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イスラエルの凋落が始まった
テルアビブでのデモ
◆8月9日
イスラエルが中東で随一の軍事大国であり、そのためどんな悲惨な状況がガザで生じても、アラブの同胞国家らはなにもできなかった。イスラエルはそれをよく知っているからやりたい放題のことをパレスチナ人に対して行ってきた。
しかしここに来て、中東では「アラブの春」の嵐が吹き、その風はイスラエルにまで到達しつつある。従ってこのブログでは「アラブの春」は「中東の春」へと変化しつつあると指摘した。
またアメリカに依存しているイスラエルはアメリカがコケれば、その安全保障面で危機が出来する、と指摘してきた。
現在、イスラエル内での民衆の蜂起と、アメリカの国債格下げを原因とする株式市場の急落、という2大ショックに見舞われて、イスラエル政府はこれからは、今迄どおりの武断的で傍若無人的な外交政策はできなくなりつつあることを認識していかねばならないだろう。ようするに、中東でイスラエルの「お山の大将」の時代は終わりつつある、ということ。
そしてこの「アラブの春」、「中東の春」は、やがてヨーロッパへと飛び火しそうであり、その先にはアメリカが待っているし、中国が待っている。これは経済・金融崩壊問題とリンクし、お互いがお互いを刺激しながら、世界は動乱の世界へとなだれ込んでいく。
その先にあるものは、人間が築いてきた「文明」なるものが、いかにはかないものであるかを思い知らされる状況であり、自然の奥に存在する、「見えざる存在」への畏怖と崇敬、それを基盤とする新しい文明形成の胎動であろう。その時、この世で栄えてきた者たちの多くは次にやってくるその世での栄えを共にしていないであろう。
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●国家的騒乱:イスラエルで30万人の大規模デモ
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4105195,00.html
【8月7日 Ynet reporters】
テルアビブで7日夜、25万人以上がデモに参加した。これはイスラエルの歴史で最大規模となるものだ。エルサレムでは3万人が参加、数万人がその他の都市でデモに参加した。・・・
●アメリカ国債の危機でイスラエル株式市場が急落
http://www.voanews.com/english/news/Israeli-Stock-Markets-Falls-6-Percent-127087548.html
【8月7日 Robert Berger ? Voice of America】
国債の格下げを含むアメリカの負債危機は、中東の週最初の取引日にネガティブな影響を与えた。ドバイとエジプトの株式市場は約4%の下げ、イスラエルでは更にひどい下げとなった。
テルアビブのトレーディング・ルーム
テルアビブ株式市場ではパニックを避けようと開始を45分遅らせたが何の効果も無かった。アメリカ国債の格下げの影響で市場は7%下げた。
「これは強烈なショックだ」とエコノミストのヤアコブ・シェイニンはイスラエル・ラジオに語った。彼はオバマ大統領と連邦準備銀行が市場をなだめるための何らかの措置を取るべきだ、と語った。
イスラエルにとってはこれは、二日間で2度目のショックだ。6日の土曜日には25万人のイスラエル人が通りに出て高騰する住宅価格と安い賃金に対する抗議のデモを行った。
急上昇している住宅、食糧、ガソリン価格に抗議するデモの内最大のものだった。エルサレムの普通のアパートは50万ドルするが、普通のイスラエル人の平均給料は2500ドル/月である。
イスラエルの経済は年率で5%の上昇を見せているが、抗議のポイントは富裕層と貧困層の格差が拡大している点にある。デモ隊は政府に減税、住宅補助、物価を下げることなどを要求している。
これはネタニヤフ首相に圧力となっている。首相の支持率は抗議デモが始まってから急落し32%まで落ち込んだ。エルサレムでの毎週行われている閣議で、ネタニヤフ首相は抗議する人々に対する同情を示したが、早急に事態を改善する策はない、と語った。
首相は閣僚の委員会を設置し、エコノミストにデモ隊との会見、生活費の低減計画を作成することを発表した。しかし首相は、イスラエルはアメリカの負債危機に直面し公的支出面では慎重でなければならないと語った。首相はまた、イスラエルは中流階級の窮状を改善する必要性はあるが、政府は「財政面での責任」があることを強調した。
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2011/08/09 (Tue) 国際政治