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(回答先: 「さらば外務省!」私は小泉首相と売国官僚を許さない のまえがきです。 投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 10 日 01:20:50)
あとがき
http://www1.jca.apc.org/aml/200310/36053.html
対イラク戦争を胸を張って支持した小泉外交は間違いである。私は「おかしい」と
声を上げ、そして外務省を追われることになった。外務省を辞めることが決まったと
き、私はこれまでの自分の外交官人生を振り返ってみた。それは自ら信ずる外交と、
外務省という組織が私に強要する外交と、どちらを是とするかの絶え間ない葛藤で
あった。
その葛藤の人生が突然の退職により終わることとなった瞬間、私は自由を得た。自
由になって改めて、外務省の「悪」が鮮明に見えてきた。おりしも、拉致家族の切実
な心を踏みにじった小泉純一郎首相の北朝鮮外交の誤りが、国民の素直な感情によっ
て非難にさらされている。イラクの状況悪化は、世界中にブッシュ大統領の誤りを明
らかにしつつある。名誉欲にかられ、あまりにも軽率に北朝鮮首脳外交をやっての
け、米国に従っていさえすれば首相の地位は安泰であるといわんばかりの小泉首相
と、それに阿諛追従(あゆついしょう)する外務官僚の醜態──私はそれを糾弾しよ
うと決意した。
私はこの書で、三つのことを訴えてきた。
一、歴代首相の中で小泉首相ほど、政治と国民を舐めてかかった政治家はいない。み
せかけの構造改革を進める小泉首相が、いかに無責任な指導者であるか。私は外務官
僚として内部からこれを目撃してきた。アラブの心情などこれっぽっちも眼中にな
く、ブッシュ大統領の人殺し政策に諸手を挙げて荷担し、拉致問題の解決のためなら
今こそ自ら平壌に乗り込み金正日と直談判すべきところを、そんなことはする気もな
く逃げ回っている。
二、この浅薄、卑怯な小泉外交を諌めず、ただ小泉首相を喜ばすだけの外交に明け暮
れる外務官僚とはなんだろう。自らの不祥事の責任をとることなく、権力の庇護の下
に逃げ通そうとする外務省の劣化と空洞化は、目を覆うばかりである。真実を世に知
らしめ今の外務省を解体しなければ、国民の安全と権利はますます損なわれていく。
三、そして今こそ、政権交代が可能な政治システムをつくらなければならない。売国
奴的官僚は、もとより外務官僚にとどまらない。半世紀に及ぶ自民党一党支配の政治
システムは、官僚組織そのものを政権政党と癒着させ、国民の利益に背馳する権力者
に祭り上げてしまった。この強固な政・官による、いわばハイジャック状況を前に、
国民は政治に怠惰、無気力になり、そのことがますます自民党支配を永久化させてい
くという、悪循環を産んでいる。
政権交代を実現させ政治家に緊張感を持たせるための努力を、われわれは惜しんで
はいけない。政治家同士を競い合わせることができれば、われわれ一般市民が政治に
影響力を与えることができる。われわれが政治の主役になるのである。
変わるべき野党がないのではない。野党がだらしないのでもない。われわれが政治
に対してだらしないのである。責任を放棄しているのである。
茶番劇の末、予想どおり小泉首相が自民党の総裁に再選された。小泉首相は選挙目
当てだけの毒まんじゅう内閣をつくり、閣僚人事さえ影のように弄んで悦に入ってい
る。こんな男に日本の命運を委ね続けてよいのか。
この書が日本の政治システムの夜明けにつながることを期待する。
二〇〇三年九月 天木直人
天木直人(あまき・なおと)
1947年、山口県生まれ。'69年、京都大学法学部中退、上級職として外務省入省。
中近東アフリカ局アフリカ第二課長、内閣安全保障室審議官、在マレーシア日本国大
使館公使、在オーストラリア日本国大使館公使、在カナダ日本国大使館公使、アメリ
カ在デトロイト日本国総領事などを経て、2001年2月〜'03年8月、駐レバノン日本国
特命全権大使。8月末、外務省を実質的な解雇処分に。
著書に『マンデラの南ア』(サイマル出版会)がある。
http://www1.jca.apc.org/aml/200310/36053.html