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http://www.asahi.com/column/aic/Fri/d_love/20031010.html
松尾慈子の漫画偏愛主義 October 10, 2003
やっちまったよ一戸建て!! 全2巻
伊藤理佐 双葉社 各714円
松尾慈子
1992年朝日新聞入社、金沢、奈良支局、整理部などを経て、現在、大阪本社学芸部記者。漫画好き歴は四半世紀超。
一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。
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「男性漫画誌アクション休刊」の記事を新聞で読んだときに、まっさきに思い浮かべたのが、主にアクション誌上で活躍している漫画家・伊藤理佐のことだった。彼女は、都内に一戸建てを建てるために、2500万円を25年ローンで某銀行に借金しているのに、大丈夫なのか!?
この漫画は、執筆当時29〜30歳・バツイチ独身だった伊藤理佐が、都内で約20坪の土地を約4300万円で買い、約2900万円で「一人用一戸建て」を建てるまでの、実録漫画。不動産屋探しや土地探し、両親や銀行からの借金、設計士との打ち合わせなど、家が建つまでに通過しなくてはならないこまごまとした用件を、まったく飾らずに描いている。「家を建てる人は、この本を参考にして家をけっして建ててはいけません」と著者の前書きにあるが、どうしてどうして、この本を読むと、本気で家を建てたくなってしまう、蠱惑的な漫画なのだ。
伊藤理佐は「おるちゅばんエビちゅ」(双葉社)というハムスター・エロ漫画が代表作の、「ちXこまXこ系」(と著者が本編の中で言っている)漫画家だ。都内某駅前に、1LDK+納戸(よくいうと2LDK)のマンションを持っていたが、「土地が安い、今しかない」という知人の言葉に誘われて、一戸建て探しの旅に出る。
すっぴん、木綿の服、職業・漫画家、という三拍子で、まずは不動産屋に相手にされず、連絡をくれるのは大手不動産業者の星さん1人だけ。ようやく運命の土地に巡り合うが、そこから先も峠の連続。借金を申し込みに行った銀行では、2つのうち1つに速攻で断られ、打ち合わせでは設計士に「伊藤さんはこれからもずっとおひとりですか?」と問われ、将来の結婚、出産の予定について考えさせられてしまう。「『家』の設計とはこれまたまさに『自分探し』の旅だったのでございます・・・」
そんなこんなで家は建つのだが、登場人物それぞれ個性が立っていて、笑ってしまう。それに、設計士・松本さんと工務店主・大浦さんの、なんと誠実な仕事ぶり。何時間にもおよぶ打ち合わせを何度も繰り返し、好みや人生設計を考慮して、「一人用一軒家」を作ってもらえた伊藤理佐がうらやましい。二階のトイレが吹き抜けてて、自分だけの「マイトイレ」なのも、これまたうらやましい。
これを読むと、本当に自分でも家を建てたくなること間違いなし。何を隠そう、私もこれを読んだ後、近所を自転車で不動産屋巡りしましたモン。
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