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米ロ資源同盟と日本の資源外交の裏側を読む  ロシアで繰り広げられる、ロックフェラーVSロスチャイルドの戦い 今日のぼやき
http://www.asyura2.com/2us0310/bd30/msg/112.html
投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 06 日 07:14:27:ieVyGVASbNhvI

 
「483」米ロ資源同盟と日本の資源外交の裏側を読む  ロシアで繰り広げられる、ロックフェラーVSロスチャイルドの戦い 2003.10.2

早いものでもう10月になってしまいました。
SNSI・副島国家戦略研究所のアルルです。今回は、「米ロ資源同盟と日本の資源外交の裏側」と題して、ブッシュ米大統領とプーチン露大統領の資源外交を軸にした親密な関係の裏側にうごめく、米露石油会社のロビー活動と、日本の森前首相を中心にした資源獲得外交について説明します。

【キャンプデービッド会談に随行したオイルマン】

9月の下旬にかけて、アメリカに各国の要人が訪れた。公式な目的は、例年この時期に開催される国連(連合国)総会への出席が目的だが、イラク戦争でぎくしゃくした、米国との関係を回復しようと、ドイツやフランスの首脳がブッシュと会談を行った。ドイツのシュレーダー首相とブッシュ大統領位が9月24日に会談した時には、「相違は過去のものだ」という風に、イラク戦争開戦を巡る意見の不一致を過去のものとして、イラク復興に真剣に協力して取り組もうということになった。一方、フランスに関しても、これよりはやや和解の度合いは薄いが、フランスが近く提出されるイラク復興に関する国連決議(いまだ米主導の色合いが濃い)に拒否権を行使しないということとなった。フランスとしては面目だけ保つという選択をしたと言える。

今回の首脳外交でひと際の注目を浴びたのが対ロシアだ。シュレーダー首相がニューヨーク市内での会談だったのに対し、ロシアのプーチン大統領に関しては、自らが週末に休養をとるキャンプデービッド山荘に呼び寄せての会談という格上の扱いになった。この会談については、日本の新聞は、イラク復興に関する国連決議案、イラン・北朝鮮の核開発問題が中心になったと報じている。『読売新聞』(9月27日夕刊)を一例として掲げる。

(引用開始)
米露関係改善を演出 イラク復興を協議/首脳会談

 【ワシントン=五十嵐弘一】米国を訪問しているロシアのプーチン大統領は二十六日夜(日本時間二十七日朝)、ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で、ブッシュ米大統領との首脳会談に入った。
 両首脳は、イラク復興に関する国連安全保障理事会の新決議案への対応や、米国が懸念するイランや北朝鮮の核開発問題、中東和平などについて話し合うものと見られる。
 イラク問題でプーチン大統領は、イラク国民への主権移譲の見通しを明確化するよう求めており、早期の主権移譲に難色を示してきたブッシュ大統領との間で意見の調整が行われる見通しだ。
 イラン問題では、ロシアがブシェール原発の建設協力を継続する意向を示している一方、米国は、原発建設が核開発につながる可能性を懸念している。
 こうした立場の違いはあるものの、ブッシュ大統領はプーチン大統領をキャンプデービッドに招くことで、イラク戦争でぎくしゃくした両国関係の改善ぶりを内外に演出する狙いもあると見られる。
 会談は二十七日も続いて行われ、終了後、両首脳が共同記者会見をする。
(引用終わり)
『読売新聞』(9月27日夕刊)

しかし、会談内容のうち、日本の新聞が全く報じなかったことがある。ビジネスだ。国連総会への首脳出席や国家首脳の外遊ともなると、毎度多数の随行団がある。私が購読している、『インターナショナル・ヘラルドトリビューン』(IHT 日本版、29日付)によると、キャンプデービッド会談の影の主役となったのはロシアの資源外交だったというのだ。ロシア側の随行団のなかにいたのは、Vagit Alekperovというロシアの石油富豪(Russian oil baron)だった。アレクペロフ氏は、ロシア有数の石油会社、ルクオイル(Lukoil)社のオーナーである。

【イラク復興のロシアの狙いは実利のみ】

首脳会談では上に述べた外交的イシューの他に、ロシアがフセイン政権時代に獲得したイラク西部の西クルナ油田の権益保障について、ロシアの要望がだされたと、IHTはアレクペロフ氏の発言を引用しながら報じている。他の場所でプーチン大統領は、「ロシアがイラク復興に関して関心があるのは、経済的権益(の保全)のみだ」とも語っている。ロシアは、フセイン体制下のイラクで、大きな石油利権を持っている。ロシアが開発権を得た油田の推定埋蔵量は、南部、西クルナ第二油田の百五十億バレルをはじめ、キルクーク(百億バレル)、ルメイラ(百億バレル)など計四百七十三億バレルにのぼるとされる。この内の、西クルナ油田に関して、ルクオイルは非常な関心を寄せており、プーチン大統領を通じてブッシュ政権に権益の保護を働きかけている。現在のイラクは、旧政権のバース党の生き残りによるテロや破壊工作でとても原油開発など出来る状態ではないが、ロシアが石油利権確保に躍起になっているところから、この後のロシアの資源を梃子にした国家戦略というものが何となく見えてくるだろう。

 ブッシュ政権とプーチン政権は、9/11のテロ事件発生以後、「テロとの戦い」を旗印に急接近している。一つには、ロシアにとって「テロとの戦い」は、チェチェン独立派や中央アジアのイスラム勢力を抑える口実になりえるし、ブッシュ政権と緊密な関係を築くことで、米資本のロシア国内への投資を促すことによって、ロシア経済を回復させて、世界の極の一つしてロシアの復権をはかるという戦略がある。

 例えば、ロシア北方のバレンツ海を経由して、米国に原油を輸出するプロジェクトが始まっている。石油輸出用のパイプライン運営会社のトランスネフチや最大大手石油会社のルクオイルは、バレンツ海に面するムルマンスクまでパイプラインを敷設する構想を持っている。2002年9月9日の『ワシントンポスト』紙は、Russian oil for America: step toward a new world order?(ロシア産石油を米国へ:新世界秩序への布石?)というタイトルで報じている。米国は、周知のように、中東への石油依存を避けたいと思っている。したがって、ロシアからの原油輸入はロシアにとって対米カードの切り札になっているといえるのだ。エイブラハム・資源エネルギー庁長官は、同紙のインタビューに対して、「ロシアは今後の米国のエネルギー供給にとって枢要の位置(pivotal role)を占める」と語っている。過去3年で、ロシアは世界第2の原油輸出国となっている。
これは私の推論であるが、アメリカとしては、イラク産の原油を支配していくために、イラク戦争を起こしたのだが、いざとなると世界からの批判が多く、現実問題として、イラク情勢の沈静化はネオコン派が予想した以上に困難になっており、イラクの原油利権は、ロシアやドイツに保証する証文を出した上で、ロシアとの接近を計ってロシア産石油を確保するという戦略になった、のではないだろうか。アメリカとしては、いつ実際に利益を生むかは分からないイラク石油などロシアにくれてしまえばいいと考えたに違いない。これがアメリカ政財界、とりわけ、田中宇(たなか・さかい)氏が言うところの、「中道派」(ロックフェラー本流とボーンズや財界の連合体。CFRに結集している。キッシンジャー・アソシエイツもその一派)の意向であるように思われる。

【キッシンジャーらがプーチンの側近と商談】

日本では、『ザ・カミングフォー・ウィズジャパン・』などの著作で知られる、米ジャーナリストのジョージ・フリードマン氏が主宰する有料情報サイト「ストラットフォー」の有料版は9月26日付けの記事で、次のように報道している。これは極めて注目すべき記事だ。
(引用開始)
The second group seeking to shape U.S. policy toward Russia comprises the statesmen and investors who are members of or close to the Carlisle Group. Within this group, those involved with Russia policy are sometimes called "realists": former President George H.W. Bush, former secretaries of state James Baker and Henry Kissinger and former Defense Secretary Frank Carlucci. It is reasonable to believe that these people and the Carlisle Group might wield some influence over the current U.S. president's views toward Russia.
(引用終わり)
(試訳)
米国の対ロシア政策を形作っている2番目の集団は、カーライル・グループに近い政治家とビジネスマンたちだ。同グループは、リアリストと呼ばれる、ブッシュ・パパやその国務長官を務めた、ジェームズ・ベイカー3世、ヘンリー・キッシンジャーや国防長官を務めた、フランク・カールッチを擁している。カーライルが、ブッシュ大統領の対ロ政策に影響を与えているというのはあり得ることだ。
(試訳終わり)
Camp David Summit: The Course of U.S.-Russian Relations
Sep 26, 2003(stratfor.com)

そして、ストラットフォーの記事を読むと、ブッシュ・パパは最近、プーチンを保養地のソチに表敬訪問している。前述のNYTの記事では、ソチにはルクオイルのアレクペロフ社長も訪れている。ブッシュ・パパは、カーライルとロシアの新興財閥(オリガルヒ)の一つであるアルファ・グループ(代表:ミハイル・フリードマン、BPと合弁で石油ビジネスをしているユダヤ系)が設立した米ロの投資基金の年次集会(inaugural event)がサンクト・ペテルブルクで開かれたときに出席している。さらに、ベーカーとキッシンジャーも同行していて、プーチンの側近と「米露関係を双方にとって有益にして行くにはどうするべきか」について議論していたという。25日には今度は米国で、ロシア側の使者がキッシンジャーと会談していることも分かったという。

つまり、こういうことだ。ロシアとしては、米資本をテコに国内の経済発展を図りたい。ついては、米国の支配階級であるロックフェラー系財閥(ブッシュ政権の一方の支配者。もう一方はネオコン)の協力を仰ぎたい。そのために、いろいろアメリカに対して譲歩もした。一番最近の例でいえば、ロシアの京都議定書批准見送りである。もともと最近までは、ロシアの批准によってアメリカ抜きでの京都議定書体制が発足すると見られていたにも拘わらず、突然ロシアは決断を翻した。そのほか、旧東ドイツ地域や中央ヨーロッパからの撤兵、中央ヨーロッパ諸国のNATO加盟容認、中央アジアへの米軍展開の容認、ロードス島、キューバの情報収集基地の撤収、およびベトナムにあるロシアのCam Ranh Naval Baseからの撤退、ABM条約破棄によるMD構想の容認、など10指で数え切れないほどの譲歩をしている。

「小泉−ブッシュのクロフォードお泊まり同盟」ならぬ、「ブッシュ−プーチンのキャンプ・デーヴィッド会談同盟」というものが出来つつあるということなのか。

 ここでは、コンディ・ライス大統領首席補佐官の名前も忘れられない。実は、ロシアの大石油会社で、ユダヤ系事業家=オリガルヒのミハイル・ホドルコフスキー氏が社長を務めている、ユコスの株式の25%を、ロックフェラー本流のエクソンやシェブロン・テキサコに売り渡す商談が進行中というようだ。すでに紹介したIHT紙の記事が報じている。言うまでもなく、ライスはシェブロン元重役であり、ロシアとのつながりが深い人物である。

 もともとこの商談は、エクソン、シェブロンといったロックフェラー資本のメジャーと、シェルなどの、ヨーロッパ・ロスチャイルド資本のメジャーとの間で競争になったのだが、このIHTの記事を見る限りでは、ロックフェラー系に軍配が上がったように見える。同じように、プーチンはBPにも石油利権の売却を持ちかけることを条件に、自らの政権支持をブレア英首相に持ちかけていた(今年の6月の訪英時)。

 そもそも、このユコスへの欧米資本参入方針は、ホドルコフスキー氏自身が進めていたものであり、エクソン、シェブロン、BP、シェルなどと交渉を進めていたのだが、今年の7月に入って、ホドルコフスキー氏の財閥をになう、メネテップ銀行の重役レベデフ氏がプーチン政権に、1994年のある国営企業民営化にさいして、2億8000万ドルを騙した取ったかどで逮捕された。これをきっかけに、プーチンのオリガルヒ潰しは本格化していった。これについては次項でさらに詳しく触れる。

 そして、9月30日の段階で新展開が起きている。ホドルコフスキー氏は、ユコスの開発分野をロシア国外に限定していく方針を発表したというのだが、ブッシュ政権とずぶずぶの関係になっているプーチンにとっては、「屁のカッパ」といったところだろう。

 このホドルコフスキー氏はロシア次期大統領を目指しているが、いまの状況がつづくようでは、難しい。ホドルコフスキーの敗北は、ロシアにおける利権戦争でロスチャイルド系ユダヤ人が敗北したことを意味する。

【ロシアで繰り広げられる、ロックフェラーとロスチャイルドの代理戦争】

 現在39歳のホドルコフスキー氏のような、ロシアにおける若手実業家をオリガルヒ(oligarch)と呼ぶ。プーチン政権に挑戦を挑むオリガルヒだが、その他にはボリス・ベレゾフスキー、グシンスキーなどの大物がいた。オリガルヒは必ずしもユダヤ系だけを指すのではないという風にも言われているが、細かい説明を捨象するためにユダヤ系、ロスチャイルド系、オリガルヒは一緒のものだとして理解していただいて良い。細かく知りたい場合は、『オリガルヒ―ロシアを牛耳る163人』(中澤孝之・著)と言う書籍が出ているのでそちらを参照していただきたい。

 ベレゾフスキー氏、グシンスキー氏はともに、現在のプーチン政権からは「危険人物」(a national security threat)と見なされている。両者はプーチン政権からの追撃をかわすべく、国外に逃亡中である。ベレゾフスキー氏は、ロンドンで不可解な微罪で一時逮捕された経験がある。一方、8月下旬には、イスラエルからギリシャに向かった、グシンスキー氏を、プーチン政権と「2国間捜査協定」を結んでいるギリシャ政府が空港で拘束し、収監するという事件も起きている。グシンスキー氏はイスラエルのメディア界の大物であり、イスラエルのリクード党のシャロン政権とのつながりも深い(したがって、アメリカのネオコン派ともかなりつながりが深いのではないかと私は推測している)。グシンスキーのギリシャ滞在の情報はイスラエルの反政府系の人物から寄せられたという報道もあるだけに、非常に興味深い。
このように、オリガルヒが自らの権力基盤を犯しつつあると判断した、プーチンら政権首脳は様々な口実をもうけ、ユダヤ系のオリガルヒの権力を殺ごうと躍起だ。

 この権力闘争を見ていくときに重要なのが、これがロシア一国内の問題にとどまらないということである。エネルギー資源は戦略的資源である。一国の争いは世界に波及する。

 ストラットフォーの過去のロシア関連の記事によると、この権力闘争は、ワシントンでも、ウォルフォヴィッツやチェイニーなどのネオコン系米要人とロックフェラー資本系の「中道派」の代理戦争の様相を呈しているようなのだ。それに、ホドルコフスキーの失脚は日本の資源外交にも大きな影響を与える。

 ホドルコフスキーに対する、プーチン政権の追撃は、ロシアの経済問題ではなく、ロシアの政治問題なのである。ホドルコフスキーは、今年12月に行われる、ロシア下院議会(ドューマ)で、反プーチン政権系のヤブロコ(Yabloko)や右派連合(the Union of Rightest Forces)はもとより、共産党にも接近し、具体的な資金援助をしている。ホドルコフスキー自身も、2004年の大統領選挙に打って出るという野心を早くから見せていた。これが、プーチン派の怒りを買ったのだ。
「オリガルヒは潰さないし、国有企業の民営化方針を変えるつもりはない。しかし、政治的野心を持ったら叩きつぶす」というメッセージをプーチン政権は発しているというわけである。

 これによって、前項で触れた、ユコス系の銀行であるメネテップ重役の逮捕のほかにも、ユコスの大株主の一人で、ロシア下院の租税小委員会の委員長であった、大物議員にたいする捜査の手がのびるなど、プーチン政権の側のユコス=ホドルコフスキー潰しはエスカレートしていっている。

 プーチン政権にとって脅威になっているのは、ホドルコフスキー氏の政治的野心である。雑誌『選択』の「露『石油王』にプーチンの鉄拳」という記事によると、ホドルコフスキーは現在のロシアの大統領権力集中型の政治体制を、フランスのように議会が政府をコントロールできる民主体制に移行すべく政治活動を行っていたという。これはプーチン派にとって、事実上のクーデターと見なされた。だから、7月以降、ロシアの政治情勢はホドルコフスキー氏側に不利になって動いているのである。

 ホドルコフスキーに対するバックアップももちろんないわけではない。海外のメディアや亡命したユダヤ系のオリガルヒたちを通じて、プーチン政権のやりすぎを指摘する声明が出されている。9月22日の欧米主要紙には、「ブッシュ大統領への公開質問状」と題する広告が発表された。質問状の書き手は、亡命中のベレゾフスキー氏である。ロイターの報道によれば、ベレゾフスキー氏は100万ドルの広告費を費やしたといわれている。プーチン政権のユダヤ系財閥を擁護する場合には、プーチン政権下のロシアでは民主主義が抑圧されていると言うスタイルを取るケースが多いのである。
 
 もっと言えば、ベレゾフスキーやホドルコフスキーの背後にいるのは、ユダヤ人投資家のジョージ・ソロス氏であろう。今年に入ってからの、ジョージ・ソロス氏の姿勢は反ブッシュ政権で一貫している。たとえば、ソロス氏は今年の8月には、民主党候補者を支援する政治活動団体に対して総額1000万ドル(約12億円)を寄付することを表明している。来年秋の大統領選でのブッシュ再選阻止に向け、資金面で民主党を支える構えである。だから、ひょっとすれば、ハワード・ディーンなどに流れている献金の出所は案外この辺という事かも知れない。

 ソロスとホドルコフスキーの関連性は、フィランソロピー事業(慈善事業)にある。ソロス財団傘下の「オープンソサエティ」という民主化支援組織のような慈善団体「the Open Russia Institute」を、ホドルコフスキーは、ユコスの資金を年間5000万ドルつぎ込んで運営している。だから、ホドルコフスキーの背後にはソロスが居て、ロスチャイルド系のビジネス団体がロシアに市場参入の機会を求めて、ロシアの政治的支配も視野に入れてロビイ活動をしているとみるべきなのである。ところが、そのソロス氏だが、2003年の6月10日付けの BBCロシアの報道が伝えるところでは、ロシアでのチャリティ活動を縮小するという表明をしている。短期的には、プーチン政権がブッシュ政権と、事実上の「同盟」関係にあることを見越して、一端は退く姿勢を見せたという風に見て良いだろう。

 面白いのは、ホドルコフスキー支持派の米国重鎮の面々である。ストラットフォーによれば、チェイニー副大統領、ウォルフォヴィッツ国防副長官、アイブラハム エネルギー庁長官、ニューヨーク市長 マイケル・ブルームバーグ、マイクロソフトのビル・ゲイツなどの面々である。得にウォルフォヴィッツとブルームバーグはユダヤ系であり、一人はニューヨークのユダヤ系マフィアの親分と言われている人物である。ユダヤ系米政府高官とユダヤ系財閥とユダヤ人投資家とイスラエル首相。このつながりは見事といっていいほどだ。ひょっとしたら、ネオコンとロスチャイルド系はしっかりとつながっているかもしれない。

【ナホトカルートと森派の利権政治】

 最後に、このロシア政界の権力闘争が日本にとっても見放せない問題であることを述べて終わりにしよう。

 現在、日本と中国の間で、シベリアの原油と天然ガスを輸送するパイプラインのルートを巡ってロシアへのロビイ合戦が行われているが、ユコスのホドルコフスキーの影響力が少なくなることが日本にとって極めて有利になると言う事情がある。
もともと、2001年に、ロシアの東シベリアのアルガンスク産の原油は中国の大慶(Daqing)へ通じるパイプラインによって運搬されると言う契約で基本合意していたのだが、ここに来て、プーチン政権はトランスネフチ社の産出するこの原油を、日本が希望していたナホトカ経由の太平洋ルートのパイプラインで輸出すると言う案に傾きつつある。このことは、すでに日本の新聞も報道している内容だ。ユコスは、大慶ルートを強力にプッシュしていたという経緯があるだけに、ホドルコフスキーへの政治的圧力は、このパイプライン案件にも掛かってくる。9月24日に中国を訪問した、ロシアのカシヤノフ首相は、大慶ルートの2004年までの延期を中国側に告げた。これは事実上のナホトカルートへの決定を意味しているのだろう。

 さらに、この決定は実は、原油の中東(とくにサウジアラビア)依存割合をさらに減少させたいアメリカにとっても有利な判断になる。ムルマンスクから原油をタンカーで米国に輸出するプランがあることはすでに述べたが、さらにナホトカルートで原油をアメリカに供給しようというわけである。ここでも、ブッシュ・小泉の再選同盟の枠組みから逃れられないのである。
 
 この資源外交を強力に押し進めている日本側の政治家が、森喜朗前首相である。小泉首相は2003年1月の訪露でこのナホトカルート実現に前向きに取り組むことをプーチン大統領に告げた。ここから風向きは大きく変わり始めた。小泉首相はサミット直前の5月の訪露でもこの問題を積極的に取り上げ、今年6月には森前首相、川口外相を相次いでロシアに派遣し、大々的な攻勢をかけている。森前首相との会談でプーチン大統領は「原油パイプラインは経済的には中国向けが優勢だが、ナホトカ向け幹線の建設には大きな戦略的意義がある」との言質を引き出している。

 鈴木宗男のロシア利権を奪った政治家はどうやら森前首相だったようである。森前首相、そして通産省系のコネクションを軸にした、海外利権の開拓に森前首相は余念がないようだ。森氏の活動範囲はロシアだけではなく、世界に広がっている。例えば、アフリカだ。森前首相は、「アフリカ開発会議」(TICAD)の議長を務めているではないか。森派では、今後も通産省出身の政治家を誕生させ、利権構造(キックバック)を盤石にしていく方針らしい。

 そう思い通りに行くほど、国民を甘く見て欲しくないものだが、政治というのはどうやら一皮むけば、いつも利権を巡る争いが隠れている、ということであり、それが世界基準の政治だということなのだろう。

 日本の利権構造を観察する上で今後も見逃せないファクターになろう。(了)

参考記事

Stratfor.com Camp David Summit: The Course of U.S.-Russian Relations
http://www.stratfor.biz/Story.neo?storyId=222818

Russia sends U.S. a signal about Iraqi oil contracts
Neela Banerjee The New York Times
Monday, September 29, 2003
http://www.iht.com/ihtsearch.php?id=111672&owner=(The New York Times)&date=20030930131425

Soros's Mission In Russia Ends, $1 Billion Later
By Peter Baker, Washington Post Foreign Service
http://www.ncsj.org/AuxPages/061003WPost_Soros_Russia.shtml

その他、ストラットフォーの過去記事やアメ政の過去書き込みを参照しました。


2003/10/02(Thu) No.01
 
http://soejima.to/boyaki/diary.cgi

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