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脳を摩耗させる「タイパ」ではなく「熟考」「熟議」を心がけたい 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/365975
2025/01/08 日刊ゲンダイ
「熟考」「熟議」を心掛けて(C)日刊ゲンダイ
新聞の元日社説は、各紙の新年への報道姿勢を示す基調宣言のようなものなので、普段は社説をあまり熱心に目配りすることのない私も、必ず読み比べるようにしている。
予想通りと言うべきか、今年の各紙社説にほぼ共通して流れているのは、SNSを通じて「断片的で不正確な情報や主張の氾濫が社会や政治を乱すこと」(日経)への懸念と、それに対して「次世代への責任を意識した熟議を各分野で進めること」(同上)の不可欠性の強調である。
そのことを正面から取り上げたのは東京新聞で、タイトルは「あわてない。あわてない」。「民主主義の意思決定は複雑で時間がかかるが、人間というものは生来、せっかちにできていて……何事であれ急ぎがち。でなければ〈急いては事を仕損じる〉のような諺からTVアニメの一休さんの口癖『あわてない、あわてない』に至るまで、性急を戒める言葉が世にこれほど多いはずもない」と述べている。
「急いては事を仕損じる」は、歌舞伎で幡随院長兵衛が語るセリフにあるのだそうだ。「急がば回れ」はもっと古くて、室町時代の連歌師=宗長の「もののふの 矢橋の船は速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋」に由来する。琵琶湖で草津から大津への船に乗れば京都への道程は縮まるけれども、比叡山下ろしの風で欠航することも少なくないので、瀬田の唐橋を回った方が結局は早道になるといういわれ。
ことほどさように、我々の世代だと小学生の頃からそういう警句を教え込まれ、今でも自然に口を突いて出てくるほど血肉化しているけれども、その正反対が今どきの「タイパ」という価値観。映画を早送りで見て筋書きをおおよそ分かっていれば友達との会話に付いていけるというような話らしいが、そんな浅薄なことを続けていれば、脳にとって一番大切な論理力も想像力も情緒力も直感力もどんどん衰退し摩耗してしまうことは明らかだろう。
やはり人間は「熟考」しなければならない。その上で、それで得られた自分なりの考えを他人との対話や議論に持ち込んで揉み、他人の意見を出来るだけ取り入れて自分の意見をより良きものに仕上げていく「熟議」に慣れ親しまなければならない。そのことを今年は心掛けたいと思うが、さて「熟議の聖堂」たる国会は果たしてそうなっているのかどうか。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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