野田政権、“問責の呪縛”で虫の息!
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120826/plt1208262234003-n1.htm
2012.08.26 夕刊フジ
事実上の「国会休会」が近づいてきた。自民、公明両党は29日、野田佳彦首相に対する問責決議案を共同提出し、同日にも可決する構えだ。その後、国会は9月8日の会期末を待たずに全面ストップとなる見通し。首相は当面、内閣総辞職や衆院解散をしない考えだが、問責決議を受けた過去2人の首相は政権の座から転落した。9月に民主党代表選を控える首相も、党内の「野田降ろし」の動きにさらされることは確実だ。
「私も25年間サラリーマンを務めたが、重要な仕事が残っていながら定時の前に退社するようなものだ」
民主党の城島光力国対委員長は26日のNHK番組で、激しい口調で決議案提出の動きを牽制(けんせい)した。自公が審議拒否に転じれば、赤字国債を発行するための特例公債法案や、民主党が提出した衆院選挙制度改革関連法案などの今国会成立が立ち消えとなるからだ。
しかし自民党の岸田文雄国対委員長は「離党者が続出した民主党政権ではもはや何もできない」と一蹴し、予定通りに決議案を提出する方針を強調した。
民主党は27日の衆院倫理選挙特別委員会(倫選特)で、選挙制度改革法案を採決し、特例公債法案と合わせ28日の衆院本会議で採決する方針だ。自公は採決に欠席か反対し、29日の決議案可決で、与野党対立は決定的となる。
民主党は決議案が可決されたとしても、「効力は今国会まで。秋の臨時国会で自公は審議に出ざるを得ない」(党幹部)とタカをくくる。しかし、早期の衆院解散が最重要課題の自民党は「二度と首相を参院でお迎えすることはない」(脇雅史参院国対委員長)と一歩も譲らない構えだ。
自民党が問責決議を強力な武器に据えるのは、与党時代に、その恐ろしさを嫌というほど味わっているからだ。衆参ねじれ国会下では法案が一本も成立しなくなり、政権運営は虫の息に追い込まれる。
平成20年6月には、福田康夫首相(当時)への問責決議案が可決。民主党などは通常国会の閉幕まで審議拒否を続け、9月には内閣総辞職を余儀なくされた。21年7月には麻生太郎首相(同)への決議案が可決。自公は直後の総選挙で大敗し、政権交代を許した。
今回、野田首相が問責無視を決め込んでも「10月にはツケを払う」(自民党閣僚経験者)との見方がもっぱらだ。赤字国債発行なしに予算執行できるのは「10〜11月が限度」(財務省幹部)。これが「10月解散」説の根拠にもなっている。
敗北必至の衆院選を先送りしたい民主党では「首相を代えればいい」(鳩山グループ幹部)という声も公然化。問責決議は党代表選に向けた「野田降ろし」の材料にも使われそうだ。(水内茂幸)