http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/240.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2024年12月2日 日刊ゲンダイ2面
泉下で石橋湛山も嘆いている…薄気味悪い石破政権「熟議」という名の茶番劇
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/364298
2024/12/02 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
我田引水の所信表明=11月29日、衆院(C)日刊ゲンダイ
所信表明でも「合意形成に謙虚に」などと言っていたが、結論ありきで国民不在の数合わせ。朝日新聞が連載で首相の窮地と“路線転換”を書いていたが、権力亡者が、ゆ党に媚びへつらうことを「熟議」と言い換える大笑い。
◇ ◇ ◇
先週、臨時国会が始まったが、草葉の陰で石橋湛山も嘆いているのではないか。そう思ったのが、石破首相の所信表明演説だ。
総選挙の大惨敗を受けて少数与党に転落した石破は、それでも総理の座にしがみついている。民意の審判を蔑ろにして、何ができるのか、いや、その前に何をやりたいのか、と思っていたら、冒頭、こんな言葉を持ってきたのだ。
「国政の大本について、常時意見を交わす慣行をつくり、力を合わせるべきことには相互に協力を惜しまず世界の進運に伍していくようにしなければならない」
石橋湛山が1957年に行った施政方針演説の一節だ。そして、石破はこう続けた。
「この言葉に示されている通り、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、より良い成案を得ることだと考えます」「合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆さまの安心、安全を守るべく、取り組んでまいります」
湛山をちゃっかり、利用して、選挙で鉄槌を食らい、野党に頼らなければどうにもならない政治状況を“正当化”したのである。これには泉下の湛山もタマげたのではないか。
湛山をつまみ食いした石破首相
確かに石破やその仲間たちは湛山好きで知られ、それはもちろん、悪くない。タカ派の軍拡路線より、はるかにマシだ。だから、この文言の引用も「首相のこだわり」と解説されているのだが、だとしたら、「つまみ食いはやめろ」と言うのは評論家の佐高信氏だ。つい最近、元経済企画庁長官の田中秀征氏と対談本「石橋湛山を語る いまよみがえる保守本流の真髄」(集英社新書)を出したことで話題となった。
「このタイミングで本を出したのは今こそ、石橋湛山の理念、哲学に学ぶべきところが多いと感じたからですが、それは“常時意見を交わす慣行”という当たり前の部分ではありません。大国主義で戦争、軍拡に金を使うのではなく、小日本主義の貿易立国を目指せ。そのために科学振興を大切にしろ、という部分や護憲の精神などさまざまです。ですから、石破さんの所信表明を聞いたときに“ここを引用するの?”と驚いた。石橋湛山の本質に学ぶのではなく、つまみ食いだと思った。まして、石破首相はアジア版NATOを提唱するなど、湛山の思想とはかけ離れたことも表明している。湛山も“つまみ食いは困るよ”と嘆いているのではないですか」
本紙はつい先日、佐高氏の対談相手、田中秀征氏にもインタビューした。田中氏は湛山の孫弟子である。田中氏は「湛山を研究するのではなく実践せよ」と言い、世襲議員が有利になる小選挙区制の見直しや行革による税金の無駄の抽出、軽軍備、経済重視、科学技術振興などを訴えた。
こちらには全然、手を付けず、与野党協議だけ「湛山の思想」も何もないのである。
少数与党で形骸国会が多少マシになっただけ
国民民主との政策協議(C)日刊ゲンダイ
それなのに、朝日新聞はこの所信表明演説に合わせるかのように始めた新連載、「政界変動 消えた『官邸1強』」において、<窮地の首相 行き着いた「熟議」>(11月29日付)などと書いていた。野党に媚びへつらうしかない政治状況を「熟議」という言葉で糊塗し、<官邸1強の安倍政権を対立軸に据えた新しい政治への路線転換>だとか書いているのだから、ビックリだ。
大メディアがこうして、持ち上げてくれるのだから、石破にしてみれば「地獄で仏」の心境ではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「路線転換も何も、安倍時代が酷すぎただけじゃないですか。官邸1強で密室でなんでも決めてしまう。そこに集う官僚も強権で決められ、逆らえばパージされてしまう。国会審議は形骸化し、解散権を弄ばれ、忖度でものも言えなかった時代です。それに比べれば、石破政権が少数与党に転落したことで、結果的にはマシになった。それだけのことで、今後、本当に熟議の国会になるかどうかは、臨時国会の審議を見なければいけません。自公の密室協議が自公国の密室協議になっただけでは何も変わらない。国民の監視が不可欠ですよ」
まったくだ。安倍時代の犯罪的な国会審議、民主主義の冒涜を黙認してきた大メディアがその反省もせず、石破の形だけ「熟議」を「新しい政治への路線転換」などと持ち上げるのは「言葉遊び」も過ぎる。
本来ならば、自公は下野、大メディアは総懺悔が当たり前だ。それほど、民主主義は壊されてしまった。「軌道修正」でゴマカせるレベルではないのである。
審議の前に結論ありきのヤラセ劇
加えて、この「熟議」だって極めて怪しい。自公国は「103万円の壁」見直しやガソリン減税の検討を含めた総合経済対策で合意していて、バラマキ補正の「年内の早期成立を期する」という合意文書に署名している。
「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、その財源をどこに求めるかを決めないまま、「早期成立」で合意しているのだから、「白紙委任状」みたいなものだ。
「引き上げ幅によって、財源も変わってくる。国だけでなく、地方の財政にも影響が出る。それなのに、国民民主党は財源を探すのは与党の仕事とばかりに、壁の見直しだけで合意した。無責任すぎる話です。しかも、ふつうは財源捻出のために無駄を削るのが先なのに、そうした議論が出てこない。増税の含みがある可能性もあり、そうしたことも含めて、マトモな国会審議がされるのかどうか、懐疑的な視点で見るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
いずれにしても、補正の「年内成立」だけは決まりだ。多少は、揉めるだろうが、最後は「能登への支援が遅れる」とか何とかいって、強行採決、突破するのだろう。被災地への支援がここまで遅れたのは、さては補正を通す“切り札”にするつもりだったのか。どっちにしたって、これから本格化する臨時国会の審議なんて、「熟議と言う名の茶番劇」と見ていた方がいい。それなのに、石破は「真摯に、そして謙虚に」などと猫なで声で言う。それを朝日は「熟議」と呼んで、「新しい政治」などと解説する。ますます、鼻白んでくるのである。
企業・団体献金もそのまま温存の可能性
この調子だと、こんなのらりくらりの政権が「奇妙な安定」でダラダラいかないとも限らない。もともと、この国の民主主義なんて、ヤラセ同然の国会で「演出」されてきた歴史がある。
自社の55年体制は言うに及ばず、国会デモであれだけ騒ぎになった憲法破壊の安保法制も、いまはすっかり音なしだ。野田立憲も現実容認路線で黙認である。野党がワーワーやっても、「花を持たせたところで強行採決」がこれまでのパターンで、やがて、国民も忘れてしまう。そんななれ合いの中で、政治資金の問題もお茶を濁され、抜け道が温存されてきたのである。
今度だって、同じではないか。ゆ党候補がたくさんいる中で、どれだけマトモな議論が戦わされるのか。企業・団体献金も温存、逃げ切りの可能性があるのではないか。少なくともプロはそう見ている。
「国民民主党はもう取り込まれています。補正に賛成で合意しているし、財源を巡る税制改正でも自公と一緒に議論するので、来年度予算も賛成せざるを得なくなる。立憲は安住予算委員長を送り込んでいるが、与党内では“安住さんは森山幹事長とも親しいし、話がわかる人だ”なんて評価されている始末です」(政治評論家・野上忠興氏)
何度も言うが、政治をダイナミックに変容させるには、政権交代以外にないのである。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。