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※2025年2月3日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月3日 日刊ゲンダイ2面
媚びるのか、諫めるのか、国益を主張し合えるのか(C)日刊ゲンダイ
首相動静を見ていると、必死で訪米の準備をしているようだが、狂気のタリフマン相手に媚びるのか、諌めるのか。それを世界はどう見るのか。「楽しみにしている」と言われたが、何を求められるのか。国益を主張し合えるのか。最悪タイミングの訪米の行く末。
◇ ◇ ◇
「タリフマン」に世界経済はどこまで翻弄されるのか。
大統領選で「関税引き上げ」を公約に掲げ、タリフマン(関税男)を自称してきた米国のトランプ大統領が、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国に対しては10%の追加関税を課す大統領令に署名したとホワイトハウスが1日に発表した。
トランプは今回、不法移民と合成麻薬「フェンタニル」がアメリカ国内に流入している問題を安全保障上の「緊急事態」と認定し、「国際緊急経済権限法(IEEPA=アイ・イーパ)」に基づく大統領権限で関税を課したのだが、この法律に基づく関税の発動は現行制度で初めてのことだ。
「トランプ氏は1期目にも鉄鋼製品やアルミ製品に高い関税をかける輸入制限を行いましたが、その時に使われたのは『232条』と『301条』という通商法でした。その場合、商務省やアメリカ通商代表部による調査が必要で、発動までに時間がかかったし、米国内の産業界への影響なども考慮して限定的な措置にとどまりました。しかし、今回はIEEPAを根拠にした課税です。大統領権限ですぐに発動でき、名指しされた国は対応する時間もありません。しかも、相手国が報復措置をとった際には、米国はさらに関税を引き上げるという『報復関税条項』も大統領令に含まれている。トランプ氏は問答無用で関税戦争を吹っ掛けるつもりです。敵対国への措置ならば分かりますが、これを同盟国にも課すというのだから、常軌を逸している。世界経済に及ぼす影響はとてつもなく大きく、日本も警戒しなければなりません」(経済評論家・斎藤満氏)
この「トランプ関税」は現地時間の4日から発効するという。
18日ごろにさらなる関税措置か
名指しで関税を課されたカナダ、メキシコ、中国は当然、猛反発だ。
カナダのトルドー首相は1日に会見し、対抗措置として米国からの輸入品に関税をかけると表明した。4日から300億カナダドル(約3兆2000億円)分の米国製品に25%の関税をかけ、3週間後には約1550億カナダドル分に規模を拡大するという。米国産のバーボンウイスキーやオレンジジュース、家電などが対象になる。
トルドーは米国への渡航自粛や、「メード・イン・アメリカ」の不買にも言及。「最も親しい友人」だったはずの同盟国間に一気に亀裂が生じている。
メキシコのシェインバウム大統領も1日、報復措置の可能性を示唆。自身のSNSで経済相に対応を指示したことを明かした。中国は世界貿易機関(WTO)を通じて異議を申し立てる方針で、他の「対抗措置」も検討するという。
だが、狂気のタリフマンの暴走はまだまだ止まりそうにない。トランプはさらに石油や天然ガス、半導体、鉄鋼、アルミ、医薬品などの幅広い品目の輸入品に高い関税を課す考えで、それが「2月18日ごろに実施されるだろう」と予告している。対象国や税率は今のところ明らかにされていないが、日本も対象に含まれる可能性は高い。
そういう最悪のタイミングで訪米するのが石破首相なのである。
防衛費GDP比5%への増額を要求される可能性
カナダは報復措置を決定(C)ロイター
石破は6〜8日の日程でワシントンを訪問し、7日にトランプと首脳会談を行う予定だ。就任後初めての米国訪問に向けて、必死で準備をしていることが「首相動静」を見ていると分かる。
この週末も、1日には岡野国家安全保障局長や船越外務事務次官、増田防衛事務次官らを公邸に呼んでレクを受けた。林官房長官と橘官房副長官も同席し、午前10時ごろから3時間にわたる勉強会だった。2日も3時間以上、橘と公邸にこもって訪米準備を進めた。
「昨年のAPECなどで外交下手のイメージがついてしまった石破首相にとって、日米首脳会談は正念場です。一方、ディールが得意で強い大統領だと印象付けたいトランプ氏にとっても就任直後の大事なスタートダッシュのタイミングですから、日米首脳会談は絶好のアピール機会になる。かなり強気な要求をしてくると考えられます。むちゃな要求はうまく押し返す交渉力が石破首相にあればいいのですが、この間の政治姿勢を見ている限り心配が尽きません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
トランプは石破の訪米について「日本が好きだ。話ができることを楽しみにしている」などと言っているが、米国に言われるがまま武器でも何でも爆買いしてきた日本のことが好きなのは当たり前だ。今回の訪米では何を求められるのか。
トランプは「関税という言葉は世界で最も美しい言葉の一つだ」と言う。関税引き上げをチラつかせてディールを迫るのがトランプ流で、カナダやメキシコだけでなく、EUに対しても米国から石油や天然ガスを大量に購入しないと高い関税を課すと脅している。
トランプは1期目の時にも、日本の自動車に対して関税25%を課すと言い出したことがあった。日本側が米国産の牛肉などへの関税を引き下げ、米国から農作物を大量に輸入することで、自動車への25%関税は見送られた経緯がある。
日本はすでに関税戦争の当事者
「今回はIEEPAを根拠にした課税だから、交渉の余地がない可能性すらあります。カナダやメキシコに工場を置いている日本企業は多く、4日からの課税措置だけでも影響は大きいのですが、半導体や医薬品などでも日本は課税対象になるのではないか。それがトランプ氏の胸三寸で決まってしまう。この関税戦争で日本はすでに当事者なのです。防衛費の増額を突きつけてくる可能性もある。トランプの1期目には当時の安倍首相が米国から大量の兵器を買うよう圧力をかけられ、それが現在の防衛費のGDP比2%への増額につながった。今のトランプ氏はNATO加盟国に対し、防衛費を『2%ではなく5%にしろ』と負担増を求めている。日本にも5%を要求してくることは十分に予想されます。防衛費を増やしてもディール成立とはならず、さらに高い関税も課してくることだって考えられる。石破首相も米国の言いなりとみられたら、搾り取られる一方です。7日の日米首脳会談は非常に大事な会合になります」(斎藤満氏=前出)
1月31日の衆院予算委員会で、トランプとの首脳会談について聞かれた石破は、「米国には米国の国益があり、日本には日本の国益がある。どうやって両方を満たす新しい形の同盟を築けるかを話し合い、日米同盟を新たな高みに引き上げたい」と言っていた。
いつも口では立派な正論を吐くのだが、実行力はてんで伴わないのが石破だ。トランプ相手に国益を主張し合えるのか? 世界中に関税戦争を吹っ掛け、パリ協定からの離脱を宣言して気候変動対策にも背を向けるトランプを諫めることができればたいしたものだが、そんな胆力が石破にあるのかどうか。もし高い関税を課された場合、カナダのように毅然と報復措置を取れるとも思えない。
ただでさえ少数与党で政権運営に不安のある石破だ。保身のためにトランプに媚びて、ロクでもない約束をのまされてくるのが関の山ではないか。石破訪米にはイヤな予感しかしない。
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