福島第1の「廃炉工程表」改定 政府と東電 ポンプで地下水くみ上げ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120730/dst12073022200018-n1.htm
2012.7.30 22:19 産経新聞
東京電力福島第1原発1〜4号機の廃炉対策を検討する、政府と東電の中長期対策会議が30日開かれ、廃炉に向けた工程表の改定を行った。昨年12月に発表して以来、廃炉工程表を改定するのは初めて。地下水をポンプでくみ上げるなど、この7カ月間に実施・計画された作業が新たに工程表に盛り込まれた。同会議の事務局は「現時点では計画通り、順調に進んでいる」とした。工程表は今後も、毎年1回程度の頻度で改定するという。
新工程表では、原子炉建屋内に地下水が流入し、汚染水の全体量が増えている問題の対策として、地下水をポンプでくみ上げ、建屋内への流入量を減らす計画が新たに盛り込まれた。今年度中にも始める予定という。
また、原子炉を冷却する循環注水冷却システムの小型化も29年3月までに行うとした。同システムは現在、全長約4キロに渡っており、途中で水漏れが生じるなどトラブルが相次いでいる。原子炉建屋内に収まる小型のシステムに切り替えることで、より安定的に冷却ができるようにする。
水素爆発で原子炉建屋上部が崩れた1号機では、がれきの状況を確認するため、カメラ4個を取り付けた気球(直径3メートル)で建屋内部を調査することも計画している。
長期に及ぶ廃炉作業には作業員の確保も重要な課題だが、会議では東京電力が作業員に対して今年5月に実施した労働環境に関するアンケート結果も公表された。
アンケートでは、作業員の半数近くが、休憩所での分煙化や労働条件の相談窓口設置など、これまでの環境改善策を評価した。一方で、通勤手段や作業環境、食事などについては今も「あまり良くない」「良くない」などと回答しており、さらなる改善が必要な実態も浮かび上がった。
ほかにも「休憩所の放射線量を下げてほしい」「熱中症対策を徹底してほしい」などといった要望があった。
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廃炉工程表 福島第1原発の廃炉を進めるため、政府と東京電力が作成。(1)燃料貯蔵プールからの燃料取り出し開始(2)原子炉からの燃料取り出し開始(3)廃炉終了まで−の3期に区分され、第1期は2年以内、第2期は10年以内、原子炉と建屋の解体が終わる第3期は30〜40年後の達成を目標に掲げている。