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※2024年11月20日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年11月20日 日刊ゲンダイ2面
不倫スキャンダルで失速ぶん、点数稼ぎに必死(C)日刊ゲンダイ
経済対策はあたかも「103万円の壁」が実現するかどうかにかかっているかのような報道だが、雀の涙の手取りが増えたところで、何も変わりゃしない。どこかで増税の辻褄合わせ、防衛費は青天井、法人税は野放し、円安放置、抜本的な経済対策は先送り。自民党、財務省に任せていたら、同じことの繰り返し。
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政府が取りまとめを急ぐ総合経済対策をめぐり、自公与党と国民民主党が連日、ガチャガチャやっている。
12日に始まった3党の政調会長会談は20日で5回目。総選挙で躍進した国民民主の公約「手取りを増やす」の具体的メニューについて、どこまで経済対策で触るのか。所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の見直し、ガソリン減税の扱いをどう書き込むか。財源となる今年度補正予算案は、28日召集の臨時国会に提出される運びだが、衆院で過半数割れした自公だけでは成立させられない。一方の国民民主は玉木代表の不倫スキャンダルで失速し、何としても点数稼ぎをしたいところ。互いに足元を見て、喧々囂々やっているわけだ。
「国費13兆円、事業総額37兆円が昨年の補正予算だった。それを上回る大きな補正予算を国民に問い、国会の審議をたまわり成立させたい」
石破首相が衆院選公示後の第一声でこうブチあげた経済対策は、真水で13.5兆円規模が見込まれるものの、内容は従来通り総花的だ。賃上げ、地方創生、投資促進、災害対応、国土強靱化など、何でもあり。物価高対策としては、住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円給付、子育て世帯には子ども1人当たり2万円を加算、電気・ガス代補助の来年1月から3月までの再開が盛り込まれる。
グランドデザインはさっぱり
インフレは3年超も続いているのに、賃上げはちっとも追いつかず、実質賃金は2年以上もマイナス。疲弊した庶民の不満はたまりにたまっている。秋の風物詩化したバラマキでは、暮らしが底上げされないことは分かり切っている。そこで、課税最低ラインを178万円に引き上げるという分かりやすい政策を訴えた国民民主が急浮上したわけだが、その主張が通ったところで、景気が回復するわけじゃない。「103万円の壁」をめぐる駆け引きは、巧妙な目くらましだ。
ジャーナリストの青木理氏はこう言う。
「いわゆる『年収の壁』はいくつも存在する。年金や社会保険料の負担が生じて手取りが減る『106万円の壁』『130万円の壁』、配偶者特別控除が満額適用されなくなる『150万円の壁』などがある。国民民主党が言う〈手取りを増やして消費を拡大し、企業の売り上げ増を図って賃上げにつなげる好循環〉が実現するに越したことはありませんが、『103万円の壁』にだけ手を付ければいいのか。労働人口増加を見通して、労働法制を整備する必要はないのか。そもそも、少子高齢化に歯止めがかからない中、どういう社会を展望するのか。全体的な制度設計をした上で、じっくりと議論を進めるべきテーマでしょう。民主党政権は良かったと言うつもりは毛頭ありませんが、『社会保障と税の一体改革』のようなグランドデザインを描かなければ、新たな壁をつくるだけ。そもそも、格差拡大を助長するアベノミクスの総括をせずして、景気浮揚も何もないでしょう」
野党を最大限悪用した“食い逃げ”か
連日ガチャガチャ、きょうで5回目(自公国政調会長会談)/(C)共同通信社
経済対策について、石破政権は22日の閣議決定を目指している。そこから逆算し、玉木は19日も「仮にゼロ回答であれば今後、与党と協議を継続することはない」と揺さぶり。経済対策の成否は、あたかも「103万円の壁」の解消にかかっているかのような報道が相次いでいる。雀の涙ほどの手取りが増えたところで何も変わりゃしない、なんておこがましいことは言えない。1万円だろうと、2万円だろうと、収入は増えた方がいいに決まっている。だからこそ、裏金議員は派閥によるキックバックに異を唱えることなく、机の引き出しに現金を忍ばせたりしていたのだろう。
とはいえ、ガス抜き程度の手取り増は、いつかどこかで増税による辻褄合わせをさせられる。国民民主の要求通りに非課税枠を75万円引き上げた場合、国・地方を合わせて年間7兆6000億円の減収が見込まれている。そのうち、4兆円程度を占める地方の首長らは大反発。全国知事会長を務める宮城県の村井知事は「国民民主党のおっしゃる通りやった場合は、たちどころに財政破綻するだろう」「私が総理ならば首を縦に振らない」と猛批判し、きのうは知事会として自民の宮沢税制調査会長に配慮を求めた。自公国3党は20日、政調会長会談とは別建てて税調会長会談を予定している。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう指摘する。
「減収の解決策について〈政府・与党の責任だ。我々は予算の全体像はわからない〉と言ってのけた玉木代表に対し、島根県の丸山知事が〈責任感に欠ける。予算の中身が分からないなら連立与党に入るべき〉と苦言を呈していましたが、まさにその通り。彼らがやろうとしているのは“食い逃げ”です。与党と一緒に泥をかぶって実現しようという気はサラサラなく、野党のポジションを最大限悪用していると言える。財務官僚出身の玉木代表はハレーションが起きることは承知の上なだけに、無責任極まりない」
家制度に基づく税制の改正を
そうでなくても、岸田政権が推し進めた米国隷従の軍拡により、防衛費は青天井。にもかかわらず、2027年度までの5年間で43兆円に倍増した防衛費の財源はいまだ確保されていない。米国第一主義のトランプ前大統領の返り咲きで、負担増に拍車がかかるのは必至だ。第2次安倍政権が強行した2度の消費税増税の裏で実行された法人税減税は野放し。言うまでもなく、アベノミクスの負の遺産である円安は放置されたまま。一刻も早くなされるべき抜本的な経済対策は先送りされ続けている。
「国民民主党による問題提起は一定の評価はできますが、ジェンダー平等が推進される時代に、家計を支える主婦を念頭に置いた課税ラインの引き上げだけで税制改正は十分なのか。日本の税制は女性が家庭に入り、妻は夫に扶養されることを前提としています。自民党が固執する家制度が土台にある。その一方で、少子化による人手不足を緩和するため、女性活躍や生産性向上の旗を振っている。国民民主党は『103万円の壁』を入り口に、女性が働きやすい税制改正へ議論を発展させなければウソでしょう。そこまで踏み込まなければ、経済の好循環は絵に描いた餅。予算を通せなければ内閣は必ず倒れます。熟議の民主主義へと向かう好機を生かしてほしい」(金子勝氏=前出)
伝統的家族観にこだわる自民党、税収の4割を占める所得税のあり方の見直しは何が何でも避けたい財務省に任せていたら、何事も一歩も前に進まない。それだけは確かだ。
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