http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/189.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2025年4月22日 日刊ゲンダイ2面
他にも論点、争点は山ほどあるぞ 庶民の味方ヅラして消費税減税合戦の胡散臭さ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370862
2025/04/22 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
関心は選挙だけ(C)日刊ゲンダイ
アベノミクスの総括、武器爆買いの無意味、米国依存からの脱却など、どこもウヤムヤの無責任。
永田町では選挙を前に各党減税、バラマキ合戦だが。人気取りで数字をいじるのではなく、哲学を聞きたいものだ。少子化・衰退国家の責任は誰にあるのか。
◇ ◇ ◇
「消費税減税」が政治の一大テーマに急浮上している。与野党から消費税減税の大合唱が起きているのだ。
もともと、政府自民党は「物価高対策」として、全国民に一律5万円を配る「定額給付金」の実施を考えていた。ところが、世論調査で批判が多いと分かると、一転して5万円給付を見送ってしまった。すると、自民党内から「だったら消費税減税だ」の声が噴出。大きなうねりとなりつつある。
松山政司参院幹事長は「物価高対策、とくに食料品に対する対策が重要だ」と食料品の消費税率引き下げを訴え、西田昌司参院議員も「消費税は撤廃すべきだ」と主張している。
野党も消費税減税で足並みを揃えつつある。
すでに、国民民主党は「消費税率5%への引き下げ」を、日本維新の会も「2年間、食料品の消費税ゼロ」を、それぞれ政府に申し入れている。
これまで消費税減税に反対していた立憲民主党の野田佳彦代表も、党内の「消費税減税やるべし」の声に押され、減税容認に傾きはじめている。「決めるときは決める」と、24日にも結論を出す方針だ。
消費税減税が実施されたら、物価高に苦しむ庶民に恩恵をもたらすのは確かだ。総務省の「家計調査」によると、1世帯の年間平均支出額は約300万円。消費税率を5%に下げると、1世帯あたり13万円、手元に残るという。
しかも、給付金のような一時的な所得増は、多くが貯蓄に回ってしまうとされているが、可処分所得が恒常的に増える「消費税減税」は、ほぼ全額が消費に回ると考えられている。消費の引き上げにもつながるのだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「2023年度の消費税収は23兆円と、過去最高を更新しています。これは消費が活発化したからではなく、インフレによって商品価格が上がり、支払う消費税が増えたためです。物価高によって消費税の負担まで大きくなっていると考えると、消費税減税は物価高対策としては筋が通っていると思う。消費税は逆進性が高いから、消費税減税は貧しい人ほど恩恵が大きいというメリットもあります。インボイスが導入されたので、食料品だけ税率を3%にするなど、複数税率の実施も可能なはずです」
これまで、どんなに庶民が訴えても実現しなかった「消費税減税」が、突如はじまった政界の大合唱によって実現する可能性が高まっているのだ。
国家百年の計を考える議員はいない
立ち向かえるのか(米トランプ大統領のSNSから)
しかし、多くの国民は、与野党による消費税減税の大合唱を冷めた目で見ているのではないか。
夏の参院選を前にした人気取りがミエミエだからだ。とくに自民党らしくない「庶民の味方ヅラ」には、胡散臭ささえ感じているに違いない。
なにしろ、毎日新聞によると、参院自民党の幹部は「選挙中に減税を訴えられれば、それでいい」と口にしているそうだ。今夏改選の参院自民中堅も「『減税しない自民』『減税する野党』の構図なら、相当数が落選する」と話しているという。
当初、考えていた「一律5万円」の給付をやめたのだって、あまりに評判が悪くて選挙に響くと考えただけのことだろう。自民党関係者は「現金を配っても参院選でマイナスにしかならない」と語っているそうだ。
「5万円の給付金」にしろ「消費税減税」にしろ、庶民のためという発想はゼロ。すべてが「選挙対策」なのだ。
「5万円の一律給付は、物価高に苦しむ庶民を支援するためだったはずです。だったら、実施すればいいじゃないですか。世論受けが悪いとあっさりやめたのは、本当は物価高対策ではなく、選挙対策のバラマキだった裏返しでしょう。自民党には、理念や哲学があるのでしょうか。突然、噴き出している消費税減税にしても、哲学やビジョンが感じられない。本来なら税制はどうあるべきか、大きなビジョンのうえに消費税の位置づけを考えるべきなのに、自民党がやっていることは、すべて場当たりです。高校教育の無償化だって、本当は、まず日本の教育はどうあるべきかを考えるべきなのに、国民民主党が要求する『103万円の壁』の引き上げには8兆円の財源が必要だけど、維新が要求する『高校教育の無償化』は、財源5000億円で済むから安上がりという発想で決めただけでしょう。自民党には、国家百年の計を考えるような議員はいないのでしょうか」(荻原博子氏=前出)
消費税減税も、自民党にとっては、しょせん選挙対策のひとつにすぎないということだ。
このままでは衰退国家だ
日本は急速に人口が減り、年々、国力が低下している状態だ。
かつてアジアでは圧倒的な存在だったのに、GDPは中国に大きく引き離され、国民の豊かさを示す1人あたりのGDPは、香港、シンガポール、韓国にも抜かされてしまった。人口が増える見込みも、新しい産業が生まれる見込みもない。
このまま「衰退国家」の道をたどるのか、岐路に立たされている。
しかも、アメリカのトランプ大統領の誕生によって、世界は大きく揺れ動いている。トランプ大統領がやろうとしていることは、戦後、アメリカがつくり上げた国際秩序、国際ルールを自ら破壊しようというものだ。グローバリゼーションは消滅し、自由貿易を謳歌してきた各国の繁栄も強制終了となりかねない。
どうすれば日本は生き残れるのか。いまこそ国をあげて対応策を考える時なのではないか。
なのに、哲学もビジョンもない自民党は、目の前の参院選のことしか頭にないのだから、どうしようもない。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「これから世界は、多極化し、アメリカ抜きの新たな体制づくりを模索していくことになるのかも知れない。すでにヨーロッパは、アメリカのコミットメントは信頼できないと考え、自ら防衛力強化に動きはじめています。日本も大急ぎで新秩序づくりに動き出すべきです。戦後80年間、日本は対米従属一辺倒できたが、もはやアメリカの言うことを聞いていれば、とりあえず安泰という時代は終わったのだと思う。ある意味、真の主権国家として自立するチャンスともいえます。なのに、自民党政権からは、グランドデザインが出てきそうもないから非常に不安です」
もう一度、国力をつけるためには、なぜ、これほど日本が貧しい国になってしまったのか検証も必要だろう。アベノミクスの失敗が大きかったのは間違いない。「大企業優先」「庶民後回し」という政策をつづけたために、大企業の内部留保が600兆円に達する一方、庶民は物価高に苦しむという歪んだ国になってしまった。
戦後、アメリカがつくり上げた国際システムは、冷戦に勝利するためのものだった。アメリカが負担を負ってきたのも紛れもない事実だ。冷戦が終わったら、いつか見直しがされるのも必然だったのかも知れない。
自民党政権は、深刻な少子高齢化にどう対応するのか、アベノミクスをどう総括するのか、激動する世界をどう乗り切るつもりなのか。ひとつくらい、国民が納得する答えを出したらどうだ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ

すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。