89. 2011年6月18日 06:27:39: eldUHXz5W7
これまで意識して放射線障害という語を避け、放射線傷害を用いてきた。それには次のような理由がある。
放射線を浴びた人に出る影響は、どこに浴びたか、どのくらい浴びたか等々により、重大さも、症状も、出現時期も、千変万化であるが、いくつかの分類法がある。
放射線を浴びた人が自分の将来の健康を考えたり、被曝者に対処する際に便利なものとして時間経過による分類がある。この分類では被曝後割合早く出る早期影響と数年あるいはさらに後に出る晩発影響に二大別する。晩発影響としては、白内障とがん(白血病を含む)の二つだけを考えておけばよい。これ以外は全部早期影響である。
放射線障害の分類にはもう一つ別な観点からのものがある。それは放射線管理に関連したもので、国際放射線防護委員会(ICRP)は、「ちょっとでも浴びれば浴びた量に比例して害がある」という仮定が当てはめられるものを確率的影響、それとは対照的に「ある程度以上浴びなければ出ない」ものを確定的影響と称して、放射線の健康への影響を二つに区別している。
放射線の影響というと、ありとあらゆる「病気」が無闇やたらに降りかかってきそうな感じがするが、この分類でいう確率的影響に入るのは遺伝影響とがん(白血病を含む)だけである。ほかにも考えられる、放射線で起こりそうな病気や症状は全部確定的影響に分類されている。放射線症や放射線火傷のほか、白内障になる、不妊症になる、また最も心配されている胎児でいえば、奇形児になる、精神発達遅れになる、などはどれも確定的影響である。