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"絵空事"が招く市況悪化の副作用 [エコノ羅針盤(作家・相場英雄)]
"絵空事"が招く市況悪化の副作用
[エコノ羅針盤(作家・相場英雄)]
(日刊ゲンダイ2013/1/4)
昨年末、先の総選挙で大勝した安倍自民党政権が実際に動き出した。言うまでもなく、彼らの選挙公約である「デフレ脱却」の旗印の中には、円安誘導による景気回復シナリオがある。
実際、自民党圧勝の事前予測が流れ始めたころから、円安が進行し、これに呼応するような形で日経平均株価が上伸した。また、日銀も昨年末に追加金融緩和に踏み出し、自民党の求める2%の物価目標に擦り寄ろうとしている。このまま、バラ色の日本経済復活のシナリオが実現するのか。私は極めて懐疑的だ。
「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト」という相場格言をご存じだろうか。直訳すれば、「噂で買って、事実で売る」となる。強めに出るとの見通しがある経済指標発表前に株式や通貨を買い、指標が実際に発表された直後に利食い売りに走る、という意味だ。
現状をこの格言に当てはめてみると分かりやすい。安倍首相の言う「デフレ脱却」は、耳触りの良い政策であり、実際に市場もこれに反応した。だが、本欄で何度も指摘してきた通り、需要がないところにいくら金融緩和を繰り返しても、効き目は乏しい。水を飲む気がない牛を川べりに連れていっても飲まないのと構図は一緒。現在の市場は「牛を川べりに連れていった」ところを評価しているだけなのだ。
この状況を「噂で買う」という格言になぞらえると、その反動、つまり、1、2年の間にデフレ脱却の道筋が見えないと一挙に反動が出る、というのが私の読みだ。いや、今夏の参院選前にも、デフレ脱却の効果が見えないと、安倍政権は野党側から一斉攻撃され、市場の信認を失う公算さえある。絵空事にも見える掛け声政策は、危うい一面をはらんでいる。
◇あいば・ひでお 67年生まれ。元時事通信社記者。「デフォルト」(角川文庫)でデビュー。最新作は「鋼の綻び」(徳間書店)。
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