自民・小泉進次郎は首相に上り詰めるか!造反しても大アマ処分
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120816/plt1208160730002-n1.htm
2012.08.16 連載:「日本」の解き方 夕刊フジ
9日、みんなの党が主導して自公を除く野党から国会に提出された内閣不信任案。残念ながら否決されたが、今の政界事情を明快にあぶり出し、国民の前に明らかにするリトマス試験紙の役割を十分に果たした。
この内閣不信任案に対する野党自民党の最善手は、もちろん「ちゃぶ台返し」、3党合意破棄で賛成することだった。そうすれば、次期総選挙で自民党は第1党に返り咲き、政権奪取となっただろう。
谷垣禎一自民党総裁は一時3党合意破棄のそぶりを見せたが、結局欠席と完全な腰砕けだった。そうした結末ならはじめから拳を振り上げないほうがいい。期待を持たせて失望させるのは政治家としてもっともやっていけないこと。やはり「増税3兄弟」だったのだ。長男は勝栄二郎財務事務次官、双子の弟が野田佳彦首相と谷垣氏である。
一方、ここで株を上げたのが小泉進次郎氏。自公を除く野党が内閣不信任案を提出する動きを察知すると、若手で3党合意破棄をぶち上げた。この動きの背後には、父親の純一郎氏がいた。野党なのに解散のイニシアチブを持てるなら使えというまっとうな政局観である。そして、9日の不信任案の採決では父譲りの政局観をもつ小泉進次郎氏は賛成で筋を通し存在感を発揮した。
自民党は、小泉氏が造反すると厳しい処分ができないという神話ができてしまった。郵政民営化改悪法案でも、小泉氏ら4人(中川秀直氏、菅義偉氏、平将明氏)が造反したが、注意だけと事実上おとがめなしだった。
今回も小泉氏ら7人(柴山昌彦氏、菅義偉氏、松浪健太氏、河井克行氏、中川秀直氏、塩崎恭久氏)が造反したが、谷垣総裁自身が、党方針について「納得できないのは全くわからないわけではない」とポロリと漏らしたこともあって、戒告処分にとどまった。小泉氏の影響力を考えて自民党が厳しい処分をできなかったのだ。
31歳の1年生議員なのに、既に大物政治家以上の存在感である。43歳の橋下徹大阪市長と並んで将来の首相候補と期待する声もある。
父親の純一郎氏と似ている点については「サウンドバイト」と呼ばれる短いフレーズで語ること。テレビを中心とするマスコミで、発言が効果的に取り上げられ、有権者へと伝わるための話法であるが、なかなか訓練しても難しい。これをやすやすとやってのけるのはたいしたものだ。
小泉氏は、米コロンビア大に留学し、その後、戦略国際問題研究所の研究員を経て日本に帰国している。その当時のことを知る人は、小泉氏のことを「偉ぶらず、礼儀正しい好青年」と評価していた。外国人なのでお世辞抜きだろう。この点、変人といわれた父親とは違うという人もいる。
自民党内ではほかに有望な若手がいないので、10年も経たないうちにスターになることが確実だろう。どこかで1度や2度の挫折もあるだろうが、それを肥やしにして成長できれば、政治家一家の継承者になれるはずだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)