[柳田法相失言]大臣失格。すぐ辞任を
2010年11月19日 09時47分
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-11-19_12129/
ふざけるな、と言いたい。
いいかげんな法務大臣に怒りがわいてくる。
柳田稔法相が国会答弁を軽視するような発言をしたことが問題になり、野党から辞任を求める声が相次いでいる。
報道によると、柳田法相は14日に広島市で開いた国政報告会で、こう述べたという。「法相はいいですね。(国会答弁では)二つ覚えておけばいいんですから」
具体的に挙げたのは「個別の事案についてはお答えを差し控えます」「法と証拠に基づいて適切にやっております」というフレーズ。特に、「個別の事案については…」という言葉については、「これはいい文句ですよ。分からなかったらこれを言う」と話していた。この答弁でだいぶ切り抜けた、とも自慢げに語った。
実際に、柳田法相はこの二つのフレーズを国会答弁で39回も使ってきたことが、自民党議員によって明らかにされている。
参院予算委員会で野党の追及を受けた柳田法相は「思慮がなかったと心から反省している。今後の国会答弁には真摯(しんし)な姿勢で臨みたい」と陳謝したが、何をいまさらだ。
国会は、全国民を代表する選挙された議員で構成されている。「国権の最高機関」である国会で、閣僚がその場しのぎの答弁を繰り返していたことは、国会軽視であると同時に、代表として国会議員を選んだ国民を軽視するものだ。法務行政を冒涜(ぼうとく)するものでもある。
任命権者の菅直人首相は、柳田法相を起用した理由について「全体的、国民的観点から物事を判断できる人を任命した」と説明し、適任であるとの認識を示した。併せて、「本人には強く注意した」とも述べ、罷免の考えがないことを明確にしている。
柳田法相の進退問題が首相の任命責任に波及することを恐れた対応だとみられるが、厳重注意だけで幕引きできる状況にはない。
自民党は参院で問責決議案を提出する構えを見せ、公明、社民は賛成する方針を決めている。参院は野党が多数を占めるだけに、問責決議案が成立する可能性は極めて高い。決議に法的拘束力がないとはいえ、野党の戦術によっては国会審議がストップする事態も想定される。
国会質疑を適当な答弁でやり過ごしてきた柳田法相に閣僚としての資質や見識があるとは思えない。出処進退を速やかに明らかにすべきだ。
中国漁船衝突および映像流出事件や法相失言など、菅政権は制御不能の末期状態に陥った観がある。
支持率も急落し、対中国外交に象徴される場当たり的対応が国民の信頼を失っている。今回の法相失言問題でも毅然(きぜん)とした対応を取ることができなければ、国民の心は加速度的に離れていく。
臨時国会の会期末は12月3日。郵政改革法案、労働者派遣法改正案、環太平洋経済連携協定(TPP)への対応など重要課題が山積する中、求められているのは迅速な対応だ。政治のツケを国民に回す愚があってはならない。