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※紙面抜粋
※2025年3月11日 日刊ゲンダイ2面
世界に広がる「反米包囲網」…トランプ直談判の懇願が果たしていいのか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/368861
2025/03/11 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
欧州各国が距離を置くなか、「除外して」とお願い…(C)日刊ゲンダイ
武藤経産相がトランプ関税に慌てて訪米、懇願直訴に及んでいるが、世界を見渡せば、トランプ包囲網ができつつある。
何から何までデタラメな米国第一主義の脅しは混乱と大不況を招くだけ。
日本の泣きつき外交の是非と今後。
◇ ◇ ◇
情けない態度だ。
9日から米国を訪問中の武藤容治経済産業相が、トランプ政権で関税と貿易政策を担当するラトニック商務長官や通商代表部(USTR)のグリア代表と会談。トランプ大統領が打ち出した追加関税の対象から日本を除外するよう申し入れた。
トランプは、米国に輸入される鉄鋼製品とアルミニウムへの25%の関税措置について、12日に発動する予定。自動車への25%前後の関税も4月以降に発動する見込みだ。
こうしたトランプ関税に大慌てで訪米し、「除外して」と懇願直訴するわけだ。武藤は「産業界からの声を踏まえつつ、日本の国益、米国の国益の双方がウィンウィンとなるような協議を行いたい」なんて言っていたが、果たしてトランプの脅しまがいのディール外交に太刀打ちできるのか。
先月の日米首脳会談は、石破首相が「頭を低く」する作戦で、トランプを「神様に選ばれた人物」とヨイショし、事なきを得たが、今回は分からない。トランプはあくまで「米国第一主義」だ。今月6日には日米同盟について「我々は日本を守らなければならないが、日本は我々を守らない」と、片務性に不満をブチまけていた。懇願しても今度こそやりこめられてしまうのではないか。
カナダ時期首相はトランプを猛批判
そもそも、世界を見渡せば、先進国でこんな懇願直訴をやっているのは日本くらいのもの。多くの国がトランプ米国と距離を取りつつあるのだ。
政権発足後、イの一番にメキシコと共に関税の脅しに遭ったカナダの姿勢は、特に毅然としている。
カナダ与党・自由党は9日、新党首にマーク・カーニー元カナダ銀行(中央銀行)総裁を選出した。9年余り在任したジャスティン・トルドー首相に代わり、週内にも首相に就任する見込みだ。
カーニーは早速、演説で「トランプ大統領は私たちが作り、売り、生活の糧としているものに正当化できない関税を課した。カナダの家族、労働者、企業を攻撃している。彼を成功させてはならない」と猛批判を展開。報復関税などで対抗していく姿勢を強調した。
インドも英国と自由貿易協定(FTA)の締結に向けて、停滞していた交渉を再開させている。トランプ関税による貿易の滞りを警戒し、輸出を拡大させることでリスク回避を探っているという。
さらに、EUとも年内にFTAの締結を目指すことで合意。先月末、インドのモディ首相と会談したフォンデアライエン欧州委員長は「EUとインドのFTAは世界最大規模となるだろう」と話し、半導体やAI(人工知能)、クリーンテクノロジーなど幅広い分野で貿易や投資を促進させたい意向を示した。欧州もトランプ米国との溝が深まる中、インドとの関係強化に力を入れているわけだ。
懇願の見返りで「防衛費増」を要求されかねない
世界は譲歩を引き出そうと毅然と対峙(英仏ウクライナ首脳会談)/(C)日刊ゲンダイ
安全保障を巡っては、フランスが一歩踏み込んでいる。マクロン大統領がウクライナに侵攻するロシアの脅威を念頭に、フランスの核兵器による「核の傘」で欧州全体を防衛するための協議を関係国と始めると表明したのだ。
これまで、米国がNATO(北大西洋条約機構)を通じて欧州各国に「核の傘」を提供してきた。ところが、トランプがロシアとの同調姿勢を強めているため、フランスは安全保障面で米国依存からの脱却を欧州各国に促す狙いがあるという。マクロンは「米国が我々の側にとどまると信じたいが、そうでない場合に備えておく必要がある」と言っていた。
さらに、マクロンは先月末にはワシントンに乗り込み、「我々が望む平和は、ウクライナの降伏を意味するものであってはならない」とトランプにクギを刺していたほどだ。
欧州をはじめとした国際社会は、世界一の「軍事力」「経済力」を背景に、脅しまがいのディールを仕掛けるトランプを警戒し、“自衛策”を講じているということ。つい先日は、米国がウクライナへの軍事支援を停止した途端、ゼレンスキー大統領は「トランプ大統領の強い指導力の下で協力する用意がある」「鉱物資源の協定に署名する用意がある」との手紙をトランプに送ったという。弱い相手を脅し上げて実を取ろうなんて、ヤクザの手口だろう。
こうした傍若無人な振るまいを認めるわけにいかないから、欧州諸国は米国と距離を置き、事実上の「反米包囲網」を築きつつあるということだ。それなのに、日本だけが「関税やめて」「除外して」と直談判するなど、いかがなものか。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「トランプ大統領のやっていることは、グローバリズムの否定であり、かつてブロック経済で国際社会が分断されていた時代に逆戻りしてしまいます。そうしたトランプ大統領の暴挙に抗うため、欧州諸国は一致結束して対峙。法の支配や民主主義、自由貿易といった理念を守るために戦おうとしているわけです。ところが、日本だけがトランプ大統領のやり口を批判せず、事実上、承認した上で『自分たちを例外扱いして』とお願いしている。恥ずべき態度だと思います。本来、欧州と手を組むべきでした。万が一、日本で有事が起きた際、もう欧州は手を差し伸べてくれなくなるのではないか。国益にも反する行為だと言えます」
既に経済は混乱
そもそも、何から何までデタラメな米国第一主義の脅しに屈し、「勘弁して」などと泣きつき外交を展開しても、混乱と大不況を招くだけだ。
実際、トランプ米国のムチャクチャによって、足元でも経済が混乱を来している。米ダウ工業株30種平均は7日までの1週間で1039ドルも下落した。政権発足から7週間のうち、ダウ平均の週間下げ幅が1000ドルを超えるのは2月18日〜の週に続いて2回目のことだ。
情報提供サービスのQUICK・ファクトセットによると、S&P500種株価指数を構成する銘柄の2025年1〜3月期(2〜4月期なども含む)の純利益のアナリスト予想は、前年同期比7.2%増。24年末時点の予想増益率(11.5%)から鈍化した。ブレーキがかかったのは消費関連の業種で、自動車を含む「一般消費財」は24年末時点に10.7%の最終増益が見込まれていたのに、最新の予測集計では0.7%の増益にとどまった。「生活必需品」は0.5%減益から7.2%減益へと修正されたという。きのうの日経新聞が報じていた。トランプ関税によるインフレ懸念が足かせになった可能性がある。
やはり、日本も欧州のようにトランプと距離を取り、デタラメを是正すべきではないのか。
「こんなことをやっていたら、日本は破滅するでしょう」と言うのは、淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)だ。
「欧州は『やられたらやり返す』というスタンスで米国から譲歩を引き出そうとしています。しかし、日本は『関税対象から外して』と媚びるだけ。唯一、日本に残されている自動車産業を守ることが目的でしょう。ところが、当然ながら日本側の懇願に対し、米国が見返りを求めてくるのは確実。その筆頭は、防衛費増による“武器押し売り”です。これをのめば、借金漬けの日本はまた国債発行を迫られかねない。目下、日銀による利上げは避けられそうにありませんから、国債の利払い費は膨張必至です。日本はいずれ国家予算を組めなくなる恐れがあり、下手をすると財政破綻しかねません。こんな外交姿勢は大間違いでしょう」
トランプ相手に懇願なんて、石破は考えが甘すぎる。搾り取られて終わりではないか。
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