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2013年1月24日 植草一秀の『知られざる真実』
1月25日午前10時から、東京永田町の憲政記念館で「生活の党」の党大会が開かれ、綱領、基本政策、規約改正、新代表の選出、新役員の選出が行われる。
昨年12月16日の総選挙で、「生活の党(旧称:日本未来の党)」は議席を大幅に減少させた。
主権者国民のための政治を目指す政治勢力と米官業の既得権益のための政治を目指す政治勢力が併存する。
今回総選挙で既得権益派が目指した最重要の目標は、主権者国民派の政治勢力をせん滅することにあったのだと思われる。
民主党は2009年の総選挙の際には、「主権者国民派政党」として主権者に支持を訴えた。
この訴えに主権者国民は熱く応えた。
これが、政権交代の偉業を成就させた原動力である。
ところが、その民主党がすっかり変質してしまった。
2010年6月に樹立された菅直人政権、2011年9月に樹立された野田佳彦政権は、完全に既得権益派の政権に変質していた。
その結果として、民主党から主権者国民派の議員が離れて新党を結成した。
それが「日本未来の党」であり、いまの「生活の党」である。
既得権益の側に立つ政治勢力は、主権者国民派の政治勢力が邪魔だと感じている。
既得権益を維持すること、既得権益を拡大することに対して、主権者国民勢力は常に反対意見を示し、これを阻止しようとしてくる。
戦勝国の米国は戦後67年の時間が経過したいまも、日本を支配下に置いて、日本を属国として取り扱い、米国に服従しない日本を許さないとの姿勢を示し続けている。
民主党の主軸であった小沢−鳩山ラインは、米国に対しても、「言うべきことを言う」姿勢を示し続けた。
これが、小沢−鳩山ラインが一貫してメディアから攻撃され続けている最大の背景であると思われる。
今回の選挙では、この旧来の民主党主流派=小沢−鳩山ラインをせん滅することが最重要の目標に位置付けられたのだと思われる。
そのために、
小沢新党である「日本未来の党」を可能な限り、メディアで報道しないことが貫徹された。橋下維新が大宣伝されたのと正反対の対応が取られた。
そして、反民主、反自民の票が小沢新党に集中するのを阻止するために、反民主・反自民票の行き先を「第三極」と呼び、この「第三極」の中心は小沢新党ではなく橋下維新であるとの大キャンペーンが展開された。
さらに、選挙では不正が行われたのではないかとの憶測さえくすぶっている。
この点は、徹底した真相解明が必要不可欠だ。
不正があったのかどうかはまだ判明していないが、選挙結果は、既得権益の思惑通りのものになった。
主権者国民サイドの政治勢力が議席数を激減させた。
既得権益勢力の最大の武器は、日本の情報空間を支配するマスメディアを握っていることだ。テレビ、全国紙、通信社を完全掌握しているために、一般市民がすっかり洗脳されてしまう。
残念ながら、依然として情報空間を支配する力はマスメディアが圧倒している。草の根から主権者国民側の情報が発信され、これがネット上では流通するが、マスメディアの情報空間支配力に比べると、まだまだ力が足りない。
既得権益はマスメディアを通じて情報空間を支配するだけでなく、ネット上の情報空間にも、資本力を武器に殴り込みをかけている。
政治情報を供給するポータルサイトに既得権益の資本力が投下されている。
ネット上で書き込みを行う人々のなかに、既得権益のカネで雇われている、いわゆる「工作員」が大量に潜んでいる。
だから、主権者国民の側の情報空間支配力は、まだ著しく脆弱なのである。
昨年12月の選挙では自民党がわずか16%の支持で大量の議席を占有してしまった。これに公明、みんな、維新などの、近親政党を合わせると、議会をほぼ制圧してしまう議席を確保してしまった。
主権者国民の声が政治にまったく反映されなくなる状態が目の前まで近づいている。
実際に安倍政権が推進し始めた政策を見ると、このことが極めて鮮明だ。
安倍政権は経済財政諮問会議、産業競争力会議を早速立ち上げたが、そのメンバーを見ると、驚くばかりである。
経済財政諮問会議の民間議員は4人だが、2人が経済専門家で2人が財界人である。
経済専門家も「御用」という枕詞のつく人選だ。残りの二人は経済界代表者であり、大企業の経営者である。
産業競争力会議には10人の民間議員が名を連ねるが、2人が大学に籍を置くものである以外、8人が財界人である。
また、安倍晋三氏が推進する「インフレ誘導」は、企業と政府に利益を与え、一般国民には不利益を与える施策である。
官僚の利権は温存したまま、消費税大増税が強行実施されようとしている。
つまり、すべての側面において、「既得権益の利益」だけが考慮され、「主権者国民の利益」は捨て置かれてしまっている。
「生活の党」は主権者国民の側に軸を置く政治勢力である。「国民の生活が第一」のスローガンにこの考え方が鮮明に打ち出されている。
既得権益の攻撃によってせん滅の危機に直面しているが、この勢力がせん滅してしまえば、主権者国民の声は政治にまったく反映されなくなってしまう。
この党大会を契機に、「主権者国民の政治」実現を目指す政治勢力の再躍進を図ってゆかなくてはならない。
それは、政党の側だけの責任ではない。
主権者国民の側の対応にかかっているのである。
冬になれば落葉樹はすべての葉を落として厳しい冬の風を浴びる。
しかし、大地にしっかりと根を張り巡らせていれば、この冬の間に大きなエネルギーが蓄えられる。それが、次の春に一気に開花することになる。
この冬にエネルギーをどう蓄積するか。それが次の春の大開花をもたらす原動力になることを忘れてはならない。