ああ、会議は踊る、消費税 [田中康夫 にっぽん改国]
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12/03/29 新党日本 田中康夫 :日刊ゲンダイ
誰だって税金は、高いよりは低い方が嬉しいのです。その税金は、収入という入口、支出という出口の何(いず)れかで徴収するしかなく、この“宿痾(しゅくあ)”の中で理解を得るには、公正=フェアな徴税制度の再構築が不可欠。
消費税が導入されたのも、入口では捕捉し切れずに「九六四(くろよん)」状態が続いているから、せめて出口では公平に、という理屈でした。が、入口の不公平感は一向に解消されていません。
「財政規律を守りながら、社会保障を持続可能なものにしていく為に消費税を安定財源として充てていく」と消費税率アップに前のめりな宰相は、何も判ってないのです。
「シャウプ勧告」以来の日本の税制全体を根底から「新しい方程式」へと改めねば、「一票の格差」を遙かに上回る不条理は解決しません。6割を超える「国民の理解」が得られていない理由の深層です。
日本では株式会社の7割、連結決算を導入する超大企業も66%が、国税の法人税と地方税の法人事業税を1円も納付していません。僅(わず)か3割の企業に加重な負担を強いる不条理が生じているのは、利益に対して課税する仕組だからです。本会議の代表質問で繰り返し言及してきた事実です。
ならば、消費税に倣(なら)って、支出という出口で徴収する外形標準課税を全面導入すべき。既に地方税では部分的に導入済み。全ての株式会社が広く薄く納めたなら、現行の法人税率の3分の1に引き下げても、国庫にお釣りが来る計算です。
併せて、「先進国」では日本のみ未導入の取引明細書=インヴォイスの即時導入も不可欠。24年前の消費税導入時と異なり、今や“パパママストア”もパソコンを用いて確定申告する時代。弱きを助ける福音でこそあれ、負担増ではありません。
「月内提出期限」の面子に拘泥する野田佳彦政権は本日28日未明、「名目経済成長率3%、実質2%程度」の「努力目標」を法案附則第18条、第19条に明記の「決断」を下しました。
増税派の藤井裕久税調会長は、「これでは増税をやらないのと同じだ」と「景気弾力条項」に慨嘆し、昨今は成長率という数字が消費や投資の動向と連動しないにも拘らず、この一点を以て、反増税派は鬼の首を取ったかの如く驚喜しています。
正しく国民不在の“会議は踊る”状態です。「政治生命を掛けて、命を掛けて、この国会中に法案を成立させる」との“大見得”は果たして成就するのでしょうか?