<■915行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 「103万円の壁」で袋小路 手の内見せぬ国民民主、自民ゴルフに例え「グリーンどこ?」 2024/12/17 21:24 https://www.sankei.com/article/20241217-YPCWLIWYORPZ5LSCXFNNOKIPRY/ 国民民主党の古川元久税調会長は2024年12月17日の自民、公明両党との 「年収103万円の壁」 を巡る交渉で、自公側が国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体案を示さなかったとして協議を打ち切った。 自公側は継続意思を示すが、国民民主側は直近の支持率上昇を受けて 「妥協はしない」(幹部) と強気を崩していない。 3党協議は再び袋小路に陥った。 ■協議は10分で打ち切り 「話にならない。協議は打ち切りだ」 2024年12月17日午前11時半に国会内の会議室で始まった自公国の協議。 古川氏は開始から僅か10分程度で部屋を出ると、周囲にこう漏らしながら憤懣やるかたない表情を浮かべた。 国民民主が強硬姿勢に出たのは、3党の幹事長が2024年12月11日に 「103万円の壁」 を 「178万円を目指して来年2025年から引き上げる」 と合意したにもかかわらず、2024年12月13日に自公側が引き上げ額として123万円を提示したためだ。 この数字は国民民主の要求とは程遠く、古川氏や玉木雄一郎代表(役職停止中)ら幹部は、自公側から新たな提案がなければ2024年12月17日の協議は打ち切る方針を予め決めていた。 結局、この日の協議では自民の宮沢洋一税調会長が国民民主側との落としどころをゴルフに例えながら、 「グリーンがどこにあるのか分からない」 「交渉できるようにグリーンを教えてほしい」 と探った。 だが、国民民主側は手の内を明かさず、古川氏は 「新たな提案がないのであれば協議はできない」 と席を立った。 ■強気の背景に世論の支持 「178万円」 以外の数字を国民民主側から示せば、その金額が上限になるとの警戒感が強く、国民民主幹部は 「財務省のいつものやり方だ」 と怒る。 一方、自民税調幹部も 「178万円まで一気に引き上げれば税収は7兆〜8兆円減る」 「それは受け入れられない」 と不満を漏らす。 国民民主の強気の背景には世論の強い支持がある。 報道各社の世論調査では国民民主の支持率が軒並み急騰している。 「103万円の壁」 を巡る与党との攻防や国会論戦が好感されたと見られており、榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、国会内で記者団に 「国民が一番怒っている」 と威嚇した。 更に、国民民主側には看板政策での実績を引っ提げて2025年来夏の参院選に臨みたいとの思惑があり、簡単に妥協できない事情もある。 別の国民民主幹部は 「来年2025年の参院選で有権者に問えばいい」 「『ここまでやったが、少数政党では限界があった。力を与えてほしい』と訴えるだけだ」 と突き放した。 こうした袋小路の3党協議を踏まえ、石破茂首相は2024年12月17日、首相官邸で記者団に国民民主との交渉決裂の可能性を問われ、 「それは分からない」 「引き続き協議をお願いしたい」 「対応には誠意を持って臨みたい」 と述べるにとどめた。「103万円の壁」3党幹事長合意の裏事情 少数与党に転落、自民党税調会長の意向無視 焦った財務省が画策「123万円提示」 2024.12/17 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241217-IJTR2E32CBIGDLLCXWNJ5IQNXM/ 「いわゆる『年収103万円の壁』の問題を巡る3党協議で、完全に蚊帳の外に置かれた格好となった宮沢洋一自民党税制調査会会長が、たいそうご立腹だと聞くが、はっきり言ってこれも時代の流れだ」 「先の衆院選で、自公が少数与党に転落した結果、自民党税調会長の思惑だけで税制が決められた時代は完全に終わりとなった」 「宮沢会長はまずそのことを理解しなくてはダメだ」 大臣経験のある自民党有力議員がこう言う。 「私自身はこれで良かったと思う」 「国民生活に直結する税制が、自民党税調という密室で極僅かの幹部だけで決められているというのは、どう考えてもおかしい」 「やはりこれは、オープンな場で議論すべきことだ」 (前述同) 先週2024年12月11日、自民・公明の与党と国民民主党の幹事長が2回に渡って会談を開き、国民民主党が求めてきた 「103万円の壁」 の見直しについて、来年2025年から実施することで合意した。 この 「合意」 によって、国民民主党は衆院で2024年今年度補正予算案に賛成した。 ただしその引き上げ幅については、今後の協議に委ねられることとなったのである。 「結局のところ、この問題は政治決着が図られることとなったのです」 「それというのも補正予算案の審議日程が極めてタイトになっていたからです」 「財務省がバックに控える自民党税調としては、何とかこの問題を先送りさせたかった」 「具体的には実施時期については、2026年まで先送りさせたかったのです」 「もっと言えば、それが財務省の意向だったのです」 (別の自民党有力議員) しかしそれでは、補正予算案成立のメドが立たなかった。 なぜなら国民民主党が、絶対に首を縦に振らなかったからだ。 「このまま3党税調による協議に委ねていたならば、補正予算は絶対に成立しなかっただろう」 「そこで自民党の森山裕幹事長がギリギリのタイミングで動いたのです」 「森山幹事長だって、自民党税調の『コアインナー』に名前を連ねる税調中枢幹部」 「それだけに森山幹事長は、税調の考えは手に取るように分かる」 「宮沢会長に任せていたのでは、国民民主党は絶対に納得しない、と」 「だから宮沢会長の意向を無視したのです」 (前述同) いずれにしても、今回の3党合意に一番焦ったのは、他ならぬ財務省だろう。 「財務省は宮沢会長を使って、引き上げ幅をなるべく小さくしようと画策してくるでしょう」 「国民民主党の要求である178万円に対して123万円を提示したのは、間違いなく財務省の意向です」 (自民党税調メンバー) 与党が過半数割れして少数与党に転落してしまったことで、そうした裏の動き全て可視化されてしまった。 「123万円では到底国民民主党は納得しないでしょう」 「最終的には、これも政治決着が図られるのではないか」 (前述同) (ジャーナリスト・須田慎一郎) 7年度予算への賛成「とても無理」 国民民主・榛葉幹事長、103万協議打ち切り巡り 2024/12/17 18:39 https://www.sankei.com/article/20241217-XZAONAD53JM6JKDHMMCTL7VN5Q/ 国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年12月17日、所得税が生じる 「年収103万円の壁」 の引き上げを巡る自民、公明両党との協議打ち切りを巡り、年明けの通常国会で審議する令和7年度予算への賛成は 「とても無理だ」 と述べた。 国会内で記者団の取材に答えた。 協議は、担当者の古川元久税調会長が自民の宮沢洋一税調会長から引き上げに向けた具体的な提案がなかったとして打ち切った。 榛葉氏は宮沢氏について 「あれだけ温厚な古川さんが怒るというのは(宮沢氏は)火に油を注ぐ天才だ」 と評した上で 「国民が一番怒っている」 と牽制した。 国民民主・玉木氏「123万円では話にならない」 自公国の「103万円」協議打ち切り 2024/12/17 14:02 https://www.sankei.com/article/20241217-NV7NUDI56ZPMNJVJMO7EDRDFBQ/ 国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)は2024年12月17日、所得税が生じる 「年収103万円の壁」 の引き上げを巡る同日の自民、公明両党との協議を国民民主側が打ち切ったことについて、 「3党の幹事長間で『178万円を目指す』と合意したのに、(自民側が提示した)123万円では話になりません」 とX(旧ツイッター)に投稿した。 自民の宮沢洋一税調会長から 「(ゴルフに例えると)グリーンはどこですか」 と古川元久税調会長に質問があったことも明かし、 「178万円に決まっています」 と強調した。 「これ以上協議できない」自公国税調、国民民主が10分で退出 自公側は協議継続姿勢 2024/12/17 13:20 https://www.sankei.com/article/20241217-ZJK5Q2UDABLVFDVLGQOGW3PI3Y/ 自民・公明・国民民主の3党は2024年12月17日午前、税制調査会長らによる協議を行った。 年収103万円を超えると所得税が課される 「103万円の壁」 の引き上げについて話し合われる予定だったが、自公側から国民民主の求める178万円まで引き上げるための具体策が示されなかったことから、国民民主の古川元久税調会長は10分程度で退出した。 自公側は引き続き協議を続ける姿勢を示したが、税制改正大綱や予算案編成の2024年年内の終了に黄信号がともった。 3党の税調による協議はこの日が6回目。 2024年12月13日に行われた前回の協議では、自公側が所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保証額を10万円ずつ引き上げ、令和7年分から非課税枠を123万円にするという案を提案したが、国民民主は応じなかった。 終了後、記者団の取材に応じた自民税調の宮沢洋一会長によると、この日の協議では冒頭、自公側が古川氏に 「交渉余地のある領域がどの辺にあるのか」 と尋ねた。 これに対し古川氏は 「新たな提案がないのであれば、これ以上協議はできない」 と応じ、そのまま退出したという。 宮沢氏は 「何とか協議を続けたい」 と話し、今後国民民主に呼び掛けるとした。 令和7年度税制改正大綱の最終決定を今週中に行う方針も示したが、国民民主が再び協議に応じるかは不透明だ。 自公国協議、合意できず「打ち切りだ。話にならない」 103万円の壁引き上げ 2024/12/17 12:44 https://www.sankei.com/article/20241217-X247PHJBHNOJ3MJE2T4SVPCQKY/ 自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部は2024年12月17日、所得税が生じる 「年収103万円の壁」 の引き上げ幅を巡り、国会内で協議した。 自民の宮沢洋一税調会長は終了後、記者団に対し、国民民主と合意できなかったことを明らかにした。 宮沢氏が 「何とか協議を続けたい」 と引き続き一致点を模索するよう努める意向を示したのに対し、国民民主の税調幹部は 「協議は打ち切りだ。話にならない」 と強調した。 与党は2024年12月13日の前回協議で20万円引き上げて123万円とし、2025年分所得から適用する案を提示した。 178万円を求める国民民主側は上積みが必要だとしていた。 関係者によると、2024年12月17日の協議で自公側から国民民主に新たな提案はなかったという。 2024年12月13日の3党協議で与党が示した案は、103万円の非課税枠のうち基礎控除48万円を58万円に、給与所得控除55万円を65万円に、それぞれ引き上げる内容。 食料品や光熱費といった生活に欠かせない品目の1995年以降の物価動向などを踏まえた。 国民民主は引き上げ幅が不十分だとして再考を求めていた。 3党幹事長は11日、103万円の壁に関し 「178万円を目指して、来年2025年から引き上げる」 ことで合意している。 高橋洋一「日本の解き方」 「年収の壁」撤廃に地方の不満 減収穴埋め≠燻長が嫌がる「気持ちの悪い債務」 減税による増収効果を無視した議論 2024.11/30 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241130-HD6QXGU4CZNIZDT7R7ER3KSXII/ 「年収103万円の壁」 について、国民民主党の主張通りに 「178万円」 に引き上げた場合、住民税が約4兆円の減少になるとの試算もある。 地方自治体の首長らからは 「住民サービスが低下する」 などとして恒久的な財源の穴埋めを求める声も出ている。 「住民税が減収になる」 との地方からの意見に対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は 「減収分は地方交付税で補塡される」 と反論している。 これらのやり取りに対し、財政学者、総務省、財務省からは 「各都道府県・市町村の収支が合うよう減収分が補填される仕組みがあるのはその通りであるが、減収分がそのまま地方交付税で補填されるという形にはならず、地方の首長の懸念はもっともである」 という見解が出ている。 その前提として、所得税と住民税の基礎控除が国民民主党の言うように引き上げられると、大雑把に言えば所得税と住民税が共に4兆円ずつ減収になるとしている。 地方交付税で補填されるのであれば心配はないはずだが、所得税の3分の1は地方交付税の原資になっているものの、その所得税も減少するので、地方の一般財源(地方税、地方交付税など)を実質的に確保するのが大変だというのだ。 所得税、法人税の3分の1、消費税の2割などが地方交付税の原資であるが、それらが減収になるので、補填すべき地方交付税が足りなくなるというわけだ。 これまで地方の収支が足りない分は、国と地方が 「折半」 で埋めてきた。 国は地方交付税を加算し、地方は臨時財政対策債を発行して、穴埋めを行うという流れだ。 臨時財政対策債は形式的には地方の債務であるが、その元利償還に要する費用は全額が後年度の地方交付税によって措置されることとなっている。 もっとも、具体的にいつ地方交付税で手当てされるかは分からないので、地方の首長にとっては 「気持ちの悪い債務」 である。 地方の首長としては、玉木氏の言うように、自動的に地方交付税で補填されるものではないことから、住民税の減収も痛いが、臨時財政対策債もイヤなのだ。 また、地方の首長のバックにいる総務省は、これまで 「折半」 でやってきた不足分について、改めて財務省と交渉しなければならなくなる。 こうして見ても、地方の首長、総務省、財務省はいずれも減税による形式的な減収のみを前提として議論している。 減税するのだから景気は良くなるだろうし、それによる増収もあるはずだが、あくまで予算の中でこうした増収は考慮されない。 今の段階で減税を行えば7兆円程度の増収が見込まれるが、これを無視しているので、議論が嚙み合わない。 玉木氏も増収分をある程度考慮しているので、地方交付税での補填は難しくないと言っているのだろう。 実際に増収までに時間がかかるのであれば、先日の本コラムで指摘したような外国為替資金特別会計や国債費などの財源もある。 税制改正の中で議論すべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 「年収103万円の壁」撤廃、7〜8兆円減収の試算も財源はある=@自然増収、外為特会や国債費も使えるが補正予算に盛り込まれず 2024.11/28 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241128-PRZAKWZXTJKIXHSBHFJ2JI7JZE/ 「年収103万円の壁」 の撤廃を巡っては、 「178万円」 まで引き上げた場合、7兆〜8兆円の減収になるとの試算もあり、地方自治体からも不満の声が相次いでいる。 財源問題について、本コラムでは 「名目成長4〜5%が達成できれば自然増収で賄える」 「それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない」 としているが、より詳しく解説しよう。 まず自然増収の部分であるが、今の経済状況を考えると、かなり期待できる。 政府の公表するGDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)は、今年2024年4〜6月期でマイナス0.6%である。 これは、供給の天井を低く見積もっているためで、筆者の試算では1.7%程度、10兆円程度ある。 ここで7兆〜8兆円程度の減税策を行えば、ほぼGDPギャップはゼロになるので、インフレ率は2〜3%程度、名目経済成長は5%程度が安定的に見込まれる。 これは理想的な経済状況だ。 名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す 「税収弾性値」 は 「2」 程度としても、税収増は7兆円程度になり、ほぼ減収額に見合う。 政府の試算では、経済状況の好転による税収増を見込んでいない。 その理由は 「不確かであるため」 だという。 減税は、民間企業で言えば値下げに相当する。 値下げは減収効果があるのと同時に、需要増になれば増収効果もある。 上手いタイミングで行えば、増収が減収を上回ることも多いが、政府の試算では後者を無視する。 逆に、増税では単純に税収増になると計算するので、増税はしばしば行われるが減税は滅多に行われない。 減税による効果がすぐに出ない場合に備えて、筆者は外為特会や国債費での対応を挙げている。 外為特会は、元々は昨今の円安による含み益が数十兆円もあるのが基本事実だ。 中期債のドル債を資産としており、含み益は、ドル債の償還・ロールオーバー(乗り換え)などの際に出てくるので、含み益を無理に実現させなくても、毎年2兆円程度は絞り出せる。 国債費については、2024年度予算で国債費のうち債務償還費が16.9兆円あるが、これがなくても債務償還には困らない。 借換債の発行で凌げるからだ。 かつて債務償還費なしで予算を組んだことも数多くある。 また、国債費のうち利払費は9.6兆円あるが、国債費を計算する際に仮置きする 「予算積算金利」 を1%程度高めに見積もっており、1兆円程度は不要になる。 これも財源になる。 これらの財源は、補正予算を組めば、財源化できる。 今回、景気対策が行われ、その裏付けとなる補正予算案が2024年11月28日召集の臨時国会で出される。 国民に関心の高い基礎控除等を現行の103万円から178万円に引き上げる減税案は盛り込まれず、来年2025年度税制改正の中で協議されることとなった。 今回の景気対策に盛り込まれていれば、補正予算と税法改正が今度の臨時国会で手当てされていたはずだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 財務省暴走&置の石破政権 安倍政権下で開店休業状態も…やりたい放題の政府や自民税調 国民負担率は「五公五民」と比較も 2024.11/27 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241127-K23RSCAO3NLH7NRDUDYWEBQ3QI/ 衆院選で 「年収103万円の壁」 撤廃を掲げた国民民主党が躍進し、名古屋市長選では 「市民税減税」 を公約した日本保守党推薦の広沢一郎氏(60)が当選した。 国民所得に占める税金や社会保険料の割合を示す 「国民負担率」 は2022年度で48・1%に達し、江戸時代の年貢の割合 「五公五民」 と比較されるほど高く、有権者は投票という形で一揆≠起こしているとの見方もある。 だが、中長期的な税の方向性を提言する政府税制調査会や、毎年の税制改正を議論する自民党税制調査会は、減税に消極的な財務省の影響力が強い。 元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、安倍晋三政権で抑え込まれていた政府や党の税調が岸田文雄政権で息を吹き返し、石破茂政権では自由自在に振る舞っていると指摘する。 ◇ 首相の諮問機関である政府税制調査会は、各省の審議会と同様に財務省の別働隊、隠れ蓑だと筆者は考える。 事務局を事実上、財務省が仕切り、委員の人選その他も財務省の意向通りで、報告書も実質的に財務省が書いているといっていい。 つまり、政府税調の答申に書かれる内容は、財務省がやりたいことだ。 国会に提出される毎年税法には自民党税制調査会での議論の内容が反映される。 役割分担は、政府税調は中長期、自民党税調は各年・短期だ。 もっとも、自民党税調も実質的には財務省が関与するので、両方とも財務省の手のひらの上≠ニ言えなくもないが、自民党税調の方が、経済団体らの陳情を受けることもあり、政府税調よりも民意にやや近い。 毎年の税制改正は自民党税調が仕切るので、この意味では、自民党税調の方が上だ。 第2次安倍晋三政権や菅義偉政権では、政府税調は開店休業状態だったが、岸田文雄政権で息を吹き返した。 今年2024年1月には、政府税調の会長に日本総合研究所理事長の翁百合氏を女性で初めて就任させた。 翁氏は、経歴を見れば明らかだが、 「財政の健全性」 を主張しており、財務省にとっては好都合な人物だ。 正直に言えば、翁氏を財務省にリクルートしたのは官僚当時の筆者だ。 日銀に入って間もなく、役職にも就いていなかった翁氏に接触し、軽めの勉強会の委員に就任するよう要請した。 その後、翁氏は日銀から日本総研に移り、順調に出世した。 財務省はこうした審議会委員の 「青田買い」 をよく行っていた。 その時の基準は、 「女性」 「自己主張しない」 だった。 その後の経歴を見ると、財務省が大事に育てたのが分かる。 岸田政権で復権した政府税調の答申が実際に税法に反映される確率は、安倍・菅政権に比べると格段に高くなっている。 自民党税調は宮沢洋一氏が会長で、森山裕幹事長、後藤茂之元経済再生相、石田真敏元総務相、福田達夫幹事長代行が幹部を務める。 一方、顧問だった甘利明元幹事長が2024年10月の衆院選で落選し、小委員長だった林芳正氏が官房長官に、小委員長代理だった加藤勝信氏が財務相に就任、塩谷立氏は引退したためそれぞれ幹部から外れた。 この4人に代わり小渕優子党組織運動本部長、斎藤健前経産相、上野賢一郎元財務副大臣、小林鷹之元経済安保相が幹部入りした。 自民党税調の幹部は 「インナー」 と呼ばれる上記9人だが、このうち、財務省の官僚出身が3人、総務省の官僚出身が1人、経産省の官僚出身が1人、その他4人という構成だ。 ここでも、財務省の影響力は否定できない。 財務省は増税を仕掛けてくるので、安倍政権ではその影響力を削ぐために、政府税調を開店休業状態とし、自民党税調に対しては衆院選を使って牽制していた。 岸田政権ではその縛りがなくなったので、石破茂政権でも財務省は自由自在だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 「103万円の壁」動かす財源は存在する 過去最高の税収とムダな基金を還元せよ 2024/11/30 12:00 https://www.sankei.com/article/20241130-KBSNX5VYVFLP3FXYFE3GSCCZKI/ 政府の経済対策に、国民民主党が衆院選で訴えていた 「年収103万円の壁」 の引き上げが盛り込まれた。 パート労働者の働き控えなどをなくし、消費や経済の活性化に繋げる狙いがある。 これに対して、 「税収が7兆円以上減る」 とする反発が政府内で根強い。 だが、国や地方の税収全体は増え続けている上、毎年度のように予算の使い残しがあり、基金のムダな運用も指摘される。 政府は労を惜しまずムダ遣いを炙り出し、壁の十分な引き上げの財源に回して国民へ還元すべきだ。 ■所得税を払い始める分岐点 「ついに『壁』が動きました」 「皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました」 「でもまだ数センチ」 「勝負はこれから」 国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月20日のX(旧ツイッター)にこう書き込んだ。 この日、自民党、公明党、国民民主の3党は壁の引き上げを経済対策に盛り込むことで合意。 2025年度税制改正で対応する。 引き上げの狙いは 「『減税』『社会保険料の軽減』『生活費の引き下げ』で、皆の手取りを増やす」(国民民主の衆院選公約) ことだ。 同党は103万円から178万円への引き上げを求めているが、実際の額はこれから調整する。 年収103万円は、企業などで働く人が、所得税を払わなくていいか払わなければならないかの 「分岐点」 だ。 所得税には、収入や所得から一定の額を引いて税負担を軽くする 「控除」 の制度がある。 給料を貰っている人は 「給与所得控除」 を最低55万円から受けられる。 加えて、年間の所得が2400万円以下なら、原則全ての納税者が対象の 「基礎控除」 を一律48万円受けられる。 つまり、年収が 「55万円+48万円=103万円」 を超えると所得税を払わなければならなくなる。 103万円を超えて税負担が増え、手取り収入が減らないよう、年末に働くのをやめるパート主婦なども少なくない。 これが、いわゆる 「103万円の壁」 の問題だ。 企業からも 「人手不足の中、12月の一番忙しい時パートが来ないと厳しい」(和食チェーン経営者) などとし、引き上げを期待する声が上がっている。 ■法人税伸び、消費税も堅調 ただ、政府内では178万円への引き上げに反対が出ている。 試算では、引き上げによって国と地方の税収が合計7兆〜8兆円減るからだ。 自治体の反発も強く、全国知事会で地方税財政を担当する河野俊嗣宮崎県知事は2024年11月6日、自民党の森山裕幹事長へ税収減に対する懸念を伝え、記者団にも 「物価高や賃上げへの対応が必要な中で、大きな減収だ」 と訴えた。 ただ、 「この程度の税収減なら、賄えるだけの財政の体力は国にある」 との指摘は多い。 まず、近年、新型コロナウイルス禍などがあったにもかかわらず、国の税収全体が増え続けているからだ。 2023年度の国の一般会計の税収は72兆761億円と4年連続で過去最高に。 企業の業績が良く法人税収が伸びたことに加え、消費税収が堅調だったことも後押しした。 4年前の2019年度(約58兆4千億円)からは、13兆円以上も膨らんでいる。 経済ジャーナリストの荻原博子さんは 「景気に左右されない消費税の存在が大きい」 「今後、景気が悪くなることがあっても税収を支えるだろう」 と語る。 地方の税収も伸びており、2023年度の都道府県と市町村の税収は、国からの譲与分も含め合計45兆7千億円で、やはり過去最高を更新する見通しとなっている。 また、国は税収増と並行し、支出に当たる一般会計予算の規模を毎年度広げてきた。 しかし、使われなかった予算もあり、2023年度の場合、盛り込まれたが 「不用」 になった額は6兆8910億円に達した。 「税収はバブルのような状況」 「しかしそれを無駄な支出に回すのでなく、年収の壁の引き上げなどに使って私たち国民の暮らしへ回すべきだ」。 荻原さんはこう強調する。 一方、荻原さんが指摘するのは、政府が作り続けている基金の存在だ。 ■「利権の温床」改革が必須 基金は、独立行政法人などが国からの補助金を原資として、特定の使い道のため、他の財産と区別して持っているお金。 「一旦作られると省庁や独立行政法人などの裁量で動かせ、ムダな運用がある」 「実態が不透明」 「族議員などの利権の温床になる」 と批判されてきた。 2019年度に2兆円台だった国の基金の残高は2022年度末に16兆6千億円まで膨張。 さすがに政府は改革に乗り出し、今年2024年4月、152基金の200事業を点検して、使う見込みがない5466億円を国庫に返納することを決めた。 原則、設置10年以内に基金を終了するとのルールも設けた。 しかし荻原さんは 「これからも無駄な基金がないかを検証して、あれば廃止すると同時に、必要でない基金を作ることをやめ、税金のムダ遣いを防ぐべきだ」 と語る。 浮いたお金は、年収の壁引き上げの財源に使うことができる。 ちなみに都道府県や市町村などの自治体もそれぞれ基金を持っており、2022年度末に合計27兆6千億円と年々増加している。 7兆円以上の税金がふところに入ってこなくなれば行政サービスの悪化に繋がる可能性もあるので、政府や自治体の反発も理解できなくはない。 しかし、政府の最大の使命は国民の暮らしを豊かにすることだ。 無駄に使っていたお金を、暮らしを豊かにする政策の財源に回すため、最大限に知恵を絞らなければならない。 <主張>103万円の壁 効果見極め制度の設計を 社説 2024/11/22 5:00 https://www.sankei.com/article/20241122-EHGADLG5HVKOTDLRJZI4T3YZUE/ 自民、公明両党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が課される 「103万円の壁」 の引き上げなどを経済対策に盛り込むことで合意した。 政府は2024年11月22日に経済対策を閣議決定する。 少数与党に転じた自公が、経済対策を裏付ける令和6年度補正予算案を成立させるため、手取り増を公約した国民民主の求めに応じた。 具体的な制度設計は2024年年末の税制改正に向け3党で協議する。 103万円の壁は約30年間据え置かれてきた。 物価や賃金の上昇を踏まえれば、これを引き上げること自体は理に適う。 人手不足が深刻化する中、壁を意識した働き控えをなくすためにも見直すことは妥当だろう。 ただ具体化する際には、巨額の減収を伴う措置でどれほどの政策効果が得られるのかなどを十分に吟味してもらいたい。 今後の焦点は壁の引き上げ幅だ。 国民民主は103万円を178万円まで引き上げるべきだと主張するが、その場合、国と地方の税収が7兆〜8兆円も減るという政府の試算がある。 このため全国知事会などは地方の財政運営への影響などを踏まえた議論を求めている。 国民民主が178万円に引き上げる根拠とするのは最低賃金の伸びだが、物価上昇率に基づけばそこまで引き上げる必要はないはずだ。 国民民主があくまでも178万円に拘るのなら、財源論を含む具体策を明確にする責務があろう。 手取り増による消費刺激効果も問われる。 103万円の壁が引き上げられれば、親の扶養の下で働く大学生らが恩恵を受けるが、アルバイト学生の手取り増による個人消費の伸びは103万円を178万円にした時で約3190億円になるという民間試算がある。 こうした数値を踏まえた上で制度の詳細を詰めなくてはならない。 「年収の壁」 問題には、税だけでなく、社会保険料負担が生じる 「106万円の壁」 などもある。 これらは働き方や扶養の在り方に関わる問題だ。 その根本から議論を深めてほしい。 自公と国民民主は、ガソリン減税を検討することでも合意した。 国民民主との協力が必要だとしても、国民民主が求める要望を3党の税調による協議のみに委ねる必要はない。 まずは石破茂首相が政策の方向性を明確に示すべきである。 「103万円の壁」 に対するネガティブキャンペーンとして 「高所得者に恩恵」 との批判があり、 「金額ベース」 では、年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。 加藤勝信財務相は 「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」 と述べた。 しかし、 「手取りの増加率」 で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。 上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は 「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」 「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」 「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」 との見方を示す。 林官房長官、「103万円の壁」で減収を考慮 年内にも規正法改正に向け議論を推進へ 2024/11/17 14:47 https://www.sankei.com/article/20241117-HAHJAOIZW5IWLIEVDXFIDB77TI/ 林芳正官房長官は2024年11月17日のNHK番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 見直しについて 「国と地方の減収が見込まれ、高所得者ほど減税の恩恵が大きい」 「この辺りを総合的に考慮して決めていく」 と述べた上で、与党と国民民主党の協議に協力するとした。 政治資金規正法は、2024年年内にも必要な法制上の措置が取れるように議論を推進する考えを示した。 少数与党となった国会運営に関し 「各党と着地点をしっかり探りたい」 「国民に分かりやすく説明することに意を用いる」 と強調。 各党から様々な主張が出て政策の決定過程が 「見える化されている」 とも指摘した。 減税ド正論「財源論の前に国民の生存権だ」村上総務相に榛葉節≒y裂 「103万円の壁」撤廃で税収減主張に「取り過ぎた税金を国民へ返す」 2024.11/16 15:01 https://www.zakzak.co.jp/article/20241116-ZUZS6G6XKNM3JBG52I5RDTCXXY/ 国民負担の軽減策として浮上した 「年収103万円の壁」 の撤廃を巡り、地方自治体側が 「地方税が減収となる」 と訴えて相次いで反対を表明している。 これに対し国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長(57)は2024年11月15日の記者会見で、 「地方財政に悪影響を与えることは絶対させない」 「財源論の前に国民の生存権だ」 と強調した。 国民民主党は基礎控除などの非課税枠を178万円に引き上げることにより 「手取りを増やす」 と主張している。 だが、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は、住民税や地方交付税が減収になるとし 「大きく住民サービスが下がる」 と反対した。 石川県の馳浩知事も2024年11月15日、 「財源についてお示し頂くことが責任政党の姿ではないか」 と注文を付けた。 こうした批判に対して榛葉氏はこの日の会見で 「私も地方の議会出身」 「地方財政に悪影響を与えることは絶対させません」 「是非安心してほしい」 と呼び掛けた。 国民民主党はガソリン税を軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除も主張している。 榛葉氏は 「取り過ぎている税金を国民へ返す」 「地方はガソリンを入れないと生きていけない」 「これは憲法25条の生存権の問題」 だと述べ、地方にとってもメリットが大きいとした。 政府はガソリン代や電気料金について補助金の支給を行ってきたが、榛葉氏は 「補助金行政ではなく減税をすべきだ」 「後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」 「何度も言いますけど財源論の前に国民の生存権です」 と熱弁を振るった。 知事らの反対論を巡っては、同党の玉木雄一郎代表(55)がテレビ番組の中で、総務省が地方自治体側に反対の表明を要請するなど 「工作を行っている」 と言及した。 村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡し、撤廃の問題点を指摘する 「発言要領」 を作っているとも指摘した。 村上総務相は2024年11月15日の会見で、 「依頼を行った事実はない」 とし、村井知事も否定した。 榛葉氏は 「我々は今週の初めに、 『大臣から全国知事会に連絡を入れていた』 と複数の筋から確認をしている」 「私はあったんだろうと思う」 と再反論した。 2024年11月11日に玉木氏が不倫報道を巡って都内の街頭で行った謝罪について、台などに乗らず後方からは見えづらかったとして、記者から 「アリバイ作りみたいな謝罪」 と批判を受けたが、榛葉氏は 「隠れないために出てきて、皆さんと同じ地べたに足を付けて訴えた」 とフォローした。 <主張>年収の壁 首相は議論整理し説明を 社説 2024/11/16 5:00 https://www.sankei.com/article/20241116-DOPGVECZCVKUHNAOUPQ3XWSA6I/ 手取りを増やすのか増やさないのか。 議論を整理し、はっきりさせねばならない。 その上で石破茂首相が説明すべきだ。 「103万円の壁」 や 「106万円の壁」 などの見直しのことである。 自民、公明両党の与党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が発生する103万円の壁の解消を巡り協議を始めた。 国民民主は非課税枠を178万円に引き上げることを要求している。 一方、厚生労働省は社会保険料の負担が生じる106万円の壁を撤廃する方向で調整している。 パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、106万円以上としている賃金要件を撤廃する内容だ。 いずれの壁も働く時間を抑制する要因とされる点では同じであり、人手不足解消や働き方改革を進める上で制度の見直しは必要だろう。 ただし103万円の壁見直しは手取り増のための減税だ。 逆に106万円の壁撤廃は老後の年金給付を手厚くするため、まず保険料を払ってもらう措置である。 長い目で見れば給付増となる。 だが、当面の手取りは減る方向に働く。 これらの制度は全く別の話だが、議論のタイミングが重なり、悩ましいことになっている。 政府や国会は問題を整理する必要がある。 国民の財布は1つだ。 制度の見直しで手取りが増えるのか増えないのか、石破首相は国民に丁寧かつ分かりやすく説明せねばならない。 実質賃金の低迷が消費や経済成長の隘路となっており、国民民主が手取り増を目指すのは頷ける。 ただ、103万円を178万円まで一気に引き上げることが妥当なのか。 政府試算では、国と地方の税収が年7兆〜8兆円減るとされる。 「178万円」 は最低賃金の伸びを根拠にした数字だが、物価上昇率に基づけば、それほど大きな引き上げ幅とはならないと自民側は指摘している。 看過できないのは、国民民主が減収財源について 「基本的には与党の責任」 としていることだ。 主張を反映させたいなら財源確保策についても説得力ある提案をする責務がある。 低所得者よりも中高所得者の方が減税額も大きい。 その点も踏まえて、政策の費用対効果を見極めるべきだ。 石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影 2024.11/10 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/ 石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。 自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが 「年収103万円の壁」 の撤廃だ。 幅広い層に 「減税の恩恵」 があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように 「7兆6000億円の税収減となる」 といった財源論≠ェ指摘され始めた。 財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと 「増税・負担増」 を画策することが懸念される。 現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件 「106万円の壁」 を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。 衆院選で大惨敗しながら 「政権居座り」 を決め込む石破首相の 「増税・負担増」 路線に要警戒だ。 ◇ 自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、 「年収の壁」 の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。 現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。 このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。 1995年から最低賃金が1.73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。 玉木氏は 「有権者との約束だ」 「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」 と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。 産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について 「引き上げるべきだ」 とする回答が77・2%に上った。 物価高対策で最優先で取り組むべきことでも 「減税」 が32・7%と最も多かった。 一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。 その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという 「政府試算」 だ。 上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は 「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」 「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」 「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」 と語る。 ■「手取り増」と逆行 もう1つのネガキャンが、 「高所得者に恩恵」 というものだ。 年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。 加藤勝信財務相は 「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」 と述べた。 しかし、 「手取りの増加率」 で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。 田中氏は 「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」 「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」 「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」 との見方を示す。 国民民主党はガソリン税の 「トリガー条項」 の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。 加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、 「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」 と言及した。 財務省側がクギを刺した形にも見える。 田中氏は 「財務省は1度得た財源を失いたくない」 「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持っていき、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうとする思惑もあるのかもしれない」 と推測する。 こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。 年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。 「手取りを増やす」 政策とは逆行する動きだ。 また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。 石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。 来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は 「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」 「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」 と警鐘を鳴らした。 「103万円の壁」引き上げで消費喚起も…「供給力強化が必要」と専門家 7〜9月GDP 2024/11/15 18:45 https://www.sankei.com/article/20241115-2E7YJECHCJLDFG3CA547UWVIII/ 内閣府が2024年11月15日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)で、個人消費の伸びが加速した。 ただ、定額減税の実施など一時的な要因が大きく、今後は再び低調になる恐れがある。 個人消費が力強さを取り戻すには、賃上げの定着が最も重要だが、それまでの間は家計支援策で凌ぐ必要がある。 与党と国民民主党による 「年収103万円の壁」 の見直しに向けた協議の行方も注目される。 2024年7〜9月は所得環境改善の動きが目立った。 賃上げの広がりやボーナス支給に加え、2024年6月から始まった1人当たり4万円の定額減税、2024年8月に再開した電気・ガス料金の抑制など政策による押し上げが効いた。 それでも物価変動を考慮した実質賃金は2024年8〜9月とマイナスで、家計はまだ厳しい状況が続く。 2024年10月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は2カ月連続で悪化。 「コメや様々な食品が値上がりする中、客が購入数や来店回数を減らし生活防衛している」(九州のスーパー) などの声が上がる。 定額減税の効果も既に消えつつある。 円相場が2024年11月15日に一時、1ドル=156円台後半に下落するなど、円安の進行も物価の先高観に拍車をかける。 「我が国経済は成長型経済に移行する重大な局面にある」。 赤沢亮正経済再生担当相は2024年11月15日の閣議後記者会見で強調した。 近く策定する総合経済対策で、政府は 「物価高の克服」 を柱の1つに据える。 住民税非課税世帯向けの給付や電気・ガス料金の補助の延長を盛り込む方向だ。 だが今、世間がそれ以上に関心を寄せるのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の引き上げだ。 国民民主の主張通り、非課税枠を恒久的に178万円に引き上げた場合、政府は国・地方の税収が毎年約7兆〜8兆円減ると試算する。 ただ、空前の人手不足に直面する日本がこれだけの規模の減税を行って消費を喚起しても、輸入が増えるだけでGDPに反映されない可能性がある。 みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは 「減税の恩恵を満額で受け取るには、供給能力の強化との両輪で取り組む必要がある」 と話している。 高橋洋一「日本の解き方」 財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務 2024.11/14 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/ 自民党と国民民主党は所得税が発生する 「年収103万円の壁」 を引き上げる政策協議を始めた。 マスコミでは 「年収の壁」 と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。 103万円だけでなく、 「106万円」 など社会保険料を含めれば色々な 「壁」 があり、ある意味で財務省の思う壺になる。 問題の本質は、所得税における 「基礎控除48万円」 と 「給与所得控除55万円」 で合計103万円という額の大きさである。 筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。 正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。 直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。 英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。 ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。 フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。 欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、 「ステルス増税」 だったということだ。 日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。 ステルス増税を29年も放置していいはずがない。 「ステルス増税をやめろ」 というスタンスでいい。 減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。 それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。 減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。 案の定、 「106万円の壁」 が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。 問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。 筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で 「大連立」 の匂いがある。 正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。 国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。 立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。 この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。 高橋洋一「日本の解き方」 なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく 2024.11/7 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/ 国民民主党が掲げている 「年収103万円の壁」 撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、 「7.6兆円の減税になる」 「高所得者の減税額が大きい」 などと報じられた。 筆者は先日の本コラムでは 「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」 「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」 と書いた。 少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。 2023年度の税収は72兆761億円だった。 名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す 「税収弾性値」 は一般的には 「2〜3」 なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。 また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。 このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる 「ビハインド・ザ・カーブ」 の運営を行う。 その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。 それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。 その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。 減税も 「租税歳出」 と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。 実はここに理由がある。 財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。 これを財政用語では 「歳出権の拡大」 という。 これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。 歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。 一例を挙げれば、経団連が 「コンテンツ省」 設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。 これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。 しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。 新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。 これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。 筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。 財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。 国民民主党はガソリン税の減税も主張している。 補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき 2024.11/2 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/ 石破茂首相は国民民主党との 「部分連合」 を視野に入れている。 国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。 国民民主党の政策のうち、他党にない 「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」 について取り上げたい。 まず、178万円という 「中途半端」 な数字に驚く。 これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。 103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。 そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。 ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。 控除の拡大は減税と同じだ。 控除額が増えれば、少なくとも所得税として 「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」 の額が手元に残るようになって、手取りが増える。 この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う 「ステルス増税」 をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。 例えば、給与所得控除について 「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」 と躍起になっている。 一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。 この 「減税」(控除の拡大) でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。 仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。 もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。 また、この政策との関連で、最低賃金について、 「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」 としている。 自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。 1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。 気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。 立民の 「0%超の物価目標」 は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。 かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく 「賃金上昇率目標」 を主張した。 元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した 「フィリップス曲線」 であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。 大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。 それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。 今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防 2024/11/15 16:06 https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/ 村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、 「そういうことはしていないと思う」 と否定した。 年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。 国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、 「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」 と述べた上で、 「『こういう発言をしてくれ』 『こういう減収があるからやめてくれ』 と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」 「如何なものか」 と語っていた。 村上氏は2024年11月15日の会見で 「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」 と否定し、 「発言要領について見たこともない」 「依頼したことも全然ない」 「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」 と強調した。 「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」 「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」 とも語った。 「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か 2024/11/14 20:27 https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/ 2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する 「103万円の壁」 の解消のための財源の確保だ。 国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。 税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。 ■財源は「与党の責任」 「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」 国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。 政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。 全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。 非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては 「基本的には与党の責任」(古川氏) との立場だ。 ■赤字国債で税収減カバーか 国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。 小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で 「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」 「セットで提示して頂くことが大事だ」 と述べた。 もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。 国民民主幹部は 「うちが賛成しなければ何も通らない」 と強気だ。 国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。 2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、 「それは今後の議論次第だろう」 と含みを持たせた。 石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。 「国民民主も譲らないだろう」 「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」 村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」 2024/11/13 16:45 https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/ 全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する 「年収の壁」 見直しを巡り 「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」 「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」 と苦言を呈した。 総務省は、 「年収の壁」 見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。 村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし 「たちどころに財政破綻するだろう」 と述べた。 自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。 減収分を国債で充てれば 「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」 「賛成とは到底言えない」 と批判した。 年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求 2024/11/3 12:52 https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/ 国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。 「有権者との約束だ」 「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」 と述べた。 立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。 「案件ごとに協力する」 「対象は自民、公明両党に限定されない」 と語った。 玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは 「国民が求めている」 として、協力を要請する意向を記者団に表明。 立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。 国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」 2024.11/1 15:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/ 自民党と国民民主党が 「部分連合」 に向けた動きを加速させている。 少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。 国民民主党は衆院選で公約に掲げた 「年収103万円の壁」 撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。 過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。 自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。 公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。 国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。 だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、 「税収が計約7兆6000億円減る」 「高所得者ほど恩恵が大きい」 などネガティブな論調が広がった。 玉木代表 「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」 玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で «財務省がマスコミを含めて 「ご説明」 に回っている効果はさすがです» と皮肉った。 «引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない» と強調する。 与野党の合意が実現しなかった前例もある。 日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。 馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で 「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」 「聞いてる振りはするが」 と話した。 国民民主党も、ガソリン税を軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。 石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。 「部分連合」 という名の微妙な関係が続きそうだ。
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