イエス。そのとおり。しかし、だから何だというのだ。グローバル化の進んだ世界では、クリエイティブな個人も、優良な多国籍企業も簡単に国境を超える。とりわけアジアにおいては香港やシンガポールなど、非常に低い税率で積極的に高額所得者や多国籍企業を誘致している国がある。このような状況では、早晩、高額所得者と多国籍企業は香港やシンガポールに拠点を移すだろうし、アジア以外の地域からアジアに進出してくる企業にとって、東京はアジアの拠点になることはないだろう。香港かシンガポールにアジア戦略の中枢機能を集中させ、東京はアジアの他の都市の下に位置する。当然、高額所得者は香港かシンガポールに居住し、主な活動は東京以外で行われるので、日本国政府に支払われる税金は限られたものになる。
高額所得者や企業に減税することにより、確かに低所得者層との格差は広がる。しかし、それはゼロサムゲームではない。このようなグローバル・プレイヤーが活躍する地域では、低所得者層の生活水準も向上するのだ。さもなくば、優秀な個人も企業も出て行き、低所得者層の生活はなお一層きびしいものになろう。さて、日本はどちらの道を選ぶのだろうか。
日本の財政は危機的な状況にあり、このままでは将来ギリシャのようになってしまうのではないか
イエス。そのとおり。このまま行けば、日本は将来、ギリシャのようになってしまう。しかし、ギリシャに何が起こっているかよく考えてみよう。国債の金利が上昇し、ギリシャ政府はこれ以上、借金ができなくなった。それで公務員や官僚、様々な官営企業に資金を供給できなくなり、その結果、公務員や官僚、政府の関連企業が容赦無い減給や解雇に直面している。また、過大に受け取っていた年金生活者の年金支給金額が大幅にカットされている。そして国際社会からの激しい非難を浴びているのだ。今まで、既得権益の上に胡座をかき、利権を貪っていた人々に市場が天罰を下した。確かに、社会は大混乱しているが、このような歪な構造が温存され続けるよりはよかったのではないか。激しい経済危機の後には社会が驚くほど発展することがある。戦後の日本がそうだったし、最近では1997年のアジア通貨危機で瀕死の状態に陥った韓国は、IMFなどの国際機関の介入で現代グループなどの財閥が解体され、多くの企業で激しいリストラが断行された。膿を出しきったのだ。その後、競争的な市場経済の中で韓国は目覚しい発展を遂げた。筆者はグローバルに活躍するエリート層では、すでに日本人より韓国人の方がはるかに層が厚いと感じている。
現在のような日本の状況で増税して、財政破綻までの期間を引き伸ばしたところで、非効率で腐敗しきった官僚組織や、死に体の産業構造がそのまま温存されるだけだ。政権与党の政治家に痛みを伴う構造改革を断行する強い意思がないのならば、我々は決して増税を容認してはいけない。いずれ市場から強制的に洗礼を受けることになるが、それは今のような、経済が成長せず、閉塞感が充満し、緩やかなデフレが続く、生ぬるい地獄のような日本経済の状況がずっと続いていくよりもはるかにマシだ。
日本の財政赤字は増税することではなく、非効率で肥大化した社会福祉を大幅にカットし、それに付随する官僚機構のリストラを断行することにより解決しなければいけないのだ。
年金が減額されたり、支給されなくなってしまうのではないか
イエス。そのとおり。そして年金が支給されなくなることは何の問題もない。なぜなら年金なんていらないからだ。当たり前だが、年金というのはマイナスサム・ゲームだ。誰かに支給される年金は、誰かが払ったものだ。自分が払ったよりも多く受け取れる者もいれば、逆に少ししか受け取れない者もいる。ゼロサムじゃなくてなぜマイナスサムかというと、カジノと同じ理由だ。ギャンブルではカジノが寺銭を抜くが、年金は官僚や年金に関わる公益法人、システム開発を請け負う民間企業や資産運用会社がいくらかの金を合法的に抜き取る。
日本の年金はさらに続きがあって、40歳以下の人たちは負け、それも大幅なボロ負けが確定しているのだ。勝ち組は高齢者と年金ビジネスに関わる官僚や企業だ。こんな小学生でもわかる簡単なことが、なぜか多くの国民はわかっていないようで、みな自分が払った以上にもらえると期待しているようだ。こんなすでに負けがわかっている不合理なギャンブルに自分の金を張り続けるなんてどうかしてると思わないか。だから年金は一刻も早く解散させるべきだ。今まで支払った保険料に、国債の金利を付けて全額国に返済してもらう。それで年金は解散だ。年金が必要だと思う者は自ら資産運用してもいいし、民間企業が提供する金融商品を買ってもいい。自分の老後の面倒は自分で見る。当たり前のことではないか。
とはいっても少子高齢化社会では増税は避けれれないのではないか
イエス。そのとおり。しかし、少子高齢化社会を回避する簡単な方法がある。移民をどんどん受け入れることだ。日本は過去の貯金があり、まだまだアジアの中では豊かな国だ。だから、日本で働きたいという若者は東南アジアや中国に多数いる。日本は今後、労働人口も減少していき、介護や保育などで労働力不足になる。そのような状況で、なぜ我々納税者は、より少ない人数で、より多くの高齢者を支えていく社会を半ば受け入れつつあるのだろうか。日本国民はマゾヒストにでもなったのだろうか。重税に耐え、老人の介護などで薄給を稼ぐ将来を日本国民は望んでいるのだろうか。筆者はそのような考えは全くもってクレイジーだとしか思えない。
まだ日本経済に余力があるうちに戦略的な移民政策を大胆に実行するべきだ。移民というのはより高い賃金を求めて移住するのであって、日本経済が衰えて他のアジア諸国と比較して高額な賃金が払えなくなれば、移民政策は非常に困難になる。だから、日本に残された時間は少ないのだ。
現在のような、既得権益層を延命させるための増税には筆者は断固として反対する。
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