<■1281行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> [社説]危険運転を根絶する法律に 社説 2024年11月14日 19:00 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD144HR0U4A111C2000000/ 飲酒や猛スピードの走行など悪質な運転による事故の刑事責任を問う危険運転致死傷罪について、見直しを議論してきた法務省の検討会が報告書案をまとめた。 現行法は要件が曖昧で立証のハードルが高いとの批判があり、適用基準を明確にするなどの方針を示した。 更に議論を深め、悲惨な事故の撲滅に繋げなければならない。 危険運転致死傷罪は2001年に新設された。 東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。 飲酒や高速走行、信号無視、煽り運転などによる事故が対象で、法定刑の上限は懲役20年と過失運転致死傷罪(同7年)より重い。 だが同罪に問うには 「進行を制御することが困難な高速度」 や 「アルコールの影響で正常な運転が困難」 だったことを立証しなくてはならない。 「事故を起こす前まで正常に運転していた」 などの反論が認められる可能性があった。 2024年5月に群馬県伊勢崎市で家族3人が死亡した事故では、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が過失致死傷罪で起訴された後、遺族らが要望して危険運転致死傷罪に訴因変更された。 飲酒を 「過失」 とするのは市民感覚からかけ離れ、立法趣旨にも反しよう。 遺族らが納得できなかったのは当然だ。 報告書案では、速度や呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。 具体的数値はこれからの検討課題になる。 数値だけが適用の物差しになれば、 「基準以下だから危険運転には当たらない」 という発想を誘発しかねない。 法体系全体のバランスを踏まえつつ、適切な刑事罰を科せられるような制度にしなければならない。 厳罰化だけで事故を根絶することはできない。 ドライバー1人1人の安全意識を高めるため、交通教育や啓発を充実させる必要がある。194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告 2024/11/12 17:07 https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/ 大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を 「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」 と述べた。 被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200〜210キロ、事故現場の県道で170〜180キロ出した経験があると説明。 弁護側からの質問に、事故時は 「150キロくらい出ている感覚だった」 と供述した。 一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると 「覚えていない」 と答えた。 時速194キロ事故「過失のわけがない」 危険運転罪認めず、遺族が批判 2024/11/6 0:01 https://www.sankei.com/article/20241106-RV6O2PJRMRJ7FILIB3YCGVK3WU/ 大分市で令和3年、時速約194キロの乗用車で死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判初公判で、検察側は2024年11月5日、事故時の様子が写った映像や損傷した被害車両の写真などを示した。 遺族は記者会見で 「一体どんな高速度だったのか」 「過失のわけがない」 と憤った。 弁護側は危険運転罪は成立せず、同法違反(過失致死)罪にとどまると主張している。 死亡した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後、ドライブレコーダーの映像や小柳さんの着衣の写真を法廷で見て、弟の痛みを想像して涙が溢れたと明かし、 「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」 と語気を強めた。 被告は罪状認否で危険運転罪に関して 「よく分かりません」 と述べる一方、 「小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」 とも口にした。 長さんは、謝罪時に遺族を見ようとしなかったとし、 「誰に向けて謝っているのだろうと感じた」 と非難した。 194キロ危険運転争う姿勢 50歳男性死亡事故で弁護側 大分地裁 2024/11/5 10:58 https://www.sankei.com/article/20241105-ETIDIULAWVIZFCIPXIZSFYQJZE/ 大分市で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月5日、大分地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容について 「よく分かりません」 と述べ、弁護側は 「危険運転致死は成立しない」 と主張した。 令和4年12月に、同法違反(過失致死)罪から訴因変更されていた。 判決は2024年11月28日。 起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。 会社員、小柳憲さんの車に衝突して死亡させたとしている。 大分県警は危険運転致死容疑で書類送検したが、大分地検は令和4年7月、一旦同法違反の過失致死罪で在宅起訴。 より法定刑の重い危険運転罪適用を求める署名提出を遺族から受けた後、地裁に訴因変更を請求し認められた。 時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」 2024/11/5 13:07 https://www.yomiuri.co.jp/national/20241105-OYT1T50067/ 大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が2024年11月5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。 元少年は罪状認否で 「そのようなことは分かりません」 と述べた。 事故で大破した小柳さんの車(遺族提供) 起訴状では、元少年は2021年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。 右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。 公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である 〈1〉制御が困難な高速度 〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近 に該当するかどうかが主な争点となる。 弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。 検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。 〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。 また、右折車が来ることが想定されたとして、 〈2〉の要件も満たすと主張。 「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」 と指摘した。 事故を巡っては、大分地検は2022年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。 遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。 地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。 <主張>危険運転致死傷罪 国民常識との乖離埋めよ 2024/2/7 5:00 https://www.sankei.com/article/20240207-V6KMS75HSZNLZB4I5Z5XJLQDXU/ 法務省は、危険運転致死傷罪の要件を見直す検討を始めた。 現行要件の基準が分かりにくく、事故遺族らが 「危険で悪質な事案を取りこぼさないようにしてほしい」 と要望していた。 令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の乗用車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突した。 会社員は死亡した。 直進車は法定速度60キロの3倍を超える時速194キロで走行し、少年は 「何キロ出るか試したかった」 と供述したのだという。 大分県警は危険運転致死罪の要件である 「制御困難な高速度」 に当たるとして同容疑で送検したが、大分地検は 「直線道路で走行を制御できていた」 などとして過失運転致死罪で在宅起訴した。 危険運転の法定刑の上限は懲役20年、過失運転の上限は7年で、大きな開きがある。 遺族は納得いかない。 そもそも制御できないから衝突したのではないのか。 遺族は署名を集めて訴因変更を求める上申書を提出し、これを受けた補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因は変更された。 遺族の声を受けての訴因変更は、要件のあいまいさを物語る。 平成30年12月、法定速度60キロの一般道を146キロで走行してタクシーに突っ込み、乗客ら4人が死亡した事故でも、危険運転致死傷罪で起訴された被告に津地裁、名古屋高裁は 「制御困難な高速度が証明されていない」 として過失運転と判断し、懲役7年の判決が確定した。 現行法では、無免許であっても一定の運転技能ありと判断されれば、危険運転の要件を満たさない。 信号無視による事故は 「殊更に」 無視した場合に限られ、 「殊更」 の証明、解釈に振り回される。 法曹界には他罪種や過去事件の刑罰とのバランスを重視するあまり、危険運転の適用を躊躇する傾向があり、要件の曖昧さがこれを助長しているとの指摘もある。 被害者や家族は、この構図に憤っている。 危険運転致死傷罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。 強い被害感情に応えるための法律が、その運用をめぐって被害者の怒りを倍加させている。 要件の整理と明確化で国民常識との乖離を埋めてほしい。 再考・犯罪被害者 <特報>時速194キロ、危険運転ではないのか 遺族が動かした異例の訴因変更 2023/1/23 8:50 https://www.sankei.com/article/20230123-NBCPUZLDCVJIJAQRRGGPI2ZWXM/ 憲ちゃんが亡くなった−。 訃報は突然やってきた。 令和3年2月9日午後11時頃、大分市内の県道交差点。 右折する車に、対向車線を直進してきた1台の乗用車が衝突した。 いわゆる「右直事故」。 右折車を運転していた会社員、小柳憲さん=当時(50)=がこの事故で死亡した。 衝突直前の直進車の走行速度は時速194キロ。 法定速度(60キロ)の3倍を超えていた。 「なんで弟が…」。 事故から半日後、小柳さんの姉は、棺に横たわる弟と対面した。 顔にはほとんど傷がなく、 「事故に遭ったとは思えないほど、いつもの穏やかな表情だった」。 ただ頭部以外は全て包帯でくるまれていた。 「辛い思い出が残るから見ない方がいい」。 受傷の程度が書かれた死亡診断書でさえ、見るのを制された。 大分県警から受けた説明によると、小柳さんは事故当時、シートベルトをしていたが、衝撃でベルトが切れて車外にほうり出され、後続車の近くに倒れているところを発見された。 肋骨や骨盤など全身に多数の骨折があった。 死亡確認は約2時間半後。 「最期を迎えるまで、どれほど苦しかったことか…」。 想像を絶したであろう弟の痛みや苦しみを思い、姉はただ涙を流すことしかできなかった。 直進車を運転していた当時19歳の元少年は調べに 「何キロ出るか試したかった」 と供述したという。 大分県警はこうした事情も踏まえ、元少年の運転が、自動車運転処罰法が定める危険運転致死罪の適用要件である 「制御困難な高速度」 に当たると判断。 事故から2カ月後に元少年を同容疑で書類送検した。 姉も当然、同罪で起訴されるものと期待した。 だが大分地検は翌年令和4年7月、過失運転致死罪で元少年を在宅起訴した。 遺族には 「直線道路で走行を制御できていた」 などと説明し、 「制御困難」 に当たらないとの見解を示した。 《高速度走行(自動車運転処罰法2条2号)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為》 「一般道を時速194キロで走るのが危険運転でないのなら、一体どんな運転が危険運転になるのか」。 姉は思わず本音をぶつけた。 だが、担当検事は 「捜査の結果、危険運転の立証には至らなかった」 と答えるのみだった。 「前代未聞の高速度」 「家族にも見せることができない身体の損傷」 「原形をとどめないほど大破した車」 「危険運転致死傷罪は生命の尊厳を守るために創設されたはずなのに、こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか」 姉はそれ以降、地検に翻意を促そうと奔走した。 令和4年8月には記者会見を開いて危険運転致死罪の適用が見送られた理不尽さを訴え、同罪への訴因変更を求める上申書を地検に提出。 翌月令和4年9月には犯罪被害者の自助グループ「ピアサポート大分絆の会」(大分県国東市)の支援も受けながら、地検に補充捜査を求める署名活動を行い、全国の賛同者から集まった約2万8000筆を令和4年10月に提出した。 「弟の無念を晴らしたい」。 その一心で続けた地道な訴えは令和4年11月、ようやく実を結ぶ。 地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施。 僅か2週間後の令和4年12月1日には地検が危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求し、同月令和4年12月20日に認められた。 「声を上げなければ過失運転で終わっていた」 「ほっとしました」。 姉は訴因変更の知らせに安堵の言葉を口にした。 事故は今後、裁判員裁判で審理される。 「裁判をしたからといって弟の命は決して戻りません」。 それでもようやく、スタートラインに立てた気がする。 「真っ当な判決が言い渡されてほしい」 「望むことはそれだけです」。 初公判の日を静かに待っている。 ■「常識」と乖離する司法 「被告人の運転が常識的にみて『危険な運転』であることは言うまでもない」 小柳さんの事故から間もない令和3年2月中旬。 名古屋高裁は、三重県津市の国道で時速146キロの自動車がタクシーに衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が負傷した事故で、被告に判決を言い渡した。 制限速度の2.5倍近い異常なスピードで高級車を駆り、車の間隙を縫うように車線変更を繰り返していた被告。 「あたかも自分1人のための道路であるかのごとき感覚」。 高裁判決はこんな非難の言葉を並べながら、それでも1審津地裁と同様、危険運転致死傷罪の成立を否定した。 市民感覚と司法判断がここまで乖離するのは何故か。 それは同罪が不注意を罰する過失犯ではなく、故意犯であるところに大きな要因がある。 同罪の故意とは、自分の運転行為が法の定める 「危険運転」 の類型に当たることを認識しながら、敢えてそのような運転をしたということ。 条文の文言を知っている必要はないが、 「制御困難」 の要件の場合は、高速度走行の一般的な危険性の認識では足りない。 津市のケースでは、僅かなミスで自分の車を進路から逸脱させるような状況を 「具体的な可能性として現実に頭に思い浮かべていたことが最低限必要」(津地裁判決) と判示され、被告にこの認識がなかったとして故意が否定された。 事故前に百数十キロで走行しながら複数台の車両を追い抜いたことを 「特段の支障なく進行した」 と被告に有利な事情とみた。 大分の事故現場は、その幅員から 「40メートル道路」 と呼ばれる直線道路。 スピードを出しても比較的コントロールしやすい場所といえ、大分地検が当初、危険運転致死罪の適用を見送る一因になったとみられる。 もっとも同罪の適用を巡っては、司法判断も揺れている。 大分地検が補充捜査で訴因を切り替えたことも、要件解釈が定まっていないことの表れとみることもできる。 ◇ 過失では済まされないような危険な運転を厳しく罰するため、世論の後押しを受けて制定された危険運転致死傷罪。 しかし厳罰ゆえに検察や司法が適用に慎重になるケースが相次ぎ、被害者遺族の無念は宙をさまよう。 同罪を取り巻く課題を検証する。 再考・犯罪被害者 危険運転致死傷罪、揺れる司法の判断 被害者・遺族の思いをすくい上げるには 2023/1/31 7:00 https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/ ■危険運転、問われる意義 危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。 時速194キロ、危険運転ではないのか ■高い起訴のハードル 大嶋実弦弁護士 危険運転致死傷罪は 「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」 「『過失』で済まされるのはおかしい」 という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。 その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離があり、そのギャップが 「市民感覚を反映していない」 と指摘される要因にもなっている。 率直に 「危険運転ではないのか」 と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。 特に警察が危険運転致死罪で送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。 同罪はそんな遺族の拠り所でもあるはずだが、 「公判が維持できないから」 と検察に門前払いされると、 「なぜ」 というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。 遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。 こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。 厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。 起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。 ◇ おおしま・みつる 大阪弁護士会所属。 長年に渡り交通事故遺族らで作る自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している。 処罰範囲の拡大はアンフェア 井田良・中大大学院教授 死傷者を伴う交通事故が起きた時、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。 そして危険運転の適用が見送られた時、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。 危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。 特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。 その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。 いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する 「罪刑法定主義」 の原則だ。 確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。 しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。 立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。 解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。 ◇ いだ・まこと 専門は刑法。 平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。 平成28年から現職。 東名あおり運転、懲役18年判決の被告が控訴 2022/6/7 16:30 https://www.sankei.com/article/20220607-C52BGMECVZNEJIMMPDC3SIE5RM/ 神奈川県大井町の東名高速道路あおり運転死傷事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われ、懲役18年の判決を受けた石橋和歩被告(30)が、判決を不服として控訴したことが2022年6月7日、横浜地裁への取材で分かった。 控訴は2022年6月6日付。 地裁は2022年6月6日の判決で、被害車両の直前で急減速する妨害運転を4回繰り返し、後続車による追突事故を起こしたとして、危険運転致死傷罪が成立すると認定。 弁護側は被告の運転と事故に因果関係はないとして同罪の成立を争っていた。 判決によると、平成29年6月5日、パーキングエリアで静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車位置を非難され、逆上して追走。 あおり運転で停止させ、後続トラックの追突で萩山さんと妻の友香さん=当時(39)=を死亡させた他、娘2人に怪我をさせた。 東名あおり事故、被告に懲役18年 横浜地裁差し戻し審 2022/6/6 13:47 https://www.sankei.com/article/20220606-J3GO52HEXJNTPKOFEFN2NJ4GLI/ 神奈川県大井町の東名高速道路で平成29年、あおり運転で一家4人のワゴン車を停止させ、後続車の追突事故で死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判で、横浜地裁(青沼潔裁判長)は2022年6月6日、求刑通り懲役18年の判決を言い渡した。 判決は、危険運転致死傷罪の成立を認めた。 公判では危険運転致死傷罪の成否が最大の争点となった。 検察側は、危険な速度で移動しながらワゴン車の前で減速を繰り返したとして、同罪が成立すると指摘。 弁護側は、被告の運転と事故の因果関係はないとして無罪を主張した。 起訴状によると、平成29年6月5日、パーキングエリアで静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車位置を非難され、逆上して追走。 ワゴン車にあおり運転を繰り返して停止させ、後続トラックの追突で萩山さんと妻、友香さん=同(39)=を死亡させるなどしたとしている。 東名あおり運転 判決要旨 2018年12月15日 産経新聞 【主文】 石橋和歩(かずほ)被告を懲役18年とする。 【危険運転致死傷罪の構成要件】 自動車運転処罰法が定める 「重大な交通の危険を生じさせる速度」 とは、通行を妨害する目的で相手方に著しく接近した場合に、自車が相手方と衝突して大きな事故を生じさせたり、事故の回避が困難になったりすると一般的に認められる速度と解される。 被告が直前に自車を停車させた時速ゼロの状態が一般的にそのような速度と認められないのは明らかだ。 法律の文言上、自動車を進行させることが前提になると解され、停止まで含まれるというのは解釈上無理があり、被告による停車が罪の実行行為に当たるとする検察官の主張は採用できない。 以上により、被告の4度にわたる妨害運転は危険運転致死傷罪の実行行為に該当するが、停車は該当しないと判断した。 【因果関係の有無】 被告はパーキングエリアで被害者から非難されたことに憤慨し、停車させて文句を言いたいとの一貫した意思の下で4度の妨害運転に及び、その後に減速して自車を停車させた。 被告が被害者の車両直前で自車を停車させたのは、妨害運転と密接に関連する行為だ。 被害者の車は短時間で繰り返された妨害運転に対し、車線変更などで逃れようとしても逃れられなかった。 被告の車の進入、接近、減速状況や当時の交通量からすると、被害者の車は停車せざるを得なかったというべきだ。 双方の車の停車後、被告が被害者の車に近づいて暴行などに及んだことも、文句を言いたいとの妨害運転開始当初からの一貫した意思に基づくものと認められ、やはり妨害運転と密接に関連する行為だ。 現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。 事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。 以上により、今回の事故は被告の4度の妨害運転と、密接に関連した双方の車両の停車、被害者への暴行などに誘発されて生じたといえる。 被害者らが死傷した結果は、被告の妨害運転によって生じた事故発生の危険性が現実化したもので、因果関係が認められる。 従って、危険運転致死傷罪が成立する。 【量刑の理由】 被告は夜間で相応の交通量がある高速道路で短時間に4回もの妨害運転をしており、それ自体が危険な態度だ。 何度も止められたにもかかわらず、妨害運転や暴行に及んでおり、強固な犯意に基づく執拗な犯行だ。 複数人が死傷した結果は重大で、家族旅行の帰りに突然命を奪われた被害者夫婦の無念さは察するに余りある。 両親を1度に失った遺族の悲しみは深く、被告に厳罰を求めるのも当然だ。 身勝手で自己中心的な動機から短絡的に犯行に及び、酌むべき余地はない。 犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。 同種事案の中でも重い部類に属する。 他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。 被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。 刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、懲役18年の刑は免れない。 東京高裁の破棄・審理差し戻しの判断や朝山裁判長の言い分はおかしい。 公判前整理手続きと審理したあとの公判後で判断が変わっても全くおかしくない。 公判前整理手続きの判断が変わってはいけない前提であれば、審理する意味がない。 1審横浜地裁の裁判員裁判の 「危険運転致死傷の罪を適用した」 との判断は支持する。 ただし、量刑は 「死刑」 にすべきだった。 1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で 「危険運転致死傷の罪を適用できると判断した」 ことは評価できる。 ただし、1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で 「被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとした」 との判断はおかしい。 車を停車させたことで他の車に追突されて死亡したことは明らかだ。 そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したからで、夜間の高速道路で相応の交通量があったことも踏まえれば、停車することが危険であることは明白なのだから、 「停車行為まで含めて危険運転」 と判断すべきだ。 夜間の高速道路で相応の交通量があれば、その状況で停車することが危険であることぐらい常識で分かるだろ。 それを危険ではないと主張するなら、やれるもんならやってみろ、と言いたい。 被告は犯行動機も異常で情状酌量の余地は全くない。 懲役18年は短すぎる。 死刑にするべきだ。 被告に罪を償わせる妥当な量刑は死刑以外にない。 そもそも危険運転致死傷罪の最高刑が懲役20年というのは軽すぎるし、適用範囲も狭すぎて法律自体に不備がありがおかしい。 被害者や遺族、被害者の友人らが可哀想すぎる。 きっかけを作ったのは被害者などと被告を擁護する意見もあるようだが、被告の 「あおり運転=危険運転」 「危険な高速道路上に停止させた」 行為を正当化する理由などには全くならず、被告に情状酌量の余地は全くない。 犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。 同種事案の中でも重い部類に属する。 他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。 被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。 刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、被告の責任は免れない。 どうせなら被告が死んでいればよかったのに。 なお、後続車の責任云々などというのは論外。 現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。 事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。 あくまで責任は被告にある。 それにしても、日本の法律・判決・量刑は犯罪者に甘すぎる。 殺人でさえなかなか死刑にならない。 ●2020/03/19 11:00 元トラック運転手が教える「あおり運転」をする人の4大特徴 「高級車に乗った凡人」には要注意 PRESIDENT Online あおり運転をする人には特徴と原因がある。 元トラックドライバーでライターの橋本愛喜氏は 「悪質なドライバーだけでなく、時間的余裕がない人、高級車に乗った凡人、行き過ぎた正義感を振りかざす人も煽り運転をしやすい傾向がある」 という――。 ※本稿は、橋本愛喜『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)の一部を再編集したものです。 ■悪質な煽り運転を受け、夫婦が死亡 2017年6月、神奈川県の東名高速道路で悪質な煽り運転を受けた末、夫婦が死亡、娘2人が負傷した事故は、ハンドルを握るほぼ全てのドライバーにとって、自身や周囲の運転マナーを見直す大きなきっかけになったはずだ。 事の発端は、事故現場から数キロ手前の中井パーキングエリアで、被害者の男性が被告に駐車位置を注意したこと。それに逆上した被告はその後、一家4人が乗ったワゴン車を執拗に追いかけ、煽りなどの妨害運転を繰り返したうえ、停車が原則禁止されている高速道路の追越車線にクルマを停めさせ、一家を死傷させる結果に追いやった。 追越車線にクルマを停めさせることは、殺人行為と断言できる。 同車線を走るクルマの平均時速は約100キロ。 このスピードでクルマが障害物に衝突すると、高さ39メートル(ビルの14階相当)から落下した際と同じ衝撃が生じるのだ。 しかも、この事故でワゴン車に追突したのは、 「殺傷力」 の高い大型トラックだ。 本来、大型車は追越車線の走行を禁じられており、このトラックドライバーは道路交通法違反となる。 ■「本当に複雑な気持ちになる」 しかし、夜の追越車線上に、まさかクルマを停車させた生身の人間が車外に立っているとは、誰も想像しない。 また、今回の場合、追突したのがトラックではなく乗用車だったとしても、危険を察知してブレーキを踏み、クルマが完全停止するまでの 「停止距離」 は相当必要となり、彼らを避け切るのは非常に難しく、夫婦はいずれにしても助からなかった可能性が極めて高い。 さらに言うと、皮肉なことだが今回のケースは、衝突したのがトラックでまだマシだったとさえ考えられる。 車高が高く、車体も強いトラックだったからこそ、トラックドライバーの命は助かったが、これがもし乗用車だった場合、追突したほうのドライバーも死亡していた可能性があるからだ。 こうしたことから、追越車線を走行していたという落ち度はあれど、今回追突してしまったトラックドライバーは巻き添えを食った感が否めず、検察の下した不起訴処分も、道路環境からして妥当だったと言えるだろう。 被告の裁判で、 「両親を奪い申し訳ない」 と遺族に反省の意を表したトラックドライバーの心情を考えると、本当に複雑な気持ちになる。 ■煽り運転は「する側」「される側」に特徴と原因がある こうした危険運転は、この東名事故のように第三者をも巻き込みかねない 「悪しき行為」 だ。 しかし、煽り運転そのものは、ハンドルを日々握るドライバーにとって、それほど珍しいものではない。 この事故のような悪質なケースは稀としても、普段、日常的に運転しているドライバーならば、誰しもが煽られた、または煽ってしまった経験があるはずだ。 現役当時、アイポイントが高いトラックの車窓から周囲の運転事情を観察していた筆者は、実に様々な光景を目の当たりにした。 その中でも多く遭遇したのは、やはり煽り運転などの危険運転だ。 煽り運転には、する側にもされる側にも、それぞれ特徴と原因がある。 ■煽られやすい「運転弱者」「大型トラックと軽自動車」 まず、煽られる側の2つのタイプと原因を紹介しよう。 一つは、「運転弱者」だ。 初心者や女性、高齢者の中には、運転が得意ではない 「運転弱者」 が比較的多く存在する。 彼らの場合、無意識のうちに無駄なブレーキを頻繁に踏んだり、車間が上手く取れず詰めすぎたり、スピードが安定しなかったりすることで、周囲のドライバーをイライラさせてしまうことがあるが、そんな彼らの運転が、 「煽る側」 の引き金になることがある。 中には、運転弱者ばかりを狙う悪質な煽りドライバーもおり、初心者や高齢者が理解を得るために貼っているマーク(ステッカー)がむしろ、彼らに向けた 「目印」 になっているのも事実だ。 そして、煽られやすいもう一つのタイプは、 「大型トラックと軽自動車」。 トラックがノロノロ運転せざるを得ない事情は、第1回で説明した通りだが、遅いトラックは、高速道路でも一般道でも、とにかく乗用車などからよく煽られる。 中には 「トラックは左車線だけ走ってろ」 という声もあるが、これまで述べてきた通り現在の日本の道路事情と、時間との戦いを強いられる物流の現状からすると、そんなわけにもいかないのだ。 一方、こうしたトラックに匹敵するほど煽られている光景を目にするのが、 「軽自動車」。 軽自動車が煽られるのは、ドライバーに前出の 「運転弱者」 が比較的多いというのが一因になっていると思われるが、このクルマは構造上、どうしても他車より衝撃に弱いため、事故を起こすと被害が大きくなりやすい。 ゆえに、軽自動車のドライバーは、後述する 「煽られないための対策」 や 「煽られた時の対処法」 をより強く検討したほうがいいかもしれない。 ●危険運転に「停車」追加 通常国会に改正法提出へ 2020.1.15 19:22 https://www.sankei.com/affairs/news/200115/afr2001150030-n1.html 森雅子法相は15日、自動車運転処罰法に規定する危険運転の構成要件の拡大を法制審議会に諮問した。 他人の車の前に急に割り込み、自分の車を停止させる行為を罰せるよう法制化したい考えだ。 答申を受け、改正案を20日召集の通常国会に提出する方針。 自動車運転処罰法2条は、危険運転を六つに類型化。 その一つとして、妨害目的で走行中の車の直前に進入したり、人や車に著しく接近したりする行為を定めており、あおり運転の摘発は、この規定を適用することが多い。 ただ、加害者側の車が、衝突すれば重大事故となる速度で走行していたことが成立要件となっており、停止した車によって起きた事故には、適用できないとの司法判断が出ていた。 今回の諮問では、追加する類型として (1)衝突すれば重大事故となる速度で走行している被害者側の車の前に、割り込むなどして停止する (2)高速道路や自動車専用道路上で、被害者側の車の前で停止したり、接近したりし、被害者側を停止・徐行させる−行為を提案した。 ●「危険運転」の規定見直しを法制審議会に諮問 2020年1月15日 19時17分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200115/k10012246841000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002 危険なあおり運転が相次いでいることを受けて、森法務大臣は法制審議会に対し、高速道路で通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止したり著しく接近したりして停止させる行為などを、自動車運転処罰法の 「危険運転」 の規定に加えるよう諮問しました。 平成29年に、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、一家4人が死傷した事故など、危険なあおり運転が相次いでいることを受けて、法務省は、自動車運転処罰法の 「危険運転」 の規定の見直しを検討してきました。 15日午後、法務大臣の諮問機関である法制審議会の臨時の総会が開かれ、森法務大臣は 「危険運転」 の規定に2つの類型を追加するよう諮問しました。 ■新たな類型は ▽通行を妨害する目的で、重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中の車の前方で停止したり、著しく接近したりする行為 ▽高速道路や自動車専用道路で、通行を妨害する目的で走行中の車の前方で停止したり著しく接近したりして、停止や徐行をさせる行為です。 法務省は、法制審議会からの答申を経て、自動車運転処罰法の改正案を来週20日に召集される通常国会に提出したいとしています。 法改正して構成要件見直した上で厳罰化し、ビシビシ取り締まれば、必ず危険運転は減る。 あおり運転の罰則新設や危険運転の構成要件見直しは当然だ。 さっさと法改正して、ビシビシ取り締まれ。 どんどん厳罰化して、悪い奴らはビシビシ取り締まれ。 ●「停車行為」も危険運転に 森法相、1月に法制審諮問 共同通信社 2019/12/23 11:10 https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「停車行為」も危険運転に-森法相、1月に法制審諮問/ar-BBYfGnz?ocid=spartanntp 森雅子法相は23日、自動車運転処罰法に規定する危険運転の構成要件の見直しを、来年1月に開く法制審議会の臨時総会で諮問する方針を明らかにした。 他人の車の前に割り込み、自分の車を停車させるような行為は、現行法では危険運転に当たるかどうかで法的に争いがあるため、構成要件として明文化させる。 法務省は法制審の答申を受け、改正案を早ければ来年の通常国会にも提出したい考えだ。 自動車運転処罰法は 「通行妨害の目的で、走行中の車の直前に進入、人や車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転する」 行為などを危険運転と規定している。 ●【主張】危険な運転 「厳罰化」を根絶の契機に 2019.12.8 05:00 https://www.sankei.com/column/news/191208/clm1912080003-n1.html スマートフォンなどを使用しながら車を走行させる 「ながら運転」 について、違反点数と反則金を引き上げ、懲役刑も重くするなど厳罰化した改正道交法が今月、施行された。 警察庁は 「あおり運転」 についても新たに罰則を創設する方針だ。 これを危険な運転を根絶する契機としたい。 改正法は運転中の携帯電話の通話や画面などを注視する違反 「携帯電話使用等(保持)」 の点数を1点から3点に、反則金は普通車で6千円から1万8千円に引き上げた。 違反を繰り返すと 「6月以下の懲役」 などの罰則が適用される可能性がある。 通話や注視により交通の危険を生じさせる 「携帯電話使用等(交通の危険)」 は免許停止となる6点となり、直ちに刑事手続きの対象となる。 罰則は 「1年以下の懲役」 などに引き上げられた。 ながら運転による重大事故が相次ぎ、遺族らが罰則強化を求めていた。 平成28年には愛知県一宮市で小学4年の9歳男児がスマホのゲームをしながら運転していたトラックにはねられて死亡した。 父親は 「ながら運転は殺人行為だ」 と訴えていた。 重大事故を受けての法改正はいかにも泥縄式だが、厳罰化は十分に社会変革の契機として期待できる。 飲酒運転事故件数の減少がその好例である。 30年の交通事故死亡者数は3532人で統計の残る昭和23年以降最少となった。 飲酒運転事故の犠牲者が平成12年の1276人から198人に減少したことが大きな要因だ。 この間、危険運転致死傷罪の新設や道交法の改正で飲酒運転の厳罰化が進められてきた。 後押ししたのは、東名高速道路で飲酒運転のトラックとの衝突で幼児2人が死亡した事故や、福岡市内で飲酒運転の車の追突で海中に転落、幼児3人が死亡した事故などに対する遺族と社会の怒りである。 厳罰化だけの効果ではない。 厳罰化を契機に、飲酒運転への目が厳しくなった社会の変革が事故を減らしたのだといえる。 ながら運転や、あおり行為の厳罰化にも同じ効果を求めたい。 危険は 「歩きスマホ」 や、イヤホンで大音量を聴きながらの自転車運転や歩行も同様である。 あおり運転については法務省も自動車運転処罰法の改正を検討している。 道路の安全を守るため、あらゆる手を尽くしたい。 ●あおり運転を道交法に新設、厳罰化へ 警察庁検討 2019.12.6 09:20 https://www.sankei.com/politics/news/191206/plt1912060004-n1.html 社会問題化している 「あおり運転」 対策で、警察庁は6日、道路交通法を改正して罰則を創設する方向で検討していることを明らかにした。 あおり運転を 「通行妨害目的の一定の違反で交通の危険を生じさせる恐れのある行為」 などと新たに定義づけ、厳罰化する。 法定刑などの検討を進め、改正案を来年の通常国会に提出する方針。 あおり運転は他の車両への激しい接近や幅寄せ、追い抜いた後の急ブレーキなどを繰り返す行為をいうが、道交法上で明確な定義はなかった。 個別の行為に関して、警察は道交法の車間距離保持義務違反や進路変更の禁止違反などの容疑を適用してきた。 これらの行為で死傷事故を起こした場合には、 「通行妨害の目的で、走行中の車の直前に進入、人や車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転する」 と定めた自動車運転処罰法(危険運転致死傷)の適用が可能だが、あおり運転自体を直接取り締まる規定はなかった。 警察庁は今回、道交法にあおり運転の違反類型を創設し、 「通行妨害目的で、一定の違反で道路における交通の危険を生じさせる恐れのあるもの」 などと規定する方向で検討している。 「一定の違反」 には車間距離不保持、急ブレーキや進路変更の禁止などを含める見通しだという。 さらに、あおり運転の結果、事故発生の危険を生じさせることも想定し、 「高速道路上で他の自動車を停止させるなど、著しく道路における交通の危険を生じさせた」 場合にはより重い刑罰を科せるようにする。 今後、条文の書きぶりや法定刑の調整を進める。 法定刑は、これまでのあおり運転事件で適用したことがある暴行罪(2年以下の懲役、30万円以下の罰金など)や強要罪(3年以下の懲役)などを踏まえるといい、道交法の個別の違反項目よりも厳しくなるとみられる。 行政処分についても、違反点数を15点以上にして、現行の無免許運転や酒気帯び運転(呼気1リットル中0.25ミリグラム以上)、共同危険行為、過労運転などと同様に、過去に処分歴がなくても欠格期間1年以上の免許取り消しの対象になるよう強化する。 道交法が改正されれば、取り締まりでは、あおり行為が執拗だった場合などに通行妨害の意図を認定。 現場の警察はスマートフォンやドライブレコーダーで撮影された動画、目撃証言などを収集して捜査に当たる。 あおり運転は平成29年に神奈川県の東名高速道路で発生した死亡事故を契機に問題化。 警察庁は翌30年1月にあらゆる法令を駆使した捜査や徹底的な取り締まりを全国の警察に指示。 だが、今年8月に茨城県の常磐自動車道であおり運転殴打事件が起きるなどし、厳罰化を求める声が高まっている。 ■煽り運転 相手の運転者を威嚇する目的の危険な運転。 異常接近や蛇行運転の他、急な車線変更、クラクションやハイビームでの挑発などが含まれる。 2017年6月に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停止させられた車の夫婦がトラックの追突で死亡した事故を契機に社会問題化した。 警察庁は翌2018年1月にあらゆる法令を駆使した捜査や徹底的な取り締まりを全国の警察に指示。 だが、2019年8月に茨城県の常磐自動車道で煽り運転殴打事件が起きるなどし、厳罰化を求める声が高まっている。 ■煽り運転厳罰化のポイント ・道交法の条文を改正し、煽り運転を定義 ・違反1回で15点以上、免許即取り消し ・再取得までの欠格期間は1年以上 ・罰則は2〜3年以下の懲役や30万円以下の罰金を軸に検討 ・摘発対象は「運行の妨害目的」で「交通の危険を生じさせる恐れ」を引き起こした場合など ●自民、あおり運転厳罰化要望相次ぐ 免許「永久剥奪」も 2019.12.6 18:30 https://www.sankei.com/politics/news/191206/plt1912060023-n1.html 自民党が6日、党本部で開いた交通安全対策特別委員会(平沢勝栄委員長)では、あおり運転の厳罰化を求める意見が相次いだ。 警察庁はこれを踏まえ、あおり運転を定義した上で罰則を創設する道交法改正案の検討を急ぎ、来年の通常国会での成立を目指す。 抑止力を高める狙いがある。 会合後に記者会見した平沢氏によると、出席議員からは 「罰則の強化を早くしてほしい」 といった声が最も多かった。 「一度あおり運転をした人は運転に適していない」 「免許を永久剥奪してはどうか」 との意見もあったが、警察庁は 「かえって無免許運転が増える」 などと難色を示し、一定期間の免許取り消しを検討すると説明した。 平沢氏は 「今、あおり運転が野放しになっている」 「あまり軽い罰則なら了解できない」 「暴行罪や酒酔い運転などより軽いことはないと思う」 と強調した。 <参考> 日産新型デイズ ■SOSコール 日産コネクトナビと連携し、ルーフのボタンでオペレーターを呼んで、事故や緊急事態に素早く対応できる 「SOSコール」 も設定。 ■SOSコール ヘルプネットのSOSコールもオプションで選べる。 運転席/助手席の天井部分にSOSコールスイッチが装着され、緊急時に押すと専門のオペレーターが対応する。 煽り運転など周囲の車両から危害を加えられた時にも使える。 またエアバッグが展開して乗員が応答しない時でも、警察や消防への通報も可能で、車両のデータから重症と判断された時は、状況に応じて、消防がドクターヘリの出動手配をする場合もある。 「日産コネクトナビ」、「SOSコール」、前後に「ドライブレコーダー」をオプションで付ければ、あおられたら 「ドライブレコーダー」 で記録し、走行しながら 「SOSコール」 でオペレーターを呼んで警察へ通報する。 自車位置もGPSで分かる。 同乗者がいる場合はビデオカメラで撮影する。 停止させられたら自分でもビデオカメラ撮影も可能。 付近の防犯カメラや付近の車両のドライブレコーダーに写っている可能性もある。 第3者の証言者がいる可能性もある。 あおり、免許取り消しへ 警察庁検討 違反累積なしで適用 2019年11月8日 朝刊 https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110802000132.html 社会問題化している 「あおり運転」 対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度を改正する方向で検討していることが分かった。 行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを道路交通の場から排除して事故を未然に防ぐ狙いがある。 年明けの通常国会に関連法案を提出する見通し。 現行では悪質で危険な運転でも事故を起こして危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、違反の累積がない運転者は免許取り消しにはならず、政府、与党内からも関連法改正による罰則強化を求める声が上がっている。 あおり運転を巡っては、車間距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反の昨年1年間の摘発が前年比倍増の1万3025五件(うち高速道路上1万1793件)に上った。 悪質運転が横行し、警察が摘発を強化している実態がうかがえる。 道交法は、車を使って暴行事件を起こすなどした運転者について、交通違反の点数の累積がなくても、運転により交通の危険を著しく生じさせる恐れがある 「危険性帯有者(きけんせいたいゆうしゃ)」 として、最長180日間の免許停止にできると規定している。 免許取り消しは、道交法施行令の危険性帯有者に関する処分の基準を改正して適用する案や、道交法であおり運転に関する新たな罰則を設けるなどして点数制度により適用する案が考えられているという。 取り消し後に再取得が可能になるまでの 「欠格期間」 も検討中。 現行では速度超過など一般的な違反による取り消しは1〜5年、酒酔いや危険運転致死傷など特定の違反は3〜10年と規定されている。 あおり運転は2017年に神奈川県の東名高速道路で、無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故を契機に問題化。 警察庁は2018年1月、あおり運転対策として、 ▽危険運転致死傷罪や暴行罪などあらゆる法令を駆使した捜査 ▽車間距離保持義務違反など道交法違反による徹底取り締まり ▽危険性帯有者の積極的適用−などを全国の警察に指示した。 ◆恣意的運用防ぐ必要 <横浜国立大教授(刑事法)の工藤昇弁護士の話> 現行の道交法などにはあおり運転を正面から取り締まる規定はない。 警察はさまざまな法令を駆使して摘発の努力をしているが、やはり限界があり、免許取り消しを含めて新たな規制をかける方向性は必要だ。 事故防止の効果も期待できるだろう。 ただ、一概にあおり運転と言ってもさまざまな態様があり、法令などで抽象的に定義してしまうと、何でも罰則適用ということになりかねない。 恣意的に運用される余地がないよう、適正な定義を定めることが重要になる。 <危険性帯有者> 車などを運転することで、道路上の交通に著しい危険を生じさせる恐れがある状態の者を意味する用語で、道交法103条で規定されている。 都道府県の公安委員会は、最長180日間の運転免許停止処分を科することができる。 運転者が危険性帯有者と判断される主な行為は (1)覚醒剤・麻薬の使用 (2)車を使って著しく交通の危険を生じさせる恐れがある犯罪 (3)無免許や飲酒運転など違反行為の命令や容認 (4)暴走行為の同乗 などとされている。 ●あおり運転、免許取り消しへ 悪質ドライバー排除狙い、警察庁 共同通信社 2019/11/08 06:28 © KYODONEWS あおり運転をして、エアガンを発射したワゴン車=9月8日、愛知県内の東名高速道路(被害者男性提供) 社会問題化している 「あおり運転」 対策として、悪質で危険な運転には免許取り消しができるよう、警察庁が制度を改正する方向で検討していることが7日、分かった。 行政処分では最も重い免許取り消しを適用することで、悪質なドライバーを道路交通の場から排除して事故を未然に防ぐ狙いがある。年明けの通常国会に関連法案を提出する見通し。 現行では悪質で危険な運転でも事故を起こして危険運転致死傷容疑などで摘発されない限り、違反の累積がない運転者は免許取り消しにはならず、政府、与党内からも関連法改正による罰則強化を求める声が上がっている。 「産経新聞」 あおり運転をめぐっては、車間距離を詰め過ぎる道交法の車間距離保持義務違反の昨年1年間の摘発が前年比倍増の1万3025件(うち高速道路上1万1793件)に上った。 悪質運転が横行し、警察が摘発を強化している実態がうかがえる。 ●あおり運転で免許取り消し検討 警察庁 社会・くらし 2019/11/7 18:37 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51914050X01C19A1CR8000/ 社会問題になっている 「あおり運転」 を含めた悪質な危険運転行為について、警察庁が免許取り消しの対象となるよう制度改正を検討していることが7日、分かった。 事故を起こさない場合でも、重い行政処分の対象とすることによって悪質なドライバーを排除する狙い。 今後詳細な制度設計を議論する。 画像の拡大 2017年6月、無理やり停止させられた車の夫婦にトラックが追突し死亡した事故で、移動される車両(神奈川県大井町の東名高速道路)=共同 制度改正の方法として、道路交通法にあおり運転に関する規定を設けて免許の違反点数を取り消しに達するまで引き上げることや、違反点数の累積がなくても最長180日間の免許停止ができる道交法の 「危険性帯有者」 の処分基準を見直すことなどが想定される。 あおり運転は前方の車に急接近したり、不必要な急ブレーキをかけたりする行為。 現状は主に道交法上の 「車間距離保持義務違反」 にあたり、高速道路の場合では、罰則が3月以下の懲役または5万円以下の罰金で、違反点数は2点となっている。 死亡事故に発展する重大事故が相次ぎ発生し、警察はより罰則が重い暴行罪など刑法の積極適用に加え、最長180日間の免許停止とする処分を進めている。 ただ、現行制度での取り締まりに限界があるとの指摘もあり、警察庁はあおり運転の厳罰化を検討。 道交法にあおり運転を禁止する規定を新設する案や、車間距離保持義務違反の罰則を重くする案などが浮上しており、2020年の通常国会での道交法改正を視野に入れている。 ●あおり運転、免許取り消し検討…現行の道交法に違反定義なし 2019/11/8 8:56 https://www.yomiuri.co.jp/national/20191108-OYT1T50054/ 悪質な 「あおり運転」 による死亡事故などが相次いでいることを受け、警察庁が道路交通法に禁止行為を定義し、違反者の運転免許を取り消す処分を検討していることがわかった。 あおり運転は周囲の車両に急接近したり、進路を妨害したりする危険行為だが、現行法には定義されていない。 道交法の車間距離保持義務違反で摘発した場合も、違反点数は高速道路で2点、一般道で1点にとどまる。 警察庁では道交法と施行令を改正して懲役などの罰則を強化するとともに、あおり運転をした場合の行政処分も、違反点数を即座に免許取り消し(15点以上)になるまで引き上げることを検討している。 道路交通法の改正案については、来年の通常国会への提出を目指している。 あおり運転を巡っては、全国の警察が道交法より罰則が重い刑法で摘発しているほか、著しく交通の危険を生じさせる恐れがある 「危険性帯有者」 と認定し、累積点数にかかわらず、最長180日間の免許停止にするなどしている。 東京高裁の破棄・審理差し戻しの判断や朝山裁判長の言い分はおかしい。 公判前整理手続きと審理した後の公判後で判断が変わっても全くおかしくない。 公判前整理手続きの判断が変わってはいけない前提であれば、審理する意味がない。 1審横浜地裁の裁判員裁判の 「危険運転致死傷の罪を適用した」 との判断は支持する。 ただし、量刑は 「死刑」 にすべきだった。 1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で 「危険運転致死傷の罪を適用できると判断した」 ことは評価できる。 ただし、1審横浜地裁の裁判員裁判の判決で 「被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとした」 との判断はおかしい。 車を停車させたことで他の車に追突されて死亡したことは明らかだ。 そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したからで、夜間の高速道路で相応の交通量があったことも踏まえれば、停車することが危険であることは明白なのだから、 「停車行為まで含めて危険運転」 と判断すべきだ。 犯行動機も異常で情状酌量の余地は全くない。 懲役18年は短すぎる。 死刑にするべきだ。 被告に罪を償わせる妥当な量刑は死刑以外にない。 そもそも危険運転致死傷罪の最高刑が懲役20年というのは軽すぎるし、適用範囲も狭すぎて法律自体に不備がありがおかしい。 被害者や遺族、被害者の友人らが可哀想すぎる。 きっかけを作ったのは被害者などと被告を擁護する意見もあるようだが、被告の 「あおり運転=危険運転」 「危険な高速道路上に停止させた」 行為を正当化する理由などには全くならず、被告に情状酌量の余地は全くない。 犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。 同種事案の中でも重い部類に属する。 他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。 被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。 刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、被告の責任は免れない。 どうせなら被告が死んでいればよかったのに。 なお、後続車の責任云々などというのは論外。 現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。 事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。 あくまで責任は被告にある。 それにしても、日本の法律・判決・量刑は犯罪者に甘すぎる。 殺人でさえなかなか死刑にならない。 東名あおり運転、一審判決を破棄 「訴訟手続きに違法」 朝日新聞社 2019/12/06 11:49 神奈川県の東名高速で2017年6月、あおり運転の末に夫妻を事故で死亡させたなどとして、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩(かずほ)被告(27)の控訴審判決で、東京高裁(朝山芳史裁判長)は6日、同罪の成立を認めて懲役18年(求刑懲役23年)とした一審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻した。 朝山裁判長は同罪の成立を認めつつも、一審の公判前整理手続きで裁判官が 「同罪は認められない」 と表明しておきながら、判決で認めたのは弁護側に対する不意打ちにあたると指摘。 手続きに違法があると判断した。 この事件では、警察が過失運転致死傷(懲役年以下)の疑いで石橋被告を逮捕したが、検察は法定刑がより重く適用ハードルの高い危険運転致死傷罪(懲役1〜20年)で起訴。 事故は石橋被告が車を停車させた時に起きており、危険運転に問えるのかが大きな争点になっていた。 裁判員裁判で審理された昨年12月の一審判決は、 「車を止めた時点で危険運転は途切れた」 と検察側の主張を退けつつ、パーキングエリアでトラブルになった萩山嘉久さん(当時45)に文句を言うために停車させたいという 「一貫した意思」 であおったのだから、停車後の暴行までが密接に関連する一体の危険運転だと解釈。 夜の高速で車を止めれば重大事故が起きるのは当たり前だとし、追突との因果関係も認めた。 控訴した弁護側は、停車後の行為まで 「危険運転」 に含めるのは法の想定を超えていると反論した。 また停車後2分間に多くの後続車がよけるなか、追い越し車線の走行を禁じられた大型トラックが突っ込んでいると指摘。 安全な車間距離をとっていないトラック運転手の過失まで被告に負わせるのは不当だとし、同罪の成立を否定していた。 東名あおり運転 判決要旨 2018年12月15日 産経新聞 【主文】 石橋和歩(かずほ)被告を懲役18年とする。 【危険運転致死傷罪の構成要件】 自動車運転処罰法が定める 「重大な交通の危険を生じさせる速度」 とは、通行を妨害する目的で相手方に著しく接近した場合に、自車が相手方と衝突して大きな事故を生じさせたり、事故の回避が困難になったりすると一般的に認められる速度と解される。 被告が直前に自車を停車させた時速ゼロの状態が一般的にそのような速度と認められないのは明らかだ。 法律の文言上、自動車を進行させることが前提になると解され、停止まで含まれるというのは解釈上無理があり、被告による停車が罪の実行行為に当たるとする検察官の主張は採用できない。 以上により、被告の4度にわたる妨害運転は危険運転致死傷罪の実行行為に該当するが、停車は該当しないと判断した。 【因果関係の有無】 被告はパーキングエリアで被害者から非難されたことに憤慨し、停車させて文句を言いたいとの一貫した意思の下で4度の妨害運転に及び、その後に減速して自車を停車させた。 被告が被害者の車両直前で自車を停車させたのは、妨害運転と密接に関連する行為だ。 被害者の車は短時間で繰り返された妨害運転に対し、車線変更などで逃れようとしても逃れられなかった。 被告の車の進入、接近、減速状況や当時の交通量からすると、被害者の車は停車せざるを得なかったというべきだ。 双方の車の停車後、被告が被害者の車に近づいて暴行などに及んだことも、文句を言いたいとの妨害運転開始当初からの一貫した意思に基づくものと認められ、やはり妨害運転と密接に関連する行為だ。 現場は高速道路の追い越し車線であり、夜間で相応の交通量があったことも踏まえれば、後続車の衝突回避措置が遅れて追突する可能性は高く、被害者の生命、身体に対する危険性は極めて高かった。 事故は停車から2分後、被害者への暴行後に起きており、追突の可能性が何ら解消していない状況だった。 以上により、今回の事故は被告の4度の妨害運転と、密接に関連した双方の車両の停車、被害者への暴行などに誘発されて生じたといえる。 被害者らが死傷した結果は、被告の妨害運転によって生じた事故発生の危険性が現実化したもので、因果関係が認められる。 従って、危険運転致死傷罪が成立する。 【量刑の理由】 被告は夜間で相応の交通量がある高速道路で短時間に4回もの妨害運転をしており、それ自体が危険な態度だ。 何度も止められたにもかかわらず、妨害運転や暴行に及んでおり、強固な犯意に基づく執拗な犯行だ。 複数人が死傷した結果は重大で、家族旅行の帰りに突然命を奪われた被害者夫婦の無念さは察するに余りある。 両親を1度に失った遺族の悲しみは深く、被告に厳罰を求めるのも当然だ。 身勝手で自己中心的な動機から短絡的に犯行に及び、酌むべき余地はない。 犯行は被害者からの非難がきっかけになっているが、そもそも被告が通路に自車を駐車したのが問題で、非難されたからといって今回の犯行に及ぶのは常軌を逸している。 同種事案の中でも重い部類に属する。 他の事件を含め、約3カ月半で4件の犯行を行ったのは強い非難に値する。 被告は2度と運転しないなどと反省の弁を述べているが、真摯な反省とまでは評価できない。 刑事責任は重大で、保険による相当額の損害賠償が見込まれることなどの事情を考慮しても、懲役18年の刑は免れない。 【主張】危険運転致死傷罪 「あおり」根絶へ法整備を 2018.12.15 05:00 産経新聞 法は、善良な人々を守るために存在すべきである。 条文に不備があるなら、改正を躊躇すべきではない。 東名高速道路で昨年6月、執拗なあおり運転を受けて停車させられた夫婦がトラックに追突されて死亡した事故で、横浜地裁の裁判員裁判は石橋和歩被告に危険運転致死傷罪を適用し、懲役18年の判決を言い渡した。 判決は、被告のあおり運転と夫婦の死亡に因果関係があると認定して同罪を適用した。 一方で、高速道路上に停止させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件である 「重大な危険を生じさせる速度」 とするのは、解釈上無理があるとも指摘した。 同罪があくまで 「走行中」 の行為を対象とし、停車中の事故を想定していない以上、妥当な指摘といえるだろう。 だがそれは条文の不備であり、被告の悪質な運転を何ら正当化するものではない。 高速道路上で強制的に停車させる行為が 「危険な運転でない」 はずがない。 危険運転の罪は平成11年に東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車が炎上し、女児2人が焼死した事故をきっかけに新設された。 だが、当初は立証のハードルが高く、条文が想定しない悪質運転による事故が頻発し、適用条件を拡大する法改正を重ねてきた。 まだ足りなかったということだ。 (中略) 裁判では、亡くなった夫婦の長女が証人として出廷し、 「世の中のあおり運転を少しでも減らすために重い刑罰にしてほしい」 と訴えた。 涙の訴えを、立法府もわがことと受け止めるべきだ。 東名あおり2審も「危険運転」認定 手続きに違法、審理は差し戻し 東京高裁判決 2019.12.6 18:37 https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060041-n1.html 神奈川県大井町の東名高速道路で平成29年6月、あおり運転により停車させられた夫婦が後続の大型トラックに追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた無職、石橋和歩(かずほ)被告(27)の控訴審判決公判が6日、東京高裁で開かれた。 朝山芳史裁判長は、懲役18年とした1審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。 危険運転致死傷罪の成立を認めた1審の判断に誤りはないとしたが、訴訟手続きに違法があったとした。 朝山裁判長は公判前整理手続きで裁判官が 「同罪の成立は認めない」 と検察官や弁護人に表明しながら、成立を認めて有罪判決を出したと指摘。 弁護側に対する 「不意打ち」 に当たり、同罪が成立する見通しで反論していれば 「因果関係や量刑に影響した可能性がある」 として、改めて裁判員裁判で審理を尽くすことが相当だとした。 弁護側は控訴審で、妨害運転と死亡事故の因果関係はないとして改めて無罪を主張。 訴訟手続きについても 「公正な審理を受ける権利を侵害された」 として違法性を訴えていた。 検察側は控訴棄却を求めていた。 判決によると、石橋被告は29年6月5日夜、走行中だった静岡市の萩山嘉久さん=当時(45)=一家のワゴン車にあおり運転を繰り返し、追い越し車線上で停車させ、大型トラックによる追突で、萩山さんと妻の友香さん=同(39)=を死亡させ、同乗の娘2人にけがをさせた。 「危険運転」2審も認定、法曹界で割れる見解 2019.12.6 20:19 https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060049-n1.html 平成29年に萩山嘉久さん=当時(45)=夫婦が死亡した東名高速道路のあおり運転事故の控訴審は、 「運転行為」 に対する処罰を定める危険運転致死傷罪が、停車後の事故に適用できるかが最大の焦点だった。 東京高裁は6日、無職の石橋和歩(かずほ)被告(27)を懲役18年とした1審横浜地裁の裁判員裁判判決を破棄し、審理を差し戻した。 石橋被告は、4回にわたり夫婦の車の前に車線変更するなどのあおり運転(妨害運転)を実施。 その後、夫婦の車の前に停車した。 夫婦の車も停車し、そこに大型トラックが追突した。 東京高裁判決は、一般的に低速度の運転では事故の危険が高いといえず、速度ゼロの停車状態も、同罪の構成要件である 「危険を生じさせる速度での運転」 には該当しないと判断。 一方で妨害運転の影響で夫婦の車が停車したとして事故との因果関係を認めた。 1審判決でも、停車状態を同罪に当たるとみるのは 「解釈上無理がある」 と指摘。 ただ、被告の妨害運転と停止行為は 「密接に関連する行為」 として同罪の成立を認めた。 あおり運転が社会問題化する契機となった今回の事故の公判では 「停車後の事故」 という法が明文化していない態様について、法曹界でも見解が分かれた。 甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は高速道路上で被害者家族の車の前に割り込んで停車させた被告の危険な行為について 「危険運転致死傷罪の想定外だった」 と指摘。 その上で同罪の成立を認めた1、2審判決は 「犯罪行為と刑罰の対象をあらかじめ定める 『罪刑法定主義』 に照らせば法の拡大解釈と言わざるを得ない」 と疑問視する。 これに対し、元検事の高井康行弁護士は 「事故が起きた瞬間は停車中だが、車を無理やり停車させる行為が追突事故を招いたのは明らかだ」 と述べ、1、2審判決に理解を示す。 横浜地裁に審理を差し戻した高裁判決は 「1審が認定した事実関係の下であれば」 同罪が成立すると判断した。 検察、弁護側双方が高裁判決を受け入れれば、別の裁判員による裁判員裁判差し戻し審が開かれ、改めて検察側と弁護側の主張立証の機会が設けられる。 ベテラン裁判官によると、差し戻し審では 「法律上、高裁が示した法律判断には縛られない」 ため、結論が変わることもあり得るが、停止行為に関する法解釈や因果関係で2度、同様の見解が示されたことは、今後の審理にも影響がありそうだ。 石橋被告の代理人の高野隆弁護士は、判決後に記者会見し 「差し戻しは承服できる」 と述べた。 東京高検の久木元伸次席検事は 「判決を検討し適切に対処する」 としている。 「結論までに時間、歯がゆい」東名あおり控訴審判決に遺族落胆 2019.12.6 20:06 https://www.sankei.com/affairs/news/191206/afr1912060048-n1.html 平成29年に萩山嘉久さん=当時(45)=夫婦が死亡した東名高速道路のあおり運転事故で、東京高裁は6日、無職の石橋和歩(かずほ)被告(27)を懲役18年とした1審判決を破棄し、審理を差し戻した。 萩山さんの母、文子さん(79)は判決後に東京都内で記者会見し、 「前進ではなく後退」 「裁判がさらに長引き、結論が出るまで時間がかかると思うと歯がゆい」 と語った。 「(1審の)懲役18年の判決より軽くなってほしくない」。 文子さんはそう願って法廷に赴いたが、高裁判決は1審判決を破棄し、審理を横浜地裁に差し戻す内容に。 「まさかこんな判決が出るとは思わなかった」 「逆戻りした感じで、まだ頭がまとまっていない」 と話し、嘉久さんの墓前に 「早くいい結果を報告しなければならないのに」 と言葉を詰まらせた。 法廷で見た石橋和歩被告は無表情で 「反省しているようには見えなかった」 という。 事故はあおり運転が社会問題化する契機となった。 文子さんは 「早くしっかりとした法律を作ってほしい」 と期待を寄せた。 2018年12月15日 産経新聞 ◆判例に沿って適切な結論 法政大学法科学院の今井猛嘉教授(刑法)の話 追突事故の直前に被告が停車した行為が危険運転にあたらない、とした横浜地裁の判断は、自動車運転処罰法の条文の文言に沿うものだ。 「止まっている車に危険運転が適用できない」 というのは、常識的な考え方。 また、停車するために被告が行った危険な運転と、被害者の車を妨害するために被告が行った危険な運転と、被害者の死亡との間に因果関係があると判断した点も、従来の判例に沿っており、いずれも適切な結論といえる。 懲役18年という量刑は、2人が死亡したという結果に照らせば、重すぎるということはないだろう。 危険運転が適用されるような死亡事故を抑止するため、道交法を活用し、あおり運転を未然に検挙していくことが必要だ。 ◆法改正も検討すべきだ 首都大学東京の星周一郎教授(交通犯罪論)の話 今まで判決が出されたことのないケースに、踏み込んだ判断をしたという印象だ。 被告は4度の妨害運転をした後、追突事故までの間に、車を止めて社外に出た上で、被害者の胸ぐらをつかむなどしている。 妨害運転と死亡の因果関係は薄い事案だが、横浜地裁は危険運転致死傷罪を広く解釈して因果関係を認めた。 仮に控訴審へ行った場合、どう評価されるかは不透明だ。 危険運転致死傷罪が適用されずに過失運転致死傷罪となった場合、法定刑の上限は懲役20年から7年となり、落差が大きい。 危険運転への社会の目が厳しくなる中、法律も変わるべきで、故意か過失かにかかわらず生命を脅かす運転を罰する刑罰を科すべきだ。 東名あおり事故、石橋和歩被告に懲役18年判決 横浜地裁 危険運転致死傷罪認める 2018.12.14 11:14 https://www.sankei.com/affairs/news/181214/afr1812140006-n1.html 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて停車させられた夫婦がトラックに追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた建設作業員、石橋和歩被告(26)の裁判員裁判の判決公判が14日、横浜地裁で開かれ、深沢茂之裁判長は懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡した。 深沢裁判長は 「4度の妨害運転後に停止させたのは密接に関連した行為といえる」 「死傷の結果は妨害運転によって現実化した」 と述べ、被告のあおり運転と夫婦の死亡に因果関係があると認定し、危険運転致死傷罪が成立すると判断した。 あおり運転は事故現場前のパーキングエリアで乗用車の駐車方法を注意されて逆上したことが発端。 判決は 「常軌を逸しており、強固な意志に基づく執拗な犯行で結果は重大」 「家族旅行の帰りに突然命を奪われた無念は察するに余りある」 として、被告について 「真摯に反省しているとまでは言えない」 とした。 一方で、高速道路上で停車させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件の 「重大な危険を生じさせる速度」 とするのは解釈上無理があると指摘。 停車状態で大きな事故が生じたり、事故の回避が困難になったりするとは認められないとした。 判決によると、石橋被告は昨年6月5日夜、走行中の萩山嘉久さん=当時(45)=一家のワゴン車に妨害行為を繰り返して追い越し車線上で停止させ、大型トラックによる追突で、萩山さんと妻の友香さん=同(39)=を死亡させ、同乗の娘2人にけがをさせたなどとしている。 4度の妨害運転を「危険運転」と認定 東名あおり事故、前例ない類型、難しさも 2018年12月14日 https://special.sankei.com/a/society/article/20181214/0004.html?_ga=2.22279859.983795351.1544682656-599924853.1544492342 2人の命が失われた悪質な運転に、裁判員裁判は危険運転致死傷罪を適用した。 石橋和歩被告(26)に懲役18年を言い渡した14日の横浜地裁判決は、被告が事故前に繰り返し行った執拗な妨害運転が死亡事故に結びついたと判断、 「死傷事故の中でも重い部類」 と断じた。 一方、判決後に会見した裁判員は、法律に規定されていない類型を判断する難しさをにじませた。 あおり運転を受けて停車させられた萩山(はぎやま)嘉久(よしひさ)さん=当時(45)=夫妻がトラックに追突され死亡した事故。 「運転行為」に対する処罰を定める危険運転致死傷罪が停車後の事故に適用できるかどうかが最大の争点となった。 同罪は、 @妨害目的で他の車に接近するなどし A重大な危険が生じる速度で運転する行為 を処罰対象としているが、今回の事故は、被告が萩山さんの車の前で停車した際に発生した。 検察側は、停車も 「重大な危険が生じる速度」 に含まれ 「停車行為まで含めて危険運転」 と主張したが、 判決は 「文言の解釈上、無理がある」 と退けた。 では、どうやって危険運転致死傷罪を適用したのか。 地裁が注目したのは、被告の停車行為よりも前に行われた妨害運転だ。 地裁は、萩山さんから駐車方法を注意された被告が 「停車させて文句を言おうと考えた」 と指摘。 進路を妨害する目的で、4度にわたり萩山さんの車の直前に進路変更し、減速するなどの運転を繰り返した。 これによって、萩山さんの車は高速道路の追い越し車線上で停車することを余儀なくされた。 地裁は、4度の妨害運転、停車、萩山さんの胸ぐらをつかむ暴行ーという 「密接に関連した行為」 が事故を誘発したと判断。 停車行為を含まなくとも、妨害運転そのものが危険運転にあたるとした。 検察側は初公判前に、法定刑の上限が懲役20年の監禁致死傷罪を予備的訴因として追加。 危険運転致死傷罪の同20年だが、過失運転致死傷罪は同7年のため、前例のない類型で危険運転が認められなかった場合に備えた措置とみられる。 判決では、予備的訴因については判断しなかった。 ◆遺族と目合わせず 「被告人を懲役18年の刑に処す」。 判決の瞬間、石橋和歩被告は立ち上がって前を向き、深沢茂之裁判長の判決言い渡しを聞いていた。 その後、判決理由が読み上げられると、うつむいたまま証言台の椅子に座り、時折腕を組んだりするなど落ち着かない様子を見せ、検察側後方に座る遺族に目を向けることはなかった。 判決言い渡しに先立ち、深沢裁判長から 「何か言いたいことは」 と問われると 「ない・・・」 と返答。 判決理由読み上げ後、 「分かりましたか」 と問われた際には 「はい」 と小さな声で答えた。 ◆裁判員「毎日葛藤」 危険運転致死傷罪が認定されるかが最大の争点となっていた今回の裁判員裁判。 裁判員を務めた6人のうち女性1人が14日、記者会見し、 「(公判会期中)責任を感じ、毎日葛藤していた」 と心情を吐露した。 会見で相模原市の女性会社員(45)はこれまでの公判について 「被害者側の気持ちになることが多く、公平に判断するという点で悩んだ」 と話した。 女性は 「前例のない事件」 「基にする資料がなかったが、みんなで話す中で冷静に判断できるようになった」 と述べた。 量刑は類似事件の過去の判例などを踏まえた上で 「いろんな意見が出たが、最終的にみんなで納得した」 とし、裁判員として参加したことについては 「(あおり運転は)日常起こり得ること」 「関われてよかった」 と述べた。 ◆長女「気持ち考慮してくれた」 判決を受け遺族3人がコメントを発表した。 ・萩山嘉久さん、友香さん夫妻の長女(17) 「私たちの気持ちを考慮してくれた判決でよかったです」 「ありがとうほざいます」 ・友香さんの父(73) 「危険運転致死傷罪で認定してくださったことに感謝します」 「判決についてはそのまま受け止めたいと思います」 ・嘉久さんお母、文子さん(78) 「全面的に納得できるものではありませんが危険運転と認められたことはよかったと思います」 「あおり運転がなくなることを切に願います」 東名あおり 懲役18年 控訴審ならどうなる 専門家「やや強引な判決」 2018年12月15日 夕刊フジ あおり運転を社会問題化させた事件に1つの決着が付いた。 東名高速道路での夫婦死亡事故の裁判員裁判で、横浜地裁は14日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪の適用を認め、石橋和歩被告(26)に懲役18年(求刑懲役23年)の判決を言い渡した。 被害者側の処罰感情に配慮した判決といえるが、法曹関係者は 「やや強引な判決ではないか」 と指摘する。 弁護側が控訴した場合、量刑は変わるのか。 「私たちの気持ちを考慮してくれた判決で良かったです」。 死亡した萩山嘉久さん=当時(45)=と妻の友香さん=同(39)=の長女はこうコメントを出した。 遺族をサポートする中江美則さん(55)も 「(嘉久さんらも)ちょっとほっとしているのではないか」 と述べた。 裁判員の女性は報道陣の取材に応じ 「被害者側の気持ちになることが多く、公平に判断するという点で悩んだ」 と複雑な心境を吐露した。 判決で裁判所が危険運転に当たると判断したのは、事故発生当時の停車状態ではなく、事故直前までの妨害運転だった。 これについて弁護士の高橋裕樹氏は 「そもそも萩山夫妻が死亡した直接の原因は、石橋被告の車が停車し、その場から動けなくなった状態で後続のトラックが衝突したことだ」 「しかし裁判所は、停止行為自体を危険運転ではないと判断しつつ、直前のあおり運転とその後の一連の行為を一括りにして同罪を適用してしまった」 と指摘した。 「これでは類似の事件の裁判でも、 『事故の直接の原因が何か』 ということを脇に置いて、直前までにあおり運転があったのなら、同罪が適用できるようになってしまう」 「それはやや強引ではないか」 と危惧する。 弁護側が控訴した場合、判決がひっくり返る可能性はあるのか。 前出の高橋氏は 「検察側は、最高刑が懲役20年の監禁致死罪を予備的訴因としている」 「仮に控訴したしても危険運転致死傷罪が覆っても、石橋被告の量刑には変動が生じない可能性も考えられる」 とみる。 判決を聞いた後、これまでの公判と変わらない様子で遺族を見ることもなく法廷を後にした石橋被告は何を思うのか。 あおり運転事故裁判 懲役18年の判決 危険運転の罪認める 2018年12月14日 14時07分 NHK 神奈川県の東名高速道路であおり運転をきっかけに家族4人が死傷した事故の裁判で、横浜地方裁判所は、被害者の車の進路をしつこく妨害したり走行車線に停車したりした被告の行為が追突事故を誘発したとして、危険運転の罪を適用しました。 そのうえで、 「常軌を逸した犯行であり、刑事責任は重大だ」 として、懲役18年を言い渡しました。 去年6月、神奈川県の東名高速道路で、あおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、萩山嘉久さん(45)と妻の友香さん(39)が死亡し、娘2人がけがをしました。 福岡県中間市の無職、石橋和歩被告(26)が、あおり運転の末に事故を引き起こしたとして、危険運転致死傷などの罪に問われました。 これまでの裁判員裁判で、検察が懲役23年を求刑したのに対し、弁護士は、被告が車を止めたあとに起きた事故に危険運転の罪は適用できないとして、この罪について無罪を主張していました。 14日の判決で、横浜地方裁判所の深沢茂之裁判長は、被告が走行車線に車を止めたこと自体は危険運転には当たらないとしたものの、それ以前に4回にわたって萩山さんの車の進路を妨害した行為などとは密接に関連し、追突事故を誘発する原因になったとして、危険運転致死傷の罪を適用できると判断しました。 そのうえで、 「パーキングエリアで駐車のしかたを注意されたからといって一連の犯行に及んだのは、常軌を逸していて、くむべき事情はない」 「強固な意思に基づく犯行で、刑事責任は重大だ」 「家族旅行の帰りに、突如、命を奪われた被害者の無念さは察するにあまりある」 と指摘し、石橋被告に懲役18年を言い渡しました。 判決の言い渡しのあと、石橋被告は、裁判長から 「内容はわかりましたか」 と尋ねられると 「はい」 と答え、遺族のほうに目を向けることなく法廷をあとにしました。 ◆傍聴希望者 約700人 石橋被告に対する判決の言い渡しを傍聴しようと、横浜地方裁判所には大勢の人が訪れました。 裁判所によりますと、41の傍聴席に対し682人の希望者が並んだということで、抽せんの倍率は16倍を超えました。 ◆萩山さん夫婦の長女「気持ち考慮してくれた判決 よかった」 判決について、萩山さん夫婦の17歳の長女は 「私たちの気持ちを考慮してくれた判決でよかったです」 というコメントを弁護士を通じて出しました。 また、亡くなった萩山友香さんの73歳の父親もコメントを発表し、 「危険運転致死傷罪を認定して下さったことに感謝します」 「懲役18年についてはいろいろな考え方もあると思いますが、ここに至るまでの皆さまのご尽力によるものなので、私としてはそのまま受け止めたいです」 と心境をつづっています。 萩山嘉久さんの母親の文子さんは 「量刑について全面的に納得できるものではありませんが、被告の行為が危険運転と認められたことは良かったと思います」 「今回の裁判で自分の気持ちに1つの区切りをつけたいと思います」 「これからあおり運転などの危険な運転がなくなってくれることを切に願います」 というコメントを弁護士を通じて出しました。 ◆友香さんの友人「短すぎて理解できない」 言い渡しのあと、亡くなった萩山友香さんの高校時代の友人だという女性は、懲役18年の量刑について 「あのような危険な運転を繰り返しているのに、懲役18年というのは短すぎて理解できません」 「ただ、2人はもう戻ってはこないので、被告は決められた刑で罪を償ってほしいです」 と話しました。 また、 「被告は裁判中ずっと腕を組んだり顔を触ったりしていて、ちゃんと聞いているのかなと思いました」 「『本当に反省していますか』と直接尋ねたいです」 と話していました。 そのうえで、友香さんと最後に会ったときのことを振り返り、 「『またね』と言って別れたのでもう1度会いたいです」 と涙ながらに話していました。 ◆過去の事故の遺族も傍聴に 全国的に注目を集めた今回の裁判には、過去に交通事故で家族を失った当事者たちも傍聴に訪れました。 このうち中江美則さん(55)は、6年前、京都府亀岡市で小学生の列に無免許で居眠り運転の車が突っ込んだ事故で、児童に付き添っていた、当時妊娠中の娘を失いました。 中江さんは14日の判決について、 「危険運転が認められてよかったですが、懲役18年と求刑23年との5年の差の意味が明らかになっていないことに、ちょっと疑問が残っています」 と話していました。 また、中江さんは、萩山さん夫婦の残された娘たちと交流があるということで、 「証人尋問で娘さんが一生懸命戦っておられ、娘さんたちはよく頑張ったなと思います」 「しかし、この子たちがこれからも長い月日、苦しみ続けていくことを想像すると苦しすぎます」 と話していました。 ◆国家公安委員長「悪質運転抑止の取り組み効果的に推進」 今回の判決に関連し、あおり運転の抑止に向けた警察の今後の施策について、山本国家公安委員長は閣議のあとの記者会見で、 「あおり運転などの悪質危険な運転に対しては、道路交通法だけでなく、刑法などでの立件も視野に取締まりを行い、的確な行政処分も実施している」 「その結果、取締まりや免許の処分件数は大きく増加していて、引き続き、こうした取り組みを効果的に推進していきたい」 と述べました。 ◆元検事「一定の抑止効果ある判決」 判決について、元検事の高井康行弁護士は 「あおり運転の末に車を前に回り込ませて停止させたあとに起きた事故について、危険運転致死傷の罪を認めたのは初めてのケースと思われ、同じような行為について、社会に対して一定の抑止効果がある判決だと思う」 と話しています。 一方で、 「車を止めた行為、つまり時速0キロの状態を危険な運転行為と認めなかった点は問題があると思う」 「車の停止も運転に含まれることは明らかで、高速道路の追い越し車線で相手の直前で車を停止させた状況を踏まえると、この行為をそのまま危険運転と認定するほうが法律を作った趣旨にも合っているのではないか」 と指摘しています。 ◆裁判員の女性「みんなが納得して結論出した」 裁判員を務めた45歳女性が判決の後で記者会見に臨み、被告に危険運転の罪を適用した点について 「法律にはすごく縛りがあるなと感じました」 「評議では、法律論や感情論などさまざまな意見が出ましたが、最終的には裁判員みんなが納得して冷静に結論を出しました」 と振り返りました。 また、懲役18年という量刑の判断については 「刑の重さは被告や被害者側の人生を決めてしまうことでもあり、難しい判断でした」 「正直、今でも気持ちの整理がついていません」 と話しました。 このほか、あおり運転が後を絶たない現状に対し 「自分が意識していなくても事故に巻き込まれることがあると思いました」 「あおり運転はしてほしくないです」 とも話していました。 ◆弁護側「処罰の範囲拡大している」 判決について、石橋和歩被告(26)の弁護士は 「車線上に車を止めたことが危険運転致死傷罪の実行行為に該当しないという主張が認められた点は評価できる」 と述べました。 そのうえで、一連の行為に対し危険運転の罪が適用されたことについては 「走行中の車を前提にした法の趣旨を骨抜きにするもので処罰の範囲を拡大している」 と批判する一方で、 「高速道路上に車を強制的に停車させる運転が、生命・身体に大きな危険を生じさせることは明らかであり、被害者感情などと法制度の間に大きな隔たりがあることも事実で、立法による解決を図るほかないのではないか」 と指摘しました。 また、今後、控訴するかどうかについては 「判決文をよく精査し、法律の解釈や量刑などが妥当かどうか被告と協議していきたい」 と述べるにとどめ、 「被告にはしっかり更生することを望みます」 と話しました。 ◆横浜地検「量刑については判決内容を精査したい」 判決について、横浜地方検察庁の山口英幸次席検事は 「危険運転致死傷罪が適用された点については、検察の主張が認められたものと受け止めている」 「量刑については判決内容を精査したい」 とするコメントを出しました。
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