判決までの2カ月間、自由に動けるアドバンテージは大きいですよ
[これまでとこれからの「小沢一郎」の話をしよう・衆議院議員 石川知裕]
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2012/2/24 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
証拠不採用で無罪が濃厚
2月17日の公判で捜査段階の供述調書がことごとく証拠不採用となり、小沢一郎元代表の無罪は、もはや揺るがないように見えます。
その第一報を聞いたのは、羽田空港に向かう車の中でした。
検察官役の指定弁護士が立証の柱に据えていたのは、私が小沢氏に「報告し、了承を得た」という内容の調書です。これも任意性を否定する形で却下されました。裁判所は、検事の取り調べに「強力な利益誘導」や「圧力」があったと断じ、さらには、それが「組織的なもの」とまで厳しく批判。検察官調書の特信性が大きく揺らいだのは間違いありません。
閉廷後、検察官役の大室弁護士は「過去に弁護士として検事の利益誘導などを指摘しても聞き入れてもらえなかったのに……」と複雑な表情で話していたそうです。
私の供述調書に関しては、録音記録をもとに、取り調べが「違法」で「不当」とされました。裁判所が取り調べを「違法」とまで言うのは異例のことだという。つくづく、ICレコーダーの存在に救われましたね。これがなかったらどうなっていたか。いま考えてもゾッとします。同時に、取り調べの可視化がいかに大事かということについても考えさせられます。民主党も野党時代は全面可視化に熱心でした。08年には参院で法案も通した。09年のマニフェストにも全面可視化を掲げていたのに、与党になった途端、機運がしぼんでしまったのです。検察官僚や法務官僚の強い抵抗に阻まれたのか、取り込まれたのか、菅内閣の参院選マニフェストに「可視化」の文字は見当たりませんでした。
小沢氏の裁判で調書が却下され、ホッとした部分はありますが、必ず無罪判決が出るとはかぎらない。私の裁判でも、調書の大半が却下されたにもかかわらず、結果は有罪。証拠がなくても「推認」で有罪と決めつけられてしまいました。
ただ、小沢氏の責任を問うには、虚偽記載を強く指示したとか、関与を示す具体的な内容が必要です。報告書を作成する立場にあった私のケースより、有罪立証のハードルは格段に高い。今回ばかりは「推認」が通用するとも思えません。
とにかく、これで4月下旬の判決まで小沢氏が自由に動ける環境が整った。この2カ月間のアドバンテージは大きいですよ。ちょうどこの間には増税法案の提出という政局のヤマ場もある。
最近の小沢氏は意気軒高で、連日、グループの議員と会合を重ねています。会合では「100人が結束していれば何も心配ない」と話しているという。小沢氏のことだから、きっと「次の次」まで考えているはず。その視点の先には、何が見えているのでしょう。
◇いしかわ・ともひろ 1973年生まれ。早稲田大学卒業後、小沢一郎氏の秘書を経て2007年から衆議院議員。陸山会事件で起訴され、民主党を離党。昨年7月に出版した「悪党 小沢一郎に仕えて」(朝日新聞出版)は5万部のベストセラーになっている。メルマガも好評配信中。