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福岡県二丈町の立てこもり女児殺害事件で殺人罪などに問われ、福岡地裁で公判中の川村忠被告(37)に対し、解任された弁護人が報復などの2次被害を防ぐため、被告の求めを断って供述調書のコピーの一部を差し入れていなかったことが分かった。被告がDV(ドメスティック・バイオレンス)加害者であることも考慮に入れた決断。調書のコピー差し入れについては、政府の司法制度改革でも目的外使用への罰則新設などが議論になっており、弁護活動の一つのあり方として注目される。【吉富裕倫】
1日の福岡地裁301号法廷。自殺未遂を起こし車椅子で入廷した川村被告は「弁護人は調書を全部私に見せることなく、認否を決めた」と述べ、4月と7月の2回にわたって解任した4人の国選弁護人への不満をぶちまけた。
川村被告は事実関係をほぼ認めているが、この日は「全員から敵に回され、計画犯罪にされている。弁護人は親族らの調書のコピーがあるのに、差し入れなかった」と述べた。
解任された弁護人によると、親族ら第三者の供述調書の内容は川村被告に説明した。川村被告が納得いかない調書は不同意とし、裁判所で調べられることになる同意調書のコピーだけ、5月に川村被告に差し入れた。不同意の調書については「川村被告が、脅迫状を送りつけるなど2次被害の恐れを考慮して差し入れなかった。被告との信頼関係を維持できなかたのは残念だ」という。
川村被告は昨年9月、DVで逃げ出した妻子の居所を捜すため妻の実家に立てこもり、人質にしためいの女児(当時9歳)を殺害した殺人罪などに問われている。
刑事事件のベテラン弁護人によると、コピー機が普及する以前は、無罪主張など特別な事件を除き、調書の写しは差し入れられていなかった。現在でも、暴力団など悪用される恐れがある被告には、コピーを差し入れないケースもあるという。
川村被告が起訴された昨年秋、県弁護士会刑事弁護委員会でも、別の事件を巡りこの問題で意見交換があった。「不同意調書なら裁判で調べられることがなく、差し入れなくても被告の不利益にならないのでは」といった意見や「被告は証拠の内容をすべて知った上で反論する権利があり、差し入れるのが原則」とする意見もあったという。
委員長の福島康夫弁護士は「悩ましい問題だ。事件発生など具体的な危険があれば、差し入れないこともありうるという考えが大勢ではないか」と話す。
大阪地裁では、公判中の男性被告が被害者や証人の供述調書を弁護人の反対を押し切ってインターネットで公開し、01年11月に問題となったケースもある。現在政府の司法制度改革推進本部では、証拠の目的外使用を防ぐため、弁護人や被告に罰則規定を設けることも検討している。
【ことば】証拠の同意・不同意 刑事裁判では、検察側が有罪を立証するため裁判所に調書など証拠の取り調べを求める。裁判所は被告・弁護側が同意したものを採用して調べ、争いがあって不同意にしたものは検察側は調書の代わりに証人を呼んで立証するのが原則。刑事訴訟法では、検察側が用意した証拠の閲覧・謄写は弁護人が認められ、証拠の同意・不同意は被告が決める。このため、被告が検察側主張と争う目的で弁護人に求めれば、弁護人が調書のコピーを差し入れるケースがほとんどという。
[毎日新聞10月6日] ( 2003-10-06-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031006k0000e040060000c.html
★ 弁護人が、「川村被告が、脅迫状を送りつけるなど2次被害の恐れを考慮して差し入れなかった」と将来の“予測”を勝手に行い、被告が求める判断資料を渡さないというのは自己の役割を履き違えている。
福島康夫弁護士の「悩ましい問題だ。事件発生など具体的な危険があれば、差し入れないこともありうるという考えが大勢ではないか」という考えも、予防拘禁の是認にもつながりかねないものである。
将来発生しそうな問題は警察や対象者が防止に努めることであり、それが起きそうだからという予断で弁護士(弁護人)が被告の権利を制限するのは本末転倒もはなはだしいことである。
「こういう調書を渡したから○○さんの安全に配慮してください」と警察に伝えるのが妥当なものだと思われる。