◎国会天気予報は「話し合い解散・時々ハプニング解散」
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2012-01-23 06:59 永田町幹竹割り
通常国会を天気予報風に見通すならば「話し合い解散、時々ハプニング解散」だろう。「消費増税政局」を軸に3月末からいつ解散があってもおかしくない激動状況に陥り、6月の会期末には、本命の「話し合い解散」が待っているという状況だろう。この間、元民主党代表小沢一郎への判決、さらなる民主党離党、新党結成の動きなどがマグマ噴出の機会を窺う。政局は政権の帰趨(すう)も賭けた、まさに白兵戦の状況へと突入する。野田政権は野党に加えて、党内反対勢力による“腹背の攻撃”を受ける形となった。
22日の党大会での自民党総裁・谷垣禎一の発言を聞くと、もう頭に血が上ってしまっいる。消費税の協議など念頭にないどころか、民主党政権に罵詈雑言まで浴びせかけた。「民主党は(2009年衆院選)マニフェストには消費税率を上げることは書いてない。口先だけのいかさまだった」「『偽りの政権』に終止符を打ち、政権の正統性を回復する総選挙を求める」とあらん限りの言葉を使った宣戦布告だ。もっとも売り言葉がある前に買い言葉を発したのは野田だ。16日にテレビで「『出直しをして解散をしろ』という野党に対しては、やるべきことはやって、やり抜いて、民意を問うことをはっきり宣言したい」と“消費税やり抜き解散”を宣言した。両者共に一歩も譲らぬままで、まぎれもなく激突のコースを進んでいる。二三度火花を散らしてからでないと物事は動くまい。
野田は前門の虎後門の狼で腹背に敵を受けようとしている。野党と小沢だ。正門からは野党、裏門には狼が徘徊(はいかい)している。その小沢狼も16日の党大会にぶつけるように109人も集めて勉強会を開き、野田をけん制する動きを露骨にさせている。109人とはよく集まったと思ったが、権力誇示の裏にからくりがあった。元官房長官・野中広務が22日のテレビの時事放談で「カネを配った」と公言したのだ。野中によると「帰りがけに金一封20万円づつ包まれていた」というのだ。「この人数は金銭的なところから出たものだ」と断言した。野中の言葉通りなら小沢は2200万円で109人を買ったことになる。政治的には小沢の力量がまだあると思わせることができ安い買い物だったが、ネタがばれては「な〜んだ。それほどでもない」ということになる。
しかし小沢が波乱要素であることに変わりはない。政治家の裁判の結果が政局に影響するケースが、今回ほどはっきりしていることは珍しいのだ。負けと出れば選挙を前に小沢に接近することは何も知らないチルドレンでも警戒するだろう。小沢は動くに動けなくなる。勝ちと出れば、小沢は“大だんびら”を振りかざして六方を踏むだろう。公然と消費税解散に反対して、野田不信任案に欠席や賛成に回ったり、新党の動きに出るかも知れない。9月の代表選挙に出馬も辞さぬ構えだろう。その裁判の勝敗を占うことは、2月に可能となる。裁判所が小沢の関与を認めた元秘書らの調書を証拠採用するかどうかにかかる側面が大きい。採用すればまず有罪の方向だ。既に戦いの火蓋は切られた形で、政策調査会長代行・仙谷由人が22日「民主党は最初は小さかったが、数が多くないと政権がとれないとなったところからおかしくなった」と “自由党との合併”にまでさかのぼって小沢を批判。小沢も「改革が何ひとつなされていないなかで増税するのは、国民に対する背信行為になる」と政権への直接批判へとエスカレートさせた。
通常国会は26日から代表質問が行われ、その後外交・安保での集中審議を野党が要求している。この期に及んで何故外交・安保かというと、紛れもなく「田中直紀」狙いであろう。冒頭に防衛相・田中の首級をあげて激動国会の初戦を飾ろうというわけだ。国会への消費税増税法案提出は3月になる段取りだが、それまでの間は赤字国債を発行する特例公債法案など予算関連法案をめぐって駆け引きが続く。おそらく野党は参院で予算関連法案の成立を拒否して、たなざらしにする戦術を採るだろう。昨年同じ立場に置かれた首相・菅直人は3・11大震災で救われたが、通常の場合成立が遅れれば内閣の責任問題となり、解散・総選挙の起爆剤になり得る。
自民党は内閣不信任案や参院での首相問責決議案の上程も戦略のうちだろう。ただ野党も谷垣のように攻め一筋が終盤まで維持できるかどうかも問題となる。自民党は党内から与野党協議に応ずるべきだとの議論が風速を増すことは目に見えている。谷垣の強硬姿勢には焦りの裏返しのようなところがあるのだ。公明党も協議を求める世論の要求に必ずぐらつく。谷垣としては落としどころが「話し合い解散」となれば「御の字」で大いにありがたいところが本音だろう。