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ウクライナで露国に敗北した英国の首相は自国軍の派兵を口にするが不可能
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202503240000/
2025.03.24 櫻井ジャーナル
イギリスのキール・スターマー首相はウクライナへ「平和維持」を名目として自国の地上軍だけでなく空軍や海軍も派遣する意向を示しているのだが、ウクライナ軍の敗北が決定的な現在、イギリス軍を派遣できる状況にはない。もし派遣を強行するならば、それはロシア軍と直接交戦するということだが、それは不可能だ。
2019年7月から23年8月までイギリスの国防大臣を務めたベン・ウォレスは退任してまもない10月、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えていると指摘していた。兵士の不足が深刻だということをウクライナでの戦争を煽って聞いたイギリスの政治家も認めざるをえなかったのである。武器弾薬の不足も深刻だ。そうした状況をイギリス政府も熟知しているはずだ。
戦場において発射された砲弾の数に敵の死傷者数は比例すると言われている。発射している砲弾の数は6対1から10対1でロシア軍が上回るので、ロシア軍の死傷者数はウクライナ軍の6分の1から10分の1だということになる。実際は1割程度だと見る人が少なくない。キエフ政権やその政権を支援している欧米諸国はロシアに降伏するか全滅するしかない状態だ。
スターマー首相は3月2日に安全保障サミットを開催し、ウクライナへの軍事援助を継続、ロシアに対する経済的圧力を強め続けると主張した。ドナルド・トランプ米大統領はロシアがアメリカの命令に従わない場合、経済的に締め上げると脅していたが、同じ趣旨の主張だ。経済封鎖でロシア経済は破綻すると西側諸国は今でも信じているようだが、その分析が間違っていることは事実をチェックすれば明白である。
ソ連消滅後に欧米諸国はロシアを支配、富を奪い始めた。その略奪が難しくなるのは21世紀に入ってウラジミル・プーチンがロシアの大統領になってからだ。その後、着実に経済は復活していった。
2022年2月にロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めてから西側諸国はロシアへの経済戦争を本格化させるが、外国資本の引き上げはロシアの国内産業にビジネスチャンスを与えることになり、急速に経済は発展、生産力も向上した。そうした状況をロシア在住の少なからぬアメリカ人がインターネットなどで伝えていた。
プーチン大統領にインタビューするためにモスクワを訪問したアメリカ人ジャーナリストのタッカー・カールソンもロシアの豊かな生活を伝えている。ロシアに対する経済戦争で苦境に陥ったのはヨーロッパであり、アメリカにも悪い影響を及ぼしている。そうした状況にあるにもかかわらず、事実を認識できない人びとはロシア経済が疲弊しているという妄想から抜け出せず、ウクライナ人を犠牲にしながら戦闘を続けていれば勝てると信じている。
ロシアの技術力や生産力は欧米諸国より劣り、武器弾薬の生産力で西側に圧倒され、しかも西側の経済制裁でロシア経済は疲弊、社会は崩壊するというシナリオでネオコンやその従属国はロシアとの戦争を始めたのだが、そのシナリオと事実の乖離は大きい。技術力も生産力もロシアが欧米諸国を圧倒しているのだが、欧米信者はシナリオに描かれた妄想にしがみつこうとしている。事実を見ようとしないのだが、そうした人たちは第2次世界大戦終盤の日本人を連想させる。
アメリカのネオコンが仕掛けたロシアとの戦争をイギリス政府だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドの政府は継続しようとしている。ドイツの新首相、フリードリヒ・メルツは選挙公約を投げ捨て、ロシアとの戦争を続けるために多額の負債を国民に追わせることを決めた。
ヨーロッパ諸国はロシアと軍事衝突する能力がないにも関わらず、好戦的な発言が止まない。例えば、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(ドイツ人)、EU外務安全保障政策上級代表のカヤ・カラス(エストニア人)、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相などいわゆる「チキン・ホーク」だ。こうしたヨーロッパの「エリート」は自爆しようとしている。
現在の状況を理解するためには歴史的な事実を知る必要がある。
1991年3月にソ連全土でソ連維持に関する国民投票が実施され、ウクライナでは71%がソ連残留に賛成したが、その年の12月にボリス・エリツィンはベラルーシにあるベロベーシの森で秘密会議を開き、国民に諮ることなくソ連の解体を決めた。
ソ連の消滅だが、その年の1月20日にクリミアでは住民投票が実施され、1945年に廃止された「クリミア自治ソビエト社会主義共和国」の地位回復とソ連への残留に93.26%の住民が賛成している。以前からクリミアの人びとはロシアとの一体化を望んでいたのだが、ウクライナ議会がソ連からの独立を宣言したのは1991年8月のことだ。
それに対し、クリミアは1992年2月にクリミア議会が同地域を「クリミア共和国」と改名、5月にはウクライナからの独立を宣言したが、西側によって潰された。自分たちにとって都合の悪い民意を認めないのが西側流の「民主主義」だ。
クリミアを含む東/南部の人びとがクーデターに強く反対する理由にも歴史的な背景がある。クリミアのほか、ドンバスを含む東部やオデッサを含む南部もソ連時代にロシアからウクライナへ政治的な思惑から割譲されたのであり、自分たちをロシア人だと考える人が少なくない。
クリミアは1954年にウクライナ生まれのニキータ・フルシチョフがロシアとコサックの協定300周年記念の一環としてウクライナへ与えた半島であり、住民の60パーセントがロシア系である。
そうした背景があるため、東/南部と西部では文化や宗教の面で大きく異なる。宗教は東/南部がロシア正教徒であるのに対し、西部は主にカトリック教徒。東/南部では主にロシア語が話され、西部ではウクライナ語が主に話される。ウクライナを「均一な国家」だと考えることは根本的に間違っている。
微妙なバランスで成立していたウクライナをネオコンの支配地にするための工作が2013年11月にユーロマイダンで始まった。当初はカーニバル的な集まりだったが、2014年に入るとステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチのグループが前面に現れて様相は一変、2月に入るとそのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ始め、さらにトラクターやトラックを持ち出し、2月中旬になると広場で無差別の狙撃を始めた。
狙撃を指揮したのはネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということがのちに判明、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相もネオ・ナチが実行した可能性が高いと報告している。その報告をEUの外務安全保障政策上級代表(外相)を務めていたキャサリン・アシュトンは封印した。一連のクーデターを現場で指揮していたのはバラク・オバマ政権で国務次官補を務めていたビクトリア・ヌランドだ。これは本ブログで繰り返し書いてきた。
このクーデターを目撃したウクライナの住民は危機感を抱き、ロシアとの一体化を決める。2014年3月16日にクリミアで実施された住民投票でロシアへの編入に賛成した人の比率は96.77%、投票率は83%だ。ネオコンのクーデターを受け入れるためには、こうした事実を受け入れることはできないのだろう。
どのような政治的な立場であろうと、事実を重視するならこうしたことを理解している。例えば、故ヘンリー・キッシンジャー元国務長官も2014年3月5日付けワシントンポスト紙で、ネオコンのクーデターによるウクライナ制圧の問題を指摘している。
彼はウクライナが複雑な歴史と多言語構成を持つ国であるとしたうえで、そうしたウクライナで一方が他方を支配しようとすれば内戦または分裂につながるだろうと警告している。ネオコンはその警告を無視してネオ・ナチを使ってクーデターを実行、クリミアはロシアと一体化する道を選び、東部の反クーデター派は武装闘争へ入ったのだ。
キエフでクーデターが実行された直後、ウクライナ、特に東/南部では反クーデター派が多かった。軍や治安機関の約7割がクーデター体制から離脱、一部は反クーデター軍へ入ったと言われている。つまりクーデター体制は脆弱で、戦力を増強するための時間を稼ぐ必要があった。2014年の「ミンスク合意1」と15年の「ミンスク合意2」はそのための偽合意だ。
この合意について当時のドイツ首相、アンゲラ・メルケルはキエフのクーデター体制の軍事力を強化するための時間稼ぎに使われたと後に証言、フランソワ・オランド元仏大統領もその発言を肯定している。
そして2022年に入るとクーデター軍は東部の反クーデター派住民に対する砲撃を強めた。春にはドンバスに対する本格的な軍事侵攻を開始、ロシア軍を要塞線の内側へ誘い込み、その一方でクリミアを別働隊に攻撃させる計画だったとも推測されているが、2022年2月21日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナの軍事基地や生物化学兵器の研究開発施設などを巡航ミサイルなどで攻撃しはじめた。
東部に対する攻撃を始めようと集結していたウクライナ軍はロシア軍に叩かれ、戦局は一気に悪化、ウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始めた。その仲介役のひとりがイスラエルの首相だったナフタリ・ベネット。彼は交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話している。
停戦を両国は受け入れ、ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合った。ゼレンスキーを殺害しないという約束をロシア政府からとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会っている。
ところが、その3月5日にウクライナの治安機関であるSBUのメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺した。クーデター後、SBUはCIAの配下で活動している治安機関だ。
停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達している。その際に仮調印されているのだが、その文書をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。2023年6月17日に会談した際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示しているのだ。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。
そして4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令(ココやココ)、その後も姿勢を変えることはなかった。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。こうした動きを見てロシア政府は話し合いで問題を解決できないと腹を括ったようで、2022年9月に部分的動員を発表した。
4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始めた。マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真を持ち出し、3月19日に死体が路上に存在していたと主張しているが、疑問が噴出する。
例えば、比較のために載せられた2月28日の写真に比べ、3月19日に撮影されたとする写真の解像度が悪すぎるのはなぜかということ。影や天候の分析からも西側メディアの主張を否定する。19日から約2週間、道路上に死体は放置されていたことになるが、その間、氷点下になったのは28日の早朝だけ。29日には17度まで上昇している。つまり死体は腐敗が進んだはずだ。
キエフの周辺で拷問を受け、殺害された死体が発見されているが、その一部が白い腕章をつけていることも注目されている。ロシア軍を意味するからだ。また、ロシア軍が配った食糧を持っている人もいたとされている。ロシア軍が撤退した後、親衛隊はロシア軍に対して友好的な態度を示していた市民を殺して回ったとも言われている。
4月2日にはネオ・ナチを主体に編成された親衛隊の大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)がブチャに入っているとニューヨーク・タイムズ紙には報じたが、アゾフと同じネオ・ナチでライバル関係にあるというボッツマンのチームも4月2日には現場へウクライナ警察の特殊部隊と入っているという。ボッツマンのチームはウクライナ軍を示す青い腕章をつけいない人物の射殺を許可されていたとされている。
その2日、ウクライナ国家警察は自分たちが行った掃討作戦の様子をインターネット上に公開した。そこには大破した自動車の中に死体が映っていたものの、そのほかに死体は見当たらない。そこで、国家警察は死体を隠したのではないかと疑う人もいる。国家警察はブチャで親衛隊と行動をともにしていたので何が起こったかを知っていたが、その死体を親衛隊が何に使うつもりかを知らなかった可能性がある。
つまり、ブチャでの住民虐殺はロシア軍と友好的に接した住民を親衛隊が殺した可能性が高いのだが、ベネットによると、その事件によってロシア政府とウクライナ政府の停戦交渉は壊れた。
ウクライナを制圧するためにアメリカのネオコンはクーデターを仕掛けた。ビクトリア・ヌランドが表に出ていたが、裏ではCIAが動いていたはずだ。そのCIAが使う工作資金を1980年代から流してきたの機関はUSAID(米国国際開発庁)やNED(ナショナル民主主義基金)。NEDからNDI(国家民主国際問題研究所)、IRI(国際共和研究所)、CIPE(国際私企業センター)、国際労働連帯アメリカン・センターなどへ資金は流される。そのUSAIDの機能をトランプ政権は停止、さまざまな影響が現れている。ウクライナの「独立系メディア」や「人権団体」がCIAのプロパガンダ機関にすぎないことも明確になった。
そもそも、ゼレンスキーは大統領時代の2020年10月にイギリスを公式訪問した際、同国の対外情報機関MI6のリチャード・ムーア長官を非公式に訪問している。スコット・リッターが作成したドキュメンタリーによると、ウクライナ大統領を名乗っているゼレンスキーはイギリスの情報機関MI6のエージェントであり、そのハンドラーはムーア長官である可能性が高い。ロシアと戦争している主体はイギリスの中枢にいるのかもしれない。
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