http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/383.html
Tweet |
※2024年12月27日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
誰のための予算か(C)共同通信社
最大規模に膨らむ予算案が明らかになったが、防衛費を青天井にする一方で、弱者にはこれでもかの冷酷予算。医療費の上限がここまで上がり、生活保護世帯にも見直しはたった500円。103万円の壁引き上げにも抵抗し、物価高放置の政権は来夏の参院選でも鉄槌が必要。
◇ ◇ ◇
来年度予算案は27日閣議決定。一般会計総額は115.5兆円と、2023年度当初予算の114.3兆円を上回り、過去最大を更新する。理由は、高齢化で社会保障関係費が膨らんだとか、防衛費が初の8兆円突破だとか、解説されているが、これが国民生活を真剣に考えた予算案なのだろうか。
防衛費の財源については、26年度からの法人税と、たばこ税の増税が決まった。時期を先送りしただけで、所得税も増税されることになっている。
岸田首相時代に決めた5年で43兆円という額ありきの防衛力増強は、結局、政権が代わっても、何の検証もされないまま既定路線で青天井に積み上げられていくのである。
「多くの賛同が得られるよう、説明を誠心誠意尽くし、速やかな成立を目指したい」
石破首相は26日、官邸で開いた政府与党政策懇談会で来年度予算案についてこう発言し、年明けの通常国会での早期成立に意欲を示した。しかし、多くの賛同? よくぞ言ったものだ。許し難いのは、歯止めのない防衛費に比べ、弱者に対する冷酷予算の数々が際立つことである。
治療の継続を断念しなければならなくなる
政府はついに、社会保障費の抑制策として「高額療養費制度」に手を突っ込んできた。入院や手術をしたことがある人は、本来なら50万円、100万円の治療費負担を高額療養費制度で低く抑えられ、ホッと胸をなで下ろした経験があるだろう。患者の自己負担が過度にならないよう1カ月あたりの支払いを一定にとどめるしくみだ。それが、来年8月から負担上限額を段階的に引き上げるという。
制度変更は次のようなものだ。
70歳未満について、まず来年8月に2.7〜15%引き上げる。その後、年収や年齢によって現行5つに分かれている負担額の区分を13に細分化し、26年8月と27年8月に一部の区分でさらに引き上げる。
約4120万人が対象となる平均所得層(年収約370万〜約770万円)では、現行8万100円の限度額が、来年8月に8100円増の8万8200円となる。さらに、このうちの中間層(年収約510万〜約650万円)は、27年8月に11万3400円に、最も高い層(年収約650万〜約770万円)は27年8月に13万8600円になる。実に、現状から5万8500円もの負担増なのである。
70歳以上や所得の低い層については引き上げ幅を抑えたり、据え置いたりするものの、医療費の窓口負担を抑える「外来特例」が見直される。
こうした制度変更により、「公的保険からの給付費が年5300億円削減される」「現役世代中心に保険料負担が1人あたり年1100〜5000円減る」などと、大メディアは当局の言い分を垂れ流しだが、がん患者のように、毎月、継続的に高額の医療費を支払っている人にとっては死活問題だ。
すでに「全国がん患者団体連合会」が厚労大臣らに要望書を提出している。<特に「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族」にとっては生活が成り立たなくなる、あるいは治療の継続を断念しなければならなくなる患者とその家族が生じる可能性が危惧されます>と悲痛な訴えで、特段の配慮を求めた。
こうした当事者らの切実な声に、石破は耳を傾けたらどうなのか。高額療養費制度を“破壊”して、外資のがん保険を儲けさせたいのか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「自民党政権は社会保障と高齢者を一貫して狙い撃ちしてきました。対象が少数でお金がかかる予算をどんどん切り捨てていく。石破政権の予算案もそうした今までの路線の延長線上にあるわけですが、大きく変わってきているのが防衛費の増大です。緊急性があるわけでもないのに、補正予算にまで防衛関連予算を潜り込ませた。防衛費は来年度予算案で8兆円を突破する。安倍政権の時代ですら4兆円か5兆円か、という話だったのに、そこから3兆円も増やしている。そのしわ寄せが社会保障費の削減につながっているわけです」
500円はアリバイ。選挙の票にならないと捨て置かれる
結局、岸田政権の“踏襲”で防衛費は8兆円突破(代表撮影)
石破政権は生活保護世帯にも無情だ。
生活保護費のうち、食費や光熱費などに充てられる「生活扶助」について、来年10月から、1人あたり月額500円を上乗せする。今年度までの予定だった月1000円の「特例加算」を継続したうえで、2年間、加算額を月1500円に引き上げるという。
だが、生活保護費の見直しは5年に1度で、急激な物価高に対応できていない。そもそも「特例加算」は、コロナ禍前の19年の調査をベースにした試算で支給額が引き下げられる世帯が出たため、時限措置として上乗せされたものだ。そこにさらに500円の上乗せということだが、1日あたりわずか16円。こんな金額じゃ何も買えない。
そのうえ、支給額引き下げの結果、特例加算しても元の金額より下回る世帯もあり、その場合は金額据え置き。つまり、わずか500円とはいえ、その恩恵すらない世帯もあるということだ。
26日の毎日新聞には、「年寄りは死ねってことですか?」と受給額据え置きの女性(80)がつぶやいた、という記事があった。専門家も「特例加算のような措置ではなく、ベースアップの議論を」と訴えている。
2%の物価高が、もう2年半も続いているのである。帝国データバンクが26日に発表した調査によれば、来年も食料品の値上げは4月までに6000品目に達し、今年の6割増だという。生活保護世帯じゃなくても、悲鳴を上げたくなる。
「これだけ物価高が深刻で、令和のコメ騒動まで起きていて、高くてコメが買えないという人まで出てきているのですよ。実情に見合った生活保護費の引き上げが当然なのに、選挙の票にならないと捨て置かれる。月500円というのは、『一応、引き上げました』というアリバイ的な金額でしかありません。自公政権をせっかく少数与党に追い込んだのに、国民民主党と日本維新の会は政権へのスリ寄り競争ばかり。それで足元を見られて、自民党は今まで通りの予算編成をやれているわけです。何のための過半数割れだったのか、ですよ」(五十嵐仁氏=前出)
庶民の犠牲の下での税収増にあぐら
過去最大の予算規模と同時に、来年度は税収も過去最高の78兆4400億円程度を見込む。今年度から5兆円もの増額なのだが、大きな要因は、物価高によって消費税収入が増えたこと。つまり、庶民の犠牲の下での税収増であり、それにあぐらをかいて、防衛費を増やし、日の丸半導体にジャブジャブ資金を投入し、安倍路線、岸田路線を踏襲。石破カラーの「地方創生交付金」は倍増とはいえ2000億円と雀の涙だ。
課税最低限の「103万円の壁」引き上げにも抵抗し、123万円でお茶を濁したため、年収500万円で1万円ポッチの減税にしかならない。そのうえ物価高も放置じゃ、来年度予算案を見る限り、この政権は「国民の敵」でしかない。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「いったい誰のための予算なのでしょう。政府のための予算でしかなく、規模が大きいだけでまったく国民のためになっていません。イーロン・マスク氏に頼んで、日本にも政府効率化省をつくった方がいいほどですよ。物価高は世界中で政府に対する不満の原因になっています。米大統領選で共和党のトランプ氏が勝った背景にも、民主党政権が物価高にしたという批判があった。それは日本でも同じです。衆院選で自公が少数与党となったのは、裏金問題だけでなく、物価高に有効な対策を打てていないことへの国民の怒りがあった。政府はそれが分かっていません」
来夏の参院選でも自民党に鉄槌が必要だ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。