http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/321.html
Tweet |
※2024年12月16日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年12月16日 日刊ゲンダイ2面
韓国の国会大混乱はまだ序章(大統領府提供・聯合=共同)
尹大統領の弾劾が可決されたが、そのあと、何が起こるのかを多角的に分析。大統領の徹底抗戦で長びく政治空白。日米韓の蜜月は終わり、その間隙を突く北朝鮮の動きや、それによる経済への影響、必ず出てくる核武装論など、外交オンチの首相に突き付けられる難題の数々。
◇ ◇ ◇
世界を仰天させた「非常戒厳」騒動から約10日。韓国・尹錫悦大統領に対する弾劾議案が14日、韓国国会で可決された。
戦争でもないのに、軍隊を動員し、政敵を封じ込め、言論の自由も奪おうとしたのだから、弾劾可決は当然だが、これによって、頭を抱え込んでいるのが石破首相だろう。
折も折、米国では安倍昭恵氏がトランプ大統領の私邸に招かれ、対談した。石破の面会要求はあっさり、蹴ったくせに、当てつけのように安倍夫人には会うトランプ。石破にしてみれば、「ふざけんな」だろうが、そこに降りかかってきたのが韓国の大混乱なのである。
ただでさえ、海外に人脈がなく、外交オンチの石破にしてみれば、蜜月の日韓関係が唯一のよりどころだった。来年には尹を国賓で招く計画もあった。それらがすべて崩れたどころか、逆回転だ。国民も「最悪シナリオ」を覚悟しておいたほうがよさそうだ。
第2第3の弾劾もある波乱の展開
まず、韓国の政治空白は、想像以上に長引く可能性がある。国会での弾劾可決を受けて、尹は職務停止に追い込まれた。今後は憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断。この間、軍の統帥権など強大な権限を有する大統領職は韓悳洙首相が代行する。憲法裁判所が罷免を妥当とすれば、尹は失職し、60日以内に大統領選挙となる。ふつうに考えても半年近く、混乱が続くことになるのだが、さらに尹は「私は決してあきらめない」と徹底抗戦の構えを見せている。憲法裁判所の審判と並行して、内乱罪の刑事捜査も進んでいる。憲法裁判所法51条によれば、刑事裁判が進められているときは憲法裁判を停止できるという。そうなれば、さらに長期化だ。コリア・レポート編集長の辺真一氏の見立てはこうだ。
「同じように弾劾が可決された盧武鉉大統領の場合は、憲法裁判の結論まで2カ月、朴槿恵大統領のケースでは3カ月でした。今回も2月には判断が出て、4月には大統領選挙とみていますが、未曽有の混乱が続きます。まず、この間、大統領職を代行する韓首相は国民から選ばれたのではなく、尹大統領が指名した首相です。本来は一緒に辞任すべきなんですよ。そのうえ、戒厳騒動で韓氏も警察から出頭要請を受けている。展開次第でいつ、弾劾されるかわからない。その場合、崔相穆副首相が大統領代行になりますが、崔氏も警察から呼ばれている。政治空白がかなり続くとみています」
ようやく、尹の弾劾は可決されたが、これで終わりではない、ということだ。第2、第3の弾劾がある。そのうえ、次期大統領が有力視されている李在明共に民主党代表も刑事裁判を抱えている。最高裁判決が来年5月に出る。いやはや、韓国は激しい国だが、それだけにこの間、野党はイケイケで与党に攻め込み、切り込んでいくとみられている。尹も必死だが、野党も必死。韓国の政治的大混乱はむしろ、これからが本番。戒厳令騒ぎは序章みたいなものなのだ。
日本は東アジアで蚊帳の外に置かれる可能性
この人がなったら日韓関係は大波乱(最大野党「共に民主党」の李在明代表)/(C)共同通信社
改めて言うまでもないが、尹大統領になってから、日韓関係は劇的に改善した。岸田前首相は12回も尹と会談し、慰安婦、徴用工、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)、佐渡の島金山のユネスコ世界文化遺産登録など、日韓で横たわっていた数々の問題をクリアした。
日米韓の軍事同盟は強化され、日中韓の対話も4年半ぶりに再開される段取りとなった。来年4月には日本を議長国とし、3カ国の外相会談が行われる予定だったが、すべてがパーだ。
韓国の尹が弾劾され、米国ではバイデンが去る。かくて、トランプとソリが合わない石破がひとり、ポツネンと残された格好なのである。
いたずらに危機をあおり、軍事費青天井の軍事同盟が見直されるのはいいことだが、今後、朝鮮半島が一気にキナ臭くなり、視界不良になるのは確実だ。
明大講師で週刊現代特別編集委員の近藤大介氏はこう言った。
「焦点はポスト尹の次期大統領です。共に民主党の李代表になると、大変です。反日モンスターとも言うべき人物で、日韓関係は文在寅時代よりさらに悪化することになる。彼は国会議員になる前の知事時代、親日残滓清算プロジェクトなるものを立ち上げ、親日的なものをすべて排除しようとしたほどです。尹大統領に対する最初の弾劾理由には“日本中心の奇怪な外交政策”という文言も入っていました。とにかく、南北分断は日本の植民地統治のせいであるというのが彼の主張で、敵は北朝鮮ではなく、日本だと思っている節がある。一方、トランプ大統領とはウマが合いそうで、予測不能のところもある。トランプ大統領の持論である在韓米軍撤退・縮小論にも賛成しかねないと思います」
前出の辺真一氏も「日、米、韓のトライアングルから南、北朝鮮、米国のトライアングルになるのではないか」と予想している。日本は東アジアで「蚊帳の外」に置かれることになる。
懸念されるのは東アジアでの「核ドミノ」
その延長線上に「韓国核武装論」が出てくる可能性もあるというから、ビックリだ。
「在韓米軍を縮小させる代わりに韓国にも核を持たせてくれ、という理屈です。トランプ大統領なら、好きにしろと言いかねません」(近藤大介氏=前出)
慶大名誉教授の小此木政夫氏(朝鮮半島政治)も15日付の朝日新聞で、こんなことを書いていた。
<(北朝鮮は)来年1月に就任するトランプ大統領とのディール(取引)を試みるだろう。今度は非核交渉ではない。核兵器や長距離ミサイルを含む軍備管理交渉だ。李氏が大統領に就任すれば、こうした動きを歓迎しかねない。そうなれば韓国保守派は独自の核武装論を主張するだろう。東アジアで「核ドミノ」の動きだ>
恐ろしい話で、そんな展開になれば、日本の安全保障環境は激変する。周りを核保有国に囲まれてしまう恐れがある。今こそ、戦略的でしたたかな外交が求められるのだが、それを石破に期待できるのか。
「政治とカネ」一つとっても、スッタモンダを繰り返し、右往左往の政権だ。朝鮮半島と米国のはざまで翻弄されてしまうのは見えている。
韓国の弾劾騒動は決して、対岸の火事ではないのである。
■インバウンド需要1000万人が消滅へ
韓国の政治的大混乱は日本の経済にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
すでに1ドル=1440ウオンまでウォンが売られ、韓国の市場では株価が年初来安値を付けている。日本の経済はどうなるのか。
「昔は朝鮮半島有事で日本経済は潤いましたが、今回は違うと思います。韓国経済が立ち行かなくなれば、中国もダメ、韓国もダメとなり、東アジアでの商売が細っていく。ここでトランプ大統領が在韓米軍を引き揚げれば、朝鮮半島は空白地帯になり、ますます、投資が細ることになる。それでなくても、年末から来年にかけて世界中が大混乱に陥っている。ウクライナ、中東の軍事的緊張だけでなく、欧米、中東、東アジアで政変、政権交代が相次いでいる。市場にとっては不安定要素ばかりです。そんな状況下で日銀は異次元緩和の手じまいに舵を切れるのか。ここにも世界の注目が集まっています」(経済評論家・斎藤満氏)
世界規模の混乱の中、日本だけ「政争がない」として、マネーが集まる可能性もあるが、それはあくまで一時的だ。参院選を前に石破政権だって、「いつまでもつか」とささやかれている。ちなみに、韓国で反日大統領が誕生すれば、目下1000万人もいる韓国からの訪日客も激減だろう。中国、韓国からのインバウンド需要が消えれば、ちょっと息を吹き返した観光産業は大打撃だ。
こうした難題、難局を石破政権はどう乗り切るつもりなのか。「特大かつ重大な関心を持って注視する」(石破首相)だけでは激流に沈没するだけである。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。