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民主党代表選に小沢一郎氏が出馬する。菅首相は、7月末の両院議員総会で参院選惨敗の責任については、9月の代表選で「信を問う」と述べた。もし、誰もが代表戦に立候補しなければ、参院選敗北の責任が有耶無耶になる処であった。処で、マスメディアや政治評論家は今回の代表選を、親小沢対反小沢の権力闘争として、国民をミスリードしているがそれは違う。民主党の政治理念・政策の路線選択選挙なのである。
小沢氏出馬に関して、各党の反応を伝えるニュースの中に、「たちあがれ日本」の与謝野共同代表が、「親小沢とか非小沢とかいう言葉は、政治的に何の意味も持っていない。巨人が好きか、阪神が好きかぐらいの差でしかなく、そういうことで代表選挙を戦うのではなく、国の形や日本の進路をどうするのかというところに議論を高めてもらいたい」と述べていたが、正に、民主党の進路を決める選挙なのである。
鳩山前首相は、「民由合併の時からの同志として協力」と「小沢氏に民主党に入っていただいた。その経緯からして応援するのが大義だと思う」と述べている。氏は、政権与党としての民主党の原点は、民由合併にある。そして、小沢氏が代表に就任し、【国民の生活が第一】の政治理念を掲げ07年の参院選に勝利した。それが昨年8月の総選挙での政権獲得に繋がった。その路線を進むことに大義があると言っている。
それは、菅首相と現執行部がその路線を踏み外し、参院選で惨敗したことを批判している。また、22日日曜のテレビ番組TBS・サンデー・モーニングの中で、慶応大学金子勝教授が、「衆参両院の【政党のねじれ】と【民主党の中のねじれ】がある」と指摘。「民主党の中で、政策的に最も【反自民】に位置するのが小沢氏。自民党に近いのが現内閣」と述べたが、民主党内に明らかに下記の路線の違いが存在する。
国民が民主党に政権を負託したのは、小泉似非改革で疲弊した日本の社会をどうかして欲しいということからであった。それは、小鳩内閣が進めようとした;
@コンクリート(=市場原理主義・新自由主義)から人(=共生主義)への転換
Aアメリカとの対等な関係樹立(=普天間基地の国外移転=脱対米隷属外交)
B「脱・官僚主導政治」による政官財癒着の自民党政治からの脱却
これに対し菅内閣は、その中核を占める前原大臣の凌雲会、野田大臣の花斉会は、自民党小泉改革路線に近い新自由主義者である。そして示している方向は;
@財政規律による市場原理主義の経済政策(=財政再建至上主義・デフレ経済)
A対米隷属外交の継続(=辺野古への移転
B反「脱・官僚主導政治」と大企業(=日本経団連)への擦り寄り
まさに、菅首相を支持すると言うことは、第2自民党路線を進むと言うことである。
と同時に、これはこれまでも筆者が度々述べてきた「既得権益を打破し国民に戻す」のか、それとも「既得権益を守る」のか、その路線の違いだと言える。霞ヶ関やマスメディアは、彼らの既得権益が侵害されるから、鳩山前政権を普天間問題で猛烈にバッシングし、退陣に追い込んだ。そして「政治とカネ」と言って、小沢氏に関する虚実入り混ぜた情報を流し、小沢クロの刷り込みを図ってきた。
処で、どうしてこのような路線の違いが生じたのか。それは二人の政治家としての育ちと理念の有無にある。菅首相は市民活動家として、時の権力に対抗し、擦り寄ることと、政策ではなく「風」を頼りにするオリジナル民主党体質でのし上がって来た。そして市民活動家の典型であるマキャベリスト的性格である。また、理念が無いから消費税増税や解散権に関して、歴代の総理に比べ軽々しく発言することになる。
小沢氏には、古い自民党的体質とのレッテルをマスメディアは貼り付けるが、それは違う。自民党では改革が無理だとして、自民党を離脱してから17年。その間、「政治を国民の手に」の信念は全くぶれていない。菅首相が大衆迎合の「風」まかせの根無し草だとすると、小沢氏は政治信念を大地に根を確りと張った政治家だと言える。
確かに政権を争うのだから権力闘争である。しかし国民は、マスメディアが自らの既得権益を守る側に立って、報道していることを忘れてはいけない。そして、この代表選の本質は、民主党の【路線選択選挙】であることを認識することである。
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