07. あっしら 2012年6月21日 18:42:17 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI
どらみさん、初めまして。
軽減税率問題へなど的確なコメントをいただきありがとうございます。
わかりやすい説明で感服しております。
消費税に対する理解が私以上と思われるどらみさんに対して恐縮ですが、軽減税率で使われていた「逆進性」は、消費税を間接税と思わせたい消費税推進派の用語法なので、低所得者や中小企業などへの“打撃”もしく“被害”と表現したほうがいいと思っています。
消費税が「逆進性」を持つのなら、法人税も「逆進性」を持つことになります。
【引用】
「消費税が実際的に売上税であるということは、会社経営に少しでも携わった経験があるものなら、誰もが承知していることだ。」
【コメント】
消費税は、売上税的な外見をしていますが、「仕入にかかわる消費税」の控除があるので、付加価値税以外の何ものでもありません。
【引用】
「「付加価値税」的なものといっても、実際には企業は、「売り上げー仕入れ経費」を厳密に計算して税額を決定(支払い)しているわけではなく、とくに中小企業の場合は「利益率」の計算方法というのがあって、そこで大よそ出された粗利に対して5%なり8%なり掛けた数字を税額として払う仕組みになっていたりする(その方法を選ばないこともできる)。」
【コメント】
簡易課税制度があるからと言って、消費税が付加価値税であることに変わりはありません。
事業者の選択ですが、簡易課税制度は、付加価値額すなわち消費税の課税ベースを縮小できるだけの制度ですから、付加価値への課税が緩和されるというだけで、付加価値税である性格を変えるわけではありません。
簡易課税制度は、少ない付加価値しか生み出せない小中規模事業者に対し、課税ベースを狭めることで所有者家族や従業員家族の生活にあまりしわ寄せがいかないようにという“社会政策”の産物だと考えています。(当時の政権与党である自民党への票のつなぎ止めでもある)
【引用】
「その結果、赤字や利益率の低い企業にとっては重い負担となり、大黒字で利益率が非常に高い企業/業種では、税負担が軽いという、企業においても「逆累進性」を生むルールになっていて、その結果、中小企業、零細企業はなおのこと苦しむことになるという悪税だ。」
【コメント】
「赤字や利益率の低い企業にとっては重い負担」という指摘は同意ですが、「大黒字で利益率が非常に高い企業/業種では、税負担が軽い」という指摘は理解できません。
例えば、同じ税抜売上額1億円で、粗利益率が20%の事業者と50%の事業者がいるとします。
税抜売上から仕入(消費税控除ベース)を引いたものが粗利益=付加価値だとすると、納付すべき消費税額と消費税税引き後の粗利益(付加価値額)は次のようになります。
粗利益率20%の納付消費税額:1億円×20%×消費税率(5%)=100万円:税引き後粗利益1900万円
粗利益率50%の納付消費税額:1億円×50%×消費税率(5%)=250万円:税引き後粗利益4750万円
「大黒字で利益率が非常に高い企業」は、消費税の納付がそれほど重い負担ではない(楽に払える)とは言えても、利益率が高いほど消費税額が増加するわけですから、「税負担が軽い」とは言えないのではないでしょうか。さらに、消費税税引き後の粗利益から人件費などの諸経費を差し引いて最終的に利益(所得)があれば、それに法人税が課されることになります。
念のため、 「大黒字で利益率が非常に高い企業」が高い担税能力を持っていることや、それらの企業により多く税金を負担してもらうことが国民経済への打撃を少なくして財源を確保する道であるとは考えています。