2012年10月11日
<公益財団法人 震災復興支援放射能対策研究所における除染作業員のWBC検査結果の概要>
ひらた中央病院では、2011年10月17日からホールボディカウンター(WBC)検査を開始し、多くの市町村との協定に加え、福島県内外から広く検査依頼を受け付けています。開始後、2011年11月2日から2012年7月14日までに2,527名の除染作業員の検査を行いました。今回は2011年11月2日から2012年7月14日までの検査結果を公表いたします。
○除染作業者におけるWBC検査の概要
表1:2011年11月2日から2012年7月14日までにひらた中央病院で施行したWBC検査受検者数(年齢区分)
ひらた中央病院が2012年7月14日までに施行したWBC検査受検者数は、2,527人にのぼります。幅広い年齢層の方が除染作業するためにWBC検査を施行いたしました。ほとんどの方が男性です。
図1:2011年11月2日から2012年7月14日までに施行した2,527人の結果
検出限界以下の方が1,838名(72.73%)、有意検出者は689名(27.27%)でした。検出者中、20Bq/kgを上回ったのは151名(5.98%)で、50Bq/kgを上回った25名(0.99%)です。急性一括吸入摂取のモデルに基づいた計算上、預託実効線量が1mSvを超えた方は一人もおりません。最高値は、県内の方では飯館村で作業した方で
0.32mSv、16,303Bq/body(265.5Bq/kg)、
県外の方は福島第一原発で作業した方で
0.90mSv、6,977Bq/body(106.5Bq/kg)、
次に飯館村で作業していた方で
0.80mSv、6,543Bq/body(66.8Bq/kg)でした。
ただし、全データのうち2012年2月29日までは、更衣をしていないため、衣服等に付着している放射性セシウムを検出している可能性があり、正確には体内量を測れていないと考えられます。
表2:2012年3月1日から2012年7月14日までに県外出身者で帰任時にひらた中央病院でWBC検査を施行したWBC検査受検者数(年齢区分)
3月1日以降に検査を施行した78名は、県外から除染作業のため来県し、作業後(帰任時)にWBC検査を受検した方です。3月以降の検査ですので、更衣をした上でWBC検査を行っています。
図2:2012年3月1日〜2012年7月14日までに施行した78名の結果
人数は少ないですが、78名全員が検出限界未満でした。
○図3:図2の78名が従事した除染作業地域。
飯館村が一番多く17名、次に大熊町10名、そして南相馬市・浪江町の9名となっております。78名の中には、線量が高い地域で作業されている方も含まれております。2カ所以上で作業をした方も延べ人数として含まれています。
○図4:図2の78名が従事した除染作業内容
一番多いのが、汚染物等の被覆、物の表面をおおいかぶせる作業の方14名、次に草刈り11名、土砂の除去10名、その他記載のような作業内容になっております。
○図5:図2の78名が除染作業に従事した際の装備
タイベックスーツ着用は41名の方に止まります。マスク着用は69名と多く、以下、手袋64名、長靴57名、ゴーグル34名となります。
○図6:78名中、2011年3月1日以前にもWBC検査を行った4名について
78名の中に、1回目のWBCを2011年3月1日以前に受け、有意検出した方が4名おられます。1名は2011年12月、3名は2012年1月に1回目のWBC検査を受けています。4名とも、2回目のWBC検査では検出限界未満となっています。初回の計測値が500Bq/bodyを上回った2名については、生物学的半減期100日の仮定をすると、再検査までの日数で検出限界を下回るのは不自然で、初回の検出値が着衣の汚染をみていた可能性が高いです。
○まとめ:除染作業者のWBC検査から言えること
除染作業者全体の有意検出率は高いですが、更衣をしなかった時期のデータを多く含むため、現実の内部汚染を反映していない可能性が高いといえます。2012年3月1日以後の78名は、更衣をしていることもあり全員が検出限界未満となりました。3月1日以前に有意検出された4名も、少なくとも2名は衣服付着だった可能性があります。更衣後のデータが少なく、断言は難しいですが、除染作業によって大きく内部被ばくが増加する可能性は低いと考えられます。今後も作業者に対するモニタリングを継続していく次第であります。
懐疑論...