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※2024年11月9日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
行き詰まるか…(C)日刊ゲンダイ
与党過半数割れで、安住予算委員長が誕生するが、これは朗報。国民愚弄、国会軽視の安倍以降の形骸民主主義が是正されることに期待。まずは裏金追及、改めての政倫審だが、嘘とゴマカシが通じなければ、自民党はもう持たない。
◇ ◇ ◇
これが過半数を失うということか。10.27衆院選で大敗した自民党は、過半数を握った野党に押し切られ、ついに国会の重要ポスト「予算委員長」を立憲民主党に明け渡すことになった。
予算案の審議を差配する予算委員長ポストを野党が担うのは極めて異例のことだ。
異例の事態にX(旧ツイッター)でも、「委員長ポスト」というワードが急上昇し、一時、トレンド入り。ネット上では「おお!これはすごい」「なんでまた、一番重要な委員会を?」といった声があがっている。
実際、17ある「常任委員会」のうち、予算委員会は特別な意味を持っている。予算委は国政全般の課題を扱い、総理以下、全閣僚が出席する。テレビ中継もされ、野党にとっては政権追及の見せ場だ。これまでも、スキャンダルを抱えた閣僚が質問攻めに遭うなど、政権の命運を左右する場になってきた。
それだけに予算委員長ポストを野党が押さえたのは大きい。委員長は絶大な権限を持つからだ。開会の日時や発言時間、採決を職権で決められる。答弁者が質問に正面から答えなければ、再答弁を促すこともできる。
これまで予算委員長ポストを押さえていた自民党政権は、野党が「審議が不十分だ」と審議の継続を求めても、委員長職権を使って審議を打ち切り、採決を強行してきたが、もう「強行採決」はできない。
なぜ、自民党は予算委員長ポストを手放したのか。
「常任委員長は、慣例に従って与野党が協議して決めていますが、国会法では委員が選挙で選ぶとなっています。当初、自民党も、議院運営委員長と予算委員長の2ポストだけは死守しようと、野党の要求を突っぱねていた。ところが、過半数を握る野党が『選挙で選ぶ段階に来ている』と恫喝してきた。選挙となったら、自民党はすべての委員長ポストを失う恐れがあった。予算委員長を譲らざるを得なかったのが実情です」(自民党関係者)
予算委員長を譲ったのは、野党に花を持たせる代わりに、政権が描く「国会日程」をのんでもらう、という計算もあったらしい。自民党は、「特別国会」を11日から14日まで開き、「臨時国会」を11月下旬〜12月中旬に開くスケジュールを想定している。当初、野党は特別国会の日程について、予算委や政倫審を開くための十分な会期を求めていたが、予算委員長ポストを譲られ、あっさり矛を収めている。
閣僚の辞任ドミノが起きる
予算委の主導権も野党が握る(予算委員長に就任した立憲の安住前国対委員長)/(C)日刊ゲンダイ
野党が予算委員長ポストを握ったことで、この先、国会はどうなるのか。年内に開く「特別国会」と「臨時国会」が終わったら、来年1月からは「通常国会」がはじまる。150日間の長丁場である。少数与党に陥った石破政権は、苦境に立たされるに違いない。
予算委員長ポストを手に入れた立憲民主党は、いまから手ぐすね引いている。委員長権限を使って、「集中審議」の回数を増やし、自民党の「裏金問題」の実態解明のほか、「政治とカネ」をテーマに攻勢を強めるつもりだ。
もし、現職閣僚にスキャンダルが発覚したら、石破政権の致命傷になる恐れがあるという。
「委員長職権のひとつとして、意外に重要なのは、答弁者を指名できることです。自民党議員が委員長だった時は、質問者が総理に答弁を求めても、他の閣僚や官僚が代わりに答弁して総理を守ることができた。でも、野党議員が委員長となったら、その手段は使えない。答弁を求められた閣僚が、何度も何度も答えざるを得なくなる。“身体検査”をしていないためか、石破内閣には、スキャンダルを抱えた閣僚が複数いるといいます。自民党の予算委員長なら、スキャンダル閣僚を守ろうとするでしょうが、野党の委員長は、スキャンダル閣僚に答弁を求めつづけ、追い込んでもおかしくない。来年1月からの通常国会では、閣僚の辞任ドミノが起きると、いまから囁かれています」(政界関係者)
立憲民主党は、予算委員長に安住淳元財務相(62)を起用する方針だ。安住は、国対委員長を長く務めた“国対族”である。密かに自民党は、国対畑が長い安住予算委員長なら「握れる」のではないかと期待しているらしい。しかし、野党を代表して予算委員長に就くのに、はたして裏で手を結べるのかどうか。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「安倍政権以降、自民党は数の力にモノを言わせ、国会を軽視してきた。しかし、衆院で過半数を失い、予算委員長ポストまで野党に奪われ、もはや反対を押し切って予算案を通すのは難しい状況です。それに、これまでは不祥事があっても、説明もせず、逃げ切ってきたが、もう逃げられない。国民が納得するまで、丁寧に説明しなければならないでしょう。ある意味、形骸化していた国会が、ようやく正常化に向かいはじめている形です」
来年の通常国会で行き詰まる
こうなると、石破政権は、そう長く持たないのではないか。少数政権だった羽田孜内閣も、結局、在任期間64日と、戦後2番目の短命政権に終わっている。
それでなくても、「通常国会」が召集される来年1月以降、石破政権には難問がふりかかる。アメリカのトランプ政権が発足するからだ。
「アメリカファースト」を掲げるトランプ次期大統領が、強気の姿勢で日本に「ディール」を持ちかけてくるのは間違いない。
在日米軍の駐留経費について、さらなる日本側負担を求めてくる可能性が高い。ボルトン元国家安全保障担当大統領補佐官によると、前回就任時、トランプは在日米軍の撤退をちらつかせながら、日本の負担額を4倍超にするよう要求していたという。
石破-トランプの初の電話会談は、わずか5分で終わってしまった。理屈っぽい石破首相と、思いつきのトランプは、ケミストリーが合わないという。はたして、トランプの無理難題を上手にかわすことができるのかどうか。
さらに、トランプ政権が本格稼働したら、円安ドル高が加速するとみられている。日経新聞は「再び1ドル=160円に現実味」としている。1ドル=160円まで円安が進んだら、国内物価が高騰するのは避けられない。国民生活がさらに苦しくなるだろう。
国会で多数を握っていれば、野党から「日米関係をどうするのか」「インフレをどう抑えるのか」と追及されても、官僚に答弁させたり、木で鼻をくくった答弁をしていれば、しのげただろうが、野党に予算委員長ポストを握られたら、そうはいかないのではないか。
石破政権は通常国会で行き詰まる可能性がある、ということだ。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「さすがに、野党の予算委員長も予算成立を妨害したりはしないでしょう。でも、来年夏は参院選があるだけに、予算成立後、野党は一気に攻勢を強め、“倒閣”に動いてくるはずです。もちろん、不信任案も提出するでしょう。その時、追い詰められた石破首相は、イチかバチか、衆院を解散し、衆参ダブル選挙に持ち込む可能性があります」
衆院選で自民党が大敗し、過半数を失ったことで、日本の政治は大きく動きはじめている。少なくとも、自民党はやりたい放題ができなくなっている。
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