これから福島原発災害に関し東京電力、原子力安全保安院、原子力委員会、原子力安全委員会、経産省などの責任を追及し、損害賠償を請求するときに忘れてはならないのは、東京電力に最大津波の想定5.4〜5.7メートルとのお墨付きを与えた土木学会の責任だ。その土木学会は、この4月1日からこっそりと公益社団法人(無税の公益法人)として認定されている。こんな公益に反したことをした組織が、いまなぜ公益社団法人として認められるのか、はなはだ不適当と言わざるを得ない。
http://committees.jsce.or.jp/jsceoffice/node/31
土木学会の津波に対して無防備な福島原発にお墨付きを与えた責任は大きい。東京電力の武藤栄副社長(原子力・立地本部長)は、福島第一原発への津波が少なくとも高さ14メートルに及び、この土木学会指針に基づく想定を3倍近く上回る「未曾有の津波」であり「想定外」だったとの見解を示した。東京電力は、原子力損害の賠償に関する法律第3条に規定される「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱による賠償免責」によって原発事故が引き起こされたとの見解を示し、土木学会はこの東電による責任回避の根拠を与えているのである。
http://getnews.jp/archives/106918
それにもかかわらず、土木学会は「想定外」の責任を回避すべく、学術的な専門家として立場から「安全に対して想定外はない」などとして、臆面もなく政府・東電が今回の津波にたいして「想定外」と言うことに対して苦言を呈している。
http://www.j-cast.com/2011/03/26091397.html
今回の地震・津波でも、女川原発が14mの津波を想定していたおかげで決定的なダメージを回避できたのとは対照的である。実際には、1997年の奥尻島津波では最大30m、1896年の明治三陸津波では最大38mを記録しているのである。一体、土木学会は何を根拠にそのような「指針」を示したのか、学術的な専門家として説明責任がある。
その説明責任を果たさない限り、土木学会は公益社団法人としては不適格である。まさか、学術的・専門的な根拠のない「指針」を示して、その「指針」についての責任は利用者にあるなどどはいうまい。そのような言い訳をするのなら、むしろ反社会的な団体と言わざるを得ない。
環境エネルギー政策研究所 客員研究員田中信一郎博士が指摘するように、土木学会指針は電力事業者の利害と無縁の専門家(=第三者性)が、純粋に科学的視点に基づいて策定した(=学術性)ものとはいえないのは明らかだ。同学会原子力土木委員会に限らず、土木学会全体が「発注者が主役」という役員構成であるからだ。
http://getnews.jp/archives/106918
東電が主張するように、土木学会指針を根拠として福島原発災害の賠償免責が許されることがあってはならないし、そのような指針を作成した土木学会は、その反公益性と指針に対する責任から、公益社団法人に認定されるようなことがあってはならない。
http://www.asyura2.com/11/senkyo111/msg/489.html