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※2024年11月15日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年11月15日 日刊ゲンダイ2面
トランプ次期米大統領との面会を打診(C)ロイター
2期目のトランプのやりたい放題が徐々に見えてきたが、この調子だと、巨額関税もまったく躊躇、遠慮しないだろう。日本は慌てて英国とタッグを組もうとしているが、分断の世界に一寸先すら見えない石破政権の脆弱。こうなったら、居直って、トランプに正論を吐き続けて欲しいものだ。
◇ ◇ ◇
米国のトランプ次期大統領が、第2次政権の重要人事を続々と発表しているが、徐々にやりたい放題が見えてきた。
注目されているのは、「政府効率化省」を新設して企業家のイーロン・マスク氏をトップに据えることだ。
一般的な省庁と違い、政府外部の助言機関となることが想定される。トランプは設立の目的について「年間6.5兆ドル(約1000兆円)に上る政府支出に存在する、膨大な無駄や不正を駆逐する」と話した。
大統領選で1億ドル(約155億円)超を献金するなど、トランプを全面的に支援したマスク氏も大規模な予算や人員削減の必要性を主張。徹底した「小さな政府」を目指すとみられるが、世界一の富豪で企業家のマスク氏の政権への関与は、利益相反の懸念が拭いきれない。
さらにヤバいのは、安全保障分野を担当する国防長官人事だ。トランプが指名したのは、米FOXニュースで情報番組の司会者を務めるピート・ヘグセス氏。かつて陸軍に所属し、イラクやアフガニスタンに派遣され、勲章も授与された経歴があるが、軍や安全保障分野の上級職にいた経験はない。
トランプとは番組出演を通じて親交を深めた間柄。多様性を重視する今の米軍の姿を「能力主義」に戻すべき、との主張で両者は共通している。要するに、お気に入りのテレビ司会者を一国の安全保障の要に据えようというわけである。
人事に共通しているのは、トランプへの「忠誠」。米国の軍人や公務員は米国憲法に「忠誠」を誓っているが、トランプは自らにそれを求めているフシがあり、異常さが際立つ。周囲をイエスマンで固めて、ロシアや中国のような権威主義国家体制をつくろうとしているようにしか見えない。
「やりたい放題をやる」と宣言したも同然
米主要メディアは13日、大統領選と同時に実施された連邦下院選で共和党が多数派を維持したと報じた。赤がシンボルカラーの共和党は既に大統領選と上院選を制しており、3つを独占する「トリプルレッド」を達成。議会による政権のチェック機能が形骸化する恐れがある。トランプの独善が簡単に通ってしまいかねない状況になったということだ。独裁体制の構築は、まだまだ序の口だろう。
この調子だと、トランプは大統領選中から訴える巨額関税も全く躊躇、遠慮することなく、実施してくるはずだ。
トランプは大統領就任後、全ての輸入品に一律10〜20%の関税をかける方針を明言。中国からの輸入品に対しては60%の関税を課すと言っている。
もちろん、日本も例外ではない。トランプは、メキシコからの輸入車に200%以上の関税をかける可能性を示唆。日系メーカーはメキシコの車両工場を米国への輸出基地として整備してきた経緯がある。トヨタや日産といった主要メーカーは生産する車両の7〜9割を米国に輸出しているため、関税引き上げの影響は計り知れないのだ。
要するにトランプとしては、輸入品に関税を課せば消費者は米国製品を選ぶ、それによって米国の労働者が守られる、という発想だ。「私は関税の信奉者だ。私にとって、辞書の中で最も美しい言葉は『関税』だ」と言っていたから、迷わず引き上げに踏み切っても不思議ではない。
国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。
「前政権では人事に際し、ノウハウのないトランプは共和党議員に多くの判断を仰いでいました。そのため、マティス国防長官やケリー大統領首席補佐官といった経験や良識を持ち合わせた人物が要職に就任。彼らはトランプにとって耳障りでも、キチンと意見を具申していました。それが気に食わなかったのでしょう、今回は、徹底的にお気に入りを要職に就けようとしている。異論を唱える人物を排除し『やりたい放題をやるぞ』と宣言したようなものです。当然ながら、関税引き上げも実行すると思います。日本を含め、国際社会は大混乱でしょう」
石破首相もトランプ大統領へのすり寄りを画策
岸田前首相もバイデン米大統領の“言いなり”だった(C)ロイター
狂乱の世界で、日本政界は五里霧中。果たして、なすすべはあるのか。
13日、日本政府は英国と外務・経済閣僚による経済版「2プラス2」を新設する方針で調整していることが分かった。高関税を掲げるトランプ次期政権との貿易交渉を巡って、連携する狙いがある。関税引き上げを避ける方策について話し合うだけでなく、実際に関税が引き上げられた場合の対抗措置も検討する。慌てて英国とタッグを組もうというわけだが、分断の世界に、内政がグラグラで一寸先も見えない脆弱な石破政権にやれることがあるのだろうか。
あろうことか、石破はトランプに尻尾を振った安倍元首相と同じ道をたどろうとしている。2016年にトランプが初当選した際、首相だった安倍はニューヨークのトランプタワーをいち早く訪れ、当選後に初めて会談した外国首脳になった。
石破は14日、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に出席するため、南米ペルーの首都リマに向けて羽田空港を出発。中国の習近平国家主席、バイデン米大統領と会談する。南米からの帰途で米国に立ち寄り、トランプとの会談を打診している。安倍がやった「トランプ詣で」を再現するつもりだ。
しかし、トランプにベッタリとくっつくことが日本の国益にかなうのか。
石破の総裁当選直後、トランプ前政権時代に米国防次官補代理を務めたエルブリッジ・コルビー氏は「(日本の防衛費をGDP比)3%程度に引き上げる必要がある」とSNSに投稿。日本政府は、2027年度に防衛費を含めた安全保障関連費を、従来のGDP比1%から2%規模にする方針を決めたが、まだまだ、米国が増額を求めてくる可能性があるということ。尻尾を振っているだけでは、武器を“爆買い”させられるだけだ。
嫌われ者ならいっそ「正論」でぶつかるべき
14日の読売新聞によると、トランプを知る日本の閣僚経験者は「正論にこだわりがちな首相とはケミストリー(相性)が合わないだろう」と語ったという。実際、7日のトランプとの電話会談では石破が5分間だったが、マクロン仏大統領は25分、韓国の尹大統領は12分だった。どうも、トランプには好かれていないようである。
こうなったら、石破はいっそ居直って、トランプに忖度ナシで正論を吐き続けてはどうか。
欧米をはじめとした西側諸国と中ロによって国際社会の分断が深刻化する中、東南アジア諸国はどちらにもくみしないシタタカ外交を展開している。日本もトランプ米国ベッタリをやめ、堂々と自己主張する国になるべきだ。
安倍政権下で首相秘書官を務め、「安倍の懐刀」と呼ばれた今井尚哉キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹ですら、14日の毎日新聞でこう語っていた。
〈(トランプとの)交渉に当たっては、互いが「ウィンウィン」なら協力するが、「ゼロサム」になるなら日本も自国の国益を譲らない、という勝負に持ち込んでいくことが必要〉
〈日本の外交は、各国の価値観や意見の対立も踏まえ、各国と同心円の関係を意識して向き合っていくべきだ〉
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「日本は既に防衛費倍増と米国製武器の“爆買い”で十分に譲歩をしています。石破首相はこびへつらう必要はありません。それでも、トランプがむちゃなディールを仕掛けてきたら、こちらもディールし返すべきでしょう。『中国と組まざるを得ない』といった意思を示して揺さぶりをかけ、妥協点を見いだす。安倍元首相のようにすり寄り過ぎればむしり取られてしまう。バイデン大統領と良好な関係を築いたとされる岸田前首相も、結局は武器の“爆買い”を強いられた。石破首相は強気に出てもいいはずです」
独裁を進めるトランプに、石破は得意の「正論」でぶつかっていくべきだ。発言すべきは発言し続けて欲しいものである。
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