野村HDがインサイダー取引に関与、国際帝石の増資で
3月21日(ブルームバーグ):野村ホールディングスが2010年の国際石油開発帝石の公募増資に絡んだインサイダー取引(金融商品取引法違反)に関与していたことが明らかになった。関係者によれば、増資の引き受け証券会社として知り得た情報を、インサイダー取引をした中央三井アセット信託銀行に漏らしたもようだ。
証券取引等監視委員会の21日の説明によれば、中央三井側は増資の引き受け主幹事証券の1人の営業社員から、国際帝石の増資情報を入手した。一方、野村証券は同日夕、「誠に遺憾。引き続き当局の調査に全面的に協力する」とのコメントを発表した。野村は5000億円規模の増資で主幹事の1社を務めていた。
今回のインサイダー取引は、引き受け証券会社が増資に関する情報を第三者に漏らし、その情報を大手信託が利用した前例のないケースとなった。日本の金融市場では、AIJ投資顧問による巨額の年金受託資金の消失問題が発覚したばかりで、市場の信認を失う問題に国内最大手証券が関与したことになる。
監視委は21日、証券会社から得た情報により受託運用資産で国際帝石株を空売りするなどして利益を得たとして中央三井アセット信託に5万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。増資の主幹事は野村証券、ゴールドマン・サックス、JPモルガン証券、みずほ証券だが、監視委は情報を外部に伝えた証券会社の実名は公表していない。
板硝子や東電増資も調査
国際帝石の増資は2010年7月に公表された。中央三井側がインサイダー取引で得た利益は約1400万円に上ったという。監視委では、日本板硝子や東京電力株の大型増資でも公表前から株価が下落するなどインサイダー取引の疑いがあるとみて、海外当局とも連絡を取り合いながら幅広く調査を進めている。
中央三井アセット信託の住田謙社長は21日夕の会見で、「個人として何がインサイダーかという慎重を欠き、会社としては運用担当者と証券会社の営業担当が面談するリスクに対する認識が欠けていたと反省している。関係者に多大なる迷惑をおかけし、深くお詫びします」と陳謝した。
国際帝石は同日夕、「新株式発行および株式売出しに関して勧告に至る事態が発生していたことは極めて遺憾」とするコメントを発表。その中で「健全、公正かつ効率的なマーケットの形成や投資家保護のため当局により適切かつ厳正な対応がなされるとともに、このようなことが再発しないよう強く希望している」と述べた。
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更新日時: 2012/03/21 22:24 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M183SB0YHQ0X01.html
中央三井アセットの増資インサイダーで課徴金勧告、他の事案も調査
2012年 03月 21日 19:36
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[東京 21日 ロイター] 証券取引等監視委員会は21日、中央三井アセット信託銀行に対して5万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告したと発表した。
検査を行った結果、中央三井アセット信託銀行の運用担当者が、国際石油開発帝石(INPEX)(1605.T: 株価, ニュース, レポート)の大型公募増資の情報を事前に知り、金融商品取引法で禁じられているインサイダー取引を行った疑いがあると判明したため。監視委は今回の事案以外にも、大型公募増資に関連する違法行為の可能性を調査しており、他にも疑いが固まり次第処分勧告などの対応を取る構えだ。
会見した監視委は、大型公募増資の決議前後でインサイダーが行われていた疑いは、他に「日本板硝子(5202.T: 株価, ニュース, レポート)や東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)などの公募増資でもあった」(幹部)と指摘。今回の国際石油開発帝石(INPEX)(1605.T: 株価, ニュース, レポート)、日本板硝子、東電など「別の事案で嫌疑が固まれば(処分の)アクションをとるかもしれない。この事案で終わりではなく調査を継続する」と述べた。日本の証券市場の信認を回復するために、公募増資に関連するインサイダー取引の実態を解明する必要性があると強調した。
監視委によると、中央三井アセット信託の運用担当者は、公募増資を実施したINPEXが、増資を決議する前に、新株発行についての情報を入手し、保有していたINPEXの株式をすべて売却したうえで、さらに空売りを行った。売り付けた株数は210株(1億0124万円)。このうち空売りは120株。
中央三井アセット信託によると、この運用担当者は、海外の投資家のために一任契約を結び、約27億円の日本株ファンドを運用していた。インサイダー取引によりファンドは約1400万円を儲けた。
課徴金の金額は5万円。ファンドの預かり資産をもとに計算される運用報酬のうち、INPEXのインサイダー取引による儲けとその運用報酬がどの程度の規模だったかに基づいて課徴金を算出するため、課徴金が少額になった。
運用担当者はポケットマネーで利益を受けたわけではないため、処分勧告は、会社に対するものとなり、個人ではない、という。
<情報元、主幹事証券から>
運用担当者は、増資の情報を証券会社の営業担当者から入手した。監視委によると、もとは、機関投資家の営業を担当している証券会社社員が、同じ社内の投資銀行業務に関連する部署にいる社員からINPEXの増資について情報を入手。それが、機関投資家の営業担当者の顧客である、中央三井アセット信託の運用担当者に流れた。
監視委幹部は、この証券会社の担当者が利益を得たわけではないため、証券会社の個社名は開示しないと説明した。会見では社名を明かすべきとの質問が目立ったが、監視委は「通例の扱いとして、情報伝達者が誰かは開示しない」と繰り返した。
<関与したのは4証券のうち1社>
INPEXは2010年7月8日、約5420億円の公募増資を行うことを決議し、発表した。主幹事は、野村証券、ゴールドマン・サックス、みずほ証券、JPモルガンだった。
監視委によると、この証券会社4社のうち、中央三井の運用担当者に情報を流したのは、1社の証券会社。
主幹事の一角だった野村証券は、運用担当者が証券会社の社員から情報を入手したと監視委が認定したことを踏まえ、「誠に遺憾であり、引き続き、当社は当局の調査に全面的に協力する」とのコメントを発表した。
ゴールドマンの広報担当者は、コメントを差し控えるとしている。
会見で監視委幹部は、今回の中央三井の件について「ヘッジファンドや投資顧問のようなプロではなく、大手信託銀行というプロがインサイダーを行ったことが非常に大事」(幹部)との認識を示した。また、企業の資金調達における市場仲介者の役目を担う証券会社が関与したため「(情報を伝達した)主幹事証券の責任は極めて重大」と述べた。
公募増資をめぐっては、ファンドなどの市場関係者が金融機関などから事前に情報を聞きつけ、その内部情報をもとに決議前後に株式が取引されて株価が不自然な動きをしたり、新株の発行条件が歪められるとの疑いが浮上していた。
2010年あたりに実施された公募増資でこうした動きが顕著になったと判断し、金融庁は昨年12月、企業が公募増資を公表してから新株の発行価格を決定するまでの間に、空売りした市場参加者が新株を取得することを禁止するため関連政府令を改正すると発表。現在は新ルールのもとで行われている。
空売りは、貸し株市場などから投資家が株式を借りてきて、現物株式を売却する取引手法。株価が下落した時点で買い戻し、借りてきた株式を返却すれば、利益が出る。
処分勧告を受け中央三井アセット信託は、再発防止策と法令順守体制を大幅に強化する方針を示した。特別調査委員会を立ち上げて今回の原因を調査し、その結果を踏まえ経営責任の明確化や人事処分を行う。
(ロイターニュース 江本 恵美;編集 内田慎一)
*内容を追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82K04I20120321?sp=true
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82K05N20120321
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/430.html