のみであれば深みのある声にはならないように、パラゴンは箱鳴りする共鳴部分がかなりの要素を占める。そこがパラゴンの長所でもあり、短所でもあるのだが、わざわざ、このようなたいそうな箱を採用するには、それなりの理由がある。複雑なエンクロージュアであればあるほど、使いにくい面もあるが、独自の効果もあるわけだから、長所を伸ばすことだ。
こういう方向が嫌いな人は、同じJBLでもモニター系の、4343から4344、そして4350等の一連のプロシリーズから選択すべきだろう。スタジオモニターシリーズ・スピーカーは大嫌いで、私自身は絶対に使いたくないスピーカー・シリーズであるけれども。
日本で人気のモニター系のスピーカーは楽器型と反対の音が特徴だが、私にはこれが家庭用として音楽を楽しむシステムと思えない。ジャズしか聞かない人なら構わないだろうけれど。家庭においてモニター系のスピーカーが、これほど使われているのは日本人だけの特徴らしい。
○私はパラゴンよりさらに古い時代に家庭用として製造された蓄音機のクレデンザとか、アンテイークな大型のオルゴールの音もまた、素晴らしいと思う。新しい古いで物の価値が決まる筈も無いし、真の価値を見極める眼は、何時の時代も変わりはしない。
機械測定に優れた成績を示すスピーカーは、人間が音楽を楽しむ製品として落第するものも多い。
○上杉研究所の上杉氏くらいになれば別だが、素人の自己満足に近いアンプ制作者は多い筈だ。そういうアンプ等を自作できる人の中には
「高級オーディオ機器と言うのは安物部品を使って高額な値段を付けて売っているのはけしからん、私ならこれを1/10以下の値段で、もっと良い音のするものを作れる」
といったことを言う人は、昔から沢山居た。
「海外ブランドなんて、こんな性能の悪い部品を使ってイモハンダ付けをしてる」
とか技術的な面だけで判断するのも大間違いだ。これらは、なまじハンダゴテを握れる人が陥りやすい低次元の話しである。アンプもスピーカーも絵で言えば、絵の具や絵筆等の道具に過ぎない。アンプが作れるという事は、絵筆が作れるという次元の話しである。プロの絵描きの書いた絵が、絵の具代金や無地キャンバスの値で価値が決められる訳では無かろう。アンプは作れても、たいした音は創れない人達は、大概こう言って逃れる。
「それは、この部屋が良くないからだ。部屋さえキチンとした所ならねぇ〜・・。
そういうオーディオルームを作るには一千万はかかるだろうし」
などと言う。私はこの手の言い訳は聞き飽きた。部屋は大事だが、恵まれない部屋の問題くらいは乗り越えなくてどうする!。そんな腕では、オーディオの熟達者とは言えまい。
JBLパラゴンについて☆続・要は使いこなし次第=No7
○「良い音で鳴らすには最終的には部屋です。でも、その費用は一千万はかかるでしょうねぇ〜」
と、うそぶく人達は300万程度の初心者くらいの装置を使用しているのか?
オーディオは悲しい事に機械が無くては始まらない趣味で、お金のことを持ち出すのは本意ではないが、どんなに貧乏でも情熱が有れば、自然に費用はかかってしまうものなのだ。オーディオに対しての努力の有りようは様々だろう。自作スピーカーをコツコツ作るとか、ハンダゴテで真空管アンプを作るとかだけが努力では無い。自作派の方々の装置はホビーとしての楽しみが大事であって、究極の美音を創るアプローチでは無い。似て非なる趣味です。
自作するよりは、耐久性とかメンテナンスの面倒をみてくれるメーカー製の機器が良い。オーディオの天才技術者では無い一般人は、ハイエンド・オーディオへの近道は労働対価で装置を購う方が絶対に早いのである。部屋が最後と言う方達には、部屋の費用とやらの半分の500万円でも使って、メーカー製のSPを買えば、貴方の作ったガラクタアンプに頼るよりも、良い音を作る可能性が出てくる筈である。と、明言する。
○フクロウさんの場合は、部屋よりも装置である。というより部屋なんぞにお金をかけるくらいなら、装置にお金を使わざるを得ないほどの貧乏人だからだ。
装置に1400万かけるのが精一杯で、部屋の改造で何をしたかと言えば、300キロはあろうというパラゴンの重みで床が抜けないように自分で床下の補強工事をしたくらいだ。私の部屋は何の音響補正もされてない部屋であるが、充分に良く鳴っている。
ステレオサウンド誌の菅野氏のレポートによると、立派なオーディオ専用部屋はかえって良くない音になりやすいという。菅野氏の自宅は、いろいろなものが置かれた居間で音を出しておられる。また、最近のステレオ・サウンド142号では、オーディオテクニカ会長の松下氏のオーディオルームが紹介されているが、趣味の陶器が雑然と置かれており、それが適当な音の拡散をして効果的だと菅野氏が言っている。これらの事からも、最初に言った「最終的には部屋です」という方達の意見は信用できないのだ 。
頭の中だけでオーディオをやりたい人は、スピーカーから音を出す事なく、アンプの段階で作業を中止するが良い。SPを使って部屋の中に音を出した途端に、彼等の音響理論は音を立てて崩れ去ってしまうからだ。SPを使わず、オッシロスコープの波形だけで満足しておれば良い。
JBLパラゴンについて☆パラゴンを使いこなす=No8
一人一人に対して一人一人の為のオリジナルパラゴンが存在すべきであって、唯一万能なパラゴンの使い方はこの世にあり得ません。他人の調整したオーディオというものは、ハイエンド・オーディオにはあってはならないものです。
[パラゴンは育ちのよいお姫様だと思いなさい。
貴方の思うような女にはなりません。教育しようなどと思わない事です]
私の所にやってきたパラゴンは、当初は良い音で鳴りました。買い求めたベテラン店員もパラゴンを鳴らすのは大変な事だよ、と、忠告してくれましたし、ステレオサウンド誌を読んでも、これほど使いこなしの難しいSPは無いとオーディオ界の誰もが口を揃えて言っていました。私自身も良い音で鳴っているパラゴンに一度も出会っていません。 全てがヒドイ音で鳴っていました。
輸入元の山水電気のショールームが新宿の宝ビルに有りましたが、ショールームで常時鳴っているのはオリンパスで、お客さんもオリンパスの方を聞きたがりました。私も二回ほどパラゴンで音を出して頂きましたし、他のお客さんのリクエストで鳴るのも試聴しました。本当に聞くに堪えない音で、このショールームのパラゴンは楽音を奏でる装置には思えなかった。同じJBL傾向の音ながら、オリンパスの方がマシな音でした。
本家のショールームでもこの有様ですから、他所でも
「パラゴンは姿は良いけれど、音の悪いスピーカー」
と酷評されているものばかりでした。
○にも関わらず、1982年の早春に私の所にやって来たパラゴンから初めて音が出た時、それまで使っていたJBL=L200型とは比べようもない可能性を明らかに見せたのです。良い音だったとは言っても、今と比べると完成度は雲泥の差でしたが、最初から「これはただ者では無いわい」と思いました。
私の入力系は当時のマイクロ製トップエンド機でLPデスク吸着も出来るもので、アンプ系はずっと昔からオールマッキントッシュでしたからパラゴンとの相性は良かったのです。最初の幸せな出会いでした。
これでは私も張り切らざるを得ません。長年培ってきたオーディオ・テクニックの全てを注ぎ込んで、素晴らしい音にしてやろう、と次から次へと対策を施しました。ところが、一進一退はするものの、大きく改善する様子も無く、悪くなっただけじゃ無いかと思える事も有ったのです。今までのオーディオで有効だったテクニックがパラゴンには通用しない事に途方にくれました。
対策で一番の大仕事はパラゴンのステージ作りでした。大抵のパラゴンは置き台の上に置かれていますが、ツイータの位置が低い事を解決する為に誰もが考える事です。皆さんが見たパラゴンは大抵ステージに乗っている事でしょう。
私は木工家具を自作していますので、完全乾燥した古い木造家屋に使われていた分厚い太い梁を使い、長さ三メートル奥行き80センチの巨大なステージを作ったのです。石のステージよりは木の響きが私は好みでしたから、木材を使ったのです。しかし、この大仕事も徒労に終わりました。
JBLパラゴンについて☆続・パラゴンを使いこなす=No9
○様々な対策を試みて三ヶ月経とうとしていた頃、ふと、パラゴンは生物で言うと別の生き物なのでは、と思い当たったのでした。これは今までの箱形SPでは無いし、中にグラスウールも詰まってなさそうだし、今までのSPが毛の生えたほ乳類ならばパラゴンは恐竜なのだろう。
振り返ってみると、数々の対策が全て悪い方向に行った訳ではなかった。
改善効果の有った対策の一群は、一定の方向性を指し示していた。それは例えば音を解放するようにと考えた対策などでした。反対に音を締めようとか、コントロールしようとかの意思をもって施した対策は、ことごとくはねつけられたのです。
ここでようやく私はパラゴンの正体の一端を見たのでした。
「そうか、これは育ちの良いお嬢様タイプなんだ。それもとびっきりの貴族かも。いや、お城住まいのお姫様クラスか?」
ううむ、誇り高いお姫様か、そういうことならば、私の言うことなんぞ聞いてくれそうも無いではないか。
そうなのだ、彼女の歌いやすいように歌わせれば良いのだ。何の制約も無くして、パラゴン自身が歌いたいように歌わせるのだ!
せっかく掃き溜めのような我が家に、美しい鶴が舞い降りたのだから、JBLパラゴンを歓迎しなくてはならない。
○今まで施した対策のほとんどを取り外しました。ステージ等も全て取り外して畳の上に薄いラワンの板きれを置いただけにしました。方向性としては、パラゴンを空中に浮かせたようにしてやる事でした。300キロも有るものは空中には浮かばないが、とにかく自由で解放された音にする方向性を貫く事だ。
そして、心機一転してセッティングをやりなおした直後に、歌い始めたパラゴンの音の素晴らしさに呆然として声も無かったのです。今までの三ヶ月ほどの苦労は何だったのだ。たった一日にして本来の姿を現した一瞬でした。
私はパラゴンに謝らなくてはならない。すまなかった・・間違った事ばかりを貴女に押しつけていたのだから。
解りやすく例えて言えば、パラゴンは青い眼をした金髪のグラマー美人なんですね。オッパイもFカップだろうし。それなのに音を押さえたりコントロールしょうとして日本女性サイズのAカップ下着を着せようと思っても、どだい無理だったのだ。胸がこれならお尻の方はもっと窮屈な思いをしたに違いない。歌うどころでは無かった筈だ。すみませんでした、パラゴン嬢・・。
そういう事ですから、楚々とした柳腰の日本女性がお好みの日本男子は決してパラゴンと暮らしてはいけません。この日から青い眼をしたグラマー美人は、お城のお姫様暮らしからフクロウの巣穴に同居するようになりました。育ちの良い姫君は、好きなように歌わせてくれさえすれば、ボロ屋でも全然気にしないみたいです。
ステレオ・サウンド誌の評論家は
「素晴らしい部屋でパラゴンを鳴らせば」
と、おっしゃっております。そういう方向のパラゴン再生もあるのでしょうね。贅沢指向の極みでJBLパラゴンを鳴らすというのも良いでしょう。この試聴は、日本の元貴族の豪邸という40畳はあろうという部屋でパラゴンを鳴らした時の報告でしたが、評論家の中にはこの40畳の部屋でも不足だ、と言う方も居ました。つまり、西洋の石造りのお城なら、もっとパラゴンが歌うのかもしれません。キリのない贅沢指向ですね。
そういうお城のような場所で暮らすパラゴンは、きっと厚手のシルクの豪華な衣装を着ているのでしょうね。でもフクロウ仙人の巣穴で全裸状態で身を寄せ合っているお姫様も、結構幸せそうに暮らしていますよ。
○20年以上、パラゴンを使っていますが、もう私はナンタラカンタラと押しつけがましい事はしていません。オーディオ通がフクロウ喫茶を訪ねて来て
「ちょっと低音が出過ぎなんじゃないですか?」
などと言っても全然気にしない。多くの日本の男には、このグラマラスなオッパイとお尻の良さがワカランのだ。そういう国産娘崇拝をする奴は、ほおっておけ。胸も尻もない日本型スピーカーと暮らしておれば良い、と思っている。
JBLパラゴンについて☆付録・パラゴンを使いこなす=No10
☆音響対策の最終仕上げについて
○美麗なパラゴンのアンヨにふさわしいようにと、銘木のカリンの木を靴として履かせました。巨体に似合わない長さ14センチほどの小さな赤い靴です。彼女は六本足なので後ろ足の四本には、これまた南洋材の赤いパドックの木を履かせました。木工家具を作れるフクロウさんにはお手のものでした。
彼女はこの赤い靴のプレゼントが大のお気に入りで、歌って踊れるミュージカルスター気取りで歌ってくれました。22年後の現在も赤い靴を履いて手放しません。
近年の大きな出来事は、2002年12月21日からJBL製045Beスーパーツィーターを追加しました。いわば、美しい裸身を飾る宝石ですね。パラゴンは即刻その場で身につけて気に入ってくれました。きらびやかな宝石もパラゴンには良く似合ってるようです。
同時にプレゼントしたのはスーパーウーファのベロダイン製HGS-18です。こちらは例えて言うとセクシーな下着なので、お姫様はためらいがちでした。なかなか宝石のように直ぐには身につけてくれず、何日もパラゴンを説得しまして、なんとかお願いして身につけて頂きました。ふぅ〜、やれやれ。
でも、このセクシー下着は本人の方が私より気に入ってるみたいです。本音で言うと宝石よりもずっとお気に入りみたいよ。元々からセクシーなのが自分の魅力なのは良く知っているので、自分がさらにセクシーに見える事にナルシズムを満足させているようです。
その証拠に、近頃のパラゴンの歌いぶりはセクシー度がグッと高まりました。う〜む、青い眼のブロンド美人は何を身につけても似合うらしい。
JBLパラゴンについて=私のスピーカー以外の使用機器に関して=No12
日本製の機械は、すべからく官能美というものが希薄だ。股間に何物も持たない性別不肖の人造人間とでも言うべきか。日本製のアンプはその傾向があり、どんなに優秀なアンプでも、綺麗な音がするだけで、めくるめく官能の世界とは無縁の機械が多い。
私が国産のアンプを使わないのは、そういう理由があるからだ。下世話に喩えて言うと、国産アンプの音には勃起しないのだ。早い話が、女はセクシーじゃないと女ではないし、セクシーじゃないアンプは嫌いなのだ。
性能が良いとか、綺麗な音だとか、分解能だとか、それがどーした!
オーディオを女性に例えて言えば容貌とスタイル等の外見的要素はスピーカーで決定する。その女性をどんな性格にしたいかはアンプが決定的な要素となる。そして、どんな衣装やアクセサリーで装うかは、プレーヤーの役割と私は考えている。
近年になって、やたらと高価なアンプが増えているのは、低能率スピーカーばかりになったのが原因だと思う。大出力アンプで能率が悪いスピーカーを駆動した音と、JBLパラゴンのような高能率スピーカーの音の出方は、明らかに別物だ。近年、スピーカー以外の所に、様々な贅沢投資を要求するようになったのは、低能率スピーカーのせいではないかと思う。
私の考えでは、オーディオ黄金期のように、高能率なスピーカーであれば、低価格高性能アンプで済むし、理想的だと考える。近年のスピーカーは大飯ばかり食っているだけで、働きの悪い製品ばかりになった。現代はアンプに頼りすぎの時代である。
ヤマハのDSP3000型を使って6チャンネルとし、パラゴンだけでは無くて全体の音響コントロールをしている事も私の音の特徴です。私はヤマハの最初のDSPモデルであったDSP−1から音場プロセッサーを使い続けています。
ちなみに使っている四本のサラウンドSPはBANG&OLUFSEN社のベオペンタというトーテムポール型SPで、これはマッキンのパワーアンプMC7270二台で駆動している。なお、パラゴンはDSPを通すことなく、C−40プリアンプ経由MC2500に直接接続の通常2チャンネル再生です。
販売店あたりで聞くところによればヤマハのDSPは買っても使いこなせずに放り出している人が多い機器のようだ。あれは駄目だと直ぐに放り出す人も多かった機器。だが、私の装置には昔から欠かせない。アンプ内蔵機は無用の長物だが、2008年5月DSP-3000 故障後、代用品が無いのでやむを得ずAVアンプのDSPプロセッサ部を使用中。
この他に超高域用SツィーターはJBL=UT025を経て2002年の年末からJBL製UT-045Beを使用。
サブウーファはVELODYNE(ベロダイン)社のHGS-18、45センチウーファ入りで 、当初シアター用に導入したが、ピュアオーディオにも使うようになった。
入力系は近年 エソテリックりX−03SEを導入。気に入ってはいないが、他に選択肢がなかった。
以前はワディアのDAコンバーターとデンオンDP−S1・トランスポートを使っていた。
今は、マッキントッシュMCD7009のデジタル出力をワディア15に入れてサブのCDプレーヤーシステムとし、メインのCDプレーヤーは、前述の エソテリックりX−03SEを使用しています。
パラゴンの他にサラウンド四本とスーパーツィータにサブウーファと多数のスピーカーを使っているので、パラゴン自体の音が希薄にならないかと考える向きもいるだろうが、それは全く無い。パラゴン以外のスピーカーは小音量で使っている。
何よりの証拠をあげると、たまにパラゴンの音が悪くなると全体の音が一変して悪化しまうことからも、フクロウさんのパラゴンが、全ての音響を支配している事は、疑いの余地が無い。
パラゴン単独でも充分良い音なのに、サラウンドを足し、Sツィータを足し、サブウーファを足していった。その都度、感動が大きくなっていくのであるから、贅沢というのはキリが無いものだと、我ながら呆れる。
JBLパラゴンについて=パラゴン修理完了後の初音出し
○ 今は修理完了したパラゴンのみで音を出しながら、この記事を打っている。
ケーブルはアンプからネットワーク配線まで、全てが最新の8Nケーブルに変えたのだから、どこが変わったのかが非常に気になる。僅かに高音が出るようになったので、アンプで少し高音域を下げると、あっけなく修理する前のパラゴンの音になってしまった。
日本人がモニタースピーカーのような刺身が好きなのは解るが、パラゴンのような楽器型スピーカーは、フランス料理で持ち味が出ます。
高音域から調整開始をしたのだが、あらかじめパラゴンのネットワーク側で、レベルを下げておいた。しかし、調整しているうちに、修理する前の音に戻ってしまった。聞き慣れた音バランスに自然に戻ってしまうものだ。ケーブル以外には、ウーファユニットをコーン紙張り替えたのが、一番音に変化を与えているのは当然である。全部が良くなったとは言えない。元気になったウーファでホーン泣きが酷くなってしまったのは困りものである。
その点、劣化したウーファの時がホーン鳴きは抑えられていたように思う。得た物があったが、失ったものも確かに存在したのだ。これも楽器型オーディオ製品の面白いところである。それだから、全てがピッカピカの、高音から低音まで鮮度の良い音が最高という人間を、私は評価しない。
○ウーファユニットのコーン紙張り替えによる変化だが、ユニットの音が直接リスナーに届く訳では無い。これまたパラゴン特有の長大な低音ホーン構造による音決め要素が大きいから、全体的印象はそれほど変わらない。腐っても鯛という言葉があるが、パラゴンの低音はユニットが劣化しても、やはりパラゴンの低音なのだ。
ここらへんが、楽器型スピーカーの面目躍如というものであり、現在の日本で多用されているモニター系のスピーカーとは一線を画す特徴である。
モニター系のシステムは、ユニットが劣化すれば、そこまでである。しかし楽器型SPはさらにまた聞けてしまう。
モニター系ならケーブルや電源に凝るとか、マルチアンプにチャレンジするとか、それならではの使いこなしもあろう。しかし楽器型の使いこなしというのは、それらの事も念頭に置かなくてはならないが、それ以前に良く箱を鳴らす事だ。
良く箱を鳴らす、というのは、私のように年中エアコンをかけて徹底的に箱を乾燥させるというような、およそオーディオ誌では取り上げられない類の「使いこなし」であったりする訳だ。
そしてまた、楽器型のスピーカーでは、マルチアンプ駆動を必要としない、と、私は思っている。
JBLパラゴンについて=偽装工作した最後期型パラゴンの疑い。No20。
私のパラゴン情報に最後期型が30台と予測したが、それにしてはアチコチで後期型所有者が居るのは不可解なので、この疑念がわいた。また、私の見たところ、この疑念を抱かせる後期型パラゴンは、100パーセントが並行輸入された非正規輸入品であった事が、裏付け証拠となってはしまいか?。
パラゴンの裏にエナジャイザー(JBLではSP内蔵パワーアンプのことを、こう呼んだ)用のメクラ蓋があるのに、ユニットだけは後期型のLA15Hと376ドライバー入りのものが存在するから、疑念が湧いたのだ。
どうして、そういう事が起こりうるかというと、パラゴンの定価変動が大きかったからです。
後期型パラゴンの定価は350万円で、それ以前のパラゴンは220万円でした。
(初期は168万円だった)だから、売れ残った中期型のパラゴンのユニットを入れ替えて、後期型として売れば、差額を儲けられるし、取り外した375ドライバーとウーファのLE15Aを売りさばけば、二度美味しい商法が可能だからだ。当時の日本は正にバブル経済であったし、こういう商法が行われていたと考えるのは、意外に当を得ているかもしれない。
そういうことで、この記事を読む諸氏が
「自分のパラゴンは正規輸入品か?」
という疑問が出ると思う。それは、皆さんの家にパラゴンが配達された時に、山水社の社員が組み立てに立ち会ったかどうかで解ります。
正規輸入ならば、店の担当者と共に山水社の社員が立ち会い、パラゴン用のワトコの塗料一缶を置いて
「これを塗ってセッセとパラゴンを磨いて下さい」
と、言った筈です。
そうではなく、販売店の担当者とアルバイトの男の子だけが来て組み立てた場合、99パーセントは偽物の後期型パラゴンと思って良い。
また、最も確実に最後期型のパラゴンである、と断言出来るのは、ビルトインパワーアンプ用のメクラ蓋が無い事。このメクラ蓋が無いパラゴンは、完全なる最後期型の証明になると私は思っています。
メクラ蓋が有るのに、ウーファがLE15Hで、スコーカードライバーが376のものは偽装の可能性があります。偽物ではないけれど、パラゴン筐体本体と、ユニットの製造年月日が一致していないと考えます。これは、メーカーや販売店サイドではやってなくても、中古であれば前オーナーがユニットを入れ替えしている可能性もあります。これらは山水社による正規輸入品ではなく、並行輸入された非正規輸入バラゴンだけに見られるようです。
JBLパラゴンについて=パラゴンは極力乾燥させて使うこと。No21。
○パラゴンは特に湿気を嫌うスピーカーで、オーディオの基本的な使いこなし以前の問題として、購入者は常日頃から、エンクロージュアの乾燥を心がけるように、と、常々から説いている。
○パラゴンを置いてある喫茶店を訪ねた事があるが、エアコンは使っていたものの、パラゴン本体の箱が湿気で膨らんだ痕跡が明瞭であった。
ですから、単純な考えで、自分はエアコンを使っているから大丈夫だ、とは言い切れません。エアコンの使い方も人それぞれですから。
日本ではエアコン無しで音楽を聞く人も多いのだから。
そういう現実から想像すれば、日本に来たパラゴンの相当数が、日本特有の湿気で腐ったことは間違いなさそうです。エアコンを使いたがらない貧乏くさい日本人がパラゴンを買って、相当数のJBLパラゴンを腐らせている筈です。実際、日本の販売店の倉庫に、売れないままで長期間置かれたパラゴンは、湿気でエンクロージュアがふくれてしまい、組み立て不能となるものも有ったようだ。
私が訪れた著名な喫茶店のパラゴンも、除湿器が有ったのに、湿気のために突き板が膨らんでいた。
湿気対策をしない所有者宅では、引っ越しの時にトラックの上で壊れたパラゴンもあったと聞く。ふやけてブヨブヨになったエンクロージュアは、自身の重みによって壊れても不思議は無い。
○私の場合は人が部屋に居ないときでも、有る程度、除湿を心がけています。
特に梅雨時が肝心で、パラゴンのある部屋だけは常時エアコン使用を心がけてます。パラゴンの使いこなしの第一歩は「乾燥」に他ならないのです。
湿気ったパラゴンなど、箱を鳴らして音楽を奏でる楽器型のスピーカーの代表であるパラゴンにとって言語道断といえます。
現代のスピーカーは楽器型と言えるものが少なくて、工場で大量生産されるスタジオモニター系の設計が多い。木工工芸品的な楽器型スピーカーは製造コストが高くつくし、工場生産には向かない。スピーカーの歴史は退化の一途をたどっていると言われる所以です。そういう訳で、中古品パラゴンを買う際は、箱に価値があることを忘れずに、完全乾燥して箱全体が良く鳴るものを求める事です。
JBLエンクロージュアの基本はチップボードが本来の箱ですから、カリフォルニア気候仕様なんですね。そして、あの柔らかい材質がユニットのエネルギークッションになっているのだと、私は想像しています。パラゴンは一般的なスピーカーと違いまして、エンクロージュアの内部にグラスウールの類は一切入ってません。その音響コントロールは、柔らかいチップボードによってなされているのだと思います。
日本でパラゴンのレプリカを作っているところでは、非常に頑丈に出来ており、ガチガチに作られているそうです。そういう立派な?作りのエンクロージュアは、オリジナルパラゴンのような箱鳴りはしないという話を聞きました。
また、日本では、裏蓋に米松板を使用した中期型パラゴンが、湿気に影響されにくいので好評を得ているという記事も見られました。
しかしながら、JBLパラゴンの本来のエンクロージュアはチップボードであって、保存状態が良ければチップボード製が本来の音を出します。これは同時期のJBL製の別モデルのスピーカーのほとんどが、チップボードによる、つき板仕上げである事実が証明しています。
JBLパラゴンについて=パラゴンのエンクロージュア(特に裏蓋)について。No22。
※ここで、明記しておかなくてはならないのは、米松合板の使用例報告は、あくまで裏蓋だけに使われているという事です。
パラゴンの箱全体がベイマツ製のものが有ると思っている人がいますが、一部の初期型を除き、存在しない筈です。アルティック業務用のA7みたいなパラゴンは存在しない。また、全てがベイマツ合板では、複雑な形状のパラゴンは作れないでしょう。
重要なことですが、パラゴンにベイマツが使われているという記事は日本の記事情報だけで、アメリカの情報では、見あたりません。また、そういう記事の多くは中古で手に入れた方で、新品では無いようです。新品購入したオーナーが、自分のパラゴンの裏蓋にベイマツが使われていた、という報告例は、未だに無いのです。
そこで、後付けであろうという予測が出てきます。
私は、JBL社の製造工程で、裏蓋のみ米松材を使う必然性は無いと、常々疑問に思っていました。ですから、私個人の予測では、ウーファの取り付け取り外しで、裏蓋を壊してしまった為に、間に合わせとして、安い合板材料で裏蓋を作った可能性が有るのです。
私も裏蓋を取り外しますが、JBLのチップボードは音質第一で、堅牢性は重視されておらず、ポロポロと崩れます。不必要に裏蓋外しを繰り返せば、たやすく壊れます。遠慮せずに言うと、湿気で腐らせたり、頻繁な裏蓋外しで破損した!そのなれの果てが、裏蓋ベイマツ材の付け替えだと、私は考えているのです。
それによって、良い音になったのであれば、それで結構な事です。率先してオリジナルをベイマツに取り替える方も居て構わない。
次ぎに、ウーファユニットについて、少し述べます。
初期型に使用されている150-4Cは、モノラル時代のハーツフィールドに使われていたユニットで、創業間もないJBLには選ぶほどウーファユニット種類が無かった為に、パラゴンにも使われた。1964年には、当時の新製品であるLE15Aに早々に入れ替わった。
ですから150-4Cはパラゴン用として作られたわけではないことは知っておくべきで、低音ホーン用の設計ということはない。D130のように銘器という評価もない。
さらに、150-4Cの元をただせば、元来劇場用として、ウェスタンに供給されていたT510A型というユニットが、民生用として採用された時に名称を150-4Cと変えた。つまり、原型はハーツフィールド以前の古い設計なのです。
ハーツフィールドには、コーン紙が大振幅に耐えられる改良型150-4Cが採用されたが、基本的には同じ設計。
JBLパラゴンについて=パラゴンの音調整から導かれること。No23。
パラゴンの075ツィータの調整位置は、ボリュウムに刻まれたレベル最上部から少し離れた位置に一カ所、そしてそこからさらに遙か上にボリュウムを上げた位置に一カ所と、二カ所にベストポジションがあることを説明しました。
なぜそうなるかということは、私には解らないのです。実践した結果なのです。
○パラゴン使いの方々で熟達者の方は、この重要なポイントに気付いていると思われます。なぜ、こういう二カ所のベストポジションが存在するのかを説明する為に、スーパーツィーターを引き合いに出します。
可聴帯域より遙かに高い音で、55才の私には聞こえないであろうという超高域が下の帯域に大きな影響を及ぼしていることに、私自身も含めて誰しもが気付きます。私が独断で「スーパーツィータ効果」と呼んでいる現象です。簡単に言うと
スーパーツィーターの025音域が通常ツィータの075音域に作用しているという事になります。聞こえない音域なのにです。
この現象を、別のユニット間に応用して説明しましょう。
話を075と376の関係に戻して丁寧に説明すると、075のレベル調整をするという行為は、ただ075だけに変化をもたらすのではなく、376の音域に大きな影響をもたらしている、とフクロウさんは考えているのです。そして、結果的に優れた音響としてブレンドされると考えるのです。これが事実とすれば、075と376の関係においても、「スーパーツィータ的な効果」が有って、075の音域が376に少なからず作用しているという事も成り立つと考えています。
○一般のスピーカーシステムでは、パラゴンのように、極めて大きな範囲のボリュウムコントロールが出来ないし、最近のSPシステムは、そもそも、あらかじめ出荷時点で音決めがなされていて、ユーザー領域での可変範囲が小さいのです。ですから、こういう「スーパーツィータ効果」を体験できるユーザーは、おそらくパラゴン所有者だけだと思っています。
さて、075の場合は、スーパーツィータ045Beのように、全帯域に影響を及ぼさないのはなぜかというと、ユニットが受け持つ帯域が、可聴帯域たる高域だからです。075は部屋の音をかき混ぜるという類の用具として小振りなのだと推測します。
超高域になるほど、用具が大きくなって沢山かき混ぜることが出来るのだろう。
つまりかき混ぜる用具の大小は、扱う周波数帯域によって決定される。そういう考え方です。そしてかき混ぜられる時、その角度や混ぜ具合がサインウェーブを描いて変化する。このために、聴感上のベストポイントが、レベルコントローラー上では、分散されてしまい、大きく離れた位置に2カ所存在していると推理したのです。そう考えないと、大きく動かせるツィータレベルボリュウムの、おそろしく離れた位置の二点のベストポイントの間には、明確なベストポイントが存在しないということの説明がつかないからです。
○本当のことを言うと、スーパーツィータの効果は、ツィータ音域だけではなくて、全音域の臨場感に影響を与えていると思われますが、そうなると、説明が複雑になるだけなので、解りやすい部分だけを取りだして、説明する必要がありました。つまり、話を解りやすくする為に、超高域は高域に、高域は中域に、という説明の仕方をさせてもらいましたが、スーパーツィータ効果というものは、全帯域に影響があります。
ともあれ、スピーカーシステムの各ユニットの音は、部屋の空気中で互いに影響を与え有っているのだと、フクロウさんは考えています。
では、中域ユニットが低域に対して、どの程度の音波干渉力があるのかは、私にはまだ確認出来ていません。このスーパーツィータ効果理論(スミマセン、勝手な理屈で手前味噌ですが)は、下の帯域になるほど効果は薄れるというか、失われていくという性質を持っているのではないか、と、推論しています。
聞こえない超高域が、全体の音響に影響しているという事実は、現代の音響理論とか技術がまだ解明しきっていないのでしょう。もっともらしく「倍音成分が影響し合って」などと、という説明で証明しきっているとは思えないのである。
なのに、実際の製品であるスーパーツィータが市場に販路を拡げているという現実が有るのです。
一般のオーディオ・ファンにとって、偉い先生方の講釈よりは、市場でスーパーツィータがもてはやされているという現実の方が説得力を持つ。
考え直してみると、今時の音響科学というのは、各ユニットから出た音波が空気中で混じって互いに干渉し合い、揺れ動く様までは解明していないのだと思います。ユニット単体の音分析をしても、全体の音響を捉えていないのではないかと疑っています。1/100くらいは測定しているだろうが、未知の部分が沢山有るように思うのです。ですから、どんなに優秀な測定器をもってしても、人間の耳には及ばないのです。
JBLパラゴンについて=パラゴンにJBL製UT-045Beを追加使用した報告。No24。
○JBL製045Beスーパーツィーターを2002年12月21日から使い始めました。
○メーカーの能書きによれば、50kHzまでの超高域を水平60°垂直30°の広いエリアに均一に放射するバイラジアル・ホーン採用。指向性の軸を垂直方向に−2度まで微調整できるチルト機構付きということになっている。
このチルト調整は、ほぼ水平位置にしました。60°30°というのは、スーパーツィータとしては広いし、微調整は必要だが面倒な事ではない。
私の場合はパラゴンの075ツィーターが内向きにセットされている関係で、UT-045Beも075とほぼ同じ角度に内向きとなった。
○もうヒトツの調整機構は、専用ネットワークによる3段階のクロスオーバー切り替えとアッテネーションスイッチだが、16kzと20 kzと24kzの三種類が選べるのだけれど、20 kzに決定しました。
音を聞いて選択したのであって、技術的根拠皆無の私に質問しても無駄です。
出力レベル(能率)調節スイッチの方は102dbと100dbと98dbの三種類ですが、これはメインスピーカーがパラゴンですから、当然102dbです。
UT-045Beを追加した後のパラゴンの音の変化を報告します。
ちなみに評論家は「メインスピーカーの音を一変させ、音場感が豊かになる」と評していました。
☆フクロウさんのUT-045Be使用レポートです。
◎何より音が鮮烈に生まれ変わることに驚く。高音は言うに及ばず、中音も低音も良く弾んで引き締まる。
既存システムの全帯域に影響が及ぶことは、以前に使っていた025スーパーツィーターでも経験済みだが、045Beの効き方は段違いで、危険度さえ感じるほどだ。
025が道具とすれば、045Beは兵器である。正にオーディオ界のリーサル・ウェポンと言っても過言ではない。
当然の帰趨として音のたたずまいに静謐感が漂うので、品位が高い音になる。
025と比べると精密度に段違いの差があって、それが音にも反映されている。
楽器で言うとパーカッションの鮮烈さが際だつ、ブラスの音色が輝きを増す。
ギター等の発弦楽器の音離れが良くなり、ピィイーン!と弾けるような音色に変わる。
今まで、大して良くないと思ったCDが、俄然楽しく聞けたりする。昨今、何十万円もする電源ケーブルやSPケーブルが喧伝されているけれど、それらに比べると僅か50万円の045Beの出費が、如何に能率的かと思う。
今までスーパーツィータを使ったことが無くて、懐疑的な人に申し上げます。貴男の(3000人に一人くらいの貴女も)危惧は無用!
心とお金にゆとりが有るならば、貴方のシステムに適合したスーパーツィーター導入は急ぐべきです。躊躇無用、サッサと買いたまえ!
特にJBLのホーン・スピーカーを中高域に使っている人には天与の製品です。
行き着くところまで行って、もはや、やることが無くなった人はスーパーツィーター導入を検討すべきでしょう。出来の悪い未完成システムでもスーパーツィータ効果は有るが、出来れば最終兵器として、最後の切り札にしていただきたい。
JBLパラゴンについて=パラゴンの裏蓋外しと、ウーファの取り付けに関しての注意事項。No25。
◎バールなどを使って、無理に裏蓋外しをすると、柔らかいチップボード製の板が、簡単に破壊されますから、くれぐれも注意のこと。
基本は、垂木等を短く切った小切れを、裏蓋の四辺の小口部分にあてがいまして、ハンマーで気長に叩きながら、本体と裏蓋に隙間を作るようにします。
決して直接ハンマーで裏蓋を叩かないようにします。木切れを介在して間接的に叩くのが肝要。
金属のハンマーで直接叩けば、柔らかいチップボードが粉砕されます。叩く角度は裏蓋を上下左右にずらすようにします。水平方向に叩いても、板を破砕するだけで、意味はありませんから注意。
私の場合、当初は日曜大工用のカナヅチを使いましたが、ラチが明かずに、土木用の片手で振れるハンマーを使いました。上手くいけば、これだけで取れますが、徹底的に叩いても取れない場合は、最後はバールを隙間に入れて少しずつ剥がします。一度に取ろうと思わず、四隅を少しずつ丁寧に行うのが肝要。
ウーファを外すときも、張り付いて取れない場合は、同様にアルミフレームに小切れを当てがい、カナヅチを直接金属部に当てないように。この時、マグネット部分は叩かないようにします。結果的に、裏蓋や本体のチップが少し剥がれますが、多少のことは大丈夫です。それよりも取り付けには、より一層注意が必要なのです。
手締めではオハナシになりません。ホームセンターでインパクト電動ドリルを買い求めて、徹底的に締めるようにします。「おかべっかむ」さんは、私の指示どうりに締め直した結果、次のような報告が来ました。
「ふくろうさんのアドバイス通り、電気ドライバーを購入してきつくウーハーを締め上げた結果、いっぱい出ていた低音(というより洞窟で鳴っていたような低音)が絞まりとてもクリアーになりました」
パラゴンを使っている方の中にも、ネジ止めを手回しドライバーで締めた程度で鳴らしている方も多いと思います。手締めではしっかりとやったつもりでも、一週間も経てば緩んでしまい、ドローンとした締まりのない低音になる原因になるのです。
自分の使い方が悪いのに、パラゴンは音が悪いと言ったりする人も居るのを知っています。情けないことだ。こういう方にかぎって、パラゴンをマルチアンプで駆動して、ユニットの限界性能を引き出すのだ!などと標榜しているのを見かけます。高価なパワーアンプを三台も買って取り付けているヒマがあるなら、ウーファのネジを電動インパクトドライパーで締めたまえ!
そのほうが、遙かに効果があります。
フクロウさんは、沢山のマッキントッシュパワーアンプを所有しているけれど、今まで一度もマルチアンプ駆動をする必要性は感じていません。試してもいません。スピーカーで音の良し悪しの7割は決定するというのに、基本的な事が解っていないオーディオマニアというのは結構多いのです。
JBLパラゴンについて=販売店の良識ある対応を望む。No26。
非正規輸入品の中には、ユニットを入れ替えたものが有ることを、バラゴン情報に書いたのだけれども、またしても、この類の怪しいパラゴンを見た。内部ユニットが古い形式なのに、変に新しいように見せかけているものだ。
裏に張り付けられたネームプレートが中期型でも古いタイプのネームプレートなのに気付いた後。おや?、と疑問がわいた。さっき前面のJBLバッジを見た時は、比較的新しい時代のJBLバッジだったのだ。
良く見ると、ご丁寧にも、正しい位置からずれた位置にバッジが張り付けられているのが、ご愛敬ではあった。前面がこれだから裏をもう一度良く見直したら、やはり非正規輸入品のパラゴンである事が確認できた。375ドライバーを付け直した痕跡やら、裏の塗装が新しくなってたり、相当に改造を施したパラゴンであった。
フクロウさんのような正規輸入代理店を通して新品を買った初代オーナーであれば、一目裏を見れば即座に気付く様々なことも、普通のオーディオファンなら気付かない。今は伝説のスピーカーとなってしまったパラゴンの、本来の姿を覚えている人は少ないし、一般のオーディオファンであれば、ほとんど何も気付かないだろう。非正規輸入品パラゴンが、全て怪しい製品だとは言わないが、怪しげな品物が混じっているという事は確かです。
改造が悪いとは言わない。必要な場合もあろう。しかし、そういう訳有りのパラゴンを売る販売店は、購入者にその点などをキチンと説明して売っているのでしょうか?店側も何も解らないままで売ってるのか?
○ 並行輸入したパラゴンについて、再度記載します。
1980年前後は、オーディオ製品だけではなくて、あらゆる分野の高額製品が「並行輸入」された時代であった。いわゆるバブルの時代で、悪徳商法も良く行われた時代です。当時は非正規輸入パラゴンの全盛期であったろう。私の見たパラゴンは、非正規輸入品の方が、正規品よりも多かったという事実が、それを裏付けているように思う。
日本の雑誌に紹介されたパラゴンの写真を、虫眼鏡で詳細に検証すると、これまた山水社をとおさずに並行輸入されたパラゴンであると推察出来ました。後期型パラゴンは350万円で、それ以前のパラゴンは220万円だから、ユニットを入れ替えれば、差額を儲けられるし、取り外した375ドライバーとLE15Aウーファを売りさばけば、二度美味しい商法が可能だからだ。こんな状況だから、正規輸入代理店の山水社は、さぞ困ったことだろうと推察する。
○音質面を考慮したが故に、内部配線を取り替えたり、SP端子を大きいものに取り替えて、太いケーブルが入るようにするなどの対策は良く見かけるけれど、そういうことなら一向に構わない。私も内部配線を古いケーブルのまま、使い続けたくなかったので、新しいケーブルに取り替えています。
ただし、端子だけは、古いオリジナルJBLのバネ式端子が長所が多いと考えているので、そのまま使用しています。
ともあれ、音を良くするための改造は許せるのだけれど、見てくれを新しく見せるための小細工などは良くないと思う。
そういう代物は中身のユニットも疑いの眼を向けたくなるではありませんか。
例えば、左右ユニットの製造番号が離れていて、左右の音が揃っていないのではないか、などと余計な心配をしてしまいます。
JBLパラゴンについて=2代目や3代目オーナーになられた方へのアドバイス。No28。
オーディオに無関心な方が、何かの縁でパラゴンを手に入れた場合のアドバイスを記しておきます。中古で手に入れた方々へのアドバイスとして、次ぎのことを確認するように言っています。
15年以上メンテナンスをしていないと、ネットワークとウーファエッジの劣化が出ます。この二つの修理はバラゴンを使う上で必須です。
ウーファエッジは、裏蓋を開けた時に、手で触ってみて、劣化の程度を良く見極めること。
最も多い中期型(全製造数、約1000台のうち、94%程度は中期型です)を例に取ると、ウーファ・ユニットはLE15Aといわれるユニットですが、製造後25年から43年は経ているでしょう。LE15Aは製造された年代により、年代別にエッジの種類が何種類か存在し、コーン紙も四半世紀の間に少し変わっていると思われるので、それぞれに特徴があります。オーディオをやっていない人が、判断に迷う時は、JBLのユニットに詳しい方に、ウーファエッジの劣化の程度を判断してもらうことです。
なお、ウレタンエッジを採用しているウーファユニットは10年未満で、自然劣化してボロボロになるのですが、パラゴンの低音ホーンには、ウレタンエッジが望ましいと、私は考えています。できるだけ軽量のコーン紙とエッジを採用した方が良い結果を生むでしょう。ウレタンエッジ以外のものを使うときには、その辺を考えた上で使うようにしてください。
もうヒトツ、ネットワークの件ですが、年数が経つと、コンデンサーなどが劣化してきます。この劣化の程度は、ひどくなるとコントロール・ボリュウムにガリオーム現象が出て、音を出しているときにボリュウムを回すと、ガリガリというような音がします。そこまで劣化していなくても、ネットワーク劣化によって高域が出なくなります。初期の音と比べると、著しく中音域と高音域に変化があると判断される時は、修理が必要です。
この判断は、私のように初代オーナーで、新品のパラゴンの音を知っている方に聞いてもらうのが一番。あるいは、有る程度のオーディオの使い手であれば、ネットワーク劣化を判定できます。
ハーマン・インターナショナル社に、取り外したネットワークを送ると、内部部品のほとんどが取り替えられて、送り返されてきます。 配線も新しくしたい方は、ご自分でケーブルを調達して取り替えるということになります。
最後に大事な事を、バラゴンはキチンと整備すれば、現在の最新型のスピーカーなど、足下にも及ばない音が出せます。中古で手に入れて、劣化したままの音を聞き、
「これがパラゴンの音だ。高域も低域も出ないが、流石にビンティージ・スピーカーだな」
などと見当外れな事を言ってはいけません。ウェスタンやアルティックの劇場用スピーカーなら、いざ知らず、こと、パラゴンに限っていえば、どんな最新型スピーカーにも負けない広帯域再生が可能です。最新の広帯域録音CD再生を、らくらくとこなします。測定上、低域が出なくても、体感上は、なんら不足を感じない豊かな低音再生が可能です。
高域は、ネットワークさえ劣化していなければ、075だけでも充分の高域再生が出来る筈です。どうしても不足なら、JBL製UT-045Beスーパーツィーターを加えますが、これはまた、全く別の効果をもたらす変化が大きくて、単に高域帯を拡げるアイテムではありません。
http://fukuroo3.com/paragoninfo.html
長文でしたが、結論は要するに
セクシー美女のパラゴン嬢にはお金も時間も手間も神経も際限無く使わなくてはいけないので、そこら辺に居る手間の掛からないチョイブス嬢にしといた方がいい
という事みたいですね。