27. 2012年9月29日 13:55:11 : cqRnZH2CUM
疾患名 無症候性血尿
むしょうこうせいけつにょう
発病頻度 日常的にみる
初診に適した科 内科(系)・腎臓内科・泌尿器科 受診できる病院を探す
初期診断・急性期治療に
適する医療機関 外来診療所・小中規模病院・総合病院・大学病院
安定期・慢性期治療に
適する医療機関 外来診療所
入院の必要性 外来で可能
薬物治療の目安 原病に対しては、不要なことが多い
手術の可能性 なし
治療期間の目安・予後
(予測される病気の推移や治療に対する反応)
自然軽快あり、または自然経過観察可能
診断・経過観察に
必要な検査 血液・尿・造影レントゲン・超音波検査(エコー検査)・CT検査・MRI・MRA
概説
血尿とは、腎および尿路からの出血のために尿中に血液混入を認めた状態です。血尿には、目でみて明らかである肉眼的血尿と、肉眼ではわからない顕微鏡的血尿とに分類することができます。
症状
臨床症状が鑑別に有効です。血尿に排尿時痛を伴う時は膀胱炎、膀胱結石を疑います。腹痛、背部痛を伴う時は腎結石、尿路結石を疑います。浮腫(ふしゅ)、高血圧などを伴う時は腎糸球体病変を疑います。
診断
肉眼的血尿の場合、ある期間持続すると貧血が進行するおそれがあり、早急な精密検査が必要です。尿の通過経路である腎臓、尿管、膀胱などに血尿の原因となりうる腫瘍(しゅよう)、結石などの病変はないかを調べます。腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行い、形態的異常の有無を含め、血尿の原因となりうる異常所見を検索します。とくに中高年の場合は悪性疾患を疑い、尿細胞診を繰り返し行うことがあります。また、左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈にはさまれて左腎静脈内圧が上昇し、血尿の原因となりうるナット・クラッカー(nut cracker)症候群などの見落とせない疾患がまれにあるので留意すべきであり、腹部CTおよびMRIを行うこともあります。他に、腎、尿路系に感染はないか、外傷はないかにも留意します。溶血性貧血によるヘモグロビン尿や横紋筋(おうもんきん)融解(ゆうかい)によるミオグロビン尿、薬剤服用時も着色尿として自覚することがあるため、この場合、血尿との鑑別が必要です。
無症候性タンパク尿と同様、無症候性の顕微鏡的血尿を各種健康診断で指摘されることがあります。この場合、尿沈渣(にょうちんさ)を行い、赤血球円柱、赤血球の変形などがあれば、腎糸球体疾患を疑います。IgA(免疫グロブリンA)腎症、急性糸球体(しきゅうたい)腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎などが考えられ、診断のため血液検査(IgA、補体価、ASO〈アソ:抗ストレプトリジンO〉など)を行います。その他の尿所見で、白血球がみられれば感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)、異型細胞がみられれば悪性腫瘍を疑います。その他、家族歴を参考に多発性嚢胞腎(のうほうじん)などを否定していきます。
無症候性血尿のみで推移する場合は保存的(手術などをせず)に経過観察することが多く、必ずしも腎生検を行いません。血尿に加えタンパク尿が持続する場合は腎生検を考慮し、腎組織病変の程度を評価し、治療法を決定することがあります。沈渣に異常がみられない場合は、尿管、膀胱などの下部尿路系の病変を考え、肉眼的血尿の時と同様に腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行います。
※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。
概説
血尿とは、腎および尿路からの出血のために尿中に血液混入を認めた状態です。血尿には、目でみて明らかである肉眼的血尿と、肉眼ではわからない顕微鏡的血尿とに分類することができます。
症状
臨床症状が鑑別に有効です。血尿に排尿時痛を伴う時は膀胱炎、膀胱結石を疑います。腹痛、背部痛を伴う時は腎結石、尿路結石を疑います。浮腫(ふしゅ)、高血圧などを伴う時は腎糸球体病変を疑います。
診断
肉眼的血尿の場合、ある期間持続すると貧血が進行するおそれがあり、早急な精密検査が必要です。尿の通過経路である腎臓、尿管、膀胱などに血尿の原因となりうる腫瘍(しゅよう)、結石などの病変はないかを調べます。腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行い、形態的異常の有無を含め、血尿の原因となりうる異常所見を検索します。とくに中高年の場合は悪性疾患を疑い、尿細胞診を繰り返し行うことがあります。また、左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈にはさまれて左腎静脈内圧が上昇し、血尿の原因となりうるナット・クラッカー(nut cracker)症候群などの見落とせない疾患がまれにあるので留意すべきであり、腹部CTおよびMRIを行うこともあります。他に、腎、尿路系に感染はないか、外傷はないかにも留意します。溶血性貧血によるヘモグロビン尿や横紋筋(おうもんきん)融解(ゆうかい)によるミオグロビン尿、薬剤服用時も着色尿として自覚することがあるため、この場合、血尿との鑑別が必要です。
無症候性タンパク尿と同様、無症候性の顕微鏡的血尿を各種健康診断で指摘されることがあります。この場合、尿沈渣(にょうちんさ)を行い、赤血球円柱、赤血球の変形などがあれば、腎糸球体疾患を疑います。IgA(免疫グロブリンA)腎症、急性糸球体(しきゅうたい)腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎などが考えられ、診断のため血液検査(IgA、補体価、ASO〈アソ:抗ストレプトリジンO〉など)を行います。その他の尿所見で、白血球がみられれば感染症(膀胱炎、腎盂腎炎)、異型細胞がみられれば悪性腫瘍を疑います。その他、家族歴を参考に多発性嚢胞腎(のうほうじん)などを否定していきます。
無症候性血尿のみで推移する場合は保存的(手術などをせず)に経過観察することが多く、必ずしも腎生検を行いません。血尿に加えタンパク尿が持続する場合は腎生検を考慮し、腎組織病変の程度を評価し、治療法を決定することがあります。沈渣に異常がみられない場合は、尿管、膀胱などの下部尿路系の病変を考え、肉眼的血尿の時と同様に腹部超音波、腎盂尿管膀胱撮影、静脈性尿路造影などを行います。
予後/生活上の注意
血尿患者の約10人に1人は原因を特定できないことがあり、特発性血尿といいます。また、健常者でも激しい運動後、一時的に血尿を認めることがあります。いずれにおいても血尿が認められた時は、医師の診断を受け、定期的に経過観察することが必要です。
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(執筆者:徳山博文)