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http://www.asahi.com/science/update/1005/002.html
クワガタ、カブトムシブームの陰で、沖縄本島北部(やんばる)だけに生息し国の天然記念物に指定されているコガネムシ、ヤンバルテナガコガネが、密猟の脅威にさらされている。国内最大の甲虫類としてマニアには魅力らしく、密猟は米軍の基地内にまで広がる。幼虫が成虫になる季節を迎え、地元は警戒を強めている。
9月上旬、環境省と林野庁、沖縄県、地元自治体、県警などでつくる密猟防止協議会の会合に、在沖米軍海兵隊の環境保全担当者が新たに加わった。
「北部訓練場の中でも密猟がかなりひんぱんに行われている。みなさんと協力をして被害を食い止めたい」
やんばるの森に広がる78平方キロの同訓練場は、敷地外との間にフェンスなどがない。侵入もたやすく、日本側の監視の目も届かない。密猟者には絶好の場所だ。
幼虫は広葉樹の幹が腐食してできた穴(ウロ)で3〜4年を過ごす。成虫が姿を現すのは8月から10月にかけての2カ月ほどに限られるため、観賞用の成虫の密猟は今がピーク。飼育目的の幼虫探しは年中だ。
環境省やんばる自然保護官事務所の澤志泰正さん(39)は今年6月末、ナタで切りつけてウロの開口部を広げた跡を見つけた。中をのぞくと、幼虫のすみかとなっている木くずや土がすべてすくい取られていた。
ウロが高いところにあれば幹に打ったくぎを足場にして登ったり、木を根元から切り倒したりと密猟の手口も荒っぽさを増している。「昆虫はふつう一度に100〜1000個の卵を産むが、ヤンバルテナガコガネは10個ほど。このままでは絶滅しかねない」と話す。
琉球大資料館学芸員の佐々木健志さん(43)は「森の中に林道ができたために、密猟者の手が届くようになった」と森の開発に警鐘を鳴らす。
密猟者にとって魅力なのは、その取引価格だ。澤志さんはおととし、マニア向け昆虫雑誌に載った前脚が少し奇形のヤンバルテナガコガネの写真を見た。「販売価格」とすると違法になるので「評価額」と表示して200万円の値がついていた。取引の実態は表に出てこないが「十数万円から100万円ほどで売買されているのではないか」と推測する。「飼育方法」を堂々と売り物にする別の雑誌もあった。
こうした事態に、沖縄県警も取り締まりに本腰を入れ始め、「1人でも密猟者を検挙できれば抑止効果も大きい」と意気込む。だが、密猟防止協議会が年に200回以上巡回しても、密猟現場を押さえるまでには至っていない。
敵は密猟者だけではない。国内に次々と持ち込まれているクワガタやカブトムシの移入種も脅威になっている。「植物に害を与えない限り」と、99年に輸入が本格化して以来、約540種200万匹以上が国内に入ってきているとされる。
地元では、移入種の体についてきたダニや病原菌が拡散して、被害を受けないかとの危機感も強まっている。
【ヤンバルテナガコガネ】 83年に沖縄本島北部の森で発見された。体長は6センチを超え、同じ甲虫類のカブトムシなどをしのぐ。前脚が長いのが特徴で、足を入れると最大で15センチ。85年、国の天然記念物になり、96年に種の保存法に基づいて絶滅の恐れのある希少野生動植物種に指定された。研究目的などを除いて捕獲は禁止されている。
(10/05 13:00)