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※2024年12月6日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年12月6日 日刊ゲンダイ2面
緊張感まるきしナシ(C)日刊ゲンダイ
与党過半数割れの国会が始まったが、何を聞いても通り一遍の石破首相の答弁に野党も攻めきれないもどかしさ。折しも野党議員と民衆が身を賭して民主主義を守った韓国との緊張感の違いに愕然。
◇ ◇ ◇
答弁する姿を見た国民の誰もが「なんとつまらない政治家なのか」と嘆いたに違いない。
石破首相と全閣僚が出席し、5日に行われた衆院予算委。石破政権発足後、初となる予算委となったことから、石破の答弁に注目が集まっていたのだが、何を聞いても通り一遍の説明を繰り返すばかり。
てんで中身のないものだった。
「これをやらなければ何のために政治家になったのだという思いだ。自民総裁、政府としてできる限りのことをしなければならない」
最初に質問に立った自民党議員から、派閥の裏金事件を踏まえた政治改革に挑む姿勢を問われ、こう語気を強めた石破。
惨敗した10月の衆院選で、党が裏金事件に関与したとして非公認扱いにした候補の党支部にも2000万円を支給したことの是非については「合法」としつつも、「世の中にどう見えるか、謙虚に反省しなければならない」と答えるなど、神妙な態度が見られたのだが、質問者が野党議員に代わると一変。当事者意識がまるで感じられず、他人事のような答弁の連続だった。
自民の金権体質の根底にある企業・団体献金
企業・団体献金の禁止を求めている立憲民主党の野田代表は、1994年の政党助成制度創設時に企業・団体献金を禁止する方向で各党が一致していたとして、あらためて禁止を主張。すると石破は「そういう事実はない」と言い放ち、さらに「政党運営が過度に公的な資金に依存する在り方が正しいのか」と逆ギレ。
野田はまた、裏金事件に関与した議員と旧安倍派会計責任者らの証言が食い違っているとして、関係議員の再調査を要求。旧安倍派や旧二階派の事件当時の会計責任者の参考人招致も求めたが、石破は「新事実が判明したとは認識していない」と取り付く島もなかった。
自民に脈々と受け継がれてきた金権体質の根底にあるのは間違いなく企業・団体献金だろう。カネの力によって政策が歪められ、それが政官財の癒着や不祥事を誘発。この悪しき構図が問題視されているからこそ、30年前の国会でも禁止の議論が起きたのだ。
過去の国会会議録を見ても、国民1人当たり250円を負担して政党助成金制度を創設する代わりに、企業・団体献金は廃止する──というのが定説であり、今の世論調査でも約7割が禁止に賛成しているのだ。
石破が選挙結果を「政治資金問題や改革姿勢に対する叱責だった」と受け止めているのであれば、企業・団体献金の即刻禁止は当然だろう。裏金事件だって、これでは実態解明など到底期待できるはずもない。
政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「石破首相は言葉遣いだけは丁寧なので、答えているように見えるが中身はほとんどありませんでした。中身がないから、野党側も攻めどころがなかったのでしょう。結局、言葉だけでやる気が感じられない。そんな質疑だったという印象です」
顔が代わっても中身は同じ。来夏の参院選でトドメを刺す必要
韓国は民主主義を死守(国会前に集まり、尹大統領の辞任要求する集会で抗議する議員や人々)/(C)ロイター
「国会という表舞台でしっかり議論をして、物事を決めていく。熟議と公開の政治に変えていくチャンス」
予算委前にこう意気込んでいた野田は質疑後、トーンダウン。石破が企業・団体献金の禁止に踏み込まなかったことに触れ、「無責任。選挙で示された民意からかなりかけ離れた反省のない態度だ」と批判し、その上で、「(質疑は)残念ながら食い違いがいっぱいあった」と振り返っていた。
熟議どころか、はぐらかしばかり。攻めきれないもどかしさを感じて苛立っていたようだが、無理もないだろう。これでは、第2次安倍政権以降続いた悪辣政権と対峙していた時と状況が変わっていないからだ。
12年にわたって続いた安倍、菅、岸田政権は、いずれも野党の意見に耳を傾けず、数の力をバックに押し切り、閣議決定を乱発して国会審議を形骸化させてきた。しかし、先の衆院選で自民は少数与党に転落。石破は所信表明演説で、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、より良い成案を得ること」「可能な限り幅広い合意形成を目指す」と訴え、これまでの国会軽視の政権運営を反省していたはずだ。ところが、長年の傲慢体質が染みついているのだろう。いざ国会が始まってみると、結局、言葉だけの「民主主義ごっこ」だから何をかいわんやではないか。
「やっているフリ」のなんちゃって民主主義
立憲など野党7党が衆院に共同提出した「政策活動費廃止法案」を巡っても、野党が、政党が議員などに使い道を問わずに資金を渡す、いわゆる「渡し切り」を禁止するとした「全面的な廃止」を求めているのに対し、自民案は外交上の秘密などに関わる「要配慮支出」を非公開にできるとした「抜け穴」をつくった。
石破は5日の衆院予算委で「抜け穴という、自分たちが利益を得ることは全く考えていない」などと突き放していたが、「自分たちが利益を得ること」ばかり考えていた結果が裏金事件であり、一体誰が信じるのか。もはや自民に性善説は通用しないのは国民にとっくにバレているのだ。
その裏金事件を受けて開かれる見通しの参院政治倫理審査会では、出席する意向の旧安倍派議員のほとんどが非公開を希望しているという。3月、5月と2度にわたって政倫審出席を拒否した上、ようやく出てくると思いきや、非公開で──なんて国民を愚弄するにも程がある。
要するに「やっているフリ」のなんちゃって民主主義。それが今の自民の姿であり、石破はこんないい加減な姿勢で政治の信頼を取り戻せると考えているのだろうか。
折しも隣国の韓国では尹錫悦大統領が突然、「非常戒厳」の発出を宣言。これに与党を含む国会議員や多くの市民が反発し、国会が解除決議を行い、大統領が閣議を通じて戒厳令を解除する事態が発生した。日本国内では6時間で沈静化──などと報じるメディアもあるが、コトの本質は与野党議員と民衆が身を賭して民主主義を守ったということであり、韓国と日本の国会、与野党の緊張感の違いに愕然としてしまう。政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「石破首相の答弁は安倍、菅、岸田政権と変わらず、熱意も決意も感じられませんでした。国民民主党を取り込み、補正予算なども成立のメドがついた。残りの課題は後回しして時間を稼げばいい。そういった背景から緊張感のない質疑になったのでしょう。民主主義を勝ち取り、民主主義の大切さを知っている韓国と、民主主義を口にしながら無定見な政治家が少なくない日本との違いが浮き彫りになったように感じます」
やはり顔が代わっても中身は同じ。来夏の参院選でトドメを刺す必要がある。
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