国家のウソを放置してもいいのでしょうか
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2012-08-05 06:58:31 生き生き箕面通信
おはようございます。内外13か国の宗教者による「世界宗教者平和の
祈りの集い」が昨日8月4日、大津市の比叡山延暦寺で開いた会議で、
「原発を稼働し続けることは宗教的、倫理的に許されることではない」
と、「脱原発」を訴えるメッセージを発表しました。
生き生き箕面通信1335(120805)をお届けします。
・国家のウソを放置してもいいのでしょうか
西山太吉・元毎日新部記者が社会的に抹殺されかけた「事件」は、
過去の歴史になったのでしょうか。西山さん自身は「『密約はない』と
ウソをつき続けた検察官、外務官僚の偽証罪も問われなければなら
ない。その裁判で私は負けた。私が真剣に再審請求をしたら勝つと
思う」と話した、と伝えられています。7月28日に同志社大学で開か
れた「日米安保・密約とメディア」というシンポでのことです(週刊・金
曜日・8月3日号)。
ご存じの方も少なくなってきたようなので、事件を簡単に振り返って
みます。もう、あれから40年。事件は1972年4月、西山記者が、日本
政府がアメリカ政府との間に結んだ「密約」をスクープしたところから
はじまりました。密約の内容は、当時の佐藤栄作政権が進めていた
「沖縄返還交渉」にからむもので、本来はアメリカが負担すべき基地
の撤去費用の一部を日本が国民の税金で肩代わりするというもので
した。これが事実とすれば、国民の反発が高まり、返還交渉に悪影響
が出かねないと恐れた政権側が、なんとか逃れようとして西山記者を
別件逮捕させた一件です。政府(外務省)は現在も、「密約はなかった」
と、シラを切り、涼しい顔のままです。
ところが、12年前の2000年、密約を裏付ける米公文書があることが、
琉球大学の我部政明教授によって明らかにされました。その後、いく
つかのメディアもその存在を確認しています。
しかし、政権側は自民党時代ばかりでなく、民主党政権になってから
も、「密約はない」の一点張りです。明らかな証拠をつきつけられても、
「密約はありません」と強弁してすましています。まるで、カエルの顔に
しょんべんです。外務官僚にしてみれば、「外交にはいろいろあるんじゃ。
下々のゲスどもが、ごたごた抜かすでない」といったところでしょう。
当然、裁判になりました。最高裁までいったその結論は、「有罪」でした。
文書による明らかな証拠を突きつけられても、「ないものはない」と言い
張る官僚は、偽証罪に問われるべきです。西山氏はその筆頭として、
河相周夫・内閣官房副長官補の名前を挙げています。河相氏は、自公
政権時代に外務省の総合外交政策局長、大臣官房長を経て、内閣官
房副長官補になりました。西山氏は、「河相氏は外務省北米局長のとき、
国会で『沖縄返還協定がすべてであって、密約など一切ない』と言った
張本人で、元凶中の元凶だ。国家公務員法から言っても絶対ゆるされる
べきではない」と強調しています。
こうした国家による隠ぺいは、ジャーナリズム全体で取り組むべきです。
ところが、朝日新聞も読売新聞も、西山氏の出身母体である毎日新聞も、
黙して語らず、です。マスメディアの「大政翼賛体質」が如実に表れてい
ます。
だから、官僚側は野田政権を使って、「秘密保全法」を成立させようと画
策しています。民主党政権に交代したとき、「情報公開法」を改正して、よ
り風通しの良い政権運営が約束されましたが、官僚は見事に180度ひっ
くり返して、「情報隠ぺいの合法化法」にあたる「秘密保全法」なのです。
こうした時代状況を、マスメディアは放置していていいのでしょうか。日本
丸は、なにやらうすら寒い息苦しい時代に入りつつあります。