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「笹山登生の雑感&情報の日記」http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200310.html#20031003 より、転載
ファイナンシャルタイムズの記事によれば、日本がG7声明に従わず、為替介入を続けることは、アメリカにとっては、結果的には、好ましい事態だという。
なぜかといえば、アメリカは、ドル安を望んでいるが、それは、アメリカの製造業界に対するゼスチュアという意味であり、どん底にまで、ドルが下落することまでは望んでいないからだという。
その意味では、アジアがドル買いをストップさせてしまうことは、ドル相場を奈落の底にまで落としてしまうことになるわけであり、今回の日本の為替介入再開によって、アジア諸国のドル買いが復活し、結果、アジア諸国が、ドルの極度の下落を防ぐ松葉杖になったとの見解を述べている。
また、この記事では、9月に行った日本のドル買いが、4兆4500億円に達したが、このことは、日本が単独で、アメリカの経常収支赤字に資金拠出していることを意味しているという。
つまり、アメリカの経常収支赤字に対する資金拠出が、これまでの個人・民間ベースからの資金拠出から、アジアを中心とした公的部門からの資金拠出へとシフトしたことを意味するという。
しかも、その資金拠出の目的は、それによって、利益を売るというものではなく、ひとえに自国の輸出産業保護のための資金拠出である点に特徴があるという。
(岩田一政・服部哲也両氏によれば、2002年第3四半期における全世界の外貨準備残高は、23兆ドルであり、このうちドルの占めるシェアは73パーセントであり、アジア全体では、58パーセントを保有しているという。このほとんどは、自国の通貨が増価しないための為替介入によるものであり、このことを、Martin Wolfは、「為替レート保護主義の帰結」-Exchange Rate Protectionism−といっているという。
この図式を一口にいえば、欧州の民間投資部門の対米投資の落ち込みを補う形で、アジア諸国の公的部門による為替介入が、米国の経常収支の赤字を資金面から支えるという構図になるという。)
もし、G7声明後、為替介入が完全にストップし、これらの資金拠出がなくなるということは、ドル相場の急落をまねき、このことによって、国際投資家がアメリカ国債の購入を手控えることにな利、結果、アメリカの金利は上昇するとしている。
アメリカの金利水準は、ドルの下落率よりも低いほうが、GDPに好ましく、アメリカは、その辺の兼ね合いをみながら、G7後の日本の為替介入を見守っているという状態なのだという。
そういえば、ここにきて、ジョン・テーラー(John B. Taylor)米財務次官は、日本政府・日銀が9月30日にニューヨーク連銀に委託して行った外国為替市場での円売り・ドル買い介入について」「先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の声明に背く行為とは考えていない
と述べるなど、微妙な軌道修正を行っているのも気にかかる。