国内14施設、老朽化問題 研究用原子炉 運転50年超も
2013年1月6日 東京新聞[総合]
日本には商業用原発以外に、発電はしない研究用の原子炉や核分裂の実験装置がある。出力は比較的小さく、万一の事故でも原発に比べると影響範囲は限定的とされるが、運転開始後50年を超えるなど古いものが多く、老朽化対策が課題だ。
原子力規制委員会によると、現在国内にある施設は14。日本原子力研究開発機構(原子力機構)が茨城県に10施設保有、大学や企業の施設が川崎市に1施設、大阪府に3施設ある。2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、原子力機構の10施設は全て停止したままだが、他の4施設は既に再開した。
最も古いのは近畿大炉(大阪府東大阪市)で初臨界は1961年。熱出力は1ワットで、世界で最も低出力という。豆電球と同程度の発熱量で、運転中でも冷やす必要はなく、停電しても原子炉の温度は室温に、圧力は大気圧に保たれるという。
原子力機構は、主に国の予算で日本の原子力開発を進めてきた。安全研究を目的にした原子炉NSRRや医療用の放射線を照射する原子炉JRR4などを保有する。さまざまな燃料、材料に中性子を当てる材料試験炉JMTRは、がんなどの検査に使われる放射性医薬品の原料「モリブデン99」を製造できるよう改造している。
こうした施設は60〜70年代に運転を始め、改造して出力を上げたものも多い。文部科学省は06年以降、運転開始後30年以上たった古い施設の安全性確認を進め「老朽化対策は妥当」と評価した。
老朽化問題に関し、日本学術会議の小委員会は昨年5月、研究炉は基盤施設であり、次世代型の研究炉の新設が必要だと提言した。
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