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まさに銀行機能の不全こそが今の日本の真の問題点
猛獣王S HP ( 不惑 東京 営業 ) 10/12/11 PM01 【印刷用へ】
『週末経済論』(第3の視点)リンクより転載します。
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経済の方法論は複雑であるが、原則は単純である。
にもかかわらず、その原則を全く理解しない連中が方法論をあれやこれやといじくるので、一般的には経済とは専門性の高い庶民に縁遠いものだと誤解されているのである。
というわけで、素人でも分かる簡単なポイントを。
1.全ては銀行からはじまり、銀行に終わる。
そもそも、市場経済とはたんなるゼロサムゲームである。
例えば、子供におもちゃの貨幣を与えてお店屋さんゴッコをやらせて見よう。そして、一番お金を集めた子が、ゲームの勝者になれると。
子供でもすぐに気づく。
貨幣が有限しかないのだから、極力貨幣を使わずに溜め込んでおくことが非常に重要である、と。ライバルの商品は決して買わず、消費を極力抑え、一度手元に入ったおカネを絶対に手放さないこと。
それがこのゲームの必勝法である。
従って、子供は最初は面白くお店を開いていろいろ工夫もするが、じきに「これは何もしない方が勝てる」ということに気づく。
特に、一定の額のカネを集めたら、後は何もしない方がカネを減らさずに済む。
要するに。
こんなシンプルな実験でも、子供たちの商店街はシャッター通りを形成し、日本の縮図を再現してしまうのである。
ちなみに、市場がゼロサムゲームであるかぎり、消費税をいくらにしようが、所得税をどういじくろうか結果には大差は無い。
税金部分のパラメータの変更は、単にゲームの勝者をAにするかBにするか、またはゲームの終了までの時間を長びかせる効果しかなく、最後はシャッター通りになることにはかわりはない。
ちなみに、菅のアホな増税景気回復論はこのゲームと全く同じ結末になる。
理由は単純である。
消費税に課税して雇用を産み出すということは、すなわち、消費するほど不利になるわけである。
端的に言うと、消費性向の高い貧乏人はさらに貧乏になり、消費性向の低い金持ちはより金持ちになる。
すなわち、課税されない資産、例えば隠し持った金塊や海外資産を抱えている金持ちが有利になり、貧乏人はさらに貧乏になる。まあ、その貧乏人の中で政府雇用されるのが勝ち組になり、残りの貧乏人から巻き上げた消費税にたかって生きていく、という世界になるわけである。
ではどうすればこの無間地獄を抜け出せるのか、というと。
外部からカネを新しく供給すればいいのである。
そう言うと「そんなカネはどこにある」という反論が来るのであるが。
現代の通貨は実体のない信用通貨であり,輪転機で原価20円の紙切れに印刷するだけでいくらでも増やすことが出来るのである。
そしてこの通貨供給を担うのが銀行の本来の役割である。
逆に言えば、まさに銀行機能の不全こそが今の日本の真の問題点であり。
銀行の真の仕事はカネをばら撒くことなのである。
銀行の市場への資金供給機能が不足しているから、そのかわりに政府がばら撒くというのがいわゆる第一の道、道路を掘り返す公共事業の役割である。
ちなみにこの種の公共事業を通した経済対策は今でも有効である。
ただし。
この方法が採用されない理由は。
経済が大きくなるにつれて、市場全体に与えるために投入しなければならない金額が増える。
しかも、メインの資金供給回路が壊れているのだから、その分の負担も要求される。
もちろん、仮想の信用貨幣である日本円を発行すること自体には問題はない。
問題は、「現在カネを溜め込んでいる連中が反対する」ことである。
再び、子供たちのお店屋さんゴッコを考えてみよう。
市場のカネをゴッソリ溜め込んで、おやつの時間までシャッターを閉めて時間切れ狙いでマンガを読んで時間をツブしている子供が激怒するだろう。
このままなら労せずに自分の勝利なのに、市場にあらたな資金が大量に供給されたら、またがんばってゲームに参加しなければならない。
従って、あらゆる方法でダダをこねて、資金供給に反対するわけである。
このダダを、専門用語で「財政再建」とか「プライマリーバランスの黒字化」と呼ぶ。