http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/165.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2025年4月17日 日刊ゲンダイ2面
理不尽な相手とウィンウィン? 日本に問われているのはこんな米国との関係見直しなのだ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370655
2025/04/17 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
まともに交渉すべき相手なのか(C)ロイター
赤沢大臣が訪米したが、何しに行ったのか? 自由貿易だけでなく、科学を軽視し、大学の自由を奪い、積み上げてきた歴史と秩序を壊す相手とウィンウィン? 世界は米国との距離を見直している。
◇ ◇ ◇
米国のトランプ政権による関税政策について協議するため、交渉役を任された赤沢経済再生相が16日、ワシントンに向けて出発。羽田空港で記者団の取材に応じた赤沢は、「信頼関係をしっかり築き、ウィンウィンの交渉ができると思っている」と意気込んでみせた。
日本は最大の対米投資国だと説明する一方、米側の要望を聞き取って、関税除外をお願いする方針だというが、「まったく交渉にならないでしょう」と、元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「米政府は、相互関税の一部を停止する90日間のうちに各国と個別交渉するとしていますが、ディールで何を最重視するのか、まだトランプ政権の方針は定まっていない。ベッセント財務長官も『90日以内に正式な法的文書が完成する可能性は低い』と言っています。そんな段階でイの一番に駆けつける赤沢大臣は何をしに行くというのか。関税をまけてもらうために忖度して、米国の歓心を買うような案件を自ら差し出してしまえば愚の骨頂です。米国側も、くれるというものはもらうでしょうが、それが交渉材料になるとはかぎらない。意味のないものを差し出すだけで終わり、肝心の成果は得られない可能性があります」
米国から「日本は交渉の先頭にいる」とか言われて大喜びし、他国に先がけて関税交渉を行えることを誇りに思うような奴隷根性、土下座外交では足元を見られるだけだろう。
「トランプ参加」に大慌て
赤沢は日本時間の17日早朝、ベッセント米財務長官やグリア通商代表部(USTR)代表と会談する予定で渡米したが、直前になってトランプ大統領が「財務長官と商務長官とともに協議に出席する」と表明。しかも、自身のSNSに「日本はきょう、関税と軍事支援に関する費用、そして『公正な貿易』について交渉するため訪れる」と書いたことで日本政府は大慌てだ。軍事支援に関する費用が議題になるなんて「聞いてないよ!」というわけだ。
政府は11日、関税問題に対応するため、関係省庁で構成し、赤沢と林官房長官を共同議長とする「総合対策タスクフォース」を設置したが、そこに防衛省は含まれていない。
「今回の訪米にも防衛省からは誰も同行していないはずです。赤沢大臣は事前に各省庁の幹部を呼びつけて入念に準備をしていましたが、防衛問題について話す用意はしていないと思う。ワシントンに向かう機上でトランプ発言を知り、焦ったのではないか。同行スタッフに怒鳴り散らしていないといいですが」(霞が関関係者)
トランプのSNS発信を受けて、16日夜は急きょ、公邸に官房長官と国家安全保障局長が駆けつけた。石破首相と対策を協議したとみられるが、“今さら感”は否めない。
「完全に相手の土俵に乗せられて、会う前から主導権を握られている。トランプ大統領の発想は予測不能でセオリーが通用しません。もっとも、赤沢氏が役所のスタッフをぞろぞろ引き連れて行っても太刀打ちできないことは、最初から分かっていた。トランプ政権のターゲットは日本ではなく中国ですから、会談はハナから“米国の意向に従います”という忠誠心を見せる場でしかないということです」(ジャーナリスト・角谷浩一氏)
トランプの出方が見えず、発言に一喜一憂しているようでは話にならないが、そもそも、トランプはマトモに交渉すべき相手なのか?
欧州は米国抜きの経済圏の確立に動き始めた
ウィンウィン?!歓心を買うような案件を自ら差し出してしまうのか(C)共同通信社
理不尽な関税政策で国際社会を混乱させたトランプは、「世界中の国の首脳が『何でもしますから取引してください』と私のケツを舐めにくる」などと言って悦に入っている男だ。政策や信条という以前に、力を誇示して相手をひれ伏させることに喜びを感じているだけにも見える。世界が積み上げてきた歴史や秩序を破壊して、神にでもなったような快感に酔いしれているのかもしれない。
その表れのひとつが科学への軽視、もしくは敵視だ。
トランプ政権は、米航空宇宙局(NASA)や米疾病対策センター(CDC)など、科学的な政府機関の人員と予算をバッサバッサと削っている。16日の朝日新聞が削減の影響を受けている主な機関をまとめていた。
・<米海洋大気局(NOAA)> すでに約1300人削減。さらに約1000人削減予定。合計の削減数は全職員の2割にあたる
・<米国立衛生研究所(NIH)> 資金配分先の研究機関が設備投資などに使う「間接経費」を縮小。組織再編で約1200人削減
・<米航空宇宙局(NASA)> チーフサイエンティスト(主任科学者)廃止
・<米疾病対策センター(CDC)> 職員約1400人を削減
これらの措置によって専門知が失われ、「感染症や災害の対策に支障が出る」と懸念する声が世界中から上がっているという。
真っ先に「ケツを舐め」に
トランプ政権は助成金停止を振りかざして、学問の府である大学への圧力も強める。日経新聞(16日付)によれば、学内方針が「リベラル」な名門大学が標的になっているという。
「DEI(多様性、公平性、包摂性)」を嫌うトランプは、コロンビア大やプリンストン大など東海岸の名門校「アイビーリーグ」を中心に、全米50校にDEI施策の見直しを要求。今年3月にはハーバード大にもDEI見直しと「反ユダヤ主義的活動」の取り締まり強化を求め、これが総額90億ドル(約1.3兆円)近い助成金継続の条件になると脅しをかけた。大学自治への露骨な介入である。
当然、ハーバード側は「憲法で保障された大学の権利を侵害する」とトランプ政権の要求を拒絶したが、強気に出られる背景には、ハーバードはOBらによる寄付金が年間約50億ドル(7000億円)以上もあるという特殊な事情もあり、他の大学はそうもいかない。
「国家の礎である学問や文化を軽視し、米国だけが儲かればいいと自由貿易秩序も無視するトランプ政権に対し多くの国は冷ややかな目を向けています。現に欧州では、保護主義に走る米国を除外した自由貿易協定を構築する動きが活発になっている。日本も米国との関係を見直し、米国抜きで成立する経済圏の確立を模索すべき時かもしれません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
EUは中国との関係改善にも動き始めた。中東や南米ともFTA交渉を進める方針だ。EUと環太平洋経済連携協定(TPP)との連携も検討しているという。
「自由貿易はお互いの利益になることを追求してきた。法外なトランプ関税を課されたASEAN諸国も、圏内で関税ゼロにするような自由貿易の方向に舵を切るでしょう。すでに中国はアジア経済圏の構築を進めようとしていますが、それを日本が主導できればよかった。自由主義世界から孤立しつつある米国に追従するだけでは共倒れしかねない。もはや米国だけ見ていればいいという時代ではないのです」(孫崎享氏=前出)
世界が米国から距離を置き始めている中、真っ先に「ケツを舐め」に飛んで行った日本が懇願する「ウィンウィン」な関係とは何なのか。問われているのは、むしろ米国との関係見直しではないのか。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ

すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。