<■3452行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> [社説]石破政権は責任ある与野党協議で政策進めよ 社説 2024年11月11日 19:00 (2024年11月11日 23:15更新) https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK113UB0R11C24A1000000/ 特別国会の首相指名選挙で石破茂首相(自民党総裁)が再び選出された。 第2次内閣が始動する。 衆院選で自民、公明両党を合わせた議席が過半数を割り込み、少数与党での不安定な政権運営を余儀なくされる。 野党の賛成なしでは予算案も法案も成立させられず早晩行き詰まる。 政策ごとに野党の協力を得ながら懸案を処理していく必要がある。 着実に成果を積み重ねて国民の信頼を取り戻す他ない。 ■首相先頭に信頼回復を 首相は2024年11月11日夜の記者会見で、自民党の政治改革の案をとりまとめ、野党とも協議し2024年年内にも必要な法制上の措置を目指す考えを明らかにした。 半導体や人工知能(AI)分野に10兆円以上の公的支援をする意向も示した。 衆院の首相指名選挙は決選投票となり、首相が立憲民主党の野田佳彦代表を上回った。 衆院の常任委員長人事では、野党が衆院解散前の2ポストを上回る7ポストを手にした。 国会論戦の花形と言われる予算委員長も含み、与党は国会運営を主導しにくくなる。 自民党派閥裏金問題の真相究明と再発防止策をはじめ党のガバナンス改革に指導力を発揮し、踏み込んだ行動を示すよう求める。 政治改革特別委や法務委の委員長ポストは立民が掴んだ。 中略 国政に足踏みしている余裕はない。 内外に課題が山積している。 人口減・少子化と超高齢化社会を支える社会保障は持続可能な制度づくりが待ったなしだ。 日本経済が活力を取り戻すための成長戦略や資産運用立国への経済政策も岸田前政権から引き継がれた。 中略 エネルギー、経済、食料にまで及ぶ安全保障も長期の視点で最適解を見いだすのは国政の役目だ。 米国第一主義を掲げるトランプ前大統領の返り咲きが決まり、多国間の枠組みや安保政策、貿易への影響も懸念される。 それらは日本の国益に直結する。 政府は強固な日米同盟を維持しつつ、対米政策や国際協調に主体的に関わっていく努力が必要である。 ウクライナや中東では国際世論の警告を無視する形で戦線が拡大している。 ウクライナのゼレンスキー大統領は1万人を超える北朝鮮兵がロシアに送り込まれ、戦闘に参加していると語った。 北朝鮮に加え中国の軍事的脅威に日本は晒されており、抑止力を高めるべきだ。 同時に、隣国で経済的な繋がりが深い中国と対話を太くする取り組みも欠かせない。 政権基盤がぐらついて外交に影を落とせば国益を損なう。 政府はこれまでのように法案を原案通りに成立させるのは難しくなる。 国会提出前に与党の意見を反映して了承を求める事前審査と野党との交渉の並行作業になる。野党から内閣不信任案が提出される可能性もあり、与野党で合意を作れるかが試金石となる。 与野党で税制や社会保障、安全保障といった国の根幹の政策を議論し直す機会に出来ないか。 国民の目に見える形で知恵を出し合い、幅広い声を汲み取った政策を実現するのが与野党伯仲の選挙結果に込められた民意だろう。 ■野党も建設的に関われ 野党側にも注文をつけたい。 衆院選の公約に拘る余り要求の言いっ放しでは困る。 政策に必要な財源について経済成長による税収増や予算の使い残しで対応するだけでは無責任だ。 野党の主張を与党が丸吞みする展開が繰り返されると財政や税制に歪みが生じ、将来に禍根を残す。 国民に本当に必要な政策と考えるなら、建設的な提案や与野党協議、国会審議を通じて実現を促す役割が少数与党時代の野党に求められる。 国民に耳の痛い負担の議論からも逃げずに、持続可能な社会への改革案を競ってほしい。 政策を磨いて政権担当能力を示すことで国民の安心感に繋がり、政権交代への道も広がっていくだろう。 国政が停滞し、国民生活に支障が生じる事態は避けなければならない。 欧州では近年、少数与党や連立政権の国が少なくない。 日本でも政党の調整力が試される。 形骸化が指摘されてきた国会を与野党の熟議で活性化させたい。 来年2025年夏には参院選や東京都議選を控え、内向きの政争にかまければ国民の厳しい評価に晒される。 政治の力量を示す時だ。第2次石破内閣 不安定な政権はいつまで続く 2024/11/12 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241111-OYT1T50225/ 衆院選で惨敗したにもかかわらず、何事もなかったかのように第2次石破内閣が発足した。 国民の代表で国権の最高機関である国会の決定は尊重されなければならないが、憲政の常道に反するような無理押しの体制では、国政の混乱が長期化しかねない。 石破首相が衆参両院で行われた首相指名選挙を経て、引き続き政権を担うことになった。 衆院の1回目の投票では誰も過半数を得られず、石破氏と、立憲民主党の野田代表の上位2人による決選投票となった。 国民民主党などが決選でも党首名で投票した結果、それらが無効票となって、石破氏の選出となった。 首相は国民民主に協力してもらい、政権を維持しようとしている。 だが、国民民主は自らの主張が通れば賛成するだけで、政権運営全体に責任を負うわけではない。 政策の根拠となる財源の確保は、与党任せにしようとしている。 こうした権力基盤が 脆弱な政権の下、国民に負担を求める施策を前進させることができるのか。 政府は安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛予算を段階的に増額しているが、その財源となる所得税などの増税時期は未だに決まっていない。 少子化対策のための、医療保険に上乗せして徴収する支援金の具体化もこれからだ。 国会運営も厳しさを増しそうだ。 衆院選の結果、衆院に17ある常任委員会のうち、野党の委員長は2人から7人へと増えた。 立民は、国会審議の花形とされる予算委員長の他、法務委員長などを確保した。 野田氏は選択的夫婦別姓の実現に拘っており、法務委員会で関連法案を審議、採決を急ぐ狙いのようだ。 社会に大きな影響を与えかねない選択的夫婦別姓については、拙速な議論を避けねばならない。 近年は首脳外交の重みが増しているが、国益がぶつかり合う交渉の場では、基盤の弱い首相が強く出るのは難しい。 米大統領に返り咲くことになったトランプ氏が、一層の防衛負担を求めてくる可能性がある。 中国も、石破政権の足元を見透かしているに違いない。 首相が筋の通らない要求を呑まされたり、外交的な揺さ振りに晒されたりしているようでは、国益を損なう。 政治を安定させるには、自民党は公明党に加え、国民民主と正式な連立を組む必要がある。 そのためには、首相自らが進退にけじめを付けることが欠かせない。 不倫、居眠り、議場で記念写真…緩み切った国会議員に選良の矜持はあるのか 2024/11/13 6:00 https://www.sankei.com/article/20241113-HQVGAKHJ5ZOFXAHX4I6W4BJLJ4/ 先の衆院選を受けて召集された特別国会の初日となった2024年11月11日、永田町では驚きの光景が見られた。 衆院選で躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は朝から不倫を 「概ね事実」 と認める記者会見を開き、石破茂首相(自民党総裁)は首相指名選挙中に居眠りをしていたとみられる。 自民の新人議員は撮影が禁じられている議場で記念撮影の大はしゃぎ。 緊張感に欠ける国会の開会となった。 ■意気揚々と政策を述べた後… 「報道された内容は概ね事実だ」 「家族のみならず、期待を寄せてくれた全国の皆さんに心からお詫びを申し上げる」 2024年11月11日午前9時半過ぎ、国会内の会議室。 玉木氏は、一部で報じられた女性との不倫関係を認めた上で謝罪した。 遡ること30分前、首相と初の党首会談に臨んだ玉木氏は終了後、記者団に対し 「今こそ手取りを増やす経済政策をやるべきだ」 と、党の看板政策 「103万円の壁の見直し」 を訴えたことについて意気揚々と説明していたが、その直後に自身の不倫について緊急の記者会見を開くことになった。 衆院選で与党が過半数を割り、政権運営のカギを握る存在として脚光を浴びた矢先の不倫報道。 国民民主は早期の事態収拾を図るため、玉木氏の記者会見後の党両院議員総会で玉木氏の代表続投を確認し、同日午後の首相指名選挙では、決選投票も含めて玉木氏に投票することを決めた。 夜には東京・有楽町で玉木氏自らが街頭演説し、 「大事な時期にも関わらず、今回の騒動を起こしたことを悔やんでも悔やみきれない」 と重ねて陳謝した。 聴衆の多くは 「頑張れ」 と玉木氏に声援を送っていたが、不倫問題の影響について玉木氏周辺は 「まだ(どうなるかは)分からない」 と警戒している。 国民民主は与党に対し、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「103万の壁」 の見直しを求めている。 ただ、巨額の税収減も想定されるため、どこまでその主張が通るのかは見通せない。 自民重鎮は不倫を認めた玉木氏について 「政策しか道がなくなった」 と語る。 訴えてきた政策を確実に実行できなければ存在感が急低下する可能性もある。 ■周りに注意する人もなく 2024年11月11日は午後にも驚くべきことがあった。 少数与党に転落し、 「薄氷を踏む思いの国会運営」(自民幹部) を迫られる首相は、週末にも公明党や日本維新の会との党首会談があるなど予定が立て込んで疲れていたのか、衆院本会議での首相指名選挙中に居眠りをしていたと見られるのだ。 投票の際、腕を組み、目を瞑って下を向いていた。 X(旧ツイッター)に動画が投稿され、立憲民主党のベテラン議員は 「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」 と苦言を呈した。 林芳正官房長官は同日夜の記者会見で首相が風邪気味で風邪薬を服用していたと説明。 実際、首相は2024年11月9日夜、病院で診察も受けていた。 国会での国会議員の居眠りは問題だが、それ自体は珍しいことではない。 ただ、首相の場合は体調がすぐれず、風邪薬の影響があったことを差っ引いても、自身に関わる重要な首相指名選挙の最中に、緊張感を保つことはできなかったのだろうかと疑問に思う。 「信じられないほどの体力だ」 と周囲が語った岸田文雄前首相が国会で居眠りをしているところを見たことはない。 自民党関係者は 「普通は周りの誰かが注意すると思うけど…」 と指摘するが、そうした配慮もなかった。 首相は特別国会が閉会する2024年11月14日から2024年11月21日の日程で南米を訪問し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する。 滞在中は中国の習近平国家主席との初会談を調整している他、米国に立ち寄りトランプ次期米大統領と初の対面会談も目指している。 石破外交の手腕が試される時だ。 日本のリーダーとして万全の体調で会談に臨んでもらいたい。 ■大はしゃぎの画像が拡散 新人議員が議場で大はしゃぎする場面もあった。 衆院選で初当選した自民の福田かおる衆院議員はSNSで、議場の自席に座り、同じく初当選した向山淳衆院議員(自民)にスマートフォンで撮影してもらい、笑顔で画像を確認する動画が拡散した。 衆院規則211条は議員について 「議院の品位を重んじなければならない」 と規定しており、議場内での撮影禁止と解釈されている。 福田氏は即座にX(旧ツイッター)で 「議場での撮影が禁止されていることを知らず、本日、写真を議場内で撮影をしてしまいました」 「お詫び申し上げます」 「より一層勉強すると共に、気を引き締めて参ります」 などと書き込み、向山氏もXで陳謝した。 厳しい選挙を勝ち抜き、初登院で気分が高揚するのは理解できる。 ただ、福田氏は元農林水産省職員で法相秘書官を務めた経験もある。 国会の基本的なルールを知らなかったとは残念だ。 国のルールである法律を作ることが国会議員の重要な仕事だ。 与野党共に選良であることの矜持を持って国内外に山積する課題に取り組み、結果を出さなければ政治が信頼を得ることは難しいだろう。 加賀孝英「スクープ最前線」 トランプ氏は石破茂首相とは「合わない」 すでに優先順位低下「安倍氏が『絶対に首相にしてはならない』と語った理由…情報を得ている」 2024.11/12 15:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241112-YKVRLBXPA5J5PAK2ZE2UFZ4MWQ/ 米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。 来年2025年1月20日の就任式後、ホワイトハウスへの凱旋を果たす。 2022年7月8日、あの奈良での凶行さえなければ、安倍晋三元首相は密かに意欲を燃やしていた3度目の首相登板を果たし、 「トランプ&安倍」 という全世界が認めた黄金コンビが復活していたはずだ。 日本がもう1度、この危機的状況の世界で 「真に輝ける国」 になれたのではないかと思うと、心底残念でならない。 こうした中、旧知の米政界関係者や米情報当局関係者から驚愕情報を入手した。 既に、トランプ氏の政権移行チームは、来年2025年の第2次政権スタートに向けて、 「MAGA(米国を再び偉大に)2・0」 戦略を本格始動させている。 トランプ政権が展開する 「中国封じ込め戦略」 の要として、日米同盟を重視する姿勢は変わらない。 だが、トランプ氏は、石破茂首相を 「合わない」 と感じ、優先順位を下げているという。 初めての電話会談も、たった5分。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は25分、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12分だった。 トランプ氏の態度の理由は、概略以下の通りだ。 「トランプ氏は、盟友である安倍氏が生前、石破首相について『絶対に首相にしてはならない』と周囲に語っていたこと、その理由についても情報を得ている」 「トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税をかけるなど、中国共産党を追い込む対中強硬策をやる方針だ」 「一方で、トランプ陣営は、石破内閣について『親中』傾向が強いとみている」 石破首相は、2024年11月15〜16日にペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、2024年11月18〜19日にブラジルで開催のG20(20カ国・地域)首脳会議に出席する予定。 これに合わせて、ジョー・バイデン米大統領、中国の習近平国家主席とそれぞれ会談する意向だ。 これが、トランプ氏周辺を刺激したという。 前出の米政界関係者と米情報当局関係者の情報は、次の通りだ。 「問題は、バイデン氏との日米首脳会談だ」 「石破首相は会談の目的を『日米同盟の強化』と『岸田文雄前首相の路線継承を伝える』と説明している」 「トランプ氏は、バイデン政権のウクライナへ支援などを厳しく批判し、『戦争を終わらせる』と繰り返し発言してきた」 「岸田路線とはバイデン政権への追随と見ており、トランプ氏が石破首相を遠ざけるのは当然だ」 加えて、石破首相は、米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページに、 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」 や 「日米地位協定の見直し」 などの持論について寄稿し、国内外の専門家を 「荒唐無稽だ」 と呆れさせた。 怒りを込めて言う。 石破首相の迷走は最悪だ。 日本に危機を呼んでいる。 中国と北朝鮮、ロシアが暴走を始めている。 このままでは日本は潰れてしまう。 自民党が信頼を失っている原因は「政治とカネ」の問題だけでなく、より本質的な原因は「左傾化」にある。 「石破さん、間違ってるだろう」 自民にも立民にも蔓延する無責任体質 一筆多論 2024/11/12 8:00 https://www.sankei.com/article/20241112-BGT4KAQX75L33J34DPGTSJW6CQ/ 石破茂首相の座右の銘は 「鷙鳥不群(しちょうふぐん)」 である。 鷲のような鳥は群れずに行動するとの意味だ。 首相は平成29年のインターネット番組で、この言葉に触れ 「群れて、わらわらやるの嫌いなんです」 「『間違ってるだろう、これ』っていうのを誰かが言わないと」 「誰も言わなくなったら終わり」 と語っていた。 ならば言う。 「石破さん、間違ってるだろう、これ」 首相は衆院選で勝敗ラインに据えた与党過半数を実現できなかったのに続投している。 何事もなかったかのように国民民主党との政策協議を進めている。 首相が非主流派ならば 「間違ってるだろう」 と叫び、退陣を求めていたに違いない。 この異常事態に自民党議員がおとなしい。 「政権陥落の危機に内輪揉めをしている場合ではない」 との理由らしい。 「石破首相にややこしい問題をやらせ、来年2025年の参院選前に新首相でV字回復すればいい」 との声もある。 平成13年に不人気の森喜朗氏から小泉純一郎氏に首相が交代し、爆発的人気でその後の参院選に勝ったことが念頭にあるのだろう。 自民は、なぜ国民の信頼を失ったのかをまだ分かっていない。 派閥のパーティー収入不記載もさることながら、不記載の経緯は解明されず、当事者は 「知らなかった」 の言い訳ばかり。 皆が責任を回避する不道徳な姿勢を見透かされた。 今回もトップが責任を取らず、責任追及も甘い。 こんな醜態は、子供の教育上、よろしくない。 では、立憲民主党に政権を任せていい、ともならない。 野田佳彦代表は衆院選で 「自民の平成以降の首相は菅(義偉)さん以外は全部世襲だ」 と主張した。 これは明確な間違いだ。 世襲を @親族に国会議員がいて地盤を継承 A父母や祖父母が国会議員 のいずれかと定義すると、平成以降の自民の首相14人中、非世襲は竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、森、菅各氏の5人。 非自民の首相は6人。 うち2人(羽田孜、鳩山由紀夫両氏)は世襲で、いずれも約3人に1人の割合だ。 衆院選の候補では、自民の世襲は97人で28・4%の割合だった。 全候補の世襲が136人、10・1%なので確かに多い。 一方、立民は小沢一郎氏ら27人、11・4%で、平均を上回った。 野田氏は、立民は約1割だからよく、自民は約3割だからダメというのか。 野田氏は選挙中、この点を産経新聞記者に聞かれると 「世襲の人たちも含めて政治団体や政治資金の相続をできないようにする法案に皆賛成しているので全然違う」 と色をなして反論した。 何が 「全然違う」 のか理解に苦しむ。 野田氏は民主党伝統の 「ブーメラン」 の名手でもある。 平成21年衆院選で 「マニフェストに書いてあることは命懸けで実行する」 「書いていないことはやらない」 と訴えた。 民主党政権でマニフェストの多くが実行できなかったことは周知の通り。 自身が首相に就くと、マニフェストに書いていない消費税の増税を決めた。 ルールを守らず、発言に責任を持たず、失敗の責任も取らない。 政治家とて人間。 聖人君子たれ、とは言わないが、論語の 「君子はこれを己に求む 小人はこれを人に求む」(リーダーは責任を取る) ぐらいは実践できないものか。 辞書に 「政治家=噓つきのこと。無責任のたとえ」 と書かれないためにも。 (政治部長兼論説委員) <主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ 社説 2024/11/12 5:00 https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/ 特別国会が召集され、衆院での首相指名選挙の決選投票で、石破茂首相(自民党総裁)が立憲民主党の野田佳彦代表を破り第103代首相に選ばれた。 宮中での親任式などを経て第2次石破内閣が発足した。 石破首相は衆院選で、自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを達成できなかった。 国民の信を得られなかったにもかかわらず石破首相も森山裕幹事長も責任を取って辞任することはなかった。 憲政の筋を踏まえない首相続投は残念である。 石破首相に批判的な自民議員は少なくない。 彼らが首相指名選挙で石破氏を選んだのは、安全保障政策などで非現実的な立民の野田氏に国の舵取りを任せるわけにはいかないと考えた末の苦渋の選択だろう。 ■少数与党で展望描けず 30年ぶりの少数与党政権として石破首相は再出発を図る。 国内外の課題は山積し、政権基盤が脆弱とあっては石破首相の前途は多難という他ない。 国政の停滞を憂えるばかりだ。 真っ先に取り組むことになるのは政治とカネを巡る問題である。 石破首相は、2024年年内召集予定の臨時国会に政治資金規正法の再改正案を提出し、成立を期す必要がある。 政治資金の透明性確保とパーティー収入不記載事件の再発防止に決着を図らなければならない。 政策活動費廃止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、政治資金を監視する第三者機関設置などが焦点とされるが、外国人・外国法人のパーティー券購入の禁止も不可欠の課題である。 自民、公明両党の与党は衆院でキャスチングボートを握る国民民主党と、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「103万円の壁」 の解消などについて協議しているが、財源確保の問題もある。 重要なのはデフレからの完全脱却に向け、物価上昇を上回る賃上げを確実なものにし、自律的な経済成長を実現することだ。 衆院が過半数割れである以上、野党側との政策協議は欠かせないが、経済財政運営の大局は見失ってはならない。 最も懸念されるのは、国会運営の混乱で日本の政治が内向きに終始し、国の平和と独立、国民の安全を守る政策遂行が疎かになってしまうことだ。 外交安全保障への関心を失っては大変なことになる。 米国との同盟関係は、国家安全保障にとって死活的に重要である。 石破首相は、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と早期に直接会談し、同盟強化を確認しなければならない。 中国、北朝鮮、ロシアの脅威に直面する日本は、日本防衛や台湾有事、朝鮮半島有事への米国の関与を常に確かなものにしておく必要がある。 トランプ氏の関心を、日本および北東アジア、インド太平洋にも向けさせるのは石破首相に課せられた最も重要な責務である。 ■国の「基本」を守り抜け ロシアのウクライナ侵略は続き、派兵された北朝鮮軍がウクライナ軍と交戦する事態となった。 「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」 という危機感を石破首相は忘れず、侵略者ロシアが凱歌をあげるような展開を許さない外交を展開すべきである。 中東は喫緊の課題だ。 戦火が拡大し、イスラエル・イラン間の 「第5次中東戦争」 の様相を呈する恐れがある。 イランなどにいる日本人の帰国や安全確保を急ぐべきだ。 エネルギー需給の面からも備えてほしい。 防衛力の抜本的強化を確実に進めたい。 募集難になっている自衛官確保策の推進や、有事を想定した空港、港湾、シェルター建設も課題だ。 もう1つ懸念されるのは、与党が目先の国会運営に捉われて、十分な議論もなしに国や社会の基本を乱す施策を受け入れてしまうことだ。 自民は衆院で、予算委員会や法務委員会の委員長、憲法審査会の会長などの重要ポストを立民に譲った。 憲法審会長に就く立民の枝野幸男元代表は改憲の動きにブレーキをかけてきた人物だ。 憲法審の議論が滞るなら改憲に前向きな政党で改憲原案の条文化を進めるべきだ。 野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、 「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」 とも語った。 石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。 石破茂首相の居眠り? 林芳正官房長官は「風邪薬を服用」と釈明 2024/11/12 0:17 https://www.sankei.com/article/20241112-VDNXTOP5VVMO7F2GO4LVLL5BCA/ 林芳正官房長官は2024年11月11日夜の記者会見で、石破茂首相が同日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらく俯き、目を瞑る一幕があったことについて 「(首相は)深夜まで多忙を極める毎日を送っているが、本日は風邪気味で風邪薬を服用していたと聞いている」 と釈明した。 X(旧ツイッター)上に関連の動画が投稿され、 「居眠りをしている」 などのコメントが寄せられていた。 林氏は 「風邪気味であることを除けば、健康状態に何ら問題はない」 と語った。 石破茂首相、政治資金規正法再改正「年内にも」 内閣発足後会見「協力得られるよう努力」 2024/11/12 0:10 https://www.sankei.com/article/20241112-AWVOUTXCYRINHOQ53ZYLQ4L3NI/ 石破茂首相は2024年11月11日、第2次内閣の発足後に記者会見した。 自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革について 「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるよう努力する」 と述べ、政治資金を監視する第三者機関の設置など、政治資金規正法の年内の再改正を目指す考えを表明した。 歳費法の改正を伴う調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開・残金返納や、政策活動費の廃止についても 「党内の意見を早急に取りまとめ、各党、各会派との調整を精力的に進めたい」 と述べた。 野党が主張する企業・団体献金の廃止に関しては 「各党が色んな考え方を持っているので、それが国民に分かる形で議論し、早急に結論を出すことが必要だ」 と述べるにとどめた。 与党過半数割れを受けた国会運営については 「丁寧にやりながら、尚且つ迅速に結論が出るという二律背反みたいなことを満足させるためには、かなりの工夫が必要だ」 と指摘した。 次期春闘での持続的な賃上げや最低賃金の引き上げに向け、今月2024年11月にも政労使の意見交換を開催すると表明。 交流サイト(SNS)などで繋がって強盗や特殊詐欺を繰り返す 「匿名・流動型犯罪グループ」 の摘発に向けた取り組みを推進する考えを強調した。 「互いの利益になる提案を」石破首相、トランプ氏との早期会談に意欲 14日から南米訪問 2024/11/11 23:26 https://www.sankei.com/article/20241111-V2MPR755OBGIJCIGU2HQ56OYWQ/ 石破茂首相は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、トランプ次期米大統領について 「なるべく早いタイミングで直接会談する機会を持ちたい」 と述べ、早期の会談に意欲を示した。 その上で、 「米国には米国の、日本には日本の国益がある」 「正面からぶつかってもどうにもならない」 「相乗的にお互いの利益に、アジア太平洋地域の平和と安定に資するものだということをどれだけ提案するかだ」 と述べ、 「どれだけ譲るとか譲らないとか、そういうのは、ディールの世界に尽きるものだと私自身は思っていない」 と語った。 トランプ氏の掲げる政策について、 「大統領選中も色々な主張をしていた」 「ウクライナについて、ガザについて、同盟関係について然り」 「どのような政策を打ち出していくかは現在予測つくものではない」 「選挙期間中にどういう発言したかを詳細に分析する」 と述べるにとどめた。 また、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、2024年11月14日から南米を訪問すると表明した。 バイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談にも意欲を示した。 石破首相、年収の壁見直し「真摯に検討」 国民民主党の主張「多くの支持は極めて重要」 動画 2024/11/11 23:11 https://www.sankei.com/article/20241111-GMXWDYQA4RC3BCBLDJG3WVBLHE/ 石破茂首相は2024年11月11日夜の記者会見で、国民民主党が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の見直しについて、 「与党として真摯に検討する」 と述べた。 今後、両党の政調会長と税調会長の間で 「丁寧に協議を進めていきたい」 とも語った。 首相は、国民の手取りの増え方や労働市場への労働力の供給拡大などに加え、減税に伴う税収全体への影響などを 「精密に計算していかなければならない」 と指摘。 ただ、先の衆院選で国民民主党が見直しの主張を掲げ、 「多くの支持を得たことは極めて重要なことだと思っている」 とも述べた。 石破首相 旧文通費使途公開と残金返還に意欲 政治改革、年内の法整備へ努力 官邸で会見 2024/11/11 22:53 https://www.sankei.com/article/20241111-POJ6XHBHNRAUTNCYOTQLLIJVEI/ 石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、政治改革に関して 「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるように努力する」 と強調した。 国会議員に1人当たり月額100万円が支給される 「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費) の透明化を急ぐ考えを示し、 「使途の公開、残金の返還について早急に国民に結論を示す」 と述べ、歳費法の改正に意欲を示した。 使途公開が不要な政策活動費の廃止に関しても 「各党各会派に議論してもらい、早期に結論を得るべく、私自身、誠心誠意尽力する」 と述べた 政治資金の透明化に向け、プライバシーへの配慮などのため使途の公開が困難な部分について、独立した第三者機関の監視下に置く必要性に改めて言及した。 政治資金収支報告書のデジタル化に関しては、 「誰もが容易に内容を確認できるデータベースを構築することは喫緊に行う改革だ」 と強調した。 派閥政治資金パーティー収入不記載事件の関与が指摘された議員らに対し、衆参両院の政治倫理審査会への出席を重ねて促した。 石破茂首相、少数与党で険しい政権運営 くすぶる「予算花道」退陣論 2024/11/11 20:01 https://www.sankei.com/article/20241111-T2IXWU2GR5NGTDYPTH3N4OJLYQ/ 30年ぶりの決選投票の末、首相指名選挙で選出された石破茂首相(自民党総裁)だが、前途多難な状況は続いている。 先の衆院選で与党過半数割れとなり、少数与党として臨む今後の国会は、多数派工作が奏功しなければ短命となる懸念もある。自民内には通常国会での令和7年度予算成立を花道とした退陣論がくすぶっており、首相は党内外を意識した難しい政権運営を迫られる。 特別国会召集日の2024年11月11日に国会内で開かれた自民の会合で、首相は 「選挙で示された国民の声に応え、我が党一体となり、総力を挙げて難局を乗り切りたい」 と呼び掛けた。 衆院選での大敗により 「自民党・無所属の会」 と公明党の与党会派の勢力は計220人にとどまり、衆院過半数(233)に届いていない。 衆院選では派閥パーティー収入不記載事件の影響が払拭できずに厳しい結果となり、第2次石破政権は厳しい船出となる。 過去に少数与党として臨んだ内閣には、政権運営に苦しみ、短命となったケースもある。 平成6年に発足した羽田孜内閣は、首相指名直後に社会党が連立政権から離脱。 少数与党となり、政権基盤が安定せずに総辞職に追い込まれた。 在職期間は64日間で、戦後2番目の短さとなった。 衆院選での与党大敗は国会のポストにも影響を及ぼしている。 自民は衆院予算委員長など複数の主要ポストを野党側に譲った。 国会運営を円滑に行うために譲歩したとみられるが、予算委員長は議事進行などで大きな権限を持つ。 そのため、政権幹部は 「予算委員会で政府側の答弁に納得いかなければ、『もう1度答えなさい』という場面も出てくるのでは」 と懸念する。 自民内ではこれまでのところ 「石破おろし」 の表立った動きは見られないが、令和7年度予算を成立させた後の退陣論も囁かれる。 少数与党として臨む予算審議では、野党から予算委への頻繁な首相出席など様々な要求が出ることも予想され、予算案に賛成する条件として石破政権の退陣を突き付けられる可能性もある。 自民ベテランは 「普通に考えれば、来年2025年度予算成立後に退陣だろう」 「今は『石破おろし』をするタイミングではない」 と指摘する。 ただ、自民重鎮は 「政治とカネ」 の問題を巡る自民への逆風が収まらないことを念頭に 「首相が交代したところで、何か得るものがあるわけでもない」 と溜息をついた。 (※金カギでお願いします)「野党」で過半数も首相指名選挙勝てず 各党が「わが道」 立民・野田氏は結集へ努力強調 2024/11/11 19:52 https://www.sankei.com/article/20241111-WGTES5CYZVN2DPEOX2OWFTLBEE/ 衆院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込んだ主要野党だが、2024年11月11日召集の特別国会で行われた首相指名選挙では各党が 「我が道」 を歩んだ。 立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月11日の衆院本会議後、記者団に野党を結集できなかった責任を問われ、 「本当に政権を取りに行くという共通認識を作りきれていなかった」 「結集できなかったことは不徳の致すところだ」 と述べた。 同時に来夏2025年夏の参院選や次期衆院選に向け、野党の結束点を見い出せるよう努力を重ねる考えを強調した。 衆院選で野党は過半数を握ったにもかかわらず、決選投票の結果は石破茂首相(自民総裁)が221票、立民の野田氏が160票、無効票が84票だった。 「野党の盟主」 である立民がリーダーシップを発揮できず敗れ、野党各党がそれぞれの道を歩み出した1日でもあった。 選挙後、最も注目を浴びた国民民主党は玉木雄一郎代表に投票した。 「手取りを増やす」 政策を掲げて躍進し、 「政策実現」 に向け与野党との攻防を繰り広げ新しい野党の可能性を示しつつあった。 だが、特別国会初日に玉木氏の不倫報道が直撃。 玉木氏は国会内の党会合で謝罪し、 「政策実現に向けて全力を傾けていきたい」 と語った。 国民民主に対し、野党的な性格を強めそうなのが日本維新の会だ。 首相指名選挙で2回とも馬場伸幸代表に入れた。 馬場氏は2024年11月11日、国会内で記者会見し、今後の在り方について 「結党以来、与野党と『是々非々』でやってきた」 と述べた。 馬場氏は前日の首相との会談でも政府・自民に厳しく臨む姿勢を示している。 一方、共産党は決選投票で野田氏に投じ、 「立憲共産党」 を演じた。 田村智子委員長は2024年11月11日、国会内での記者会見で衆院選で示された民意は 「自公政権ノー」 だと説明。 公示前よりも議席を減らしており、今後の国会運営などで立民に付いた方が得策と判断したようだ。 石破首相、指名選挙で居眠りか うつむき目つぶる 「著しく緊張感に欠ける」野党苦言 2024/11/11 18:26 https://www.sankei.com/article/20241111-NF544UFRJFPCZLG44MZ67YUZKE/ 石破茂首相が2024年11月11日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらくうつむき、目をつぶる一幕があった。 X(旧ツイッター)に関連の動画が投稿され 「よく寝ていられるな」 といったコメントが寄せられた。 野党からは 「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」(立憲民主党ベテラン) と苦言が呈された。 首相が目をつぶっていたのは、1回目の投票時で、他の議員が点呼されている最中とみられる。 隣席の林芳正官房長官が心配したように、首相を見やる場面もあった。 石破首相、45年ぶりに衆院過半数得ずに首相就任 決選投票でも届かず 大平正芳氏以来 2024/11/11 17:34 https://www.sankei.com/article/20241111-SCHIQQ4DTFD2DMLVNW2LHCAA6A/ 衆院は2024年11月11日の本会議で首相指名選挙を行い、決選投票の末に石破茂首相(自民党総裁)を第103代首相に指名した。 ただ、得票数は決選投票でも221票に留まり、過半数(233)には届かなかった。 衆院議員総数に対する比率は47%強。 衆院で過半数を割る得票数で首相に就任するのは、昭和54年、自民党の大平正芳元首相以来、45年ぶりとなった。 衆院規則では、首相指名選挙で過半数を得る候補がいなかった場合は、上位2人による決選投票を行うと定めている。 決選投票では、より多くの得票を得た候補を首相に指名する決まりだ。 今回は、最初の投票で過半数を得た候補がおらず、石破首相と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票となった。 決選投票では野田氏に160票が投じられた他、その他の名前を記載し無効となった票が84票あった。 石破首相は最初の投票と同じ得票数だったが、数の上では野田氏を上回ったため、首相に指名された。 決選投票は過去4回行われた。 このうち、昭和54年11月、 「40日抗争」 と言われる保守分裂下で行われた決選投票では、衆院の過半数256に対して、首相に選出された大平氏が得たのは138票だった。 自民内の反主流派が担いだ福田赳夫元首相が121票を獲得。 野党などの無効票が252票あり、大平氏が指名された。 石破首相が第103代首相に 衆院決選投票で首相221票、野田氏160票、無効84票 2024/11/11 16:20 https://www.sankei.com/article/20241111-245AB5LUGFALJHR723GSRD4RUQ/ 衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙の決選投票が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が第103代首相に指名された。 石破首相は同日中に第2次石破内閣を発足させる。 第1回投票で上位だった石破首相、立憲民主党の野田佳彦代表の2人による決選投票で、石破首相は221票で野田氏の160票を上回った。 その他の名前を記載した84票は無効となった。 第1回投票では石破首相が221票、野田氏が151票で、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに決選投票に持ち越されていた。 その後行われた参院本会議は首相指名選挙の結果、自民党の石破首相を選出した。 首相指名選挙 決選投票の結果は?仕組みは?過去の決選投票も 2024年11月11日 16時37分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k100146349110 総理大臣指名選挙は決選投票が行われ、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。 投票の結果や過去の決選投票などについて詳しくお伝えします。 目次 石破首相が第103代の首相に選出 ★決選投票の仕組みは? ■石破首相が第103代の首相に選出 衆議院本会議での総理大臣指名選挙は、1回目の投票で決着が付かず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表による決選投票が行われました。 一方、与党が過半数を占める参議院本会議でもこれに先立ち総理大臣指名選挙が行われ、投票の結果、石破総理大臣が指名されました。 この結果、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。 投票結果は次の通りです。 ■衆議院 1回目の投票結果 ▽石破総理大臣 221票 ▽立憲民主党 野田代表 151票 ▽日本維新の会 馬場代表 38票 ▽国民民主党 玉木代表 28票 ▽れいわ新選組 山本代表 9票 ▽共産党 田村委員長 8票 ▽無所属 吉良州司氏 4票 ▽参政党 神谷代表 3票 ▽日本保守党 河村たかし氏 3票 ■参議院 投票結果 ▽石破総理大臣 142票 ▽立憲民主党 野田代表 46票 ▽日本維新の会 馬場代表 18票 ▽国民民主党 玉木代表 11票 ▽共産党 田村委員長 11票 ▽れいわ新選組 山本代表 5票 ▽国民民主党 伊藤孝恵氏 1票 ▽参政党 神谷代表 1票 ▽自民党 末松信介氏 1票 ▽無所属 吉良州司氏 1票 ▽自民党 茂木敏充氏 1票 ▽白票 1票 衆議院 決選投票の結果 ▽石破総理大臣 221票 ▽野田代表 160票 ▽無効票 84票 ■決選投票の仕組みは? 総理大臣指名選挙の仕組みについて、改めて整理します。 総理大臣指名選挙は、衆参両院のそれぞれの本会議で行われ、投票は、1人の名前を書く「単記記名」の方式がとられます。 その投票総数の過半数を得た人が総理大臣に指名されます。 1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合には、上位2人の決選投票が行われます。 決選投票では、上位2人以外の名前が書かれた票は、無効票としてカウントされます。投票の結果、2人のうち、多くの票を得たほうが総理大臣に指名されることになります。 ■過去の決選投票は? 総理大臣指名選挙の決選投票は現在の憲法のもとでは衆議院で4回行われてきました。 1948年:吉田茂氏と片山哲氏 終戦後の1948年に行われた総理大臣指名選挙。吉田茂氏と片山哲氏による争いは決選投票にもつれこみました。 その結果、吉田茂氏が総理大臣に指名されました。 1953年:吉田茂氏と重光葵氏 その5年後、1953年にも。再び吉田氏が決選投票に臨み、重光葵氏との争いを制し、総理大臣に選出されました。 1979年:大平正芳氏と福田赳夫氏 1979年には大平正芳氏と福田赳夫氏による決選投票に。自民党どうしの争いでした。 当時、自民党では衆議院選挙での敗北を受けて派閥が激しく対立する 「40日抗争」 が起きていました。 (浜田幸一氏) 「いいか、断わっとくけどな、かわいい子どもたちの時代のために自民党があるということを忘れるな。お前らのためにだけ自民党があるんじゃないぞ」 自民党から2人が総理大臣候補となる異例の事態。制したのは大平氏でした。 1994年:村山富市氏と海部俊樹氏 そして、直近では1994年。村山富市氏と海部俊樹氏の争いです。 政権復帰をねらう自民党が社会党とさきがけと組んで推した村山氏と、新生党や公明党などが推した海部氏。 決選投票の結果、村山氏が総理大臣に選出され、自民・社会・さきがけの3党連立政権が誕生しました。 ■選挙後の各党の動きは 衆議院選挙で自民・公明両党が過半数割れとなる中、総理大臣指名選挙に向けて与野党はどう動いたのでしょうか。 今回の衆議院選挙で、自民・公明両党は合わせて215議席と、目標としていた過半数の233議席を下回りました。 こうした中、石破総理大臣は自らが続投し、連立政権を維持していく考えを示しました。 (石破首相 10月28日) 「現下の厳しい課題に取り組み、国民生活を守る、日本国を守るということで職責を果たしてまいりたい」 自民党は、野党と政策ごとに一致できる点を探りながらの政権運営を目指し、総理大臣指名選挙で石破氏が指名されるよう野党側と調整を始めます。 一方、選挙前の98議席から大幅に増やし、148議席となった立憲民主党。指名選挙に向けて、他の野党との連携を模索します。 (立民 野田代表 10月28日) 「自分がまず手を挙げて、ご協力をお願いをするというのが基本だろう。誠意ある対話を明日からでも始められればなと」 野田代表は、日本維新の会や共産党と党首会談を行い、決選投票になった場合は、自身に投票するよう呼び掛けました。 (野田代表 10月30日) 「政権を変えていく大きなチャンスでもあるので、首班指名選挙では私“野田”と、是非お願いをしますと」 (共産 田村委員長 10月30日) 「企業・団体献金の全面禁止。このことが確認をできれば、対応については前向きに検討をしたい」 一方、維新は。 (維新 馬場代表 10月30日) 「国民の皆さんがなるほどと思っていただけるような、やはり大きな大義、そういうものがなければ我々は与することはないと」 こうした中、注目されたのが、選挙前の7議席から4倍の28議席に増やした、国民民主党の動向です。 (国民 玉木代表 10月29日) 「私たちが欲しいのはポストではなくて、選挙で約束した手取りを増やす、国民の懐を潤す、経済政策の実現が欲しいんです」 玉木代表は、自民・公明両党の連立政権に加わらず、党が掲げた政策の実現に向けて政策ごとに協力できるか判断したいという考えを示しました。 その後、国民民主党は、自民党と幹事長会談を行い、新たな経済対策の内容を含め、政策ごとに協議を進めていくことで一致。 公明党とは、いわゆる 「年収の壁」 を巡って国民民主党が主張している 「103万円の壁」 の見直しなどについて、協議を進めていくことで一致しました。 一方、玉木代表は、立憲民主党の野田代表と会談。 政治改革を急ぐため、2024年年内の政治資金規正法の再改正を目指すことで一致し、野田代表は 「103万円の壁」 の見直しに協力する考えを伝えました。 ただ、国民民主党は、総理大臣指名選挙では決選投票になった場合も含め、玉木代表に投票する方針です。 (国民 玉木代表 10月30日) 「1回目・2回目も玉木雄一郎と書くのが一番我々に票を投じてくれた皆さんに、その思いにですね、最も寄り添うものだと」 石破首相221票、野田氏151票 衆院の首相指名選挙は決戦投票へ 玉木氏も28票 2024/11/11 15:22 https://www.sankei.com/article/20241111-M26OMSBFZNACDJALZE4LNFNEQM/ 衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が221票、立憲民主党の野田佳彦代表が151票などを獲得した。 しかし、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに、両氏による決選投票に持ち越された。 決選投票では石破首相が野田氏より多くの得票を得て、第103代首相に選出される見通し。 衆院本会議での第1回投票の内訳は以下の通り。 石破首相=221票 野田氏=151票 日本維新の会・馬場伸幸代表=38票 国民民主党・玉木雄一郎代表=28票 れいわ新選組・山本太郎代表=9票 共産党・田村智子委員長=8票 無所属・吉良州司氏=4票 参政党・神谷宗幣代表=3票 日本保守党・河村たかし共同代表=3票 無効票は0票だった。 石破内閣が総辞職、臨時閣議で 決戦投票で首相、再選出へ 第2次内閣は夜発足 2024/11/11 9:00 https://www.sankei.com/article/20241111-XLWGF5S37FKA3E77JVYOUIGMVU/ 衆院選を受けた第215特別国会は2024年11月11日召集され、石破茂首相(67)=自民党総裁=が同日午後、衆院本会議での首相指名選挙で立憲民主党の野田佳彦代表(67)との決選投票の末、第103代首相に選出される。 首相は皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、同日夜に第2次石破内閣を発足させる。 衆院選で落選した法相、農相を含む3閣僚が交代、その他の閣僚は再任する。 与党過半数割れに伴う少数与党内閣で、厳しい政権運営を強いられるのは確実だ。 これに先立ち首相は国民民主党の玉木雄一郎代表(55)と会談する。 続いて野田氏と党首同士で会い、政治改革を含めた国会対応などで協力を求めるとみられる。 第1次石破内閣は2024年11月11日午前の臨時閣議で総辞職した。 首相は夜に官邸で記者会見し、2024年度補正予算案や法案審議への取り組み方針を説明する。 きょう特別国会召集 首相指名選挙経て 第2次石破内閣発足へ 2024年11月11日 5時59分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014634731000.html 先の衆議院選挙を受けた特別国会が2024年11月11日、召集されます。 衆議院で与党が過半数を割り込む中、総理大臣指名選挙では石破総理大臣が立憲民主党の野田代表との決選投票を経て再び選出される見通しです。 石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、11日夜、第2次石破内閣を発足させることにしています。 先の衆議院選挙を受けた第215特別国会が2024年11月11日に召集され、午後、衆参両院の本会議で総理大臣指名選挙が行われます。 与党が過半数を割り込む衆議院では1回目の投票で決着がつかず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表との決選投票になる見込みです。 衆議院での決選投票は30年ぶりとなりますが、野党側による一本化は実現せず、石破総理大臣が再び選出される見通しです。 石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、衆議院選挙で落選した閣僚の後任として法務大臣に鈴木馨祐氏、農林水産大臣に江藤拓氏を起用する方針です。 また、公明党の斉藤代表にかわる国土交通大臣には同じ公明党から中野洋昌氏をあて、他の閣僚は再任する方針です。 そして、組閣を終えたあと皇居での親任式と閣僚の認証式を経て、2024年11月11日夜、第2次石破内閣を発足させ、記者会見を行って今後の政権運営の方針などを説明する見通しです。 一方、石破総理大臣は、2024年11月10日の日本維新の会の馬場代表に続いて2024年11月11日も立憲民主党の野田代表、国民民主党の玉木代表と党首会談を行うことにしています。 会談で石破総理大臣は、政治改革をはじめ様々な政策の実現に協力を要請することにしています。 第2次石破内閣11日発足 特別国会、首相指名へ 2024/11/11 1:00 https://www.sankei.com/article/20241111-5MEHGEZUJRPHVD2XHN2VCDGYDU/ 衆院選を受けた第215特別国会が2024年11月11日、召集される。 衆参両院の本会議で首相指名選挙が行われ、自民党総裁の石破茂首相が第103代首相に選出される見通しだ。 皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による第2次石破内閣が同日発足する。 午後の衆院本会議での首相指名選挙は石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票となる見込み。 日本維新の会や国民民主党、参政党は決選投票を含めそれぞれの党代表に投票する方針で、石破氏の得票が野田氏を上回る可能性が高い。 首相は選出後、組閣本部を設置。法相に自民の鈴木馨祐元外務副大臣、農相に自民の江藤拓元農相をそれぞれ起用する。 公明代表に就いた斉藤鉄夫国土交通相の後任は公明の中野洋昌元経済産業政務官を充てる。 首相指名選挙に先立ち、議長に再選となる自民の額賀福志郎氏、副議長に立民の玄葉光一郎氏を選出。 体調不良を理由に辞任する尾辻秀久参院議長の後任は、自民の関口昌一氏を選ぶ。 石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影 2024.11/10 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/ 石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。 自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが 「年収103万円の壁」 の撤廃だ。 幅広い層に 「減税の恩恵」 があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように 「7兆6000億円の税収減となる」 といった財源論≠ェ指摘され始めた。 財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと 「増税・負担増」 を画策することが懸念される。 現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件 「106万円の壁」 を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。 衆院選で大惨敗しながら 「政権居座り」 を決め込む石破首相の 「増税・負担増」 路線に要警戒だ。 ◇ 自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、 「年収の壁」 の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。 現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。 このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。 1995年から最低賃金が1・73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。 玉木氏は 「有権者との約束だ」 「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」 と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。 産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について 「引き上げるべきだ」 とする回答が77・2%に上った。 物価高対策で最優先で取り組むべきことでも 「減税」 が32・7%と最も多かった。 一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。 その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという 「政府試算」 だ。 上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は 「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」 「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」 「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」 と語る。 もう1つのネガキャンが、 「高所得者に恩恵」 というものだ。 年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。 加藤勝信財務相は 「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」 と述べた。 ■「手取り増」と逆行 しかし、 「手取りの増加率」 でみると年収210万円で4・3%、500万円で2・6%、2300万円で1・7%となっている。 田中氏は 「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率でみれば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」 「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」 「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので吞まざるを得ないだろう」 との見方を示す。 国民民主党はガソリン税の 「トリガー条項」 の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。 加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、 「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」 と言及した。財務省側がクギを刺した形にも見える。 田中氏は 「財務省は1度得た財源を失いたくない」 「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持って行き、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうととする思惑もあるのかもしれない」 と推測する。 こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。 年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。 「手取りを増やす」 政策とは逆行する動きだ。 また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。 石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。 来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は 「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」 「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」 と警鐘を鳴らした。 石破茂総理では日米関係の安定望めぬ 自分たちの国は自分たちの犠牲で守る覚悟を 【疾風勁草】(16) 弁護士・高井康行 2024/11/10 https://www.sankei.com/article/20241110-3XV6QQWF6VPCXIC26JNKKOZX7Q/ 当時総理だった安倍晋三氏は平成29(2016)年11月17日夕(日本時間18日午前)、訪問先の米ニューヨークのトランプ・タワーで、次期米国大統領に就任することになっていたドナルド・トランプ氏と1時間半に渡って会談した。 各国の首脳の先陣を切る会談だった。 この時、安倍氏はトランプ氏にゴルフクラブを贈呈し、トランプ氏は安倍氏にゴルフウエアを贈呈した。 爾来(じらい)、安倍氏とトランプ氏は厚い信頼関係で結ばれ、それが日米関係に確固たる安定をもたらした。 その安定した日米関係は、アジアおよびヨーロッパの安定にも大きく寄与した。 まことに残念なことに、その安倍氏は令和4年7月8日、奈良市内の近鉄大和西大寺駅北口付近で非命に倒れた。 安倍氏が生死の境にあることを知ったトランプ氏は、令和4年7月8日、SNSに、安倍氏は偉大な人間でリーダーであり、私の真の友人で、更に重要なことに、米国にとって真の友人だと投稿して安倍氏を惜しんだ。 トランプ氏と安倍氏の強い絆を感じさせる出来事だ。 一方、石破茂氏は、トランプ氏が大統領だった平成31(2018)年にウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対し、 「日本が米国に全面的な忠誠を誓うだけなら無視されるだろう」 「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」 「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つことが大事」 「安全保障でディールのカードを全く持っていない」 と語ったという(平成31(2018)年9月27日配信、ウォールストリート・ジャーナル日本語版「日本の次期首相、石破氏は日米同盟の再構築を提唱」=ピーター・ランダーズ、ミホ・イナダ=)。 この発言には、トランプ氏との信頼関係を確かなものにし、その上に堅固な日米関係を構築するという安倍氏の構想を全面的に否定しようとする石破氏の強い意思が露骨に現れている。 石破氏は首脳同士の信頼関係ではなく、ディールによって日米関係を維持しようとしていることになるが、首脳同士に信頼関係がない中でのディールは不安定で、下手をすると日米関係に深刻な亀裂をもたらす。 ■石破氏は甘過ぎる 石破氏は今年2024年8月に発刊された著書「保守政治家−わが政策、わが天命」の中で、在日米軍基地の不可欠性(米国にとっての)、非代替性を根拠に、トランプ氏が米軍駐留経費の日本側負担割合を75%から100%にすると言い出しても、そのような負担割合になれば米軍が日本の傭兵になるがそれでもいいのかという議論が可能だと主張している。 要するに、在日米軍基地がトランプ氏とのディールのカードになると言っているのだ。 しかし、台湾に防衛費を請求すると言っているトランプ氏にそのような議論が通用するはずがない。 それに、米国が世界の警察官であるためには在日米軍基地が不可欠だが、米国が世界の警察官であることを止め、米国第一主義に徹するのであれば、その不可欠性はなくなる。 更に、トランプ氏が、韓国に駐留している米軍を引き上げるとも発言したことがあることを思えば、在日米軍を引き上げると言い出しても不思議ではない。 石破氏は甘過ぎる。 報道によれば、石破氏は、今月2024年11月中にトランプ氏と会談する方向で調整しているということだが、会談ができたとして、果たして、トランプ氏との間に安倍氏のような信頼関係を築けるのだろうか。 石破氏のこれまでの発言や、石破氏が長年安倍氏と敵対関係にあり、安倍氏の政策に否定的だったこと、あろうことか安倍氏の国葬の際に安倍氏を 「国賊」 と罵った村上誠一郎氏を内閣の要職に就けていること程度の情報は、当然、トランプ氏の耳に入っているだろう。 そのような石破氏が、トランプ氏との間で見せかけではない真の信頼関係を築くことができるのだろうか。 その中で石破氏が自分の理屈に基づくディールに拘れば、日米関係は不安定にならざるを得ない。 ■予測不能の混沌とした状態に いずれにしても、我々は、トランプ大統領の再登場により、世界が予測不能の混沌とした状態になりかねないことを覚悟しなければならなくなった。 第1次トランプ政権では、トランプ氏も初めての大統領職で、勝手の分からないところや遠慮があり、側近の忠言や諌言に耳を貸して自分の考えを修正したことがあったとされている。 しかし、第2次トランプ政権では、トランプ氏は自信満々で以前のように側近たちの意見に耳を傾ける気はなく、イエスマンだけを登用するのではないかと見る向きもある。 例えば、今年2024年8月30日に、マーク・モンゴメリーとブラッドリー・ボウマンは、ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した 「トランプ勝利なら台湾は米国を頼れるか」 という記事において、第1次トランプ政権の国防戦略の策定に関わり、第2次トランプ政権では国防総省の要職に就く可能性があるとされているエルブリッジ・コルビー氏が、それまでタカ派的な対中政策を唱え台湾を強く支持していたにもかかわらず、最近になって中華人民共和国が台湾に侵攻しても米国が台湾防衛に駆け付けない可能性があると示唆するコメントをソーシャルメディアに立て続けに発信していると伝えている。 要は外交防衛の専門家が、第2次トランプ政権に登用されることを狙って、トランプ氏の主張にすり寄り始めていることを危険な兆候として指摘しているのだ。 こうした傾向を見れば、第2次トランプ政権では、トランプ氏の過激な意見や考えが側近たちによって中和されることなく、そのまま米国の政策となる可能性も十分にあると見ておかなければならない。 ■駐留経費の負担増要求なら御の字 わが国のマスコミでは、第2次トランプ政権において、米軍の駐留経費の負担増が要求されるのではないかいうことが盛んに言われているが、その程度のことで済むなら御の字だろう。 米国第1主義にとってもっともやっかいなものは、拡大抑止政策だ。 トランプ氏にしてみれば、日本を核攻撃から守るために米国が核攻撃を受ける危険を引き受けるなどということはとんでもないことだろう。 現にトランプ氏は、1期目の共和党指名争いをしている時、駐留経費の負担増に日本が応じなければ米軍を撤退させると言い、日本や韓国の核兵器保有も容認すると言った。 この時は、当時のライアン下院議長の反対意見を受け入れて、その発言を修正した。 しかし、拡大抑止政策放棄、日本、韓国の核保有容認がトランプ氏の本音だろう。 独裁的傾向を強めるであろうトランプ氏に対して、経済重視・軽武装の宏池会路線で対抗することは難しい。 トランプ大統領の再登場は、我々に、自分たちの国は自分たちの犠牲において守る覚悟を持つことを求めている ◇ 「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。 刑事司法の第1人者として知られる元検事で弁護士の高井康行さんが毎月1回、コラムを連載し、世相を斬っていきます。 プロフィル 高井康行(たかい・やすゆき)弁護士、元東京地検特捜部検事。 昭和22年、愛知県生まれ。 早稲田大学法学部卒業後、昭和47年に検事任官。 東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任し、リクルート事件などを捜査した。 平成9年に退官し弁護士登録。 政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めた他、日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。 高橋洋一「日本の解き方」 旧安倍派は巻き返せるのか 鍵握る岩盤保守層の奪還、不信任に備えて態勢作りを 石破首相をおろせないようでは情けない 2024.11/9 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-EGSEFNXEWNMGHK73SUGB6VMVII/ 2024年10月の衆院選で自民党の旧安倍派は議席を大きく減らした。 今後、保守派が勢力を結集させたり、巻き返したりすることはできるのか。 自民党派閥の衆院での勢力図を見ると、旧安倍派は昨年2023年12月1日時点で59人いたが、衆院選後は無所属となった萩生田光一元政調会長と西村康稔元経産相を除く20人となった。 麻生派は40人から31人に、旧岸田派は34人から26人に、旧茂木派は32人から27人に、旧二階派は31人から21人となり、旧森山派は立候補した7人全員が当選した。 見事なほどに旧安倍派が大幅に減っている。 石破茂首相にとって、党内抗争としては上出来だったのかもしれないが、結果的に自民党は歴史的大敗を喫した。 党勢が表れる比例票について、今回2024年と前回2021年の衆院選を比較すると、前回の選挙より比例票を減らしたのは自民党と公明党、日本維新の会、共産党などで、増やしたのは国民民主党とれいわ新選組だった。 新興政党では参政党と日本保守党も一定の票を獲得した。 自民党、公明党、維新の票は、より右と言える参政党と保守党や、中道の国民民主党に流れたと見る事が出来る。 意外なようだが、立憲民主党は比例票は微増にとどまった。 小選挙区では自民党の自滅によって棚ぼたの議席を得た形だ。 尚、得票率でみると、自民党は民主党に政権を奪われた2009年の衆院選時に26・7%で、前回2021年は34・7%だった。 今回の衆院選では26・7%と政権交代時に逆戻りした格好だ。 維新と国民民主党は共に中道右派で政策が似ているので、単純化すれば、維新の減少分がそのまま国民民主党の増加となったとも解釈できる。 参政党と日本保守党には、自民党の岩盤保守層の票が流れたと見られる。 参政党は95人の候補者を立て、小選挙区で約135万票、比例で約187万票を獲得した。 日本保守党は30人の候補者を立て、小選挙区で約15万票、比例では約114万票を獲得している。 石破自民の政策は、安倍晋三政権当時よりかなり左傾化し、野田佳彦代表の立憲民主党と見間違うほど似通っていた。 となると、岩盤保守層は逃げ出し、受け皿が参政党や保守党になったのだろう。 公明党の減少は自然減と見ていいのではないか。 さて、旧安倍派が党勢を巻き返せるかどうかは、ひとえに逃げた岩盤保守層を取り戻せるかどうかにかかっている。 旧安倍派「5人衆」のうち、離党した世耕弘成前参院幹事長と、無所属の西村氏、萩生田氏、比例と重複しなかった松野博一前官房長官は勝利した。 彼らを中心として巻き返す他ないが、かつての第一派閥が今や第五派閥だ。 まずは、石破首相にどのように対峙するのかが課題だ。 自ら設けた 「自公過半数」 という甘い目標を達成できなかったのに居座りを続ける石破首相を降ろせないようでは情けない。 野党は、いつでも内閣不信任案を提出できるが、その時に備えて自民党内をリードできる態勢を作っておくことが、復権の第一歩だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) トランプ氏勝利 安倍氏の功績で「石破首相でも渡り合える」 麗澤大の江崎道朗客員教授 広島「正論」友の会 2024/11/7 20:54 https://www.sankei.com/article/20241107-UKCGRSVE5BKORIKMVWLI3ZWP5Y/ 広島「正論」友の会の第24回講演会が2024年11月7日、広島市中区のリーガロイヤルホテル広島で開かれ、麗澤大客員教授の江崎道朗氏が 「米大統領選と日本の安全保障」 と題して講演した。 江崎氏は、トランプ前大統領が勝利した米大統領選に言及し、 「日本は第2次安倍晋三政権以降、政治や安全保障の仕組みを立て直し、十分渡り合えるようになっている」 と指摘。 トランプ氏と石破茂首相との関係性を不安視する向きも日本国内であるとしつつ 「うろたえる日本を米国は見ている」 「どっしりと構えるべきだ」 と強調した。 中国の脅威が増大し、米国単独で向き合うのが難しい状況下で中国に対峙する以上、 「日本の協力が必要」 「トランプ氏は日本を邪険にできない」 と述べた。 トランプ氏の外交戦略を 「力による平和」 とした上で 「日本にも防衛力増強を求めるはずで、我が国の憲法改正は不可避だ」 「安倍氏が敷いたレールに沿っていけば、石破氏でもトランプ氏は遇する」 との見方を示した。 <正論>日米軍事連携で「力の空白」防げ 麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男 2024/11/8 8:00 https://www.sankei.com/article/20241108-3NGJJVOSLVNCZNQPZQY3V6ZF5U/?outputType=theme_uspe 米国の大統領選挙はトランプ氏が異例の大接戦を制した。 だが政治と社会の分断の傷は深く、そう簡単には癒やされまい。 米国第一主義の内向き傾向は強まり、海外への関与は減少し、米国の威信と指導力の低下傾向は止まらないだろう。 同盟国に今以上に自助努力を求めてくるのは確実だ。 ■豪速球のトランプ氏に対し 他方、日本では総選挙で与党が過半数を割った。 信を失った首相は、辞任することもなく、少数与党で乗り切ろうとしているようだが、国内政治は混迷を深めるだろう。 経済、安全保障を問わず、豪速球のトランプ氏に対し、現政権が対等にキャッチボールできるとはとても思えない。 東アジアは台湾有事という火種を抱える。 米国の関心の低下、関与の減少、そして日本政府の機能不全が重なれば、東アジアに 「力の空白」 が生じることが懸念される。 ほくそ笑むのは台湾併合を狙う中国である。 「力の空白」 に乗じるのは中国のお家芸と言える。 2013年9月、オバマ大統領は 「米国は最早世界の警察官ではない」 と述べた。 世界各地の 「力の空白」 を容認したに等しい。 中国は、この機を逃さず、南沙諸島で岩礁の大規模な埋め立てを始め、軍事化を図った。 ロシアはクリミア半島併合を成し遂げた。 中国、ロシアは力の信奉者であり、 「力の空白」 には躊躇なく入り込む。 筆者は米国に亡命した中国人学者に 「中国とはどういう国?」 と質問したことがある。 彼は即座に 「『2人のカール』を愛する国だ」 と述べた。 「2人のカール」 とは 「資本論」 「共産党宣言」 で有名なカール・マルクスと 「戦争論」 で有名なカール・フォン・クラウゼビッツである。 両者の共通点は、 「戦争を政治の延長」 と見る現実主義者であり、 「戦争が止まる時は両者の武力が均衡した時だけである」 という力の信奉者であることだ。 戦争は 「血を流す外交」 であり、国益争奪の政治の延長に過ぎず、結局は軍事力が大きくものをいう。 ■独善的な中国に対峙し 中華人民共和国建国の父、毛沢東は 「敵進我退、敵駐我攪(かく)、敵疲我打、敵退我追」 (敵が進めば退却し、敵が止まれば攪乱し、敵が疲れれば攻撃し、敵が退却すれば追撃する) との基本戦略を残した。 強い相手には立ち向かわないが、非力と見れば容赦なく攻めたてる。 力の信奉者の面目躍如だ。 改革開放を推進したケ小平は 「韜光養晦(とうこうようかい)」 (爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ) を掲げ経済建設に邁進した。 軍事力の貧弱さを自認、経済建設と並行し驚異的な軍拡を推し進めた。 国防費は30年間で約32倍に膨れ上がった。 かつて朱鎔基元首相は 「強硬になれるかどうかは実力次第」 と言った。 今や米国に伍する軍事力を備えた中国は、強硬で攻撃的になり、紛争の火種をまき散らしている。 南シナ海のほぼ全域の領有権を独善的に主張し、2023年8月には 「十段線」(それまでは「九段線」) を示し、区域を拡大した。 2016年に国際仲裁裁判所裁定で南シナ海における中国の領有権主張は退けられたが、これを 「紙屑」 と切り捨て、一顧だにしない。 南シナ海侵出の歴史を見れば中国のやり口がよく分かる。 1950年代、インドシナから仏軍が撤退するや、中国はその空白に乗じて西沙諸島に侵攻。 1973年、ベトナムから米軍が撤退するや、機を見逃さず、西沙諸島全域を支配。 1980年代半ば、ソ連軍がベトナムのカムラン湾の部隊を縮小するや、すかさず南沙諸島西側を占拠。 1992年、米海軍が在比スービック基地から撤退を決めるや、南沙諸島に侵出し、ミスチーフ環礁を占拠し、スカボロー礁を支配した。 1992年に中国は領海法を制定し、南沙、西沙諸島のみならず尖閣諸島まで中国領土と明記している。 ■日本の政局混迷の中で 中国は、常に力関係を瀬踏みしている。 相手が弱いと見るや、強硬に出るし、 「力の空白」 には躊躇なく入り込む。 チベット、新疆ウイグル自治区へと版図を広げたやり口は力の信奉者そのものだ。 フィリピンが今、中国の圧力に晒されている。 領有権問題でフィリピンの沿岸警備隊が中国海警の艦船に放水されたり、衝突されたりしている。 公船への放水や衝突などは国連海洋法条約違反である。 日本の海上保安庁の巡視船には決してしないことをフィリピン沿岸警備隊には実施する。 それはフィリピンが弱いからである。 石破茂政権は基盤が脆弱であり、政局は混迷し、東アジアにきめ細かく目配りする余力はないだろう。 米新政権も外交が正常に機能するには来夏2025年夏くらいまでかかる。 日米の機能不全で東アジアに 「力の空白」 を生じさせてはならない。 頼みの綱は、自衛隊と米軍だ。 民主主義国家の軍は政局の影響を受けにくい。 自衛隊と米軍は従前以上に連携を密にし、共同訓練を頻繁に行い、警戒を怠らず、即応態勢を維持する。 そして可能な限りそれを公開することだ。 日米の強固な軍事連携が今ほど求められている時はない。 自民、また譲歩 憲法審査会長に枝野氏「憲法改正・選択的夫婦別姓」担うポストも 岩盤保守層離れ拍車「自民『終わりの始まり』では」 2024.11/9 15:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-HETA6NXDR5MCHBALTUMOPNDIMI/ 衆院選での 「自公与党の過半数割れ」 を受け、与野党は2024年11月8日、衆院各派協議会で、委員長と審査会長のポスト配分を確定した。 野田佳彦代表の立憲民主党は予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで確保した。 自民党の党是である 「憲法改正」 が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する 「選択的夫婦別姓」 の審議が加速する可能性がある。 石破茂首相の下、自民党の支持基盤が更に危うくなっている。 ◇ 「自民党の『終わりの始まり』ではないか」 政治学者の岩田温氏は、自民党が、憲法審査会長と法務委員長を明け渡したことについて、こう語った。 石破自民党が惨敗した衆院選によって、前向きな 「改憲勢力」 は国会発議に必要な定数の3分の2を割り込んだ。 こうした中、憲法審査会長に就く立憲民主党の枝野幸男元官房長官は、自民党が憲法改正の優先事項に据える 「緊急事態条項の新設」 に反対し、憲法への 「自衛隊明記も不要」 との立場だ。 改憲慎重派に配慮した審査会運営が予想される。 更に、野田氏は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは 「選択的夫婦別姓の実現」 が狙いと明かした。 野田氏は 「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」 「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」 と語った。 選択的夫婦別姓を巡っては、 「親子別姓」 や 「兄弟別姓」 に繋がり、 「親子の絆」 「兄弟の絆」 「家族の絆」 を危うくするとの指摘もある。 石破茂首相は総裁選で、 「選択的夫婦別姓の導入」 に前向きな姿勢を示していたが、所信表明演説(2024年10月4日)や、衆院選の政権公約では明確に触れなかった。 「岩盤保守層」 の反発を避けたとの見方もあるが、石破執行部が衆院選で強行した 「非公認」 や 「比例重複を認めず」 といった対応で、保守勢力は大きく縮小した。 一連の動きをどうみるか。 前出の岩田氏は 「まず、憲法審査会長を明け渡したのは、石破首相の『憲法改正はしない』という意思の表れではないか」 「法務委員長の件も深刻だ」 「もし、夫婦別姓が導入されて『親子別姓』『兄弟別姓』となれば、家族の一体感が保てるかは大いに疑問だ」 「岩盤保守層は、もう自民党には戻らないだろう」 「石破自民党の愚かさは留まることを知らない」 と語った。 正論12月号 覆面座談会「メディア裏通信簿」 2024/11/9 12:00 https://www.sankei.com/article/20241109-NHNWKFV7LRCX7DQZWNMLAW2GBM/?outputType=theme_monthly-seiron ★女史 石破茂さんが新首相になったのはちょっと想定外だったよねえ。 でも、もっとびっくりしたのは、石破さんが就任後は自民党総裁選で訴えた持論を変えたり封印したりして、何だか前とは別人になっちゃったこと。 マスコミに「変わった」とか叩かれて、今度の総選挙も、期待したほどの追い風が吹かなかったよね。 ★先生 2024年10月15日付の朝日新聞「時時刻刻」が 「石破カラーどこへ 裏金・政治改革 『深い反省』でも具体策示さず」 として石破の変節を取り上げているんだが、ちょっと筆が鈍いというか、あまり厳しく 「石破はダメだ」 と言ってしまうと 「じゃあ高市早苗のほうが良かったのか」 という話になりかねないので、石破を全否定するわけにもいかないみたいだ。 それが朝日の辛い所で、どうにも中途半端な記事になっていたな。 ★教授 朝日では2024年10月15日付「多事奏論」で高橋純子編集委員が 「摘んだ野花は飾るとしおれる」 と題して書いていて、石破批判としては秀逸でした。 「野花を摘んで花瓶に挿したら即しおれましたとさ」 と石破新首相を皮肉っていて、まあこれに尽きているなと思った次第です。 「高市氏が首相にならずホッとした――それだけは言えるとも言えるし、それだけしか言うことはないとも言える」 などとも書いてましたけどね。 ★女史 朝日としては石破さんに期待していたけれど裏切られた、という思いが強いんだろうね。 ★教授 2024年10月2日「天声人語」では 「石破さん、質問があります」 と書き出して、選択的夫婦別姓制度の導入に前向きだった以前の発言を紹介して 「あの話はどうなっていますか」 と問うています。 更に 「(総裁選で)反対派の高市さんにあなたが決選投票で勝った時は、『やっと政治が動くか』と期待する声もありました」 「ところが、一昨日に公明党と交わした連立政権の合意文書には、『別姓』の記載がありません」 と追撃≠オて 「権力を手にした途端に、あっさり転向ですか」 と不満たらたらです。 聞いた話ですが、この天声人語は朝日社内で非常に好評だったそうです。 ★女史 この天声人語の中で、石破内閣には女性閣僚が2人しかいませんって非難がましく書いてるよね。 でも私、朝日新聞のウェブサイトの「役員・組織図」を見ちゃったんだけど、朝日の「役員など」には約30人中、女性らしき名前が4人くらいしかないんだよね。 石破内閣の20人中2人と大して変わらないじゃん。 こういうのを言行(原稿)不一致って言うんじゃない? ★編集者 どれどれ…確かに明らかに女性らしい名前は4人だけですね。 でも男、女とは明記されてませんし 「性自認は女だ!」 という人が他にいるかもしれません。 ■石破が辞めると朝日が困る ★教授 コホン。石破首相は元々、政治資金パーティー券収入の不記載問題で党の処分を受けた議員についても、総選挙では公認するつもりでした。しかし十月四日付の朝日一面「裏金議員を原則公認へ」の記事などを受けて、方針を大転換させ、十二人の前議員を非公認としました。こういう事件では、メディアは当人が犯罪に関わっていようとなかろうと、政治家を血祭りにあげたがりますが、石破首相はそれに乗せられてしまったのです。 先生 今回、石破は党内融和よりも国民の共感を得ようと、メディアの口車に乗って不記載議員に厳しい態度に出たが、結果として自民党内に大きな亀裂が入っている。小泉純一郎が郵政民営化の反対派を敵視した二〇〇五年の「郵政解散」を思い出すな。ま、あのときほどの熱気は感じられないけど。 教授 まあ、選挙はテレビ、とりわけワイドショーがどういうふうに取り上げるかによって、結果はずいぶん違ってくるのですが、テレビ局でワイドショーをつくる人たちは基本的に朝日新聞を熟読していますから。突き詰めれば世論はある程度、朝日新聞の政治部がつくっているとみるべきかもしれません。 先生 一部メディアは石破をも血祭りにあげようとしていたよな。ただ、朝日なんかはここで石破を擁護しておかないと、石破が辞めた後に高市が首相に、という流れになったら大変だ。朝日にとっては難しい選挙だっただろう。 ■左翼の内ゲバ*u発 ★女史 でも野党第一党の立憲民主党もパッとしないと思ったよ。 ★先生 2024年10月4日の読売新聞朝刊が自民と立憲民主の公約案を載せていたんだが、双方よく似ていて、しれっと入れ替えても読者は気づかないんじゃないかと思ったぞ。 これは代表の野田佳彦らが、公約を自民党に寄せたんだ。 恐らく立民の作戦だったんだろう。 ★女史 細かいことを言えば、立民も 「原発ゼロ」 を封印したりしてたし。 でも本来の過激な主張を封印するっていうこと自体、石破さんのマネなのかも(笑)。 ★教授 自民も立民も、左右の岩盤支持層ではなく中間層を狙いにきており、左右の尖った政策は引っ込めていたわけですね。 その結果、立民が右傾化しているように見えて、旧しばき隊(C.R.A.C.)の周辺関係者などは立民ではなく自民への投票を呼び掛けていたという話を聞きましたよ。 ★女史 2024年9月24日だから野田さんが党代表に決まった直後だけど、X(旧ツイッター)にこんな投稿をしてた。 「これは『急がば回れ』なのです」 「自民党に対するオルタナティブをきちんと示すまで、たとえ自民が通ろうとも立憲に票を与えてはならない」 「そもそも、野党第一党のくせに自民党と同じようなこと言ってるほうが倒錯しとるだろうが」 「有権者ナメてんのか」。 昔ながらの過激な左の人たちは、野田さんの方針に猛反発してるみたい。 ★教授 左翼の中での野田嫌いというのが凄く強烈だというのもあるんですよ。 彼は共産党と選挙協力しないことを明言していますし、安保法制を部分的に認めるという考えも左翼としては受け入れ難い。 ですから左翼の中で、立憲民主党を潰せ、野田を潰せという動きが強くなっているわけです。 ★先生 それで共産党は意地になって、小選挙区に泡沫同然の候補を乱立させたわけだ。 立民の候補がいる所にまで後から共産が候補を立てたりとか。 うっかりすると億円単位で供託金没収になって大変だと思うが。 野党は野党でまとまれずに抗争を始めて、自民党は自民党で党内抗争がある。 ★教授 なかなか不穏で、今後の政局は見通しにくい状況ですね。 ★先生 左巻きの連中の一部は立民に投票したくないから、れいわ新選組の応援にも流れているようだ。 ★教授 今回の総選挙で、れいわは比例代表東京ブロックの名簿一位で伊勢崎賢治氏を擁立していましたね。 この方、石破首相とは旧知の仲なのだとか。 ★女史 石破さんが昨年2023年の自分のブログに書いてた。 「昨日は『ウクライナ戦争』の即時停戦を求める有識者の集会が議員会館で開かれ、日頃から敬愛する伊勢崎賢治・東京外大名誉教授からのお声掛けもあり、参加して参りました」 って。 ★教授 石破氏は 「『今日のウクライナは明日の台湾、台湾有事は日本有事』という相当に短絡的な議論の危うさを改めて感じたことでした」 とも書いていました。 改めて読むと、もう自民党なのかれいわなのか分かりませんね。 ★先生 左にウイングを広げるのが石破の持ち味なんだろう。 生前、安倍晋三が 「左に支持を広げるよりも右をきちんと押さえておかないと大変なことになる」 と常々、言っていたが、その心配が現実になりつつある。 何だかんだ言っても、左翼が本当に自民党に票を入れるわけないだろ。 ★女史 そうだね。 TBS系「サンデーモーニング」でもお馴染みの元共同通信記者、青木理氏は、津田大介氏とのユーチューブ対談動画で、自民党に投票する人たちを 「劣等民族」 だと呼んでた。 けど逆に批判されてたね。 それで謝罪して発言を撤回し、地上波テレビ出演は当面自粛するんだって。 ★教授 それでも文化放送には相変わらず出演していますし、総選挙の投開票日には同局の開票特番に出ることも発表されていました。 ラジオやネット動画では今後も活動を続けていくのでしょうか。 ★先生 さすがにテレビ局としてはああいう輩を今後、出演させるわけにはいかないだろ。 危なくて仕方ない。 ★女史 サンモニ関連では前法政大総長の田中優子さんも、ある集会で高市さんについて 「安倍さんが女装して現れた」 とか言って炎上してた。 ★編集者 それについては元検察官の菅野志桜里元衆院議員がフェイスブックで 「自分の希望に沿わない女性政治家を『中身は男』と非難するのは、性差別です」 「しかも属性で人を貶めて笑いを取るのは、いじめの構造と同じです」 「フェミニストあるあるですけど、これを機にやめましょう」 と、お行儀の悪さをたしなめていました。 ■後藤謙次より田崎史郎 ★教授 自民党総裁選の当日、私はテレビ朝日の開票速報番組を観ていたのですが、1回目の投票で高市氏が1位になった時、元共同通信の後藤謙次氏が明らかにうろたえているように見えました。 ★先生 それは俺も観てた。 確かに呆然として動揺していたな。 ★教授 それででしょうか。 彼は高市氏が1位になった背景について、全国の党員に30万部のリーフレットを郵送した効果が現れたという、本質から外れた解説しかできませんでした。なぜ高市氏がこれだけの票を集められたのか、理解できなかったのでしょう。 ★先生 その点、TBSの番組に出ていた元時事通信の田崎史郎は、総裁選の前半では見苦しいくらいに小泉進次郎推しだったけれど、途中で日本テレビの世論調査結果が出て小泉の失速が明らかになった辺りからは冷静になって、最後まで 「高市が勝つかもしれない」 と分析していた。 そういう意味では、後藤より田崎の方に俺は誠実さを感じたぜ。 ★女史 田崎さんと言えば2024年10月1日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出ていて、石破内閣の顔ぶれについて 「何か非主流派の在庫一掃セールみたいな感じ」 「派閥解消を理由にした余りに露骨な身内びいきの人事」 とバッサリ斬ってたね。 あれは痛快だった。 ★編集者 リーフレットの話で思い出しましたが、2024年10月4日付の日本経済新聞に石破首相の著書『保守政治家 わが政策、わが天命』の広告が載っていました。 そこには 「総裁選出馬時、石破氏自ら各議員に手渡しした渾身の書!」 という謳い文句が載っていたのですが、これってセーフだったんでしょうか。 ★先生 そりゃ総裁選のルールが公表される前に配り切ったんだろ(笑)。 ★編集者 前々回(2024年10月号)で 「この本が売れて、内容が広まったら石破氏は『終わり』なんじゃないか」 とのお話がありましたが…。 ★教授 配られたけれども、議員は誰も読まなかったということでしょう(笑)。 私は読みましたが、内容は酷いものですよ。 後になって目を通して 「読むんじゃなかった」 と思っている議員も、中にはいるんじゃないですかね。 ともあれ、総裁選の決選投票では岸田文雄前首相の一派が石破氏を後押しして、議員の間では人気がなかったはずの石破氏がついに首相の座に就きました。 それだけに、嘉悦大学の高橋洋一教授などは 「岸破(岸田+石破)政権」 と呼んでいますね。 ★先生 岸田政権の経済政策を石破が全部継承する、という条件で岸田は支持したと言われているな。 もし石破が退陣した場合、岸田の首相返り咲きがあるかもしれないぞ。 ★教授 仮にそうなると、一体なんで岸田さんは総裁選出馬を断念したんだろう、という話になってきますが…。 ★編集者 そうなると、変な話ですね。 ■日本人ヘイトと朝日新聞 ★女史 この間、真田広之さん製作・主演のドラマ「SHOGUN 将軍」が米エミー賞で史上最多の18冠を獲得したって大きな話題になったよね。 それについて2024年9月17日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、元フジテレビアナウンサーの菊間千乃弁護士が 「エンタメに関しては韓国の方が先に世界に認められた」 「日本としては置いていかれていたという感じがあった」 とコメントしてたのが気になったな。 これは何かの日本叩きのプロパガンダなのか、それとも彼女が本当にそういう風に思い込んでいるのか…。 ★編集者 単によくある、五十代女性の感想じゃないっすか。 ★女史 でも、この発言に対してはネットで色々と突っ込みが入ってた。 「アカデミー賞初受賞は日本・1951年『羅生門』、韓国・2020年『パラサイト』」 「アカデミー賞受賞回数は日本42二回、韓国5回」 といった具合にね。 今はマスコミ人の発言も、ネットの普及で一般の人に検証されるようになっているからね。 ★先生 いずれにしろ、菊間の前後の年代の女性は本当に韓国の芸能が好きな人が多いよな。 ★女史 そこでよく言われるのが、韓国は日本と違って徴兵制があるから、男たちがシャキッとして鍛えられているし包容力もあるんだと。 それはいいんだけど、 「戦争反対」 とか主張しているリベラルな価値観の持ち主が、一方でそんな事を言ってるんだよね。 要するに日本が悪くて、韓国はいいというね。 5年前にKポップファンの日本人女性2人が韓国男性にからまれて暴行された事件があった時も、さっきの青木理さんが 「通常なら報道されないニュース」 と、問題にする日本が悪いというような発言をしたじゃん。 仮に日本で在日コリアンが暴行されたら大々的に報じるのにねえ。 ★先生 何で青木がテレビで重宝されるかと言えば、日本をディスってくれるからだろ。 何だかんだいって日本人は自虐的だから、ああいうキャラが求められるわけだ。 ★女史 そう言えば、今回の 「劣等民族」 発言の後で周りの女の子たちに 「青木さんってどう思う」 って聞いてみたら 「ダンディーなおじさんで、昔からファンだった」 という子が結構いてビックリだった。 ★教授 ダンディーな左翼と言えば、姜尚中・東京大学名誉教授を彷彿とさせますね。 ★女史 私も昔、朝まで生テレビ!で姜尚中さんが出ているのを観て 「何でこの人があちこちのメディアで引っ張りだこなんだろう」 と不思議だったんだけど、やっぱり周りの若い女の子たちは 「物腰も柔らかくてかっこいい」 と言ってた。 外見が女性ウケするという点で、青木さんと姜尚中さんは似てるなあ、と思ったのよ。 ★先生 青木は今回の 「劣等民族」 発言で地上波のテレビに出なくなるからテレビ局は早速、ポスト青木理を探し出すんだろうな。 いくらでも予備軍はいるだろ。 ★教授 左の方々はテレビ出演には恵まれていますね。 さすがに青木氏は批判されましたが、それ以外の左翼の日本人ヘイトは基本的にお咎めなしですから。 朝日新聞の一連の 「従軍慰安婦報道」 などはまさに日本人ヘイトだったわけです。 一方で、保守派はなかなかテレビではお呼びがかからないのです。 ★編集者 朝日は従軍慰安婦報道で叩かれましたが、確かに、あれもそうかもしれません。 ■「自民党員は偏った集団」 ★教授 朝日新聞の2024年10月10日付紙面では長谷部恭男早稲田大教授との対談で、杉田敦法政大教授が 「今回の総裁選での自民党員票の総数は有権者のほぼ1%で、必ずしも世論全体を反映するわけではない偏った集団だということを踏まえる必要があります」 「偏りのある集団が事実上、首相を決めているということにもなる」 と発言していました。 自民党員は 「偏った集団」 なのだというわけです。 それは左派の人から見ればそうかもしれないですけれども、何を基準に 「偏った」 と決め付けるのか。 如何なものかと思いますけれどね。 ★先生 「首相を決めている」 というが、党員投票で党首を選ぶのは現代では普通だけどな。 日本以外の欧米先進国では大抵、政党の党首は党員投票で決まっている。 日本の場合、自民党でも立憲民主党でも党首を選ぶ際には議員票がモノをいう。 議員は一般有権者による選挙で選ばれているわけだから日本が一番、民主的だと見る事もできるだろ。 ★教授 実態を見るなら、自民党員は全体としてそれほど保守的でもありません。 左派メディアはそれを敢えて極右の特殊な人たちの集団だと印象付けようとしているように見えます。 ★先生 そうだな。 高市早苗だってメディアが言ってるほど右の人間じゃねえだろ。 安保政策についても高市は、むしろ石破よりも岸田に近いんじゃないか。 「アジア版NATO」 なんてことも言わないし。 それなのに、なぜ岸田は石破を推したのか。 左巻きのメディアが石破を推してきたことと併せて、理解に苦しむな。 ★女史 石破さんと言えばこれまで防衛庁長官、防衛相を計3年弱もやってる人でしょ。 実際、石破内閣では岩屋毅外相、中谷元防衛相と防衛族が幅を利かせているように見えるけど、朝日新聞なんかは問題視しないんだね。 ★先生 高市は堂々と靖国神社に参拝してきたし、 「首相になっても靖国に参拝する」 と公言していたのが攻撃材料にされてしまった面がある。 かつての安倍のように、首相になった場合のことは曖昧にしておけば良かったのに。 ★編集者 もちろん靖国参拝はしてほしいですが。 ★女史 でも石破首相、2024年10月の秋の例大祭では靖国神社に真榊を奉納したんだって。 これまで奉納したことはなかったけれど、首相になったんで菅義偉さんや岸田さんの先例にならったらしい。 ★先生 いやあ、見事な変節ぶりだよな。 (文中一部敬称略) (月刊「正論」12月号から) <産経抄>石破首相の対米外交 安倍氏の手法真似てはどうか 2024/11/9 5:00 https://www.sankei.com/article/20241109-4UGHOLPPSRLPXJQ4ADOGE5ER6Q/ 政治家の言葉は額面通りには受け取れない。 石破茂首相が2024年1月7日、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と初の電話会談を行った後、記者団に述べたこのセリフもそうだろう。 「非常にフレンドリーな感じがした」 「言葉を飾ったり繕ったりするのではなくて、本音で話ができる方だ」 ▼その通りなら、日米両首脳の初接触としてまず成功だと言える。 とはいえ、会談時間は僅か5分間に過ぎない。 双方が通訳を介すので、実質的には2〜3分間ぐらいか。 これで本音で話し合える相手だと確信できるとは思えない。 ▼2016年11月、トランプ氏が大統領選に当選した後の当時の安倍晋三首相との電話会談は、約20分間だった。 安倍氏は抄子に、ユーモアを交えて語った。 「彼はかなり強いリーダーが好きみたいで、幸い私も強権と言われているから」 「私にかなりシンパシーを感じている様子だった」。 ▼今回、トランプ氏が各国指導者と行った電話外交の一部は会談時間が報じられている。 例えばフランスのマクロン大統領とは約25分間、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とは約12分間である。 長ければいいわけでもないが、首相との5分間は如何にも短い。 ▼単純比較はできないが、安倍氏とトランプ氏の場合、電話会談は30〜40分間が普通で1時間を超えることもあった。 対面での会談後、すぐにトランプ氏から電話がかかってきて 「シンゾーがいなくて寂しい」 とこぼされたこともあった。 ▼「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」。 首相は2018年、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに語っていた。 安倍氏の外交手法を否定するばかりでなく、たまには取り入れたらどうか。 <主張>自民の両院懇談会 「ガス抜き」で居座るのか 社説 2024/11/9 5:00 https://www.sankei.com/article/20241109-Y7B52NA4OVNEHGDNOMPJYEDZCA/ 不満のガス抜きを図って政権に居座ろうとしている―。 石破茂首相(自民党総裁)と自民執行部には、衆院選で示された民意を尊重するつもりがないことが改めて分かった。 自民が、大敗した衆院選後初めての両院議員懇談会を開いた。 出席議員から、石破首相と党執行部の責任を問う声が相次いだのは当然である。 石破首相は 「痛恨の極みだ」 「深く反省し、お詫びしなければならない」 と陳謝したが、本当に反省しているのだろうか。 何の責任も取らず、大敗の検証も示していない。 神妙な表情を作って反省の弁を述べてもけじめをつけたことにはなるまい。 石破首相と森山裕幹事長が本来取るべき行動は、潔く辞任した上で、落選した候補者から直接話を聞くことだ。 責任を問う声は上がったが、懇談会は石破首相続投を事実上容認する形となった。 衆院議員1人1人が自立の気概を持っていた中選挙区制の時代とは異なり、総裁と執行部が個々の議員よりも力を持つ小選挙区制の時代ならではの現象だろう。 安定した国政運営に当たれる議会構成を追求するのは与党を目指す政党の責務だ。 その観点からすれば、2024年9月の自民総裁選で石破首相を選んだ同党議員の責任は重い。 また、今回の懇談会で、衆院選の民意に逆らって首相続投を容認することになった自民は無責任の謗りは免れない。 これは自民が目測力と自浄力を低下させていることを意味する。 懇談会の首相続投支持は消極的なものに過ぎず、自民は一致結束して政権運営に当たれる状況にはない。 衆院選の比例代表で自民の得票数は令和3年の前回衆院選に比べ533万票も減り、1458万票だった。 一方、国民民主党は約350万票増で、参政党と日本保守党の票の合計は約300万票だった。 自民の失った533万票が流れた可能性がある。 これらには、安倍晋三元首相の政策を支持してきた岩盤保守層の離反が原因の動きもあるだろう。 自民はその現実を直視すべきである。 この層の支持も得られなければ安定した国政運営は難しい。 石破首相と現執行部にそれができるのか。 「痛恨の極み」石破茂首相、与党過半数割れを陳謝 自民が衆院選敗因総括の懇談会 2024/11/7 20:38 https://www.sankei.com/article/20241107-2BEZBLHVMFNKNK5A3IZKHUY7EY/ 自民党は2024年11月7日、大敗した先の衆院選の敗因を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。 石破茂首相(党総裁)は冒頭、衆院選の勝敗ラインに掲げた 「与党過半数」 を下回った結果について 「痛恨の極みだ」 と述べた上で 「深く反省し、お詫びしなければならないと考えている」 と陳謝した。 出席者の一部からは執行部の責任を問う声があった一方、結束を求める声が多く上がった。 森山裕幹事長は 「強く責任を感じている」 「多くの国民から厳しい批判を頂いたことは、厳粛に受け止めなければならない」 と語った。 懇談会は約3時間に渡った。 意見交換は非公開で行われ、衆院選終盤で発覚した非公認候補が代表を務める政党支部に2000万円が活動費として支給されたことについて、説明を求める声が相次いだ。 また、衆院選の敗因分析の必要性や、党員・党友と有権者との感覚のずれを指摘する意見もあったという。 懇談会後、森山氏は記者団に 「(意見を)整理をして、今後の党運営に活かしていきたい」 と説明した。 自民「石破おろし」広がらず 衆院選大敗も、3時間の両院議員懇で明確な辞任要求は1人 2024/11/7 20:09 https://www.sankei.com/article/20241107-7NSXOTUSIRNLNJTDACXN7WTCZ4/ 自民党が2024年11月7日に開いた両院議員懇談会では、大幅に議席を減らした先の衆院選を受け、複数の出席議員が石破茂首相(党総裁)を批判し、責任論に言及した一方、大半は首相の当面の続投を支持した。 与党過半数割れという危機的状況の中、 「内紛している場合ではない」 という声が高まっている。 懇談会は衆院選後初の総括の場だったが、 「石破おろし」 には発展しなかった。 出席議員の発言は報道陣に非公開だったが、3時間で約50人が意見を述べた。 出席議員によれば、冒頭の首相や森山裕幹事長の陳謝の後、口火を切ったのはベテランの船田元・元経済企画庁長官(旧茂木派)。 「一丸となってこの難局を乗り切らないと与党ではいられなくなる」 「色んな責任問題はあるが、まずは一致団結して難局を乗り切るべきだ」 と訴えた。 これに対して青山繁晴参院議員(無派閥)は 「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」 と主張した。 ただ、青山氏によれば、明確な辞任要求は自身1人だけで、7〜8人が衆院選敗北の責任論に言及した。 西田昌司参院議員(旧安倍派)は、来年2025年度予算案の編成のために首相の当面の続投に関しては理解を示した上で、 「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」 と語った。 とはいえ、懇談会は続投容認論が大勢。 尾崎正直衆院議員(旧二階派)は出席後、記者団に 「総じて『皆で石破総裁を支えていこう』ということはコンセンサス」 と述べた。 森山氏は懇談会終了後、記者団に、2024年年内の今年2024年度補正予算案や来春の令和7年度予算案の成立を期すことが大事だと強調し、退陣論を否定した。 目立ったのは敗因の検証を求める声だ。 特に、非公認候補が代表を務める政党支部に党が活動費2000万円を支給した問題に矛先が向いた。 柴山昌彦元文部科学相(旧安倍派)は 「如何に国民世論からかけ離れたものか、きちんと執行部に受け止めてもらい、検証を行うべきだ」 と発言した。 それでも2024年年内に首相が退陣に追い込まれる事態にはならなさそうだ。 首相との距離がある麻生太郎最高顧問(麻生派)は懇談会に出席したが、発言しなかった。 反石破勢力から期待されている高市早苗前経済安全保障担当相(無派閥)は欠席。 2024年11月5日、近しい議員らと会食した際も 「(党内が)ガタガタしていたら自民は野党になってしまう」 と結束を呼び掛けた。 「痛恨の極みだ」石破首相、自民の両院議員懇談会で衆院選大敗を謝罪 2024/11/7 16:22 https://www.sankei.com/article/20241107-XJQMEZOOGVOLZIRQVU37RBP234/ 自民党は2024年11月7日、大敗を喫した衆院選を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。 石破茂首相は冒頭で 「痛恨の極みだ」 「深く反省し、お詫びしなければならない」 と述べた。 森山裕幹事長は 「強く責任を感じている」 「厳しい批判を頂いたことは厳粛に受け止める」 と語った。 石破首相とトランプ氏会談わずか5分の衝撃 韓国・尹大統領の半分以下 党の両院議員懇談会でも集中砲火、まさに四面楚歌 2024.11/8 11:32 https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-J5S64FY5UVPINAX3WEKJIVUNAM/ 「政権居座り」 に執着する石破茂首相(自民党総裁)が四面楚歌≠ノ陥りつつある。 2024年11月7日の党両院議員懇談会では、衆院選で勝敗ラインとした 「自公与党で過半数」 を割り込む大惨敗を喫した責任について集中砲火を浴びた。 国会運営では、少数与党ゆえ、躍進した国民民主党の意向に配慮せざるを得ない上、国会の最重要ポストの1つである衆院予算委員長を立憲民主党に譲り渡した。 米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領との電話会談は、何と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の半分以下という5分間。 米メディアには、石破首相の 「日米同盟不平等論」 を問題視する向きもある。 過去に現実軽視の持論を並べ立て、他人を批判し続けた 「特大ブーメラン」 が次々と刺さっている悪循環は続きそうだ。 ◇ 「国民の期待に十分応えることができなかった」 「痛恨の極みだ」 「深く反省し、お詫びしなければならない」 「真摯に受け止め、改革に前向きに取り組んでいく」 石破首相は2024年11月7日、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会で、こう陳謝した。 衆院選での自民党惨敗は 「国民の審判」 そのものであり、 「政権居座り」 こそが国民の期待に反するのではないか。 当然、参加者からは、執行部の責任を問う声が相次いだ。 投開票直後から辞任論を掲げていた青山繁晴参院議員は 「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」 と主張したという。 記者団にも 「『政権選択選挙』で負けたのに責任を取らないのでは、自民党が民主主義を掲げることはできない」 と言い切った。 西田昌司参院議員も 「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」 と訴えた。 石破執行部に対しては、 「非公認」 候補が代表を務める政党支部にも選挙前に2000万円を支給した判断を問題視する意見も続出した。 柴山昌彦元文科相は 「世論から如何にかけ離れているか、執行部はしっかり受け止め検証すべきだ」 と発言した。 小林鷹之元経済安保相も、執行部から事前に明確な説明がなかったと苦言を呈し、 「党が一丸となって政策を進めていく環境を作る必要がある」 と訴えた。 厳しい批判が噴出する中、馬の耳に念仏なのか、石破首相は具体的な責任論に言及しなかった。 森山裕幹事長も 「強く責任を感じる」 「厳しい批判は厳粛に受け止める」 「(2000万円は)非公認の人が選挙費用に使える仕組みにはなっていない」 と釈明したものの、そのまま続投する意向だ。 石破首相と距離を置く麻生太郎元首相は発言しなかった。 「ポスト石破」 を期待される高市早苗前経済安保相は欠席した。 衆院選で 「非公認」 となり無所属で勝利した萩生田光一元政調会長は、高市氏と連携する意向を示しているが無言を貫いた。 出席議員は執行部を除き約180人で、非公開で約50人が発言したが、大半は 「当面の続投」 を支持したという。 ある閣僚は 「ガス抜きになった」 と語っている。 石破政権は国会運営にも不安がある。 国会の委員会で最重要ポストの予算委員長を、立憲民主党に譲ることで合意したのだ。 予算委員長に野党議員が就くのは30年ぶりだという。 同委員長は採決日程の決定や議事進行などで大きな権限を持ち、局面によっては予算案審議が難航することも想定される。 ■米報道日米に「緊張が高まる可能性秘めている」 石破政権は、外交でも不安は尽きない。 石破首相は2024年11月7日午前、米大統領選で勝利したトランプ氏と初めて電話会談を行った。 石破首相は 「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致した」 「フレンドリーな感じがした」 「本音で話ができる人という印象を持った」 を手応えを語ったが、時間は5分間だった。 トランプ氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは約25分間、韓国の尹大統領とは約12分間も会談している。 前駐オーストラリア大使の山上信吾氏は2024年11月7日、自身のX(旧ツイッター)で、 「僅か5分しか相手にされず、英語も解さないのに、何を以て『非常にフレンドリー』と判断できるのか?」 「メディアの突っ込みが弱過ぎる」 と指摘した。 米メディアでは 「背後から銃で撃つ」 と党内外から批判された石破首相の政治スタイルを問題視する向きもある。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは、自民党総裁選の投開票日(2024年9月27日)、石破首相が 「日米同盟を不平等だとして再構築を唱えてきた」 と指摘し、米政府との間に 「緊張が高まる可能性を秘めている」 と報じている。 同紙は、石破首相が 「概ね保守的で防衛にタカ派的」 としながらも、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相とは異なり 「日米同盟の非対称的な側面に不満を抱いている」 と分析。 更に、2018年に石破首相に行ったインタビューから、 「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」 「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つこと(が大事)」 「安全保障でディールのカードを全く持っていない」 との、安倍氏とトランプ氏の盟友関係を批判的に語った発言を紹介している。 石破政権はどうなるのか。 政治評論家の有馬晴海氏は 「両院議員懇談会は『ガス抜き』で終わったようだが、『石破おろし』を巡る自民党内の見方は甘い」 「選挙を控える参院議員の中では退陣論も挙がる」 「『石破カラー』で支持率回復の目もあるが、石破首相は演出は上手くない」 「我慢強さを見せせ、耐えるしかない段階だが、全てにおいてヨタヨタで、ちょっとしたきっかけで政権が終わる可能性はある」 と語った。 外交はどうか。 評論家の八幡和郎氏は 「トランプ氏との5分だけの電話会談は象徴的だ」 「石破首相のキャラクターと、トランプ氏の相性も懸念されている」 「重要なのは『本音で話す』ことではなく、『メンツを潰さないよう迎合しているかに見せて誘導する』ことだ」 「石破政権には厳しい宿題が多く課されている」 と分析した。 「トランプ側近の本音」石破首相の評価は? パイプ持つ日本保守党・島田洋一議員が聞いた「世論に迎合する信用できない男」 2024.11/8 15:24 https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-RH7XVVVQKJJWFGBDK6T74MESFE/ 石破茂首相は2024年11月7日、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領と電話会談した。 首相はトランプ氏の印象を 「非常にフレンドリーな感じ」 と述べたが、トランプ氏周辺は実際のところ、石破首相や石破外交をどう見ているのか。 国際政治学者で共和党やトランプ陣営と太いパイプを持つ日本保守党の島田洋一衆院議員に 「トランプ側近の本音」 を聞いた。 石破首相は電話会談でトランプ氏に祝意を伝え、日米同盟をより高い次元に引き上げる考えで一致したと話した。 だが、大統領選直後にトランプ氏側近らとコンタクトを取ったという島田氏は 「衆院選にも敗北して政治力もないとして、トランプ氏周辺で石破首相の評価は高くない」 「マイナスからのスタートというより、スタートできるかも怪しい」 と指摘する。 島田氏によると、 「日米地位協定の見直し」 や 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」 といった石破首相の持論にも、トランプ陣営の反応は冷ややかだという。 「日米地位協定の改定は米軍の機密保護や米兵の身の安全に関わるため、米国は超党派で反発している」 「アジア版NATOについては、石破首相が発信を控えていることが、却って『世論に迎合するような信用できない男』と見られているようだ」 石破首相とトランプ氏は、早期に対面での会談を調整する方針を確認したというが、島田氏はこんな見方を示す。 「会談では米国と同じ路線で取り組む態勢が出来ていると、しっかりプランを示して行動できるかが重要だ」 「例えば岩屋毅外相は中国寄り≠ニ見られていて、防衛相時代の2018年には韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題に対応出来なかった」 「『人事は政策』であり、情報発信にもなるので、刷新すべきではないか」 トランプ氏が2016年の大統領選に勝利した際には、安倍晋三元首相がトランプタワーを訪問するなどして蜜月関係を築いた。 「トランプ政権発足直後の朝鮮半島危機や、中国に対する締め付けにも、安倍元首相は真っ先に協力するなど、間髪入れずにサポートする行動が信頼関係を固めた」 と島田氏は分析する。 これまで学者として北朝鮮による日本人拉致問題や日米関係の強化に取り組んできた島田氏だが、衆院選で日本保守党から出馬して当選し、今後は国会議員の立場で臨むことになる。 トランプ陣営の反応について島田氏は 「日本保守党から出馬し当選したことを 『米国で言えばトランプ現象に値するものだと理解している。日本保守党と連携していきたい』 と言われた」 「日本保守党の『日本第一』は、トランプ氏の『米国第一』と通じ、『脱炭素原理主義』に異を唱える基本線も一致する」 と明かした。 トランプ陣営は今、外交路線をどう考えているのか。 島田氏は 「中国を『主敵』と位置付け、軍事利用可能な技術を含む最先端ハイテク分野や知的財産で厳しく締め上げて供給網から外すことを検討している」 「トランプ氏は経済分野の交渉で習近平国家主席が誤魔化そうとしても許さないだろう」 との見方を示した。 首相に安心して辞めてもらうため 政界十六夜 石井聡 2024/11/8 10:00 https://www.sankei.com/article/20241108-CEBHVOQ4UJKA5BOFYOEHEQV5GQ/ つい最近まで 「政治家というより評論家」 との評もあった人なら、衆院選大敗を喫しても政権の座にとどまろうとするトップについて、第三者としてどう語っただろう。 敗因は専ら自民党にあり、自分ではないと言わんばかりの石破茂首相は、国民民主党などの協力を当てにした延命工作に勤しんでいる。 首相は衆院選最中の 「掌返し」 は元より、自ら命名した 「納得と共感内閣」 も有権者に納得どころか拒否された。 産経新聞は選挙後の2024年10月29日付朝刊の主張(社説)で 「首相の居座りは許されぬ」 と、直ちに辞職して新総裁選出に移行すべきだと指摘した。 読売は 「速やかに進退を決することが憲政の常道」、 朝日も 「政権の継続は至難の道」 と社説で書いた。 国政や政権政党に対する新聞社のスタンスには異なる点があるものの、敗北した責任者の出処進退を巡る見解を普通に考えればこうなる。 しかしながら、首相が新聞の提言に耳を傾ける気配はない。 衆院選では立憲民主党が50議席増と躍進しながら、野党連立政権への流れを作れなかった。 特別国会の首相指名選挙で、決選投票を経て石破首相への指名が見込まれることも、切迫感を失わせているのだろう。 衆院選翌日の敗戦に関する総裁会見で、首相は 「政治改革や経済対策などの課題に先頭に立って取り組む」 と辞めないことを明言し、大きな理由の1つに 「国政は一時(いっとき)たりとも停滞が許されない」 点を挙げた。 就任直後の国政選挙で大敗を呼び込み、与党の自民、公明両党以外の賛成を得なければ予算も法律も通らない政治状況を生じさせたのだ。 その張本人がとどまること自体が政治の空白を生むという判断を持たないなら、如何ともし難い。 空白を拡大させないため、次の手立てを早急に講じるしかない。 それは、野党に責め立てられて行き詰まる前に、自民党内で首相を退陣に追い込み、新総裁の下で立て直しを図るという自浄作用だ。 来年2025年の参院選の前に再び衆院選を行い、議席を挽回しておくことも課題となろう。 どうも 「〇〇おろし」 という言葉には 「反逆」 「足を引っ張る」 という悪いイメージが伴うようだ。 世論には 「すぐに辞めなくてもよい」 という一種の判官びいき≠烽り、大人しい自民党議員たちに二の足を踏ませている。 異常事態の打開には不可欠な作業なのにである。 その実現には石破首相に取って代わる人物が決起しなければ始まらない。 例えば、先の総裁選で惜敗した高市早苗前経済安全保障担当相や、衆院選後に党選挙対策委員長を早々に辞任した小泉進次郎元環境相らである。 総裁選を戦ったばかりだから政権構想の準備はあるはずだ。 高市氏は衆院選当選後、執行部に対して 「徹底的に自民党を立て直して頂きたい」 と注文していた。 他人事ではなく、自らそれに当たる事が求められる場面ではないか。 むろん、決起する人を支える勢力の再結集も急がなければなるまい。 旧派閥の枠を超えて 「保守派」 どうしの連携などダイナミックな動きを作ることができれば、党再生の活力にもなる。 昨年2023年来の 「岸田おろし」 は気配だけで不発に終わった。 「今はまだその時ではない」 などと身を潜めているのは、自分自身の当座の生き残りには役立つとしても、国の危機を等閑視するに等しい。 中国、韓国が利用する石破首相の歴史観 過去の言動繰り返せば付け入る隙に 阿比留瑠比の極言御免 2024/11/7 1:00 https://www.sankei.com/article/20241107-3K6TVFPG6RPOZDBYUBB4CSA2ZI/ まだ石破茂首相のことを保守派だと見做していた20年以上も昔の話である。 筆者は当時、安倍晋三元首相や中川昭一元財務相らが熱心に取り組んでいた偏向歴史教科書問題や慰安婦問題など保守系の運動に関わろうとしないことをいぶかり、それらへの参加を促したことがある。 だが、返事はそっけなかった。 「そういうのは、もういいよ」 この時は、単に余り関心がないのかと流したが、徐々にそうではなくて歴史認識自体が大きく異なるのだと分かってきた。 石破氏の考え方は、むしろ左派・リベラルに近かった。 それを反映し、2024年9月の自民党総裁就任時などに、中国や韓国は首相の歴史観を理由に概ね歓迎を示した。 例えば韓国の左派紙、ハンギョレ新聞は同月2024年9月30日の社説で書いている。 「歴史問題についても『政治的ライバル』だった安倍元首相とは異なり、何度も合理的な見解を明らかにしたことがある」 「(中略)謙虚な歴史認識を示してくれることを期待する」 また、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2024年10月18日付)は、首相が平成18年9月23日付の毎日新聞鳥取県版にこう語ったことを紹介している。 「最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い」 「過去の戦争を『全て正しかった』と考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる」 「日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化(だ)」 こうした首相のこれまでの言葉については、月刊誌「明日への選択」2024年11月号の記事 「かくも危うい石破首相の『歴史認識』」 がよくまとめていたので、許可を得て引用する。 それによると首相は平成29年5月、韓国紙、東亜日報のインタビューで慰安婦問題についてこう語った。 「納得を得られるまでずっと謝罪するしかないでしょう」 もっとも、その後の産経新聞の取材に首相は 「『謝罪』という言葉は一切使っていない」 「『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」 と否定している。 とはいえ、 「努力」 をどう翻訳(意訳)すれば 「謝罪」 に入れ替わるのか理解に苦しむ。 中国共産党系の新聞、世界新聞報のインタビューも防衛相時代の2020年に受け、こう述べたとされる。 「日本には南京大虐殺を否定する人がいる」 「30万(人)も殺されていないから南京大虐殺そのものが存在しないという」 「何人が死んだかと大虐殺があったかは別問題だ」 「日本は中国に謝罪すべきだ」 これについても首相は月刊正論2020年9月号で 「大虐殺があったとは言っていないよ」 と否定しているが、聞き手の評論家、潮匡人氏はこうたしなめていた。 「ですが、そう相手に受け取られる対応も、事実関係で日中間に隔たりがある以上、国益の擁護者として慎重であるべきではなかったかと」 まさにその通りである。 首相が実際にどのような表現を使ったかは判然としないが、相手に利用されるようなことを述べたのは事実だろう。 来年2025年は終戦80年を迎える他、日韓国交正常化60周年にも当たる。 中国も 「抗日反ファシズム戦争勝利80周年キャンペーン」 を準備しているという節目の年である。 韓国や中国の反日勢力がさまざまな仕掛けをしてくると予想できるが、首相が過去の言動を繰り返すようなら、付け入る隙を与えることになろう。 もっとも、それまで首相を続けていられるかどうかは分からないが。 (論説委員兼政治部編集委員) 衆院選で与党過半数割れ 産読朝は首相に辞任を求める 毎東日は熟議の合意形成促す 社説検証 2024/11/6 9:00 https://www.sankei.com/article/20241106-3AZLN7SFRNM3VM35Q5UTMPRLOI/ 第50回衆院選は自民党が公示前の議席を大幅に下回り、連立政権を組む公明党と合わせても過半数に届かなかった。 立憲民主党は躍進し、国民民主党は勢力を4倍に拡大した。 産経、読売、朝日は石破茂首相に責任をとって辞任するよう求めた。 産経はまた、国政を停滞させぬよう、各党は安定政権の樹立に向けて努力すべきだと説き、毎日、東京、日経などは、熟議を通じた合意形成を促した。 自民の派閥パーティー収入不記載事件で、石破首相は不記載の候補者を非公認にしたり、比例代表との重複立候補を認めなかったりした。 一気に事を決めずに騒動を続けたのである。 産経は 「世間の関心が『政治とカネ』一色になったのはそのせいでもある」 と断じ、 「言い訳選挙」 になったことで優勢に戦うことができなかったと敗因を分析した。 与党過半数というのは首相自身が設定した勝敗ラインだ。 産経は 「石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ」 「責任を取って潔く辞職すべきである」 と強調し、 「自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい」 と論じた。 読売は 「大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか」 との見方を示した。 「政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない」 「速やかに進退を決することが憲政の常道である」 と石破首相に退陣を迫った。 朝日は 「石破政権に対し、国民が『不信任』を突き付けた」 「裏金問題に対する国民の怒りや不信を甘く見た結果に違いない」 とし、 「石破首相は職を辞すのが筋だ」 と主張した。 首相への不信任は、自民党政治への不信任だとして、 「自民も今度こそ本気で実態解明に取り組まねばならない」 と訴えた。 毎日、日経、東京は明示的には辞任を求めなかった。 毎日は自民の敗因について 「第2次安倍晋三政権以降に深刻化した政治の歪みや驕りを、根本から正そうとしなかったことだ」 と指摘。 日経は政治資金問題で 「生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭う事は出来なかった」 と分析した。 東京は 「派閥の裏金事件に自らけじめを付けなかったことに対し、民意は政治腐敗を明確に拒んだ」 と訴えた。 特別国会での首相指名選挙に向けて与野党の多数派工作が活発化している。 その結果如何にかかわらず、立民の影響力増大が予想される。 産経は、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という考えを変えず、反撃能力の保有にも消極的な立民について 「これで国民を守れるのか」 「この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある」 と政権担当能力に疑問符を付けた。 読売も 「『寄り合い所帯』で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない」 「そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか」 「まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう」 と釘を刺した。 朝日は 「与野党が拮抗する政治状況を、立法府の行政監視機能を立て直し、熟議を通じた丁寧な合意形成に繋げてもらいたい」 「立憲の責任と役割は極めて重くなった」 と記した。 毎日も立民に対し 「国会での存在感の高まりに見合った責任を果たすべきだ」 と注文し、 「与野党が伯仲する政治状況下では、緊張感ある論戦を通じて国民本位の合意を見い出すことが欠かせない」 と説いた。 日本の政治は新たな局面に突入した。 来年2025年夏の参院選を睨み、与野党の攻防は激しくなるだろう。 だが、スピード感をもって政策の合意形成を図っていかなければ、迷惑を被るのは国民である。 与野党はその事を肝に銘じてもらいたい。 ◇ ■衆院選での与党過半数割れをめぐる主な社説 【産経】 ・審判を重く受け止めよ/安定した政権の構築を求める(10月28日付) ・首相の居座りは許されぬ/直ちに辞職し新総裁選出を(29日付) 【朝日】 ・国民から首相への不信任だ(28日付) ・信失ったままでは困難(29日付) 【毎日】 ・「政治とカネ」に重い審判(28日付) ・不信拭う改革が最優先だ(29日付) 【読売】 ・長期政権の驕りが不信招いた/国政の停滞は避けねばならない(28日付) ・首相は責任の重さを自覚せよ/政権の枠組み作りが焦点となる(29日付) 【日経】 ・自民不信を突きつけた厳しい審判(28日付) ・国政の停滞回避へ責任ある行動を(29日付) 【東京】 ・民意は政治腐敗拒んだ(28日付) ・熟議の政治を取り戻せ(29日付) <主張>与党「過半数割れ」 審判を重く受け止めよ 安定した政権の構築を求める 社説 2024/10/28 5:00 https://www.sankei.com/article/20241028-FCCUJHFOJVJ47OD67N322RXKGY/ 第50回衆院選の投開票が行われた。 政権の信を問うと臨んだ石破茂首相は勝敗ラインに自民党、公明党の与党過半数を設定していたが、届かなかった。 立憲民主党は躍進し、国民民主党も議席を伸ばした。 自民にとって野党に転落した平成21年の衆院選以来となる歴史的敗北だ。 首相は選挙結果を重く受け止めねばならない。 今後自民は非公認当選者の追加公認を図る見通しだ。 国際情勢は厳しく、混迷の度合いを増している。 今後、特別国会で首相指名選挙が行われるが、各政党は安定政権を作るべく努力してもらいたい。 国政を停滞させてはならない。 ■言い訳選挙では勝てぬ 今回の大敗は、石破首相と自民執行部が 「言い訳選挙」 にしてしまったことが大きい。 言い訳選挙で優勢に戦うことなど望むべくもない。 自民の旧安倍派などの派閥パーティー収入不記載事件への有権者の怒りはくすぶっていた。 それにうまく対応できなかったのが首相だった。 就任後、不記載の前議員の非公認を増やし、比例代表との重複立候補を認めなかった。 しかも一気に事を決めず騒動を続けた。 世間の関心が 「政治とカネ」 一色になったのはそのせいでもある。 選挙戦最終盤には自民が、非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、首相は党勢拡大のためで 「選挙に使うことはない」 と釈明した。 これも有権者の投票行動を左右した可能性がある。 有権者や他党からどう見られるかを考えなかった石破首相や森山裕幹事長には、自民内から疑問の声が上がった。 石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった。 自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた。 国会論戦も十分に行わず早期解散に走った。 これで勝てると思っていたのなら信じ難い。 衆院選で政治とカネの問題への有権者の憤りが改めて示された。 各党は政治改革の具体策で合意し、速やかに実行に移すべきだ。 それを怠れば政治不信に拍車がかかる。 言い訳選挙になったのは、もう1つ理由がある。 それは、石破首相が政治とカネの問題を上回る、または匹敵するような政策上の大きな争点を国民に示せなかったことだ。 衆院選は常に日本の独立と繁栄、国民の生活と暮らしがかかった、日本の針路を決める政権選択選挙なのである。 にもかかわらず日本の針路を巡る本格的な論戦は展開されなかった。 とりわけ日本を守る安全保障が重視されなかったのは残念だ。 ■立民は国を守れるのか 台湾有事の懸念が高まっている。 公示の前日には、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な演習も行った。 今回の衆院選で選ばれた議員が台湾有事に直面する可能性がある。 北朝鮮の軍はウクライナ侵略に加担する見通しだ。 朝鮮半島有事がロシアを含む日本有事へ拡大することもあり得る。 その危機が十分には語られず、抑止力のための防衛力の抜本的強化、国民保護などの具体策の議論が深まらなかったのは問題だ。 立民の影響力は増大する。 野田佳彦代表は外交・安保政策の継続性を重視する考えを示す一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という党の立場を変えていない。 反撃能力の保有にも積極的ではない。 これで国民を守れるのか。 この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある。 政策上の欠陥を抱えたままの立民に政権担当能力があるのか疑問だ。 経済を巡っては、各党がこぞって消費税減税や給付金支給などの物価高対策を示した。 だが財源を含む具体化の道筋には曖昧なものが多く、バラマキ色が目立った。 物価高に負けない賃上げを果たし、デフレからの完全脱却を確実にするには、生産性を向上させて企業の収益力を高める取り組みが欠かせない。 そうした積年の課題を解決しなければならない。 憲法改正の動きを後退させてはならない。 自民の大敗に加え、改憲に前向きな日本維新の会が振るわなかった影響は大きい。 自衛隊明記や緊急事態条項の創設は急務で、国会は改憲原案の条文化を進めるべきだ。 <主張>国民の審判 首相の居座りは許されぬ 直ちに辞職し新総裁選出を 社説 2024/10/29 5:00 https://www.sankei.com/article/20241029-CEB23AAJIJPI7NMIRKWA2U4OUQ/ 衆院選で大敗を喫した石破茂首相(自民党総裁)が2024年10月28日の記者会見で、引き続き政権を担う意欲を示した。 自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任を取らずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ。 責任を取って潔く辞職すべきである。 自民は比較第1党に踏みとどまった。 友党の公明党と共に政権構築を目指すのは分かるが、それは国民の信を失った石破総裁の下ではあり得ない。 自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい。 ■本当に反省しているか 石破首相は会見で、衆院選の審判を 「真摯に厳粛に受け止める」 と語った。 だがその言葉とは裏腹に、 「国政の停滞は許されない」 と繰り返し、 「安全保障、国民生活、災害対応に万事遺漏なきを期すことも私どもが負うべき責任だ」 と述べた。 そこには反省が感じられない。 国民は衆院選で石破首相に国政運営を託したくないという判断を示した。 それが何故分からないのか。 有権者の審判を無視するトップが政権の座に留まろうとして国民の支持を得られると思うなら甘過ぎるし、民主主義から外れている。 全ての自民国会議員は、石破首相の続投こそが、国政の停滞を招くと知るべきである。 自民の小泉進次郎選対委員長は2024年10月28日、 「選挙の結果責任は選対委員長が引き受ける」 として辞任した。 小泉氏は自身の進退について 「目標を達成出来なかったのに責任を取らない自民党では、不信感の方が大きいと思う」 と語った。 これは石破首相、森山裕幹事長にこそ言えることである。 自民千葉県連会長の桜田義孝元五輪相は 「議席をあれだけ減らした」 「責任はある」 と述べ、首相や執行部の早期退陣を促した。 これが国民感覚に沿った判断だろう。 石破首相は、第1次安倍晋三政権時の参院選で自民が大敗し 「ねじれ国会」 となった際に、続投を表明した安倍首相を攻撃した。 党総務会で 「(安倍)首相は『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』と訴えたのに、どう説明するのか」 と非難した。 代議士会では 「首相は『反省すべきは反省する』と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」 と責め立てた。 同じ事を石破首相に問いたい。 2024年10月28日の会見で 「自民党は心底から反省し、生まれ変わらなければならない」 と語ったが、トップである自身がまず責任を取るべきだろう。 麻生太郎政権時に農林水産相だった石破首相は、事実上の退陣を迫ったこともある。 過去の言動との整合性がなければ、石破首相への信頼は集まらない。 首相の言葉は限りなく軽いものとしてしか受け取られまい。 ■森山幹事長も責任重い 他人に厳しく自分に甘い、主権者である国民の審判を軽んじる。 そこに謙虚さは見当たらない。 このような有り様で与党は特別国会の首相指名選挙に確実に勝てるのか。 よしんば勝ったとしても、自民党内からは辞任論が出て、石破首相の求心力は低下している。 安定した政権運営が出来るのか。 森山幹事長の責任も重い。 選挙戦最終盤には、自民が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、 「政治とカネ」 を巡る批判に拍車を掛けた。 石破首相は 「選挙に使うことはない」 と述べたが説得力に乏しかった。 支給を主導したのは森山氏だったとされる。 石破首相の就任後に、臨時国会で予算委員会を開かず早期に解散するよう進言したのも森山氏である。 首相と森山氏は衆院選を有利に展開しようと党利党略に走ったが、思惑外れに終わった。 政府与党は首相指名選挙を行う特別国会を2024年11月11日に召集する方向で調整している。 だが、憲法第54条は衆院選投票日から30日以内の召集を定めている。 殊更引き延ばすことはあってはならないが、国会議員中心の自民総裁選を実施するくらいの日程的余裕はある。 自民は新総裁を選び、出直しを図らねば信頼回復は遠く、来年2025年の参院選でも有権者から厳しい審判を受けるだろう。 石破首相が今、日本と国民、党のために出来ることは速やかに辞任することしかない。 衆院選自公惨敗 長期政権の驕りが不信招いた 2024/10/28 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50056/ ◆国政の停滞は避けねばならない◆ 自民、公明の与党が衆院選で惨敗し、過半数を割り込んだ。 今後、一部の野党の協力を得て、引き続き自公が政権を担い続けられるのか。 あるいは、立憲民主党を中心とした野党勢力が政権交代を起こせるのか。 政局は一気に流動化する情勢となった。 また、 「自公で過半数」 を勝敗ラインに設定していた石破首相の進退も焦点となる。 ■政局の流動化は確実 第50回衆院選が開票された。 自公は、2012年の政権復帰以降、経験したことのない逆風に晒された。 大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか。 一方、多くの野党は議席を増やしたが、理念や基本政策の異なる各党で協力できるかは見通せない。 自公、立民それぞれが過半数確保に向け、多数派工作を繰り広げることになりそうだ。 与野党の勢力が伯仲することで、予算案や法案を巡る攻防が激化して政策遂行が遅れる事態が懸念される。 実際、2007〜2008年の福田内閣当時は、野党が国会運営を主導し、国政が停滞した。 今後、政権の枠組みを巡って与野党が駆け引きを繰り広げ、混乱が長引く可能性もある。 山積する内外の難題に適切に対応できるのか。 与野党共に大きな責任を負うことになった。 今回の衆院選は異例ずくめだった。 石破政権が内閣発足直後の 「ご祝儀相場」 を当て込み、戦後最短での衆院解散に踏み切った。 だが、自民党は、政治資金問題を抱えた前議員らの処遇を巡り、原則として全員を公認する方針が批判されると、非公認を次々と増やし、定見のなさを露呈した。 選挙戦の終盤には、非公認となった候補が代表を務める党支部に対し、党本部が公認候補向けと同額の2000万円を支給していたことも発覚し、混乱を広げた。 執行部の失態と言う他ない。 自民が苦戦した背景には、 「岩盤」 と呼ばれた保守層の支持が離れたこともあるのではないか。 岸田前首相が昨年2023年、性的少数者(LGBT)理解増進法の成立に急に舵を切ったことや、総裁選での選択的夫婦別姓の議論に反発する支持者は多かった。 こうした政策に反対してきた参政党や、政治団体・日本保守党が一定の支持を集めたのは、自民に不満を持つ保守層を引き付けることに成功したからだろう。 既成政党に対する不信感が、新興勢力を勢い付けている側面もある。 ■現実的な主張が奏功か 先月2024年9月、15年ぶりに党首が交代した公明も厳しい選挙戦となった。 小選挙区選に初めて挑戦した石井新代表が落選したのは、支持母体の創価学会員の高齢化が影響しているとされる。 一方、立民の伸長は、自民の 「金権体質」 を争点化する手法が奏功したことが一因だ。 また、野田代表は、仮に政権交代が実現したとしても、現在の安全保障政策を 概 ね継承する考えを示した他、原子力発電を含むエネルギー政策について、党の綱領で定めた 「原発ゼロ」 に拘らない方針を強調した。 こうした現実的な主張が有権者に安心感を与えたようだ。 国民民主党も躍進した。 玉木代表が 「手取りを増やす」 と主張して、 「生活重視」 の姿勢を取ったことが、特に若い世代の支持拡大に繋がったのだろう。 日本維新の会が伸び悩んだのは、大阪・関西万博の会場建設費が想定以上に膨らんだことや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が影響したとみられる。 他方、選挙戦で政策論争が深まらなかったのは残念だ。 ■課題を蔑ろにするな 物価高を上回る賃上げをどうやって定着させていくかは喫緊の課題である。 社会保障制度を持続可能な仕組みとしていくにはどうすればよいか。 急速に進む人口減少への対策も待ったなしだ。 ウクライナ戦争や中東の紛争が長期化し、国際情勢は激変している。 先進7か国(G7)の一角を占める日本は外交力を発揮し、国際社会の安定に貢献すべきだ。 日本周辺の安全保障環境はかつてないほど悪化している。 防衛力の強化はもとより、日米同盟を深化させると共に、友好国を増やしていく必要がある。 野党の選挙戦術もあって、政治とカネの問題が焦点となったのはやむを得ないとしても、国政の課題を蔑ろにするような事態は避けなければならない。 自民歴史的大敗 首相は責任の重さを自覚せよ 2024/10/29 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50239/ ◆政権の枠組み作りが焦点となる◆ 国民に信を問うために断行した衆院解散・総選挙で大敗した以上、石破首相が取るべき道は明らかだ。政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない。 速やかに進退を決することが憲政の常道である。 衆院選の結果、自民、公明の与党の獲得議席は、首相が「勝敗ライン」とした「与党で過半数」には程遠い215議席だった。自民党は191議席にとどまった。 ■勝敗ラインには程遠く 自民党が200議席を下回るのは、民主党に政権を明け渡した2009年以来で、自民結党以降でも2回目だ。今回は歴史的惨敗を喫したと言える。 首相は、過半数割れの少数与党であっても、無所属で当選した議員らの追加公認や、一部野党の協力によって政権を維持しようとしている。選挙後の記者会見では「国政を進めていくことで職責を果たしていく」と述べた。 首相が協力相手として想定しているのは国民民主党だ。国民民主は「対決より解決」を掲げ、予算案や法案の採決で自公と足並みを 揃 そろ えたこともあるため、連携が可能とみているようだ。 だが、衆院選で敗れた首相が少数与党の体制で政権を維持できたとしても、国会では多数派の野党を相手に、必要な法案や政策を実現させていくことは困難で、混乱が長引くだけだ。 首相は責任の重さを自覚し、判断を間違えてはならない。 衆院選の敗因について首相が、「政治とカネの問題で国民の疑念、不信、怒りが 払拭 ふっしょく されていないことが最大の理由だ」と述べたのはその通りだろう。 しかし、新政権が衆院選でとった戦術はちぐはぐで、ことごとく裏目に出たのも事実だ。 そもそも首相就任前に、解散日程を表明したことは異例で、違和感を覚えた人は多かった。 ■ミス繰り返した執行部 首相は自民党総裁選の最中、早期の解散に慎重な考えを示していたのに、首相に就任すると、予算委員会を開かず、戦後最短の日程での解散に踏み切った。 こうした策を首相に進言したのは、総裁選で早期解散論を唱えていた小泉進次郎選挙対策委員長だとされている。 首相交代直後の刷新感を武器に選挙を戦おうとしたようだが、これを受け入れたのは首相で、有権者には、誠実さに欠けるという印象を与えたに違いない。 このほか、政治資金収支報告書に不記載があった前議員らを公認するか、非公認とするかを巡って執行部の方針は二転三転した。 選挙戦最終盤には、非公認候補が代表を務める党支部に、自民党から公認候補と同額の2000万円を支給していたことが判明し、「非公認は見かけ倒しの処分だ」といった批判を招いた。 石破政権がこれほど失策を繰り返していたら、支持を失うのも当然だ。執行部に責任を取らせて済む問題ではない。 大敗した自民とは対照的に、立憲民主党と国民民主党は躍進した。自公に代わる受け皿としてみなされたのだろう。日本維新の会と共産党は議席を減らした。 欧州では、エネルギー価格など物価高騰への不満から、自国第一主義を掲げた極右政党が伸長するケースが目立っている。 今回の衆院選では急進的な主張をする勢力が一定の支持を集めたが、その広がりは限定的で、日本の有権者は、穏健な保守や中道路線を支持したとみて良かろう。新たな政権の枠組みは、そうした民意を反映することが望ましい。 立民は、他の野党との多数派工作に力を入れ始めている。野田代表が野党を糾合し、政権交代を実現できるかどうかが焦点だ。 ■政策の一致は不可欠だ ただ、野田氏の足元は盤石とは言い難い。立民は、リベラル系や中道路線を支持する議員などの「寄り合い所帯」で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない。 そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか。まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう。 野党各党で協力するにしても、理念や基本政策が 乖離 かいり した状態では、政権は安定しまい。実際、1993年に7党1会派で発足した細川連立内閣は、路線対立が絶えず、1年足らずで瓦解した。 国際情勢は緊迫の度を強め、国内は少子化問題、社会保障制度改革、経済再生など待ったなしの課題が山積している。各党もまた責任の重さを忘れてはならない。 [社説]自民不信を突きつけた厳しい審判 衆議院選挙2024 社説 2024年10月28日 2:00 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK271700X21C24A0000000/ 政治とカネの問題で自民党に厳しい審判が下った。 第50回衆院選は2024年10月27日投開票され、自民、公明両党は過半数を大きく下回り敗北した。 自公は政権に復帰した2012年以来の岐路に立った。 石破茂首相らの責任論は避けられない。 自公は野党に協力を求めて政権を継続する方針だ。 立憲民主党は躍進し、多数派の形成に向けて野党各党と協議に入る。 政局は流動化し、政権の枠組みが見えない不透明な状況になった。 ■世界の潮流が波及 自民は公示前の247議席から大きく減らし、下野した2009年以来の敗北となる。 接戦だった多くの小選挙区で競り負け、閣僚経験者や政治資金の不記載で非公認となった無所属前職ら有力議員の落選が相次いだ。 公明も石井啓一代表が落選したのをはじめ、牙城である関西で苦戦するなど、公示前の32議席を下回った。 立民は公示前の98議席から大幅に議席を伸ばした。 保守系の野田佳彦元首相を代表に据えたことで、自民支持から離反した保守層の受け皿になったとみられる。 自民との議席差を一気に縮める結果は、政権交代への足掛かりを築いたと言ってよいだろう。 自民の敗因が政治資金問題にあるのは明らかだ。 私たちは当初から 「政治とカネの問題は、扱いを誤れば政権の命取りになる」 と指摘してきた。 だが自民は生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭うことはできなかった。 与党の敗北は世界的な潮流でもある。 選挙イヤーの今年2024年、各国で相次いだ現職や与党に逆風が吹く流れが日本にも及んできたと言えよう。 物価高や賃金、雇用など身近な課題に既存の政治が十分対応できず、有権者がノーを突き付ける構図だ。 政治資金の杜撰な管理が物価高に耐える国民の不満を増幅したと見るべきだろう。 選挙戦の争点が政治とカネの問題に集中し、政策論争が深まらなかったのは残念だ。 物価上昇を上回る所得向上への道筋や社会保障の給付と負担の見直し、人口減少に伴う地方創生の在り方などは、どんな政権であっても重要課題として取り組まざるを得ない。 日本の政治の安定が損なわれることになれば、対外的に大きなマイナスだ。 米大統領選の行方が見通せない中、日米同盟や日韓関係の不安定要因にならないよう注意する必要がある。 日米韓の連携が動揺し、中国や北朝鮮、ロシアに対日政策の軽視や周辺地域での過激な行動を誘発する事態は避けなければならない。 政治の安定は海外から日本にヒト、モノ、カネを呼び込む誘因の1つでもある。 政局が混迷すれば、日本への投資を控える動きにつながる懸念がある。 ようやく成長軌道に乗りつつある経済に水を差すことがあってはならない。 そのためには出来るだけ早く安定した政権基盤を取り戻す他ない。 自公は過半数を割っても一部の野党と連携することで政権を継続したい考えだ。 連立政権の枠組みへの野党勢力の参加も視野に入れるが、現時点で野党側に自公連立に加わる動きはない。 ■熟議を取り戻す契機に 一方、立民は非自民勢力の結集に向けて野党各党と協議する意向だ。 ただ、どのような枠組みで政権を目指すのか、具体的な政権構想はこれからで、成否はまだ見通せない。 自民と立民の議席差が大幅に縮まったことで、衆院選後に開かれる特別国会での首相指名選挙に向け、両陣営の攻防が激しくなる。 国民民主党や日本維新の会などとの連携を巡る綱引きも予想される。 政権の枠組みが見えてくるには時間がかかりそうだ。 与野党の伯仲は政治の在り方として悪い事ではない。 政権交代を目指す立民の伸長は国会審議に緊張感を与える。 中道保守の第1党と第2党が熟議を通じ、重要課題を解決するのは政治の1つの知恵である。 立民にとっては政権担当能力を磨く場となり、政権への近道になるはずだ。 対外的にも日本の政治の安定と成熟を示すことになろう。 ウクライナ戦争や中東情勢は緊迫の度を増している。 与野党とも内向きの政争に陥るのではなく、国内外の情勢に目を向け、国際社会で求められる日本の役割を自覚して安定した政治を取り戻すことを急ぐべきである。 石破おろし起きぬ自民 党内抗争の余裕なく 7日の両院議員懇が試金石 2024/11/5 19:36 https://www.sankei.com/article/20241105-GYVAXXRCA5IRJDOK5GFJPC7A5E/ 先の衆院選で議席を大幅に減らした自民党では石破茂首相(党総裁)の退陣を求める 「石破おろし」 は起きず、来週の首相指名選挙で石破首相が再選出される公算が大きい。 危機的状況の中、野党に政権を奪われないことが最優先で、党内抗争の余裕はないからだ。 ただし不満はくすぶっており、2024年11月7日の両院議員懇談会が試金石となる。 ■「今度こそ国民に見放される」 同懇談会は全自民議員が参加でき、首相も出席する。 首相は2024年11月5日の党役員会で 「意見を賜り、今後の党運営に共に努力していきたい」 と述べた。 勝敗ラインの 「与党過半数」 を下回ったことから首相への不満が相次ぐ公算が大きい。 首相に批判的な中堅議員は周囲に 「辞任すべきだと言う」 と息巻いた。 とはいえ、 「即退陣」 を求める声は広がっていない。 来週の首相指名選挙までに交代させる時間がない上に、予算案などの可決に必要な衆院過半数の獲得に向けて現執行部の下、野党・国民民主党の協力を得る交渉も始まった。 「今、党内で足の引っ張り合いをしたら、自民は政権を維持できない」(幹部) との認識が支配的だ。 旧安倍派中堅は 「まずは経済対策」 「出来なければ今度こそ国民に見放される」 と語り、2024年年内の今年度補正予算案の成立を目指すことを優先すべきだと語る。 ■交代圧力強まるのは来夏か 首相に批判的な議員が多い旧安倍派の実力者、萩生田光一元政調会長も2024年11月1日夜のインターネット番組で 「就任して1カ月」 「どんどん変えたら政権が不安定化する」 と語った。 反石破勢力から期待されている高市早苗元経済安全保障担当相も発信を控えており、党内の大勢が首相を見限る状況にはなっていない。 2024年11月2、3両日の産経新聞社・FNNの合同世論調査では、首相は「続投してもよい」との回答が55・3%に達した。 反石破勢力の参院議員は 「石破さんにはボロボロになっても来年2025年度予算を通してもらい、退陣してもらう」 と語り、来年2025年度予算成立後の来年2025年春の石破おろしを予告する。 平成13年には、当時の森喜朗首相が 「7月の参院選を戦えない」 との声の高まりを受け、予算成立後の平成13年4月に内閣総辞職した。 来夏2025年夏の参院選前に選挙の 「顔」 の交代圧力が強まる可能性がある。 バラマキ廃し、減税主導の財政へ 衆院選での与党惨敗受け、自民党が政権維持のため 田村秀男の経済正解 2024/11/5 12:00 https://www.sankei.com/article/20241105-NRXE3S4HRJKEDPCB7VDTGZPOSY/ 衆院選での与党惨敗を受けて、石破茂首相と自民党は政権維持のために、若い勤労世代の支持を集めた国民民主党の所得税、消費税の減税案を取り込まざるを得なくなっている。 バラマキ偏重の歪んだ財政政策を是正するチャンスが到来したのだ。 「バラマキ」 と言えば、 「岸田文雄前政権のバラマキは酷かった、真にけしからん」 と、1カ月ほど前に会った某財務省幹部の憤懣ぶりが頭に浮かぶ。 一時は 「増税メガネ」 とメディアに揶揄されたほど財務省寄りと思わせた岸田氏が打ち出した電気・ガス料金補助、ガソリン価格への補助金、更に定額減税などのバラマキは許せないのだろう。 元はと言えば、財務省が頑強に減税に抵抗することから、岸田氏はその代わりのバラマキでやり過ごそうとしただけである。 家計の負担を軽くして、所得税や消費税を減税すれば良いはずだが、財務官僚は一旦減税すれば恒久化すると恐れ、自民党税調に反対させてきた。 このパターンは岸田政権時代に限らない。 当初予算で増税、政策経費を削減し、景気が沈みそうになれば、大型補正予算を組むのが歴代政権の恒例行事になっている。 補正予算の大半はその場凌ぎなのだから、計画性に欠け、バラマキに偏してしまう。 バラマキでも、消費が持続的に拡大すればまだしもだが、実際にはそうはならない。 国内総生産(GDP)の6割近くを占める家計消費は実質で2023年後半から前年水準を下回り続けている。 需要が不足するのだから、1990年代後半以来の慢性デフレから未だに脱却できない。 バラマキは砂漠の水撒き同然、国民経済を潤せないのである。 グラフは物価変動分を勘案した12カ月平均の実質賃金指数(1997年3月=100)、更に勤労者収入、収入から所得税、住民税更に社会保険料を差し引いた可処分所得(手取り)についての実質ベースの前年同期比増減率の推移である。 先の春闘では5%を超える賃上げが実現した結果、勤労者の収入と可処分所得は物価上昇分を加味しても2024年5月以降共に前年を上回っている。 それでも、2024年8月には伸び率が下がっている。 実質賃金は2024年5月以降少しずつ上向いている。 しかし、27年前1997年の水準を16%以上も下回っている。 賃金収入に頼る勤労者は貧しくなったままなのだ。 こうみれば、バラマキではなく、きちんと現役世代の減税と社会保険料負担の軽減、可処分所得(手取り)の増加を政策として訴えた国民民主党に若い層が惹かれた理由が分かる。 メディアが実施した衆院選比例区投票先政党に関する出口調査結果の年代別シェアをみると、20歳代、30歳代が最も多く投票したのが国民民主だった。 公明党の石井啓一代表は投票より10日前の2024年10月17日、低所得者世帯に10万円程度の給付が必要との考えを示し、自民党の森山裕幹事長が同調する様子を見せると、交流サイト(SNS)では若者世代を中心に反発する声が湧き上がった。 それを見抜けなかった自公が大敗したのは、バラマキ型政治の終焉を告げている。 自民と国民民主は2024年10月31日に経済対策や税制改正の協議開始で合意した。 自民は予算案など重要案件ごとに国民民主が協力する 「部分連合」 を目指す。 石破政権が存続できるかどうかの瀬戸際に立たされている以上、国民民主の玉木雄一郎代表が、石破首相に国民民主案を丸呑みさせる政治情勢にある。 障害はある。 「政府債務が悪化している中、財源はあるか」 と問われると政治家は弱い。 だが、経済はダイナミックであり、単純な差引勘定では計れない。 現実に、円安の下で法人税収が伸び、物価高で消費税収更に所得税収も増えている。 おかげで政府の基礎的財政収支(国債関係を除く財政収支)は税収増を受けて2025年度は黒字化する情勢にある。 国際的な財政指標である政府の純債務のGDP比率は2022年以降、急速に減っており、2024年6月時点で86%、15年ぶりの低水準にある。 所得税、消費税の減税は家計の可処分所得水準を押し上げ、消費を増やすので税収も増える。 日銀も金融緩和を維持するので、円安基調は変わらない。 所得税の基礎控除を引き上げると、年収103万円以内に年間所得を抑制していた働き手が活気付き、人手不足を緩和し、家計も楽になる。 歪んだバラマキ財政と決別し、減税主導で経済を安定成長軌道に乗せる。 石破首相の活路はそれしかない。 (編集委員) 自民支持率、18歳〜20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感 産経・FNN合同世論調査 世論調査 2024/11/4 19:37 https://www.sankei.com/article/20241104-KOBQI2UPS5NZBAAZVEWCAGPFSU/ 産経新聞社とFNNの合同世論調査では、70歳以上の年齢層だけで石破茂内閣の支持が不支持を上回った。 自民党も高齢層の支持が高い傾向が明らかとなった。 18歳〜20代で石破内閣を 「支持する」と答えたのは32・0%で、 「支持しない」は61・0%。 30代も支持が28・8%、不支持が59・4%だった。 唯一、70歳以上で支持(58・5%)が不支持(36・4%)より多かった。 前回調査(2024年10月5、6両日)では、ほとんどの年齢層で支持が不支持を上回っていた。 自民の支持率は25・8%となり、前回調査の34・3%から8・5ポイント下がった。 年代別で「支持政党が自民」と答えたのは、 70歳以上35・0%、 60代28・0%、 50代23・7%、 40代30・3%、 30代14・8%、 18歳〜20代12・5% だった。 一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、不記載があった候補者を非公認などとして衆院選に臨んだことで 「政治とカネの問題」 にけじめがついたかを尋ねたところ、 「ついていない」が85・5%、 「ついた」は10・6% だった。 非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについては 「自民会派入りは適切ではない」が52・0%、 「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2% にとどまった。 再発防止に必要な政治改革を2つ聞いたところ、 「政策活動費の使い道の公開」(40・9%) が最も多く、 「政治資金の透明化やデジタル化での公開」(34・0%)、 「政治資金をチェックする第三者機関の設置」(28・5%)、 「政治資金パーティーの全面禁止」(27・2%) などが続いた。 与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り 産経・FNN合同世論調査 世論調査 2024/11/4 18:47 https://www.sankei.com/article/20241104-KZUFNYT2PZNJZD4IWBZINNDCUA/ 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、与党との連携の可否を政策ごとに決める国民民主党の方針を支持する回答が65・1%を占め、 「新しい意思決定の仕組み」(玉木雄一郎代表) に対する期待感が浮き彫りになった。 年収が103万円を超えると所得税が発生する 「103万円の壁」 の解消などを巡り、与党との交渉で具体的な政策推進に繋げられるかが焦点となる。 国民民主は、自民、公明各党との間で、 「103万円の壁」 引き上げなどの案件ごとに政策協議を行う方針を確認している。 2024年11月11日には石破茂首相(自民総裁)と玉木氏が党首会談に臨む方向だ。 国民民主が主張する 「103万円の壁」 の引き上げを巡り、世論調査では 「引き上げるべきだ」 との回答が77・2%に達した。 玉木氏は2024年11月3日放送のBSテレ東番組で、引き上げは 「有権者との約束だ」 と述べ、自民が応じない場合は政権運営に協力しない姿勢を示している。 「壁」 が解消されなければ 「国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」 とも指摘した。 与党への牽制を重ねる玉木氏にとって、世論の賛同は追い風といえそうだ。 期待感は政党支持率にも表れている。 2024年10月5、6両日の前回調査で1・3%だった国民民主の支持率は、8・8ポイント上昇して10・1%となった。 今回の調査では、他の野党も前回より支持率を伸ばす傾向がみられたが、6・4ポイント増(13・7%)の立憲民主党、1・4ポイント増(3・5%)の共産党、1.3ポイント増(5・3%)の日本維新の会などと比較して、国民民主の上昇幅の大きさは際立っている。 政策ごとに態度を決める国民民主の方針を評価すると答えた人は、同党支持層に限ると83・9%に達し、自民支持層でも63・2%を占めた。 一方、立民支持層では比較的低く51・1%にとどまった。 適切な政権の枠組みは? 「年収の壁」は? 質問と回答(11月2〜3日) 産経・FNN合同世論調査 世論調査 2024/11/4 13:16 https://www.sankei.com/article/20241104-2KY7G7Z5GVOJLNTTWBFSDX5DQM/ 【問】石破茂内閣を支持するか 支持する43.8(53.3) 支持しない49.8(35.8) 他6.4(10.8) 【問】どの政党を支持するか 支持政党はない28.3(42.4) 自民党25.8(34.3) 立憲民主党13.7(7.3) 国民民主党10.1(1.3) 日本維新の会5.3(4.0) 公明党3.7(2.6) 共産党3.5(2.1) 参政党3.0(0.4) れいわ新選組2.8(1.1) 日本保守党1.6(−) 社民党0.4(0.2) その他の政党0.1(0.9) 他1.5(3.4) 【問】今回の衆院選で、与党の議席は過半数を下回った。石破首相が続投してもよいと思うか 続投してもよい55.3 交代すべきだ36.5 他8.2 【問】自民党は政治資金の不記載があった議員について、今回の選挙で、公認見送り、または小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない対応で臨んだ。選挙で自民党の「政治とカネ」の問題にけじめがついたと思うか けじめがついた10.6 けじめはついていない85.5 他3.9 【問】不記載問題で、今回の選挙で自民党から公認されず、当選した議員が今後、国会で自民党の会派に入ることについて、適切だと思うか 自民党会派入りするのは適切ではない52.0 ある程度の期間を経た後であれば問題ない30.9 すぐに自民党会派入りしても問題ない13.2 他3.9 【問】今回の衆院選で、野党の国民民主党は選挙前の7議席から28議席へと4倍の議席を獲得した。与野党とも過半数の議席を維持していない中、国民民主党が与野党の間で今後どのような対応を取るのが望ましいか 政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ65.1 これまで通り野党の立場を取る21.9 自民、公明とともに与党の立場を取る9.5 他3.5 【問】国民民主党は、パートやアルバイトで働く人の「年収103万円の壁」について、非課税枠を引き上げるべきだとしている。103万円の基準を引き上げるべきだと思うか 引き上げるべきだ77.2 引き上げなくてよい16.6 他6.1 【問】11日に衆院で行われる予定の首相指名選挙で、誰が指名されるのがふさわしいか 自民党 石破茂総裁46.1 立憲民主党 野田佳彦代表17.4 国民民主党 玉木雄一郎代表10.2 その他16.6 他7.1 日本維新の会 馬場伸幸代表2.7 【問】今後の政権の在り方について、どうあるべきか 立憲民主党と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する31.1 自民・公明が過半数を下回ったまま政権を維持30.5 自民・公明が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を維持30.2 他8.2 【問】石破内閣に今後取り組んで欲しい政策は(2つ選択) 物価高・賃上げ対策43.2(39.5) 経済対策・景気対策34.8(35.0) 年金・医療・介護27.2(27.3) 子供・子育て支援25.4(24.9) 外交・安全保障15.6(17.4) 災害対策10.4(13.0) 政治とカネ9.7(11.1) 地方活性化8.7(9.9) 原発・エネルギー政策6.2(3.6) 行政改革・財政再建5.6(3.4) 憲法改正3.2(2.9) 女性活躍、多様性2.9(3.8) それ以外1.1(0.7) 他1.2(1.4) 【問】「政治とカネ」問題の再発防止のために、どういった政治改革が重要だと思うか(2つ選択) 政策活動費の使い道の公開40.9 政治資金の透明化やデジタル化での公開34.0 政治資金をチェックする第三者機関の設置28.5 政治資金パーティーの全面禁止27.2 企業などによる政治資金パーティー券の購入禁止15.0 いわゆる旧文通費の使い道の公開14.5 政策活動費の廃止14.0 企業などからの献金禁止11.7 それ以外1.1 他2.7 【問】物価高対策として最優先で取り組むべきことは何か 減税32.7 賃上げの継続23.1 円安の是正など金利政策の見直し15.0 低所得への支援11.4 家計への給付9.6 事業者への支援5.1 他3.0 【問】今後の年金制度について、給付と保険料負担のバランスはどのようにあるべきだと思うか 年金給付が変わらないことを優先し、やや保険料負担が増える30.6 保険料負担が変わらないことを優先し、年金給付がやや減る22.8 保険料負担を減らすことを優先し、年金給付が減る20.0 年金給付を引き上げることを優先し、保険料負担が増える19.0 他7.6 (注)数字は%。カッコ内の数字は10月5、6両日の前回調査結果。「他」は「分からない」「言えない」など。 世論調査の方法 調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。調査対象は全国の18歳以上の男女1012人。小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならないことがある。 石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超 産経・FNN合同世論調査 世論調査 2024/11/4 11:44 https://www.sankei.com/article/20241104-II3KPFVE6ZNENPSQP73RF7YTGY/ 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2024年11月2、3両日に実施した合同世論調査で、石破茂内閣の支持率は43・8%となり、政権発足直後の前回調査(2024年10月5、6両日)の53・3%から9・5ポイント急落した。 不支持率は前回比14・0ポイント増の49・8%で、支持率を逆転した。 政権発足から僅か1カ月余りで不支持が支持を上回るのは異例だ。 一方で、先の衆院選では与党が議席が過半数を割り込む結果となったが、首相の続投については「続投してもよい」(55・3%)が「交代すべきだ」(36・5%)を上回った。 2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙で、誰が首相に指名されるのが相応しいかを尋ねたところ、 石破首相(自民党総裁)が46・1%でトップ。 次いで、 ▽立憲民主党の野田佳彦代表17・4% ▽国民民主党の玉木雄一郎代表10・2% ▽日本維新の会の馬場伸幸代表2・7% と続いた。 今後の政権の在り方についての質問では、 「立民と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する」(31・1%) と 「自公が過半数を下回ったまま政権を継続」(30・5%)、 「自公が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を継続」(30・2%) の3つの回答が拮抗した。 衆院選で躍進し、国会でキャスチングボートを握った国民民主に関し、今後の対応に望むことについては 「政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ」が65・1%で最多。 「これまで通り野党の立場を取る」が21・9%で、 「自民、公明と共に与党の立場を取る」は9・5% だった。 また、国民民主が目玉政策として掲げ、自民側に政策協議を求めている 「年収103万円の壁」 引き上げに関しては 「引き上げるべきだ」(77・2%) が 「引き上げなくてよい」(16・6%) を大きく上回った。 一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院選で不記載のあった候補者を非公認などの対応で選挙戦に臨んだことで「政治とカネ」の問題にけじめがついたかを尋ねたところ、「けじめはついていない」が85・5%に上ったのに対し、「けじめがついた」は10・6%。非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについて「自民会派入りは適切ではない」が52・0%に達した。「ある程度の期間を経た後であれば問題ない」は30・9%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。 調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。 <正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 青山学院大学教授・福井義高 2024/11/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024 衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。 平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。 ここでは主に得票率に基づき、やはり今年2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。 ■比較第1党は自民党 まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。 他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。 公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。 小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。 更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。 比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。 にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったお陰で、競り勝った選挙区が増えたからである。 その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。 ■英労働党の大勝と保守票 英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。 政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。 一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。 保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。 保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。 ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率はわずか0・8%に過ぎない。 それに対し、得票率わずか0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。 保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。 にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。 日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。 比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。 ■フランスの場合は 日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。 小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。 第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。 第1回投票では、 「極右」 とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。 ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、 「極右」 政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。 そのため、日本でも、予想に反し 「極右」 が失速したと報道された。 しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。 日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。 逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。 一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。 いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。 杉山大志 エネルギーは日本の生命線だ GDP3%を無駄遣い「脱炭素」政策 グリーン成長などするはずがない!菅政権と岸田政権で推進、GX法ごと根こそぎ廃止すべき 2024.11/1 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-LJW7XOLS4ZKDXN6MWUSLM7OWQY/ 自公与党が衆院選で大敗した理由は 「裏金問題」 だけではない。 左翼リベラル化した自民党に対して、保守層が 「ノー」 を突き付けたのだ。 この受け皿が、国民民主党や参政党、日本保守党となった。 菅義偉政権と岸田文雄政権の下で推進された 「脱炭素」 政策も、特に左翼的な政策の1つだった。 政府はグリーントランスフォーメーション(GX)推進法を制定し、今後10年間で150兆円の官民投資を 「脱炭素」 のために実施するという。 投資というと聞こえはよいが、その原資は国民が負担する。 国民1人当たり120万円、3人世帯なら360万円である。 賃上げなど吹き飛んでしまう。 毎年15兆円といえばGDP(国内総生産)の3%に当たる。 防衛費を2%に上げるために大騒ぎしていたのに、その舞台裏ではこのような 「ステルス増税」 が罷り通っていた。 政府は150兆円の投資でグリーン成長するというが、するはずがない。 投資対象が悪いからだ。 洋上風力発電、太陽光発電、その導入のための蓄電池や送電線建設、あるいはアンモニア発電や水素合成燃料など、どれもこれも、やればやるほど光熱費が高くなるものばかりだ。 そもそも、日本政府はかつて、 「太陽光発電の大量導入でグリーン成長する」 と言っていた。 だが、起きた事は 「電気代の高騰」 と 「産業空洞化」 だった。 今この失敗に懲りずに、同じことを何倍にもして実施しようとしている。 潤うのは一部の再エネ利権などに過ぎない。 そして、その犠牲になるのは一般国民である。 国民は愚弄されている。 政府は150兆円のうち20兆円は国債の発行で賄うとしており、今、政府はその20兆円の償還のための財源としてエネルギーへの課徴金や政府が発行する排出権の売却収入を検討している。 電気なのかガスなのか、灯油なのかプロパンガスなのか、どの料金が上がるのだろうか。 いずれにせよ国民に20兆円を支払わせるということを前提にして、今、ババ抜きのような検討がなされている。 20兆円の収入は、新設の外郭団体である 「GX機構」 が特別会計で回す。 既に天下りも始まっている。 こんなオールドファッションな 「役人天国」 のために光熱費は高騰し、国民経済はボロボロになる。 GX法ごと、根こそぎ廃止すべきだ。 <正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 青山学院大学教授・福井義高 2024/11/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024 衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。 平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。 ここでは主に得票率に基づき、やはり2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。 ■比較第1党は自民党 まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。 他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。 公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。 小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。 更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。 比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。 にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったおかげで、競り勝った選挙区が増えたからである。 その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。 ■英労働党の大勝と保守票 英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。 政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。 一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。 保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。 保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。 ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率は僅か0・8%に過ぎない。 それに対し、得票率僅か0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。 保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。 にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。 日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。 比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。 ■フランスの場合は 日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。 小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。 第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。 第1回投票では、「極右」とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。 ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、「極右」政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。 そのため、日本でも、予想に反し「極右」が失速したと報道された。 しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。 日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。 逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。 一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。 いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。 首相即時退陣こそ国益 美しき勁き国へ 櫻井よし子 2024/11/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20241104-5RFGKKZHKNJ55EIV7L2CMGI6BI/ 衆院選で歴史的惨敗を喫した石破茂首相は国民の審判を受け入れるべきだ。 小選挙区での得票数を約670万減らし、結果を受けた共同通信の世論調査では内閣支持率が50・7%から32・1%に急落した。 就任から1カ月、これほど急速に支持を失った事例は稀有だ。 石破氏は敗因を 「政治とカネ」 問題のせいにするが、真の原因は言動の定まらない本人の資質にある。 国民の声を大事にするのは、民主主義の基本である。 だが民主主義は絶対善ではない。 劣化して衆愚政治となった事例を、ソクラテスに下された死刑判決はもとより、ヒトラーの登場を含め、私たちは歴史の中にいくつも見てきたはずだ。 昭和天皇に月1回の頻度で進講した三上照夫氏が、『第三の文化の時代へ』(ぱるす出版)の中で民主主義について語っている。 人間集団にはこういう国造りをしたい、こういう家庭造りをしたいという共通の目標がある。 この建国の理想を、日本人は奈良朝時代から 「国体」 と言ってきた。 国体実現の手段として日米欧が選んだ政体が民主主義だ。 それはあくまでも手段としての政治原理であり、国家の目標・目的は別にある。 そして指導者に識見、国家観が欠落している時、手段であるはずの民主主義は目標に格上げされ置き換えられてしまう。 石破氏は国民の理解を求め続けて政治とカネ問題の先に行けない状況だ。 民主主義という手段を目的に格上げして自縄自縛に陥ったからである。 自業自得である。 結果として、より大事な国家目標実現の政策論がほぼ空白になり果てている。 長年の勉強不足もたたって、石破氏の提唱する政策は空疎を極める。 アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設や日米地位協定見直しはアジア全体を不安定にしかねない。 自民党は両案件を政務調査会で議論するという形で封印した。 鳩山由紀夫元首相の東アジア共同体構想と同類の空疎な石破提案はこうして処理された。 より深刻なのが対中外交だ。 岩屋毅外相が中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、戦略的互恵関係を再確認したい旨を、語っている。 戦略的―は2006年、第1次安倍晋三政権が打ち出した。 小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え込んだ日中関係を双方が修復しようとした。 だが中国に習近平政権が誕生し状況は一変した。 強権的中国との戦略的互恵関係は日本の国益に合致せず、2017年11月の安倍・習会談以降消えた。 石破政権が岸田文雄元首相の路線を継いで立ち戻るのは悪手である。 安倍晋三元首相が戦略的互恵関係を謳った2006年から18年が過ぎた現在、日中関係は一変している。 中国は軍事大国としての力を誇示し、世界秩序を書き換える野望を隠さない。 18年前2006年、彼らは喉から手が出る程に日本の協力を求めたが、現在は如何にして日本から全てを切り取るか、あらゆる形で攻勢を強めている。 その手法は、小さな動きを積み重ねて圧力を強めるサラミ戦術で、一例が尖閣諸島(沖縄県石垣市)だ。 第2次安倍政権樹立から間もない2013年4月26日、中国外務省報道官は尖閣諸島を 「中国の核心的利益に属する」 と発言した。 その同じ日2013年4月26日、安倍氏は来日中の米軍制服組トップ、デンプシー統合参謀本部議長と会談し 「日本固有の領土である尖閣諸島について、我が国は一切譲歩しない」 と語った。 すると翌2013年4月27日、中国外務省は2013年4月26日の発言を事実上修正した。 現在の中国にそんな配慮はない。 彼らは堂々と尖閣を核心的利益と宣言し、2023年8月に発表した標準地図で示した 「十段線」 の10番目の線は与那国島から12キロの我が国の領海をえぐり取っている(『国防の禁句』岩田清文、島田和久、武居智久 産経セレクト)。 中国軍は2022年8月には与那国島の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだ。 中国が初めて日本の庭先に実弾を撃ち込んだ事実に注目せよと岩田清文元陸上幕僚長は強調する。 2023年7月、尖閣諸島周辺の我が国のEEZ内で中国の情報収集用のブイが発見された。 2024年1月には中国海警局の船が尖閣上空の我が国の領空を飛行する自衛隊機に 「中国領空」 からの退去を要求した。 2024年6月には中国海警局最大級の巡視船が、尖閣諸島を周回した。 中国保有の軍艦は米国を上回り、2035年には435隻に迫る。 米国は2045年に至っても350隻にとどまる見込みだ。 その中国を岸田文雄政権は2022年末に策定した国家安全保障戦略で初めて 「これまでにない最大の戦略的な挑戦」 と定義した。 だが岸田氏は2023年4月の安保3文書についての国会報告で 「最大の戦略的挑戦」 というくだりを割愛し、更に2024年1月の施政方針演説では、日中は 「戦略的互恵関係を包括的に推進する」 と大幅に後退していた。 実は、戦略的互恵関係は岸田氏の施政方針演説の前、2023年11月16日の日中首脳会談で習近平主席が復活を持ちかけていたのだ。 習氏の意図は中国を最大の戦略的挑戦と定義した我が国の安全保障戦略を上書きすることだと、島田和久元防衛事務次官は警告した(『同書』)が、正しいと思う。 戦略的互恵関係の6年ぶりの復活には、再び日本を取り込む中国の狙いが込められている。 そこに岩屋毅外相が乗るというのだ。 だが、逆戻りしてどうするのだ。 対話の窓口は開けておくとして、我が国は今こそ静かに着実に、核の脅威も含めて中国に対処する力を強化し、体制作りを進める時であろう。 政治家にはそれだけの仕事を進める冷静な思考と胆力が要る。 石破氏がその任に相応しいとは思えない。 1日も早い退陣こそ国益だ。 高橋洋一「日本の解き方」 石破政権の命運が尽きる日 続投に意欲も居座り続けると…自民党は本当にぶっ壊れる 水面下で首相指名に向け多数派工作 2024.11/1 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H73BZLK7ABOXRCTQEW5GLA3X74/ 衆院選で大敗した自民党だが、石破茂首相は続投に意欲を見せている。 今後、石破政権はどこまで生き延びることができるだろうか。 自民党内や地方組織からも 「石破おろし」 が始まっている。 かつて石破首相は、第1次安倍晋三政権や麻生太郎政権の時、国政選挙で負けたり、支持率が低迷したりした時、退陣を求めている。 今回自分だけを可愛がるのは誰の目から見てもおかしい。 小泉進次郎氏が選対委員長を辞任したが、問題がそれにとどまるはずはない。 小泉氏の辞任を石破首相は認めたというが、責任を部下に押しつけるようで、これが組織トップの在り方なのか疑問だ。 かつて安倍元首相が、 「石破氏だけは首相にしてはダメだ」 と言っていたのもよく分かる。 新聞各紙の社説も石破首相に責任を取ることを求めている。 朝日新聞は「選挙の結果責任を負うのは、本来、トップ」、 毎日新聞は「政権トップとしての首相の責任は重大」、 読売新聞は「速やかに進退を決することが憲政の常道」、 産経新聞は「直ちに辞職し新総裁選出を」 としている。 石破首相自らが、勝敗ラインを 「自公で過半数」 と明言した。 これは普通ではあり得ないほどの低いハードルであるが、実際には自公で215議席と過半数を18も下回ってしまった。 無所属の追加公認を入れても、到底過半数には及ばない。 衆院選の結果は政治家にとって最も重いものだ。 それを、ゴールポストを動かしてはいけない。 筆者はこうした状態を揶揄)して 「石にかじりつきたい破れかぶれ石破政権」 とポストした。 既に、水面下で首相指名に向けた多数派工作が与野党間で繰り広げられている。 当初2024年11月7日に想定されていた特別国会の召集日を2024年11月11日以降に延期する交渉が行われている。 憲法では衆院投票日から30日以内に特別国会を召集し、内閣総辞職、首相指名が行われる。 つまり、特別国会の召集日は首相指名の帰趨を占う意味でも重要なのだ。 石破政権の寿命はまず、特別国会では内閣総辞職、首相指名が行われるので召集日までだ。 そこから生き延びることが出来るのは、首相指名で1位を確保できる場合だけだ。 石破首相では選挙が出来ないとする参院議員、不条理な制裁を食らったが選挙を生き延びてきた旧安倍派、総裁選で高市早苗前経済安保相を推した麻生派、旧茂木派は 「石破おろし」 を起こす可能性があり、石破首相側にいた人も反旗を翻すかもしれない。 そうなると、特別国会の召集日までに自民党内で両院議員総会を開いて、石破氏を引きずり下ろすだろう。 自民党はモタモタしていると、首相指名の多数派工作でまとまりにならず、野党が主導権を握ってしまう恐れもある。 高市氏が 「党執行部には今の自民党を徹底的に立て直して頂きたい」 としたのは当然だ。 このまま、石破首相が居座りを続けると、自民党が衆院選で負けて、党再建でも負けて、ぶっ壊れてしまう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき 2024.11/2 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/ 石破茂首相は国民民主党との 「部分連合」 を視野に入れている。 国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。 国民民主党の政策のうち、他党にない 「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」 について取り上げたい。 まず、178万円という 「中途半端」 な数字に驚く。 これは、1995年からの最低賃金上昇率1・73倍から、103万円を1・73倍して得られる。 103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。 そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。 ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。 控除の拡大は減税と同じだ。 控除額が増えれば、少なくとも所得税として 「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」 の額が手元に残るようになって、手取りが増える。 この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う 「ステルス増税」 をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。 例えば、給与所得控除について 「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」 と躍起になっている。 一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。 この 「減税」(控除の拡大) でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。 仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。 もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。 また、この政策との関連で、最低賃金について、 「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」 としている。 自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。 1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。 気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。 立民の 「0%超の物価目標」 は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。 かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく 「賃金上昇率目標」 を主張した。 元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した 「フィリップス曲線」 であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。 大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。 それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。 今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」 2024.11/1 15:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/ 自民党と国民民主党が 「部分連合」 に向けた動きを加速させている。 少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。 国民民主党は衆院選で公約に掲げた 「年収103万円の壁」 撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。 過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。 自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。 公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。 国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。 だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、 「税収が計約7兆6000億円減る」 「高所得者ほど恩恵が大きい」 などネガティブな論調が広がった。 玉木代表 「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」 玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で «財務省がマスコミを含めて 「ご説明」 に回っている効果はさすがです» と皮肉った。 «引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない» と強調する。 与野党の合意が実現しなかった前例もある。 日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。 馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で 「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」 「聞いてる振りはするが」 と話した。 国民民主党も、ガソリン税を軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。 石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。 「部分連合」 という名の微妙な関係が続きそうだ。 「軍事オタク」石破首相が自衛隊に入隊したら…「せいぜい3佐止まり」「宰相の器」ではない 自民党を仕切るには荷が重すぎか 2024.11/1 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-QZZY25QUHZIJDPESFQ6IRGUKLI/ 「安全保障の専門家」 を自任し、 「軍事オタク」 とも呼ばれる石破茂首相だが、防衛大学校から自衛隊に入隊していれば、どのくらいの階級まで昇進することができただろうか。 「せいぜい3佐(少佐)だろう」 ある自衛隊元幹部はこう言い切る。 海上自衛隊でいうと、2等海佐(中佐)ならば通常の護衛艦の艦長となる。 中佐は英語で 「Commander」 と呼ばれる。 つまり、石破氏は指揮官には相応しくないという意味だ。 防衛相経験者でもある石破首相だが、別の元幹部自衛官たちも 「石破さんと河野太郎さんだけは首相にしてはならない」 と口々に言う。 2024年9月27日に行われた自民党総裁選の決選投票で、高市早苗前経済安保相ではなく、石破氏に投票した国会議員たちに聞かせたかった発言だ。 2024年10月27日投開票の衆院選について、石破首相は自民党と公明党で過半数(233議席)という 「勝敗ライン」 を設定していた。 石破首相がライバル視する安倍晋三元首相も第2次政権時代、 「勝敗ライン」 を同じく自公で過半数と言っていたが、実際には自民党単独で300議席が目標だった。 目標には僅かに及ばなかったが、2012年で294議席、2014年が290議席、2017年が281議席だった。 2021年の岸田文雄前首相の時でも261議席だった。 石破首相が今回獲得した191議席が如何に低い数字であるかは一目瞭然だ。 にもかかわらず、石破首相は 「何で自分が辞めなければいけないんだ」 と開き直っている。 総裁選の決選投票で石破首相に投じた自民党の国会議員には分からなかったことが、国民にはよく分かっていた。 石破首相が 「宰相の器」 ではないということを。 「森山(裕)幹事長に足を引っ張られた」(自民党ベテラン) との見方もある。 確かに、石破首相は総裁選では新内閣発足後、予算委員会を開いて議論を尽くすべきだと発言していた。 だが、森山氏の1日も早い選挙の方が野党の態勢が間に合わず有利だとの説得に応じ、選挙日程を前倒しした。 森山氏は、パーティー券収入を政治資金収支報告書に記載しなかった候補を一時は公認するとしながら、批判を浴びると12人を 「非公認」 として混乱をもたらした。 選挙戦終盤では、 「非公認」 とした候補者が代表を務める政党支部に公認候補と同額の2000万円を支給し、決定的な打撃を与えた。 森山氏と事務方トップ、元宿仁事務総長の責任は大きい。 そして、最終責任を負うべきは総裁である石破首相である。 石破首相と森山氏に共通しているのは 「小さな派閥」 しか率いたことがないことだ。 自民党のような大所帯を仕切るには荷が重過ぎた。 本来ならば菅義偉副総裁が目配せすべきだったが、かつてのような切れを欠いている。 石破首相は2024年10月28日の記者会見で、 「国政は一時たりとも停滞が許されない」 と続投する意向を表明したが、信を失った石破政権が続くことは国益にならない。 (産経新聞特別記者・有元隆志) 国民が石破首相ノー¥A任1カ月「権力居座り」に党内外から批判噴出!「衆院選惨敗、責任をとる気配さえない」「党内勢力も尻込み」 2024.11/2 15:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-FKEB6WKBLBL6TLZR4NZ5CKKMSY/ 石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月1日、政権発足1カ月を迎えた。 戦後では内閣発足後最短の8日で衆院解散に打って出たが、選挙戦略は悉く失敗し、自ら勝敗ラインに設定した 「自公与党で過半数」 を割り込む大惨敗を喫した。 これまで、歴代首相を激しく批判しておきながら、 「国民の審判」 を無視して 「権力居座り」 を決め込む石破首相に対し、党内外から批判が噴出している。 「衆院選において大変、厳しい結果を頂戴した」 「厳粛に受け止めなければならない」 「示された民意を厳粛、謙虚に受け止め丁寧に政権運営に当たっていく」 石破首相は2024年11月1日、記者団にこう語ったが、民意は 「石破首相ノー」 なのだから、これほどのペテンはない。 自民党ベテラン議員は 「これまで、政治家の『責任』に拘ってき石破首相はどこに行った」 「自公過半数を勝敗ラインに設定した衆院選で惨敗したのに責任を取る気配さえない」 と断じる。 石破首相はむしろ 「政権居座り」 に意欲を強めている。 今月2024年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせ、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席らとの首脳会談を調整しているという。 ある保守系議員は 「バイデン氏も習氏も、『国民の負託』を得られなかった石破首相と真剣な話をしようと思うだろうか」 「ガバナンスが崩壊した政権に内政・外交を委ねれば、次は日本が壊れる」 と批判する。 ただ、権力にしがみつくトップを交代させるのは簡単ではない。 特別国会の首相指名選挙で、国民民主党は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に票を投じる方針のため、野党の票は分散し、石破首相が多数を獲得しそうな情勢だ。 政治評論家の有馬晴海氏は 「国民が石破首相に『ノー』を突き付けた」 「本来なら退陣待ったなしだ」 「小泉進次郎選対委員長だけが辞任して、石破首相と森山裕幹事長が続投するなどガバナンスも崩壊している」 「ただ、石破首相に反発する党内勢力も党が弱り切った中で『石破おろし』に尻込みしている」 「石破首相は『低姿勢』『反省』を示し、何とか成果を示そうと必死なのだろう」 と指摘した。 自民得票率、15年前の政権交代時と全く同じ「26・73%」衆院比例、民主系もほぼ同じ 2024/11/2 11:30 https://www.sankei.com/article/20241102-XDBGXUZYRFOH3FEVQDVDTT2XFY/?outputType=theme_election2024 2024年10月27日投開票の衆院選で、各政党の比例代表の得票率を政権交代が起きた平成21(2009)年の衆院選と比べたところ、自民党の得票率はいずれも26・73%で全く同じだった。 自民と公明党を合わせた与党と、民主党系など野党の割合もほぼ同じで、投票率が異なりながら15年前と酷似した状況が浮かんだ。 総務省の発表資料によると、平成21(2009)年と今回の衆院選比例代表で、自民の得票率は26・73%で全く同一だった。 自公を合わせた得票率も平成21(2009)年の計38・18%と今回の計37・66%でほぼ同じだった。 一方の野党も、平成21(2009)年の民主党の得票率は42・41%だったのに対し、今回の主要野党である立憲民主党と国民民主党、日本維新の会の3党の合計は41・88%でほぼ同じだった。 自民は今回、比例の得票を令和3年の前回選挙より約533万票減らした。 しかし、平成21年の投票率が69・27%と高率だったのに対し今回は53・84%と下がっているため、割合はくしくも同一となったようだ。 自民の比例得票率を選挙ごとにみると、平成21(2009)年の26・73%から平成24(2013)年27・62%、平成26(2014)年26年33・11%、平成29(2017)年33・28%、前回令和3年34・66%、今回の26・73%と推移している。 「岩盤保守層」は自民を見放した 過半数割れ「功労者」共産も最盛期から半減 大手町の片隅から 乾正人 2024/11/1 10:00 https://www.sankei.com/article/20241101-U4OIN3HVR5K47CVWO5W6XB2DQI/?outputType=theme_election2024 数字は美しく、残酷である。 昭和61年の衆参ダブル選挙以来、大手町の片隅で13回に渡って選挙報道に携わってきたが、毎回、得票数の精妙さに唸らされる。 衆院選が、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わってからは、比例代表の得票数が、時々の政治状況を鮮やかに切り取ってくれる。 今回、自民党の総得票数は約1458万票に激減した。 前回から27%、533万票も減らし、制度導入以来、過去最低の得票数となった。 平成21年に民主党が大勝し、政権交代が実現したときでさえ、1881万票を獲得していたことから類推すると、安倍晋三元首相の考え方や彼が推し進めた安保法制などの政策を熱烈に支持していた 「岩盤保守層」 のかなりの部分が、自民党を見放した、と見るべきだろう。 衆院選に初挑戦した参政党が187万票、日本保守党が115万票を獲得したが、合わせて300万人以上が自民党から両党に乗り換えたとみて間違いない。 残る230万人余は主に国民民主党へ流れたと推測できる。 ■立憲比例票は横ばいだった というのも、今回大躍進した立憲民主党は、比例代表ではほとんど票を伸ばしていないからだ。 3年前の前回が1149万票で、今回は1156万票と僅か7万票しか増えていない。 つまり、自民党が自滅したため、立憲は小選挙区で競り勝ち、議席数を5割も増やしたのである。 政権交代出来るだけの国民の広範な支持が得られていないのは、数字が冷酷に示している。 比例票から分析すると、危機的状況にあるのは、自民党だけではない。 公明、共産の両党も重症だ。 公明党は、平成21年に805万票を獲得していたのが、徐々に減っていき、今回ついに600万票を割り込む596万票にとどまった。 15年間で200万票以上が削げ落ちてしまったのである。 支持基盤である創価学会員の高齢化と共に、公明党を創設した池田大作氏が昨年2023年死去した影響も見逃せない。 ■最盛期から半減した共産党 共産党は、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る「裏金」問題や非公認候補側への2000万円振り込みを機関紙「しんぶん赤旗」がすっぱ抜き、自民党を大敗に追い込んだ最大の功労者だ。 だが、比例票は前回より80万票も減らして336万票しか取れず、れいわ新選組に軽く抜かれた。 平成8年には726万票を獲得していたから半減以下の凋落ぶりだ。 お気の毒に、としか言いようがないが、有権者は共産党の本質をよく見ている。 さて、自民党である。 今回の敗因は、表面的には 「政治とカネ」 への国民の怒りが爆発した結果と見える。 それだけなら軽症で済むが、問題の根は深い。 「岩盤保守層」 のうち参政党などに投票した300万人は、容易に自民党には戻ってこないだろう。 しかも連立相手である公明党のパワーは目に見えて落ちている。 少数与党に転落した石破茂政権は、国民民主党をなびかせるためにリベラル寄りの政策を打ち出さざるを得ず、 「岩盤保守層」 は益々離反するはずだ。 日本にもいよいよ分断と混乱の時代が到来しようとしている。 <主張>自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか 社説 2024/11/2 5:00 https://www.sankei.com/article/20241102-GDS25MDC7ZM75MJH3E5JS5FUQI/ 自民党と国民民主党が政策協議に入ることで合意した。 衆院選に大敗した石破茂首相(自民総裁)と森山裕幹事長が何の責任も取らずに協議を進めるのは、異様な光景という他ない。 石破首相と森山氏は辞任し、自民は新執行部の下で他党と協議に臨むのが筋だと改めて指摘したい。 石破首相は居座り、国民民主との 「部分連合」 の形成を図るつもりなのだろう。 森山氏と国民民主の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日、会談した。 森山氏は経済対策や令和6年度補正予算案、令和7年度予算案の編成、税制改正での協力を呼び掛けた。 「部分連合」 の構築に向け、両党の政調会長による常設の会議体設置も求めた。 これに対し、榛葉氏は会議体設置を拒み、案件ごとに対応する意向を示した。 森山氏は受け入れた。 国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の金額を178万円に引き上げることを最優先事項に掲げている。 林芳正官房長官が7兆〜8兆円程度の減収が見込まれるとの試算を示すと、国民民主の玉木雄一郎代表は 「全くやらないなら協力できない」 「その時は予算も法律も通らない」 と牽制した。 ガソリン税を一部軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除も看板政策の1つだ。 国民民主は衆院選で 「手取りを増やす」 ことを訴えて支持を得たため、その実現に注力するのは分かる。 ただ、両党の協議を巡り懸念はある。 個別政策を切り離して交渉した場合、他の政策とバランスが取れなくなる恐れがあることだ。 厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的強化を滞らせてはならない。 政府は令和9年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円と定めているが、増税時期は決まっていない。 防衛増税は令和10年度以降の防衛費をきちんと確保することも睨んだ措置である。 税制改正を行う場合は、税制全体との整合性を図ることも求められる。 国民民主は自党の政策実現だけを目指すのではなく、日本の平和と繁栄のための国家戦略をより明確に描き、日本を守り抜く政策でも責任ある姿勢を示す必要がある。 自民 衆議院 197人で活動へ 会派に無所属で当選の6人追加 2024年11月1日 15時28分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241101/k10014626171000.html 自民党は、国会で活動をともにする会派のメンバーに、今回の衆議院選挙で無所属で立候補して当選した6人を加え、合わせて197人の勢力で活動していくことになりました。 自民党は、2024年11月1日に開かれた衆議院の各会派の代表者による協議会で、今回の衆議院選挙で党の公認を得て当選した191人に、無所属で当選した6人を加えた197人の勢力で会派をつくることを届け出ました。 会派に加わったのは、 政治とカネの問題で自民党から離党勧告の処分を受け離党した ▽世耕弘成氏と 選挙に際し公認が得られなかった ▽平沢勝栄氏 ▽西村康稔氏 ▽萩生田光一氏の4人に、 自民党の公認候補と争った ▽三反園訓氏 ▽広瀬建氏 を加えた、合わせて6人です。 公明党の会派と合わせると、衆議院の与党の勢力は221人となりますが、過半数の233議席までは、12人足りない状況です。 世耕弘成、西村康稔氏らの会派入りを批判 立民の野田佳彦代表「反省足りない」 2024/11/1 14:15 https://www.sankei.com/article/20241101-DPCLWIFSRRJBFDDCZHVHVX5G64/ 立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月1日の記者会見で、自民党の派閥パーティ収入不記載事件に関与し、衆院選に無所属で当選した世耕弘成、西村康稔両氏らが衆院会派 「自民党・無所属の会」 に入る見通しとなったことを批判した。 「選挙が終わり禊が済んだと言うならば、思慮も反省も足りない」 と語った。 自民側の狙いに関しては、特別国会の首相指名選挙で石破茂首相を当選させるため 「数を確保しておきたいとの焦りがあるのだろう」 と指摘した。 言わんこっちゃない自民党大敗 総裁選で高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ 変わり身の朝日新聞、言い訳に笑い 2024.10/31 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-VCDRHRXXD5KM3JAK4LCZCNPLMA/ だから、言わんこっちゃない。 石破自民党が歴史的大敗。 自公で過半数割れは15年ぶりだ。 さすがに開票を見守っている時も、各社のインタビューでも石破茂総理に笑顔は一切ナシ。 それでなくても悪い目つきがますます悪くなっていた。 「なぜ、言わんこっちゃない」か。 1カ月前、2024年9月27日の自民党総裁選。 第1回投票で大方の予想に反し、高市早苗候補が、石破候補を圧したのだ。 高市候補 議員票72 党員・党友票109 計181 石破候補 議員票46 党員・党友票108 計154 ところが決選投票ではこれが逆転。 石破候補 議員票189 地方票26 計215 高市候補 議員票173 地方票21 計194 つまり、第2回投票で石破候補の議員票は143票も増えていたのだ(高市候補は101票増)。 岸田文雄前総理の指示か、菅義偉元総理の依頼かは知らないが、143人もの議員が、石破候補を新たに支持したことになる。 この時、高市候補を支持する議員が、あと22人増えてさえいれば高市総理が実現していたのだ。 もし、あの時、高市候補を選んでいれば、日本初の女性総理として、世界のメディアでも話題になったに違いない。 選挙中に自民党の、あのどんよりしたような暗い雰囲気はなく、清新な風が吹いていたろう。 石破総理は応援に来なくていい。 来れば票が減るなんてこともなく、高市さん、全国の候補から引っ張りだこだったろう(総理でなくても引っ張りだこで、全国を飛び回っていた)。 むろん選挙にも負けなかったに違いない。 繰り返すが、総裁選決選投票で石破さんに票を投じた自民党議員の責任は重い。 今回の自民党大敗は、あの時、高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ、だから 「言わんこっちゃない」 と言っているのだ。 むろん、新聞各紙、選挙後、石破総理を一斉に批判。 石破総理に厳しいのが産経。 <石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった> <自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた> <国会論戦も十分に行わず早期解散に走った> <これで選挙に勝てると思っていたのなら信じ難い> 意外だが、朝日新聞が一番手厳しい。 社説でハッキリ石破総理に引導を渡している。 <自民党がなお議会第1党だとしても、「自公で過半数」という自ら設定した最低限の目標を達成できなかった以上、石破首相は職を辞すのが筋だ> 党内野党として石破氏が安倍晋三元総理を批判していた時は、散々、持ち上げて、事あるごとに利用してきた朝日、さすがに変わり身が早い。 <期待が大きければ、その分、失望も大きい> と言い訳しているのが笑える。 党内では 「首相の責任は重大、続投は難しい」 の声も少なくない。 だが、石破総理自身は続投の意志を捨てず、 「色んな選択肢があるだろうよ」 と他人事のように 「続投を明言」 しているらしい(2024年10月28日産経)。 誰か、石破総理の首に鈴を付ける奴はいないのか。 (月刊『Hanada』編集長・花田紀凱) <正論>惨敗した首相に国民を守れるか 麗澤大学教授・八木秀次 2024/10/31 8:00 https://www.sankei.com/article/20241031-UK2MSTVJUFLK5JR4Y2VOXIN2HA/?outputType=theme_election2024 ■続投は理屈が通らない 平成19年7月、第1次安倍晋三政権でのことだ。 自民党は参院選で惨敗し、第一党の座を民主党に譲った。 衆参「ねじれ」の始まりだ。 安倍首相は続投の方針を表明したが、この時、党の総務会で 「選挙に負けたにもかかわらず、続投するのは理屈が通らない」 と公然と首相の辞任を求めた議員がいた。 現在の首相の石破茂氏だ。 その後、安倍氏は体調を崩して辞任した。 2年後の平成21年7月、麻生太郎内閣は低支持率に喘いでいた。 都議会議員選挙で自民党が敗れた際、内閣に身を置きながら派閥を率いて 「麻生おろし」 の先頭に立った閣僚がいた。 石破農水相だ。 麻生首相は飼い犬に手を嚙まれる思いだったという。 今月2024年10月27日投開票の衆院選挙で自民・公明の与党は目標とした過半数(233議席)をも大幅に下回る大惨敗を喫した。 参院選や都議選での敗北ではない。 政権選択選挙とも言われる衆院選で、だ。 与党過半数割れのままでは予算案も法案も通らない。 異常事態だ。 何より野党その他の総計が過半数を占めた状態では内閣不信任案をいつでも可決できる。 それでも石破首相は続投を重ねて表明している。 首相就任8日後という戦後最短で解散総選挙を行う理由を憲法69条に言及して 「新しい内閣について、国民に信を問うことが憲法の趣旨からもそういうことだ」 と述べていたはずだ。 国民の信任を得られなかったにもかかわらず、続投するのは 「理屈が通らない」。 過去の自分の言動によって 「後ろから鉄砲を撃たれる」 思いがしていることだろう。 長かった党内での野党暮らしは責任がなく気楽だったはずだ。 「正論」 も述べられた。 今、 「与党」 の首領として生き地獄の苦しさを味わっていることだろう。 ■国民的人気も幻だった 大惨敗の原因は 「政治とカネ」 の問題そのものではない。 政治資金の不記載問題は、一部の法令違反は処罰されて当然だが、それ以外は今後、記載を徹底し再発を防止するとすればよかった程度のことだ。 これの処理の仕方を誤って派閥解消などの大きな問題にしてしまい、 「国民の怒り」 を醸成したのが岸田文雄前首相だった。安倍派の力を削ごうとした節も否定できまい。 その岸田氏が低支持率で退任することになり、国民的人気があると勘違いして自民党総裁選で後継に選んだのが石破氏だが、総裁選で大言壮語したものの首相になるや 「変節」 やトーンダウンし、大した政策もなかったことを露呈した。 選挙はこの政策を実現するために力を与えてくださいと訴えて勝つものだが、訴える 「この政策」 がなく、 「政治とカネ」 への防戦一本となった。 当てにした国民的人気も幻で、発足時の内閣支持率は28%(時事通信、2024年10月17日公開)という2000年以降の歴代内閣の最低を記録した。 選挙応援に入る度に票が減ると言われ、自民党支持層まで野党に投票した模様だ。 大惨敗の原因は石破氏の存在が大きい。 不記載議員を原則公認する方針を決めたものの、メディアの批判に圧されて一転して非公認や比例重複なしの 「二重処罰」 にしたが、非公認候補側にも公認と同じ2000万円を振り込んだ。 当選後に追加公認を受けるようにとの狙いだろうが、如何にも場当たり的だった。 これが選挙の最終盤に発覚し報道されたことで 「政治とカネ」 の問題を蒸し返し、 「国民の怒り」 を買って数十議席を減らしたとされる。 判断した森山裕幹事長、小泉進次郎前選対委員長ら執行部の責任は大きい。 ■政策無視の「大連立」では 選挙の結果、安倍元首相が第2次政権以来、国政選挙に勝ち続けて築いてきた 「1強」 とも言われた強固な政権基盤はいとも簡単に崩壊した。 過半数割れの 「少数与党」 では政権運営に困難が伴う。 予算案や法案を通すためには野党との協力が必要になる。 当てにしていた国民民主党も日本維新の会も連立政権には加わらない方針だ。 益々野党の主張に歩み寄らざるを得ない。 首相は続投を表明した記者会見で野党の政策を取り入れるとも述べた。 これでは事実上の与野党の 「大連立」 だ。 野党の影響力が大きくなって懸念されるのは安全保障や経済だ。 台湾有事や朝鮮半島有事の危険が迫り、石破氏は否応なく、 「戦時下の首相」 となる可能性もある。 集団的自衛権の限定行使にさえ否定的な軍事音痴の野党第一党との協力で国民の生命を守れるのか。 間もなく選出される米国大統領にも対応できるのか。 財務省の意向に沿うべく積極財政の否定に向かうことはないか。 経済は低迷しないか。 安定的な皇位継承策の検討もこれまでと反対方向に向かうことはないか。 選択的夫婦別姓もそうだ。 憲法改正は進むのか。 党内野党を余儀なくされている高市早苗氏や旧安倍派の議員は党内政権交代に備えて政策を磨き、発信していってほしい。 悪夢の少数内閣が始まる 総裁選、もし林氏や加藤氏が高市氏に勝てば…党内「分裂」も 自民党再生のため石破さんは辞めた方がいい 2024.10/31 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-TMJ52B5XUJP4VAT5QKSNN6GVEQ/ 石破茂首相は2024年11月28日の記者会見で続投する考えを明らかにした。 理由は 「国政は一時たりとも停滞が許されない」 ということなのだが、 「いや、あなたは国民に信任されなかったので、少しくらい国政が停滞してもいいから誰か別の人に代わってください」 と思う人はいないのだろうか。 仲間の4分の1が落選し、 「勝敗ライン」 の与党過半数を下回った首相がなぜ居座るのか。 ただ、石破首相本人も居座りたくて居座っているのではない。 居座らねばならぬ理由がある。 野党第一党、立憲民主党の議席は大幅増の148議席なのだが、これに日本維新の会の38、国民民主党の28を足しても214で233の過半数には届かず、れいわ新撰組の9、共産党の8を足しても届かない。 つまり、野党だけの連合で政権は取れない。 だから、開票当日夜のテレビ出演で、立憲民主党の野田佳彦代表は、自民党の一部が割れて野党連合に参加することを期待する口ぶりだった。 だが、それは無理なのだ。 党の分裂は自民党も立憲民主党(前身の民主党)も以前経験して酷い目に遭っている。 「分裂だけは損するから、やっちゃダメ」 というのは与野党の共通認識だ。 もし、石破氏が辞めたら自民党は2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙の前までに新総裁を決めなければならない。 フルスペックの総裁選をやる時間はないので両院議員総会で議員のみの投票で行われる。 本来なら、前回の総裁選で石破氏に惜敗した高市早苗前経済再生相が 「本命」 のはずなのだが、執行部の菅義偉副総裁や森山裕幹事長、更に石破首相誕生の影のキングメーカーである岸田文雄前首相らは気が進まないだろう。 高市氏を応援した人たちの多くが、今回の衆院選で落選している。 もし執行部が林芳正官房長官とか加藤勝信財務相を立てて高市氏に勝つようなことがあったら、党内の 「分断」 は更に進むし、それが 「分裂」 に発展しかねない。 自民党は主流派も非主流派も、絶対に 「分裂」 だけは避けなければいけないことを分かっている。 高市氏や安倍派周辺から 「石破降ろし」 の声が余り上がらないのはそういうわけなのだ。 つまり石破氏はとりあえず今は辞められない。 石破首相が首相指名選挙を乗り切っても 「少数内閣」に よる予算審議は大変だ。 国民民主党と政策ごとの 「部分連合」 を組み、予算に賛成してもらうために政策をいくつか 「丸呑み」 する必要があるが、大変な作業だ。 最後は 「石破退陣」 を条件に予算成立という局面もあるかもしれない。 悪いことは言わない。 石破首相は退陣して、自民党は新総裁を選び、再スタートした方がいい。 「負けた人」 の下で政党はまとまらないし、先は見えない。 自民党の再生のためにも石破さんは辞めた方がいい。 (フジテレビ客員解説委員 平井文夫) <産経抄>居座る石破首相、言行一致の身の処し方を 2024/10/31 5:00 https://www.sankei.com/article/20241031-R6DMQT64N5MG7N6B3LUJYMNMZU/ 辞書に載る言葉には、業界用語を出自としたものが多い。 「暗転」 はその1つである。 <物事が悪い方に転じること> は後から加わった意味で、本来は <舞台を暗くして、幕を下ろさずに場面を変えること>。 つまり芝居用語だ。 ▼対義語を 「明転(あかてん)」 という。 <舞台が明るいままで場面を変えること>。 次の場面がすでに出来上がっており、回り舞台ではよく使われる手法である。 ただし <物事がいい方に転じること> の意味はなく、採録しない辞書も多いと聞く。 ▼先日の総選挙を下敷きにした舞台『国民の審判』は、過半数割れした 「自公の大敗」 編から 「少数与党の悲境」 編へと場面転換しそうだ。 脇を固めた若手選対委員長の降板をよそに、自身は主役に居座り、場面の明転を待つつもりらしい。 続投の意思を示した石破茂首相である。 ▼「国民の批判に適切に応え」 ながら職務に当たるという。 与党過半数を勝敗ラインと明言したのは他ならぬ首相で、続投は現政権を否定した選挙結果への答えになっていない。 「国政の停滞は許されない」 との説明も、責任逃れの方便に聞こえる。 ▼石破氏と言えば 「ねじれ国会」 を招いた第1次安倍晋三政権時に、安倍氏を舌鋒鋭く責めた姿が忘れ難い。 麻生太郎政権では閣内から事実上の退陣を迫りもした。 過去のご自分を鏡とし、言動にいささかのぶれもない身の処し方を、信を置ける政治家の作法を見せてもらいたい。 ▼安全保障、国民生活、災害対応。 どれ1つとして置き去りにできぬ課題で、国政が停滞すれば国民は甚だ迷惑する。 次の場面に移る前に、一案としてこんなト書きを台本に入れてみる。 <ト ここで暗転、主役交代>。 総裁選を行う気力くらい、なければ困る。 <主張>野田氏の支持要請 現実路線なしでは空論だ 社説 2024/10/31 5:00 https://www.sankei.com/article/20241031-L4VASTN36ZJOBF4YXY6QB5RHE4/ 立憲民主党の野田佳彦代表は、日本維新の会の馬場伸幸代表と会談し、特別国会の首相指名選挙で自身に投票するよう要請した。 議席を大幅に伸ばした野党第一党として、他の野党に協力を呼び掛けること自体は否定しない。 だが、基本的な政策を見ると、立民は政権担当能力を欠いている。 衆院選公約などで掲げた政策では日本の独立と繁栄、国民の命・暮らしを守れまい。 衆院選で勢いづいているとはいえ、野田氏が本気で政権を担うつもりなら、反省と基本政策の現実路線への転換が必要だ。 立民は衆院選で外交・安全保障政策について 「日米同盟が基軸」 とした一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という立場を変えなかった。 反撃能力の保有にも消極的だ。 これでは抑止力が損なわれ、日米同盟は旧民主党政権時のような危機に陥るだろう。 エネルギー政策では 「原発の新増設は認めない」 と宣言し、党綱領では 「原発ゼロ」 の実現を謳う。 脱炭素化や電力の安定供給に逆行している。 国の根幹をなす憲法改正にも後ろ向きだ。 自民党の自衛隊明記案に反対し、国会議員任期延長を含む緊急事態条項の創設も 「必要ない」 としている。 安定的な皇位継承策では、野田氏は 「女性宮家」 の非皇族男子の夫と子の皇族化に拘っている。 これは日本の皇統を断絶させる 「女系天皇」 に繋がる恐ろしい議論だ。 馬場氏は野田氏の要請を持ち帰り、 「大義や具体的な政治改革案がなければ、与することは出来ない」 「やはり政治とカネの問題だ」 と語った。 政治とカネの問題を主軸に交渉するつもりなら、首相指名選挙を履き違えることになる。 政権の舵取り役を決める選挙なのだから、皇室や外交安保、エネルギーなどの基本政策を重視すべきだ。 普通の国会共闘とは次元が違う。 馬場氏は2024年10月27日、立民について 「外交安保やエネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」 と批判していたはずだ。 野田氏は共産党の田村智子委員長にも首相指名選挙での協力を求めた。 党綱領に日米安全保障条約の廃棄を記すなど、基本政策が立民以上に非現実的な共産にまで要請したことは間違っている。 首相、衆院選惨敗を党の責任にすり替え 政策を争点としなかった戦略ミスの反省みられず 阿比留瑠比の極言御免 2024/10/31 1:00 https://www.sankei.com/article/20241031-C5A4Z42JZRJN7KN44VVPHMJ76Y/ 私事で恐縮だが、筆者が社会部から異動となり、政治部へと着任したのは26年前の平成10年7月12日、参院選の投開票日だった。 その日の深夜か翌未明に、当時の橋本龍太郎首相(自民党総裁)が次のように述べて、敗戦の責任を取って辞任を表明した。 「全てをひっくるめて私自身の責任だ」 「力不足」 「それ以上に言うことはない」 参院選で自民は16議席減らしたが、44議席を獲得した。 しかも参院選は、政権選択選挙と言われる衆院選とは位置付けが異なる。 にもかかわらずの橋本氏の引責辞任に、政治家、なかんずくリーダーの身の処し方、潔さというものを考えさせられたのだった。 一方、安倍晋三元首相は平成19年7月の参院選で大敗しても辞めなかった。 既に各種世論調査で自民劣勢が明らかだった平成19年7月29日の投開票日の数日前、安倍氏は筆者にこう話した。 「小泉さん(純一郎前首相)からも電話がかかってきて 『負けても絶対に辞めるな。参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい』 と言われた」 ■続投の安倍首相を攻撃 参院選は政権選択選挙ではないのだから、時の首相によってそれぞれの考え方や判断があるのだろう。 ただ、続投を表明した安倍氏に対し、こう激しく攻撃したのが石破茂首相だったことは踏まえておきたい。 「安倍首相は 『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』 と訴えたのに、どう説明するのか」(党総務会) 「安倍首相は 『反省すべきは反省する』 と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」(党代議士会) 石破首相は政権選択選挙である衆院選で惨敗し、与党での過半数も失ったことをどう受け止めるのか。 首相に 「ノー」 を突き付けた民意を無視して続投を決め込み、2024年10月28日の記者会見では次のように党の問題へと摩り替えた。 「自民党は反省が足りないとご叱責を賜った」 「党内の論理、党内の理屈は一切排除し、政治とカネについて抜本的な改革を行っていく」 「党内融和よりも国民のご理解ということの方を私は優先していかねばならないし、党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がったのではないかという反省を、私自身は思っているところだ」 せっかく党総裁選で政策論争に注目が集まっていたのに、衆院選では明確な基準も示さないまま党所属議員を非公認や重複立候補禁止処分とし、自ら政治とカネの問題を争点とした自分自身の戦略ミスや判断の誤りへの反省はない。 あくまで悪いのは他者であると強調し、党内融和には目を向けない。 こんな延々と魔女狩りや内ゲバを続けるような姿勢が、有権者の嫌悪感を誘うことには気づかないのだろう。 ろくに党内もまとめられずに、国民の願いや要望に応えることはできるのか。 ■「一瞬は人を動かす」 安倍氏は首相時代の令和2年6月17日、自身の次の首相候補とされた岸田文雄前首相と石破首相とを比較して、筆者に語っていた。 「政治は人を動かすかなりの要素、情熱が大事だ」 「岸田さんは最後は人を動かす所を見せないといけない」 「石破さんは本物ではないけど、一瞬は人を騙して動かす能力がある」 「彼こそ本当の『言うだけ番長』なのだけど」 その言葉通り、総裁選で石破首相は一瞬、所属議員を動かし首相の座に就いた。 石破首相に1票を投じた議員らは、自民の転落をどうみているのか。 (論説委員兼政治部編集委員) どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念 2024/10/30 21:03 https://www.sankei.com/article/20241030-EJ6PX23YLBNK7MYACULWRJYDPM/ 来月2024年11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙は、キャスチングボートを握る国民民主党が立憲民主党の野田佳彦代表に投票しない方向となり、自民党総裁の石破茂首相が選出される流れが強まった。 衆院本会議での1回目の投票では、ほとんどの議員が所属政党の党首に投じるとみられ、誰も投票総数の過半数を獲得できない見通し。 石破首相と野田氏の2人による決選投票が行われる公算が大きい。 衆院の過半数は233議席。決選投票は自民、公明両党(計215議席)が支持する石破首相、共産党も投票を前向きに検討している立民の野田氏(立民と共産で計156議席)の2人が他党票の取り込みを狙う。 ただ、 「票田」と なる日本維新の会(38議席)の馬場伸幸代表は2024年10月29日のBSフジ番組で 「どちらかに軍配を上げることはできない」 と語った。 国民民主(28議席)の玉木雄一郎代表も2024年10月30日の党会合で、決選投票でも玉木氏自身に投票する方針を説明した。 両党とも来年2025年夏に参院選を控える中、 「野合」 批判を避け、独自性をアピールする必要がある。 首相対野田氏の決選投票で投票用紙に 「馬場」 「玉木」 と書けば無効票となり、自公勢力が立共勢力を上回り、首相の勝利が有力だ。 ただ、馬場氏は2024年10月30日、記者団に、立民と政治改革に関する協議を行うと述べた上で、野田氏に投票する可能性について 「これからの協議の中身(次第)だ」 と完全に排除はしなかった。 また、自民内の一部には、衆院選で与党過半数割れとなった責任を首相が取って退陣すべきだとの声もある。 首相周辺は、首相指名選挙の投票を棄権する自民議員が出る事態を警戒している。 このため、現時点で可能性は低いものの、野党の大連合が成立したり、自民内の造反によって野田政権が誕生したりする可能性もゼロとは言えない。 石破首相「辞任必要ない」65・7% 内閣支持率は32・1%に急落 共同調査 世論調査 2024/10/29 18:30 https://www.sankei.com/article/20241029-A5DPYG3NWBMV3CYK7CDXWCWATE/ 衆院選の結果を受けて共同通信社は2024年10月28、29の両日、全国緊急電話世論調査を実施した。 石破内閣の支持率は32・1%で、内閣発足に伴う2024年10月1、2両日調査の50・7%から18・6ポイント下落した。 不支持率は52・2%。 与党過半数割れとなった自民、公明両党の連立政権継続を望むとしたのは38・4%で、望まないが53・0%だった。 自民の派閥パーティー収入不記載事件に関与し、当選した議員を要職に起用することに79・2%が反対し、賛成は16・3%だった。 望ましい政権の枠組みは 「政界再編による新たな枠組み」 が31・5%と最多で、自公の少数与党政権は18・1%。 一方、石破茂首相が過半数割れの責任を取り辞任すべきだとの回答は28・6%にとどまり、辞任は必要ないが65・7%だった。 自民の議席減に不記載の影響があったと思うとの答えは91・4%。 選挙結果で 「政治とカネ」 問題が根絶に向かうとの見方は23・9%で、向かわないが72・5%を占めた。 少数与党希望は自民支持層の4割 今後の政権枠組み、無党派層は「政界再編」が最多 世論調査 2024/10/29 18:53 https://www.sankei.com/article/20241029-5BJVP5UYLZLVTLY4M4STSCXYYA/ 衆院選の結果を受けて共同通信社が2024年10月28、29の両日に行った全国緊急電話世論調査で、今後の望ましい政権枠組みを政党支持層別に見ると、自民党支持層では 「自民、公明両党による少数与党政権」 が最多の39・8%だったものの過半数に届かなかった。 次いで多いのが 「自公に日本維新の会などを加えた政権」 の28・2%で、一部野党と連携してでも政権の安定化を望む意向がにじんだ。 公明支持層では、自公の少数与党政権が50・9%と過半数に上った。 立憲民主党支持層と共産党支持層は 「立民を中心とした多くの野党による政権」 が最も多く、それぞれ61・7%と59・1%。 維新支持層は 「自公と維新など」 が最多の40・5%だった。 「支持する政党はない」 とした無党派層は 「政界再編による新たな枠組みの政権」 が最多で42・4%。 国民民主党支持層の48・2%、れいわ新選組支持層の55・3%も政界再編を希望した。 自民内から「石破おろし」の声相次ぐ 首相、国民民主と連携に活路 立民も多数派工作 2024/10/28 21:20 https://www.sankei.com/article/20241028-FHBW6MW5XNNW7EZEDBSSZMWDAQ/?outputType=theme_election2024 自民、公明両党で過半数割れの大敗を喫した衆院選の翌2024年10月28日、自民内では石破茂首相(自民総裁)の責任論が相次いだ。 それでも続投を表明した首相は、躍進した国民民主党との連携強化で打開を図る。 だが、国民民主は連立入りを否定。 首相は同党の政策を取り入れて協力関係を築きたい考えだが、予算案や法案ごとに賛成を求めることになれば政権運営が不安定化するのは必至だ。 ■目に見える変化が肝要 首相は2024年10月28日の記者会見で 「『自民党は目に見えて変わったね』と実感して頂くことが肝要だ」 と述べ、政策活動費の廃止などを表明した。 自身が辞任するのではなく、衆院選の敗因は自民の改革姿勢の甘さにあると定義し、踏み込んだ改革案を打ち出すことで敗北の責任を取る−という筋書きと言える。 ただ、そんな思惑とは裏腹に、党内では 「石破降ろし」 が始まった。 「自民党石破政権への信を問うてこの結果、ということを軽視しすぎではないのか」。 小野田紀美参院議員は2024年10月28日、自身のSNSで、小泉進次郎選対委員長の辞任だけでは不十分との認識を示した。 山田宏参院議員もSNSに 「選対委員長の辞任で済む話ではない」 と投稿した。 小林鷹之元経済安全保障担当相も党幹部の責任論に言及する。 3氏とも、党内の 「反石破」 勢力から旗頭として期待される高市早苗前経済安保担当相に近い。 ■党内論理より国民理解を 党内の反発について、首相は 「等閑視するつもりは全くない」 と語る一方、 「党内融和よりも国民の理解を優先していかねばならない」 「党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がった」 と持論を述べた。 首相の念頭にあるのが、勢力を4倍に増やした国民民主との連携だ。 「議席を大きく伸ばした党がある」 「どのような主張に国民が共感、共鳴したのか」 「取り入れるべきは取り入れることに躊躇があってはならない」。 首相が記者会見でこう語ると、同席した森山裕幹事長は何度も頷いた。 森山氏は他党との交渉の中心的役割を担うだけに、政権継続のためには 「辞めさせられない」(別の党幹部)。 ただ、国民民主の玉木雄一郎代表は2024年10月28日、支援組織・連合の芳野友子会長に、自公連立政権に参画しない考えを伝えた。 国民民主は、自民に43議席差まで迫った立憲民主党からも触手を伸ばされている。 立民は同日2024年10月28日の執行役員会で、特別国会の首相指名選挙で、野田佳彦代表に投票するよう野党各党に協力を求める方針を確認した。 ■政権への協力は十分ある 野田氏は記者団に、一部野党が石破政権に協力する可能性は 「十分ある」 と指摘。 「注意深く見ながら、こちら(野党側)のチームをどう作っていくかに心を砕きたい」 と述べ、過半数割れした自公による野党勢力の切り崩しを警戒した。 焦りの裏返しか、他党との交渉に関し 「誠意のある対話」 というフレーズを何度も口にした。 もっとも国民民主は、野田氏への投票要請も受け入れない考えだ。 首相指名選挙は1回目の投票で過半数を得た候補がいない場合、上位2人の決選投票を行う。 首相と野田氏の一騎打ちになる公算が大きいが、玉木氏は2024年10月28日の民放番組で 「無効となっても玉木と書く」 と述べた。 榛葉賀津也幹事長も同日、連合傘下の産業別労働組合(産別)に、こうした方針を伝えており、立民の多数派工作も最初から躓きそうだ。 政治空白、許されぬ…政治部長・小川聡 2024/10/28 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241028-OYT1T50036/ 長期政権のぬるま湯に浸かり、有権者の意識とかけ離れた 「党の論理」 を捨て切れない自民党に、厳しい審判が下った。 これまでの自民党政治家と違う感覚で政権を運営するのではとの石破首相への期待は、瞬く間に失望に変わった。 予算委員会なしでの衆院解散や、政治資金問題に関わった前議員らの公認問題と2000万円の活動費支給を巡る対応などで、総裁選で掲げた 「国民の納得と共感」 よりも自民党の事情と都合を優先する姿勢が露呈し、国民の怒りの火に油を注いだ。 立憲民主党は、3年前2021年の衆院選を教訓に、自民党にお灸を据えようと考える中道保守層の投票の受け皿になった。 野田代表が、 「原発ゼロ」 をはじめとした非現実的な安全保障・エネルギー政策を封印し、共産党との連携に距離を置いたことが奏功したと言えよう。 立民は選挙戦で、 「政治とカネ」 問題への批判に注力し、景気対策や社会保障などの具体策を論じる機会は少なかった。 「敵失」 で議席を伸ばした面が大きく、自らの政策・主張が全面的に支持を集めたという過信は禁物だ。 日本を取り巻く環境は国内外で厳しさを増しており、一刻の猶予も許されない。 経済停滞や社会保障・財政の不安、自然災害への対応などを急がなくてはならない。 北朝鮮や中国による軍事的威圧や威嚇、一方的な現状変更や侵略の脅威に直面し、日本の主権や平和、繁栄を維持できるかどうかの岐路にある。 与党の過半数割れにより、当面、政権が弱体化することは避けられまい。 各党は、政局を優先して分断を加速させるのではなく、 真摯な議論を通じて現実的に答えを出していくことが不可欠だ。 内外の有事を前に、政治空白を作ってはならない。 衆院選、全議席が確定 自民191、立民148、維新38、国民28、公明24、れいわ9 2024/10/28 4:05 https://www.sankei.com/article/20241028-PRREEDNFJRJSFA344HTTAVVAPQ/?outputType=theme_election2024 2024年10月27日投開票の衆院選は2024年10月28日未明、比例代表東北ブロックで立憲民主党が最終議席を確保し、全465議席が確定した。 各党の獲得議席は、自民191、立民148、維新38、公明24、共産8、国民28、れいわ9、社民1、参政3、政治団体の日本保守党3、無所属12で確定した。
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