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※紙面抜粋
※2025年4月8日 日刊ゲンダイ2面
目を覆う暴落の次に何が来るのか? トランプ大統領の狂気で世界は暗転
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370194
2025/04/08 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
株価は史上3番目の下げ幅(上)、混乱尻目に当人はゴルフ三昧(C)日刊ゲンダイ
自動車産業直撃、物価高による消費低迷、株安、倒産ラッシュの四重苦に日本経済も底割れの懸念。歴史的な下げとなった株式市場だが、今後、トランプ恐慌へと進むのか。そうなれば、まさしく、戦前の二の舞いだが、市場の悲鳴にトランプは聞く耳を持つのか、といえばノーだろう。
◇ ◇ ◇
世界経済が大揺れだ。いや、音を立てて崩れ始めていると言っていい。
トランプ米大統領による「相互関税」発表に端を発した世界同時株安が止まらない。先週4日、中国政府が米国からの全輸入品に34%の追加関税を課す報復措置を発表。貿易戦争激化による世界的な景気後退懸念が、NY株式市場を直撃した。3〜4両日のダウ平均株価の下げ幅は計3900ドル(9%)を超えた。
週明けの7日はアジア株が軒並み下落。台湾の加権指数と香港のハンセン指数は前週末終値からそれぞれ一時9%超下げた。シンガポールのストレーツ・タイムズ指数の下げ幅は7%超、ソウルの総合株価指数(KOSPI)は4%超下落。中国の上海株式市場も大幅安だった。
東京市場も無傷では済まず、日経平均株価は全面安の展開に。一時3000円近く急落し、終値は前週末比2644円安の3万1136円58銭。昨年8月の暴落時、1987年の「ブラックマンデー」に次ぐ、史上3番目という歴史的な下げ幅となった。
このまま報復関税がエスカレートすれば「日経平均は3万円台を割り込み、2万7000円までの下落も可能性としてはあり得る」(市場関係者)との悲鳴が上がる中、当のトランプはわれ関せずだ。国際金融市場のパニックについて「何かを治すためには薬を飲まなければならない」と強弁。世界同時株安は「苦い良薬」と言わんばかりで、関税強化が招いたトランプ・ショックを尻目に連日、南部フロリダ州でゴルフ三昧のありさまだ。
MAGAが痛い目に遭うまで後に引けない
ナントカに刃物というか、「トランプに関税」の様相だが、自称タリフマン(関税男)の狂気で世界は暗転。目を覆うような暴落の次に何が来るのか。いずれにせよ、トランプが市場の悲鳴に聞く耳を持つのか、といえば答えは「ノー」だ。
トランプが「相互関税」と呼ぶ一方的な関税措置で、米国を代表する企業の株価は軒並み急落。世界で最も打撃を被っていると言っても過言ではない。3〜4日の2日間でアップルの株価は16%も下落。時価総額にして実に5300億ドル(約78兆円)も失った。
アップル製品の多くは、中国やベトナムなどで生産されている。9日の相互関税の発動後に米国に輸出されると、中国からは54%、ベトナムからは46%にまで関税率が跳ね上がる。米国内で販売する「iPhone」は大幅値上げを迫られ、最上位機種で約2300ドル(約33万5000円)になるとの見方もあるほど。庶民の手に届く製品ではなくなってしまう。
バカ高い関税コストを価格に転嫁すれば販売減は避けられず、値上げを見送れば利益が圧迫される。どちらに転んでも踏んだり蹴ったり。同じ構図は米国内のグローバル企業の大半に当てはまり、テスラ、エヌビディア、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン・ドット・コム、ナイキなどの株価下落率は2日間で軒並み10%を超えた。
問題はいくらグローバル企業が窮地に立とうが、全米各地で数十万人規模のトランプ抗議デモが巻き起ころうが、MAGA(米国を再び偉大に)を掲げるトランプの岩盤支持層には響かないことだ。経済評論家の斎藤満氏がこう指摘する。
「トランプ氏の根底にあるのは、米国が貿易赤字や債務危機に陥っているのは、世界が米国をイジメているからという歪んだ考え方です。やり返すには高関税をかけて、税金を外国からふんだくるしかないというわけです。厄介なのは、トランプ氏の子供じみた発想をMAGAが熱烈支持し、『仕事を回してくれる』と妄信していること。岩盤支持層であるラストベルトの白人労働者階級は株価とは無縁の暮らしで、急落して損するのは資産家のみ、自分たちを踏み台にグローバル化で大儲けした企業がガタガタになるのは『ざまあみろ』といったところです。彼ら自身の雇用が怪しくなり、『こんなはずじゃなかった』と痛い目に遭わない限り、熱狂はやまず、トランプ氏も後に引けない。政権内をイエスマンで固め、誰も苦言を呈することもできません」
MAGAという「ゆでガエル」がジワジワゆで上がるのを待つしかない。絶望的な状況である。
「盗人に追い銭」では恐慌は免れない
全米各地で抗議デモ(C)ロイター
トランプ関税で厳しい立場に追い込まれるのは日本企業とて同じだ。とりわけ、3日発動の輸入自動車への追加関税25%が重くのしかかる。日本経済の牽引役である自動車の対米輸出額は6兆円超。米国への総輸出額の3割を占める。個別メーカーを見ても、昨年の世界販売に占める米国向けの割合はトヨタ、日産、ホンダ、マツダは2〜4割弱と一大マーケットを形成していた。
ところが、トランプ関税の影響で米国の消費意欲の減退は必至だ。米エール大の試算では一連の高関税政策の影響で、米国の1世帯あたりの損失は年平均3800ドル(約56万円)に及ぶという。大衆車でも新車1台あたり、日本円にして600万〜700万円を出さなければ購入できなくなるとされ、マイカーは高根の花に。米国市場は日本メーカーの稼ぎ場所ではなくなる。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「現地生産率が高いからといって、トヨタやホンダも安閑とはしていられません。部品調達はメキシコなどの海外工場に頼りきり。完成車に組み込まれるまでには何度も国境を越え、そのつど高関税がかかってしまう。両社とも当面は米国での販売価格を据え置く方針ですが、対象は追加関税の発動前に米国内に持ち込めた完成車だけでしょう。在庫が切れれば早晩、値上げを余儀なくされ、販売台数の落ち込みは避けられません。今から部品を含めた現地生産の比率を高めようにも、自動車の生産ライン構築には4〜5年はかかる。トランプ政権後に再び関税政策が転換すれば、設備投資はそのままリスクとなる。ましてや、経営不振の日産にはそんな体力は残されていません」
愚かな歴史を繰り返さないための唯一の道
日本経済の基幹をなす自動車産業が危機に陥れば、下請けへの買いたたきは目に見えている。
「中小・零細企業には冬の時代が到来しそうです。自動車産業は裾野が広く、日本の全就業人口の1割にあたる529万人が携わっている。トランプ関税のダメージは計り知れません」(井上学氏=前出)
大統領の狂気は日本の自動車産業を直撃。物価高による消費低迷、株安、倒産ラッシュの四重苦に日本経済も底割れしそうだが、さらなる懸念もある。ズバリ「1930年代の悪夢」の再来だ。
米フーバー政権は世界恐慌下の30年に「スムート・ホーリー法」を成立させた。「関税率引き上げ(平均20%)で国内産業全般を保護する」目的だったが、輸出の門戸を閉ざされた欧州各国は猛反発。報復関税を発動し、世界のブロック経済化が進んだ。
これが世界恐慌を加速させ、やがて第2次世界大戦の遠因にもなったといわれる。今の国際情勢と似通い過ぎていて末恐ろしい。再びトランプ発の世界恐慌に突き進めば、戦前の二の舞いだ。
前出の斎藤満氏は「愚かな歴史を繰り返さぬよう、日本が進むべき道はひとつ」と、こう言うのだ。
「トランプ政権を相手にせず、一時的にせよ、米国抜きの自由貿易圏を構築すべきです。そのためにも成長著しいアジア市場にもっと目を向け、各国との連携を強める。さすがに米国が不況に陥れば、来年11月の中間選挙でトランプ氏率いる共和党は壊滅的な敗北を喫するに違いない。それまでの辛抱と心得て覚悟を決めた方がいい。石破政権の“盗人に追い銭”の外交姿勢は、相手をつけ上がらせるだけです」
7日夜の石破首相のトランプとの電話協議も不発に終わったようだ。理不尽な相手にヘーコラと懇願するのは、そろそろ諦めたらどうか。
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